フェニックス編、締めです。
「な、何と云う事だ…?」
「あの、フェニックスの三男が…!?」
「ふぁ~…」
「流石は赤龍帝ですか…」
「「「「…………………………。」」」」「素晴らしい…!!」
「赤龍帝…か…」
冥界。
シリューとライザーの戦いを観ていた、2人の魔王と悪魔陣営上層部の面々が、その結果に ある者は感嘆し、ある者は予想外だと驚き、ある者は無感情に単に結果の1つとして、そして ある者は、興味津々に受け止めていた。
「…ふむ、グレモリー卿、この度の勝負、あの赤龍帝…強いては、リアス嬢の勝利…ですかな?」
そんな中、長い金髪をオールバックに固め、カイゼル髭、そしてモノクルを掛けた貴族然とした男が、紅の長い髪と顎髭な、やはり貴族な出で立ちの男に話し掛ける。
「今回の件…私の愚息の暴走が招いた結果だが…」
「…仕方有りませんな、フェニックス卿。
今回のゲーム、その意義も公表されている故に…この度の縁談は、破談…ですな。」
「赤龍帝…ライザーからすれば、転生もしていない、高が人間が冥界にて、魔王様から同等の立場を与えられ事に不満…そのメッキを剥がそうとしたらしいが…」
「時が移り、依り代が変わっても、忌まわしい存在に変わりなかったのを、逆に証明してしまった。
いや、今代の赤龍帝は、史上最強かも知れませんな。
魔王様…いや、サーゼクスがアレを我々の側に迎い入れたのは、ファインプレイとしか言い様が有るまい。」
「全く…彼が、天界や堕天使と手を組んだと思うと、恐ろしさに身が震える…」
リアスとライザー、両者の父親は、互いに今回の婚約話を正式に白紙にする事を確認すると同時に、大昔の戦争で目の当たりにした赤い龍の恐ろしさを改めて思い出す。
…今代の赤龍帝が、自分達の側に就いてくれた事に、幸運を感じながら。
◇シリューside◇
「ふぅ…」
ゲーム終了後、今回のゲームマスターであるグレイフィアさんの転移魔法で、【現実世界】のオカ研部室に戻り、ゲームの最中に上半身裸となった身形を整えるべく、鞄から着替えの服を取り出している最中、
~♪♪♭♪♯♪~
スマホから、メールの着音が鳴った。
「ん?」
それは部長からの、『生徒会室で待っている』というメッセージ。
≫≫≫
ガラ…
「シリューちゃーん!おめでとーっ!!」
スパカーン!
「きゃぃいん!?」
「……………………。
いきなり何をしてくるんだ?貴女は?」
「しょ…勝利を祝う はぐをほぅ…(ガクッ)」
「お、お姉様ぁ!?」
「セラフォルー様?!」
生徒会室の扉を開けた瞬間、魔王少女が抱きつこうと飛びついてきたので、ハリセンで迎撃して、改めて入室。
ギリギリ迄、気配を感じさせなかった不意打ちだったので、反射的に多少、
リアス部長と支取先輩が慌てて このダウンした魔王少女に駆け寄るが、まあ、一応は魔王の一角だ、死にはしないだろう。
…というか、来ていたのか、この人。
「やぁ、シリュー君、とりあえずは おめでとう。」
「どうも。でも、それはリアス部長に言うべきでしょう?サーゼクスさん。
…ですよね?この度は婚約破談、おめでとう御座います、部長。」
「うふふ…ありがとうね、シリュー♪」
…あの
聞けば、本当に数分前に、冥界から正式に婚約白紙の報告があったとか。
「やりましたね、シリューさん!」
「シリューたん、お疲れにょ。」
俺より一足先に、ゲーム運営サイドの医療施設から直接転移してきたのであろう、アーシアとミルたんが、
「流石でしたわね、シリュー君。」
「まぁ、負ける心配は していませんでしたが。」
「やったね、神崎君!」
更にはオカ研の皆が、
「神崎君、赤龍帝の実力、確と拝見させて頂きました。」
「見事でした。」
「神崎、やったな!!」
そして支取先輩に新羅先輩、匙も労いや祝いの声を掛けてきてくれた。
「「「いっぇーぃ!!」」」
ぱちぃっ!
「「「「「…………。」」」」」
…で、男子3人でハイタッチする中、残りの支取先輩の眷属は…無視ですか、あぁ、そうですか。
「…………。」
あの戦車である、大学生の人狼サンは、それほど面識無いから絡み辛いってのもあるだろうが、残りの生徒会モブ達、幾ら【高が人間如き】な俺を嫌ってるからって、其処迄露骨に目を逸らさなくても…ねぇ?
「いや…ありゃ、お前が悪いから…」
え…?
▼▼▼
その後、オカ研部員一同とミルたん、ソーナ、椿姫、匙、そして2人の魔王は、旧校舎のオカ研部室へ。
「…ぇ~と、部長?
せっかく部長の為に、必死に戦い抜いた俺に、こんな仕打ちは…」
「それは それ、これは これよ!」
ハリセンを持った腕を組んでの仁王立ちなリアスの前、ギャグ補正が利いた大きな たんこぶを頭部に作り、床に正座しているシリュー。
「率直に聞くわ?ライザーとの戦いの途中、あの鎧を脱ぎ捨てる行為、あれは絶対に必要な事だったのかしら?」
「ぇ…と、それは…」
「全くアナタわ!
何で何時も何時も何時も!
何の意味も無く、直ぐに真っ
今回のゲーム、冥界の上層部の方々も御覧になっていたのよ!!
少しは自重しなさい!」
「ひぃっ!?」
そう、OHANASHIの始まりである。
「ソーナちゃんと椿姫ちゃんも、眼鏡☆きっらーん☆て、輝かせてガン見してたんだよ~!☆」
「な…!?れ、レヴィアタン様?!」
「お、お姉様!?、私はガン見なんて、していません!あれは椿姫だけです!!」
「会長~~~~っ!!」
「医務室でも、あのライザー様の下僕の女の子達、モニターを見ながら阿鼻叫喚な大歓声を上げてたにょ。」
「「「「悲鳴でなくて歓声??」」」」
「はい。皆さん…特に この前、小猫ちゃんに吹っ飛ばされた双子さんと、お団子頭の女の子が、目をキラキラうるうるしていました。」
「…何だか評判、良いじゃないですか?
俺、何か悪い事、してます?
何か皆、喜んでないですか?」
「お黙りなさい!!」
すぱかーん!
「あじゃぱーっ?!」
…この後、紅髪の魔王と、クラスメートの生徒会役員が腹を抑えて嗤ってる中、延々と部長による、後輩部員の悪癖を戒めんとする説教は続いた。
但し、それで其の悪癖が正せるのか?…は、全く別の話である。
▼▼▼
翌日。
「…で、報酬みたいのは?」
「ゲームのファイトマネーとやらを、運営サイドからの正規な形で払いたいから、
「口座って、まちかよ?!
もしかして、かなりな額かよ?」
「まぁ…な…一応は、アーシアとミルたんで分ける形な。
尤もミルたんは兎も角、アーシアは、今はトーカん家に世話になってる身だから、不用意に口座とか作れないから、とりあえずは部長に管理をお願いする心算だよ。」
…そんな他愛の無い会話が教室で交わされる中、時は放課後となる。
≫≫≫
ガラ…
「ぅう~っす…」
「こんにちわ~」
シリューとアーシアが、旧校舎の部室に顔を出した時、それを待ち受けていたのは、
「あ、シリュー…?これは一体、どーゆー事なのかしら?」
「え?」
何やら、少し戸惑い気味に怒っている感じなリアス。
「ぅぐゎおをうも~っ!!」
…そして、魔力の、否、
「シリュー?これ、アナタの仕業よね?
この枷、アナタの『こすも』ってヤツで作られているわよね?」
「…その質問の前に、どうして、こういう事態になったのか、本人に聞くのが先じゃないですか?」
「この
「…そりゃ、御尤もで。
仕方無い、纏めて説明したいから、サーゼクスさんでもセラフォルーでも…1人で良いから、誰か、魔王をこの部室に呼んで貰えますか?」
「え?何言ってんのよ?
そ、そんな、急に出来る訳が…」
「魔王を喚べと言っているのだ!リアス・グレモリー!!」
「…!!」
「ふんがもまっ!?」
それは普段の先輩後輩、部長部員の会話でなく、魔王と ほぼ同格の地位を与えられている悪魔陣営の『客』と、単なる上級悪魔貴族の時期当主候補との会話。
それを察したリアスは、慌てて魔王の1人である、兄・サーゼクス・ルシファーに、自分以上に慌てふためいている、縛られた悪魔の男を尻目に連絡を入れる。
ブワァッ!!
「むごうぐぬぬゅ~っ!!?」
「「「「!!?」」」」
直後、部室の床に魔法陣が展開し、やはり
「…やれやれだぜ。」
▼▼▼
「…彼は確か、カミジン家の、そして こっちの彼女は、アバドン家に仕える転生悪魔だね。」
拘束された2人を見て、慎重な面持ちで話すのは、リアスからの呼び出しに、ほいほいと業務すっぽかしてやってきた、シスコン魔王・サーゼクス・ルシファー。
「…で、シリュー君、どうして2人は?」
まじまじと2人を見た後、シリューに顔を向けると、
「それは本人に、話して貰いましょう。」
パチィン…
シリューは指を弾き、2人の口を封じていた猿轡を消す。
「さて…貴様等、どういう過程を経て こうなったのか、この場で正直に話して貰おうか!!」
「「!!」」
そして、シリューの怒声が部室に鳴り響いた。
≫≫≫
「はぁ~~~~~~~~~~~…
全く、何て事をしてくれたんだよ…」
蒼い縦線が数本、スゥーっと顔に入り、頭痛が凄く痛そうな表情で頭を抱え込む紅髪の魔王。
「「も、申し訳ありません、魔王様!」」
そんなサーゼクスに、未だ縛られた状態の儘、只管に謝る2人の転生悪魔。
「あ、主に命じられて、仕方無く!」
「わ、私もです!!」
要約すると この2人、それぞれの主に命じられて、シリューの家族を、そしてシリューの恋人である矢田桃花を拉致ろうとして、それぞれの家に侵入。
しかし、シリューが両家に予め仕掛けておいた
何故、シリューの家族や親しい者を捉えようとしたのか…
それは、レーティングゲームでのシリューの実力を見て、人質を以てして己が眷属としようと企たか、或いは それでも『人間如き』が自陣での今の待遇を快く思わず、威圧しようとした他には考えられなかった。
「これは どういう事だ、サーゼクス・ルシファー!
これは悪魔とは、同盟決裂と判断して良いのか?!」
「ちょ…シリュー君、落ち着いて!」
「自らの欲望の為に、何の落ち度の無い者を巻き込むが悪魔と云うならば このシリュー、地上の平和を護る
「ご、ごめん、ケジメは着けるから!
マジに落ち着こ?ね?ね?」
ボッワァ!!
完全にキレて、
≫≫≫
「不味い…本当に不っ味いわ…
シリュー、マジにキレてるし…。
下手すりゃ本当に私達悪魔、純血転生関係無しに、皆殺しにされるかも…」
因みに この時、リアスとアーシアは既に旧校舎から退避、朱乃や小猫、木場にミルたんと、遅れてやってきた関係者に現状を説明、外で待機していた。
「全く、何処の御方ですの?
そんな傍迷惑な死亡フラグ、立ててくださったのわ?!」
「はわわわわ…シリューさん、凄く怖かったですぅ…」
「気のせいか、校舎が揺れてるにょ?」
「ん、確かに揺れてるね。」
「倒壊するかも…」
「…って、それ、凄く拙いじゃない!?
祐斗、小猫!直ぐにギャスパーを無理矢理にでも、
「は、はい!」「…はい。」
▼▼▼
「幸い…と言うのは少し違う気もするけど、両家とも現当主でなく、その三男、及びに次男の孫…殆ど当主を継ぐ可能性が皆無な2人だ。
今回は当主や家に関係無く、その2人が自分の欲で、勝手に暴走してやった事。
家を取り壊すでなく、当人を粛清するだけ、それで済むなら、それが最良だと、僕個人は思っている。」
冥界に戻ったサーゼクスは急遽、残る3人の魔王や それに次ぐ権力を持つ元老院の面々を無理矢理に自分の城に召集させ、その一室で今回の騒動について話していた。
「しかし、サーゼクス様?
いくらなんでも、極刑と言うのは…」
「只でさえ、純血悪魔は、その数が少ないのですぞ?」
「高が人間如きとの約定の為に…」
当人の命を以て償わせ、シリューに…赤龍帝に誠意を見せると云うサーゼクスの案に、難色を示す老人達。
「あのね~、そんなに『高が人間如き』とか言ってるならさ~、おじーちゃん達自らが、シリューちゃん処に行って、お話してみなよ~?☆
別に止めたりは、しないよ?☆
じゃ☆行ってらっしゃ~い☆!」
「「「「………!!?」」」」
しかし、セラフォルー・レヴィアタンの一言で黙り込む。
「悪魔にとって、契約と信用は絶対。
今回の騒ぎは、それを破らんとした行為に他ならない。
厳罰は当然な事です。
何よりも、彼等は我々、魔王の決定した事に背き、我々魔王の『友人』、そして彼の大事な存在に手を掛けようとした…。
その面からしても、万死に値します。」
「ふわぁ~…もう、死刑で良いじゃん?
だって面倒だし…」
「「「「「………………。」」」」」
更には残る2人の魔王も、サーゼクスの考えを推す姿勢を見せる。
「仮にシリュー君と…赤龍帝と事を構えるとなったとする…。
確かに今なら、数の暴力で彼を討ち取るのは可能かも知れない。
しかし その時は、我々悪魔も、純血悪魔2人が命を落とす程度では済まないよ?
赤龍帝の力…あの戦争を忘れたのかい?」
「更には その騒ぎに乗じて、ミカエルやアザゼルが彼に着いたりでもしたら、尚の事…本当に我々は滅んでしまうやも知れません。」
「「「「「………………。」」」」」
2人の魔王の言葉に、完全に老害は黙り込んだ。
≫≫≫
そして この後 直ぐ、2人の純血悪魔の公開処刑が執行され、冥界…悪魔領全土が震えるのだった。
「それから…シリュー君は敢えて今迄の事は目を瞑ると言ってくれたけど、今後は眷属を作る際に、直接に脅すとか、身内を人質に捕って無理矢理にとか、そういうのは魔王の名の下、完全に禁止にするから。
これ、死亡処か、本当に冗談抜き、滅亡のフラグだからね。」
▼▼▼
「…そんな訳で この度、リアス・グレモリー様の『僧侶』となりました、レイヴェル・フェニックスですわ。
皆様、宜しく御願いします。」
数日後の放課後、オカルト研究部部室にて、グレモリー眷属+αに丁寧に頭を下げる金髪ドリルな少女が1人。
「…どんな訳です?部・長?」
『そんな訳で…』…この言葉から場面が始まった場合、既に其の経緯は説明されていると云う様式美を完全破壊しての質問をするシリュー。
「えぇ~っと…私とライザーの婚約話は流れたけど、それでも両方の
「シクシク…所謂、人身御供と呼ばれるヤツですわ。シクシクシクシク…」
「トレード…ですか…
よく、あのライザーが了承したなぁ…」
「す、するー?」
レイヴェルなりの、渾身の
「そ、それはですねシリュー様、先に私のお母様と兄様が、(無理矢理に)駒の等価交換をして、その後、お母様とリアス様が更に交換…と言う流れですわ。」
内心、突っ込み待ちだったが、直ぐに気を持ち直し、事情を説明するレイヴェル。
因みに、小猫と同じクラスに編入したらしい。
「成る程…ね…」
「あら?何か御不満が?」
「いや、俺は気にしてないけど、君は正直な処、どうなんだい?
俺は、君の兄の縁談を破壊した、張本人なんだぜ?
俺は別に、グレモリー眷属じゃないけど、同じオカ研部員として共に行動するのに、抵抗とかは無いのかい?」
「あ、そっち…、いえ、全然…ですわ♪
ついでに言えば、両親も、『あの不死身ひゃっはー!…な、アホ天狗の鼻を、よくぞ完璧に折ってくれた!(原文其の儘)』と、シリュー様には怨みは愚か、感謝していましたわ。」
「あぁ…そうですか…」
自身としては、かなり真剣だった疑問に、あっけらかんと、しかも家族の見解の補足付きで答えられ、若干 拍子抜けするシリュー。
「それから、塔城さんの仲介で、トーカさんとユキコさんとも、早速お友達になれましたわ。
今後あの2人は、冥界では…自分で言うのもアレですが、フェニックス家令嬢の友人と云う位置付けになります。
それだけで、魔王様の御達し以上に、不躾な輩から狙われる心配は、更に減ると思いますが。」
ガシィ!
「レイヴェルさん、今後ともアイツ等と、仲良くしてやって下さい!
よろしくお願いします!」
その台詞を聞いたシリュー、透かさずレイヴェルの右手を取り、両手で握手。
「レイヴェル…で、構いませんわ、シリュー…先…輩♪」
◆◆◆
≪≪≪
時は、少し巻き戻る。
『ライザー・フェニックス様、戦闘続行不能確認。
其処は単に白…単に果てしなく、白いだけの空間。
そんな空間の中、シリューvsライザーのレーティングゲーム決着の映像を映すのは、霧の鏡。
「…どうですか?
アレが、俺が話していた、シリュウと云う男です。」
「…うん。強いね。」
それを観ているのは、白髪が混じった金髪の初老の男と、銀髪の少女。
本来ならば このゲーム、運営サイドが用意したカメラでの中継で、関係者しか観戦出来ない筈。
だが この2人は、明らかに それ以外の『眼』で、このゲームを観ていた。
「彼は…仲間になってくれる?」
「正直、難しいですね。
仮に今、貴女がヤツの前に姿を見せて誘ったとしても、簡単に鞍替えする男では有りません。
何しろ、あの男、昔から硬物に手足が生えている様な男ですから。」
「ん、逆に安心した。
簡単に移り変わる者は、信用出来ない。
ならば…妾の方が、彼の仲間になるなら?」
「それならば、多少の可能性は…」
「だったら、そちらの方向で…方法は貴方に任せる。」
「…御意に。」
少女の前で膝を着いて一礼した男は、その儘、その場から姿を消した。
「ん…頼むぞ、ベッロ・カンクロ…」
‡‡‡‡【次回予告!!】‡‡‡‡
「うぅ…孜劉先輩の…鬼畜…」
「悪いな…時には、非情になる事も大事なんだ。」
次回:ハイスクール聖x龍
『新たなる脅威!エクスカリバー!!(仮)』
乞う御期待!! コメントよろしくです。