ほんの少しだけ、キャラ崩壊?
冥界3日目。
リアス眷属並びにシリュー達はグレモリー邸から転移魔法で、冥界の旧王都ルシファード…の中心地に聳え建つ巨大且つ強固な城、ルシファー城に来ていた。
その名で察せる通り、四大魔王が1人、サーゼクス・ルシファーの居城である。
ぞろぞろぞろ…
「皆、これから若手悪魔との顔合わせよ。
良~ぃ?何が起きても平常心で居るのよ。
この先に居るのは、将来の私達のライバル達。
無様な姿は見せられないわ!」
リアスを先頭に、駒王の制服、そしてメイド服…否、滅威弩服を着た眷属達、その後ろに着崩した黒い和服を、青基調のシスター服を、そして薄紫の中国衣を着た若い男女が廊下を進む。
この日、この城では、次代を代表する若手悪魔達と、魔王や元老院の歴々との顔合わせが予定されていた。
「そう言えば、ソーナ嬢も生徒会(けんぞく)の皆を引き連れて里帰りしてるとか。
昨日、匙からメールが届きましたね。」
「はい。ソーナはシトリー家の次期当主ですから、当然、この城にも来ています。」
学内でなく冥界故に、その喋り方は普段の先輩後輩な口調でなく、一介の上級悪魔と魔王の『客』である赤龍帝として会話を交わしていたのだが、
「はぁ…部長…それと皆も、普段通りな喋りにしません?
ヴェネラナ殿も居ないし…」
「ん。そー言ってくれると、有り難いわ。
お母様の言う事も解るけど、正直、精神的に疲れるのよね。」
「確かにだにゃ~♪」
「「お前は特に、口調とか変えてないだろうが!!?」」
この先はシリューの一言で、通常の口調で会話する事になった。
≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫
「よう、リアス。」
「あら…?」
リアス達が、若手悪魔が集うと云う部屋の前に着いた時、その廊下には20数名の若い男女が屯っており、リアスに気付いた、窓際のベンチに腰掛けていた黒髪の青年が声を掛けてきた。
「久し振りね、サイラオーグ。」
「変わらず元気そうだな。」
挨拶を交わしながら握手する2人。
「皆、彼はサイラオーグ・バアル。
私達の母方の従兄なの。」
リアスがサイラオーグを紹介。
「其方は…赤龍帝殿か!
リアスの従兄になる、サイラオーグ・バアルだ。
貴方とライザー・フェニックスのゲームは拝見させて頂いた。
お会い出来て、光栄だ。」
「赤龍帝…神崎孜劉だ。」
そして赤龍帝(シリュー)の存在にも気付き、互いに名乗りながら、握手を交わす。
「御機嫌よう、リアス。赤龍帝様。」
「あら、ソーナ。」
「すいません支取先輩…頼みますから、普段通りで お願いします。」
そして やはり、廊下に居合わせていたソーナが、リアス達に挨拶。
「…で、匙?お前等 部屋の外で、何やってんだ?」
「いや、それがな…」
若手悪魔達が集う予定の部屋…その部屋に入らず、その入り口前の廊下に屯していたサイラオーグとソーナ…と、その2人の眷属達。
何やら不思議に思ったシリューが匙に尋ねてみると、
「俺もソーナ・シトリーも、余りにも下らんから、出てきただけですよ。」
その質問に応えたのはサイラオーグ。
「「下らない?」」
それにリアスとシリューが声をハモらせ、鸚鵡返しの様に受け答えた時、
ドッガッ!!
「「「おわ~っ!?」」」
「「「「「!???」」」」」
目の前の大扉、そして数名の悪魔が、眩い閃光、爆音爆発と共に、部屋の内側から吹き飛ばされた。
「ケホ…ななな…何なのよ、これ?!」
立ち込める煙の中、不意の出来事に たじろぐリアス。
「実は着いた早々、コイツ等の主である、ゼファードルがな…」
「…あの、グラシャラボラスの問題児が?
今度は一体、何を…」
サイラオーグから、ゼファードル・グラシャラボラスなる人物の名を聞いた途端、「またか…」とばかりに呆れかえる表情を浮かべるリアス。
そして その直後に、
「ゼファードル、アナタ死にたいの?てゆーか死ぬ?いえ寧ろ、今直ぐ この場で腹かっ捌いて死んで頂戴。」
「ケッ!せっかく この俺様が、男が全く近寄らない、処女姫様の開通式ヤってヤるっつてんだから、素直に喜んで受け入れろや、瓶底ぉ!!」
「ちょ…シーグヴァイラもゼファードルも、少し落ち着いて!
此処は穏便に…ね?ね?」
部屋の中から聞こえたのは、何やら言い争っている男女の声。
そして煙が晴れてきた中で、確認出来たのは、互いの眷属を引き連れ、睨み合っている男女と、それを止めようとしている1人の男。
1人は褐色肌の顔に白い稲妻ラインのタトゥーを施している、青髪のチンピラ風、且つ その風貌に似合う下品な台詞を飛ばす若い男。
1人は そのチンピラ風な男と言い争っている、かなり度のキツそうな…所謂『瓶底眼鏡』を掻け、その口調から察するに、性格も かなりキツそうな、長いプラチナブロンドの少女。
1人は その2人の諍いをおろおろとしながら止めようと努めている、目の細い…と言うより糸目と云う表現が似合う、黒髪の少年。
「下品なヤツだ…」
「ヤンキーだにょ。」
「ぅゎ…気の強そうな女だなぁ…」
「あら?あの悪魔(ひと)、何処かで…?」
その3人を見て、様々な印象を持つシリュー達。
「…一応、教えておくわ。
あのチンピラっぽいのが、ゼファードル・グラシャラボラス。
眼鏡の娘が、シーグヴァイラ・アガレス。
そして、その2人の間で おろおろしてるのが、ディオドラ・アスタロトよ。」
そんな彼等に初めて会うシリュー達に、リアスが説明。
「ふん!そもそも お前の様な祖※※が、この私の御相手する等、ギャグにも成らないわよ(笑)」
「…っんだと、ゴラ゙ァっ!!
だだだ、誰が祖※んだ、テメー?!
見た事無い癖に、テキトー言ってんな!?」
そんなリアス達を後目に、言い合いを終わらせる気配の無い、ゼファードルとシーグヴァイラ。
「ふっ…其処迄言うなら、望み通り、見定めてやろう。」クィ…
シーグヴァイラは そう言うと、眼鏡のズレを戻し、その眼鏡をキッラーン!…と妖しく光らせ、ゼファードルの下半身を刮目。
「ふむふむ…サイズD 硬度C 持久力E 総合スタミナD…」
「やっ、止めろーーーーーーーっ!!?」
「「桐生かよっ?!」」
まさかの戦闘力(笑)測定に驚愕する、ゼファードル…と、シリューと匙。
「退いてろ、ディオドラ。
おい、ゼファードル、シーグヴァイラ…
2人共、其処迄だ。」
「わゎっ!?」
そんな中、2人の諍いの仲裁に入っていたディオドラを押し退け、サイラオーグが割って入る。
「全く血の気の多い連中だ。
…チィ…だから俺は、デビュー前の会合等、不要だと進言したのだが…」
サイラオーグは この度の若手悪魔の集まりに、消極的だと窺わせる発言を舌打ち混じりに吐き捨てると、
「ゼファードル、シーグヴァイラ…。
まだ続ける心算なら、この俺も混ぜさせて貰うが?」
要約するならば「力ずくで止めさせて貰う」と、2人に言い放つ。
「あ゙?」
しかし、その言葉に聞く耳持たぬ者が、約1名。
「テメー、何言ってやがるんだ?!
このバアル家の出来損ないg(バキィッ!)ばるざっく?!」
そう言いながら、拳を振り翳すが それは躱され、逆に顔面に強烈な右の拳を浴び、ゼファードルは部屋の入り口、リアス達の前迄 吹き飛ばされてしまった。
「忠告は、した。」
そしてチンピラ悪魔を吹き飛ばした本人は、やれやれと云う表現で呟くと、
「…それで、お前は どうする?」
争っていた もう1人の瓶底眼鏡の少女に怒気を孕んだ顔を向け、問い質す。
ふるふるふる…
それに対して、シーグヴァイラは顔に無数の青い縦線を浮かべると、無言で両掌を前に差し出し、首を何度も横に振りながら、降参の構え…戦る気が無い事を必死にアピール。
≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫
「ぅ…が…」
リアス達の前で、殴られた顔を抑えた儘、まだ起き上がれないゼファードル。
「「「………………。」」」
それを、何だか可哀想な物を見る目で居る、駒王学園の皆さんだが、
「何、見てやがるんだ、テメー等ぁ?!」
その視線に気付いたゼファードルが、顔を真っ赤、怒りの形相で起き上がり、
「あ!?何だ?オメー?」
その中の1人にターゲットを絞り、八つ当たり気味に因縁を振っ掛けてきた。
「テメー…悪魔じゃねぇな、人間か?
何で人間如きが、冥界に居んだ、コラ?」
サササササッ…
この時点で其の場に居合わせていた、絡まれた当人を除く、オカ研&生徒会の皆さんは、要らぬ巻き添えを恐れ、距離を置く様に離れるのだが、
「何 黙ってんだ?お前わっ!!?」
その殺伐とした空気を察せないゼファードルは、構わずに目の前の男の顔面目掛け、拳を撃ち込むが、
ずん!
「かっ…ほ…?」
それは標的には届かず、代わりに自らの鳩尾に、痛烈な一撃を赦してしまう。
「くはっ…ゲホッ…」
顔面蒼白、息を詰まらせ、拳を埋められた腹を抑えながら、両膝を床に着くゼファードル。
「て…テッメェ…!」
そして その姿勢その儘で、自分の 土手っ腹に一撃を喰らわせた男…シリューを睨み付けると、
「テメェ、解っているのか?
俺はグラシャラボラスの、次期当主だぞ!?
高が人間の分際で、こんな巫山戯た真似しやがって、只で済むと思っているのか?」
自分の『家』を名乗り上げ、優位に立とうとするが、
「成る程、つまり先の行動は、貴様個人で無く、グラシャラボラス家として、この俺に弓引いた…そう解釈して良い訳だな?」
その程度の脅しが、この男に通じる筈も無く。
「お、おい お前等!何、ぼぉ~っと見てやがるんだ!?
お前等全員で、この生意気な人間、殺っちまえ!!」
『家』の権威で圧してみても、動じる様子の無いシリューに、今度は自分の眷属達を使い、数の暴力で、斃そうとするゼファードル。
「「「「「「「「……。」」」」」」」」
ザザッ…
その言葉に従う様に彼の眷属達が、事の最初、シーグヴァイラの一撃で部屋の大扉毎吹き飛ばされた者も一緒になり、シリューの前に揃い立つ。
そして…
かばぁっ!
「「「「「「「「「「「すすす…すいませんでしたぁあっ!!」」」」」」」」」」」
「…はい?」
「来るなら来い!」とばかり、戦闘姿勢を構えるシリューに、全員で土下座。
これにはシリューも、少し拍子抜け。
「申し訳有りません!」
「ウチの大将、凄く頭が悪いんです!」
「情弱なんです!」
「根っからの『俺様EREEEE!』なんです!」
「我々から、よ~く言って教えますので、御家取り壊しだけは、どうか御堪忍を!!」
「何卒、何卒、怒りをお鎮め下さい!」
更には次々と、謝罪の言葉を繋げるゼファードル眷属達。
「な…お前等、一体…?」
「ふっ…頭が無能な分、下の眷属達は しっかりと、しているみたいね。」
「はぁ!?」
何が起きているのか、理解が追い付かないゼファードルに、シーグヴァイラが話し掛ける。
「ゼファードル、お前は まだ、あの方が誰なのか、気付けないのか?
お前の言っている只の人間とやらが、冥界に…ましてや、まかり間違っても魔王様の居城に、のこのこと足を踏み入れられる訳が在るまい。
その時点で、普通の者ならば、此方の御方が只の人間では無い事程度は、容易に想像が点く。
そして その人間が、リアスと…グレモリー家の者と一緒に居るとなると、自ずと答えは1つに絞られる。」
「ふっ…大公家の令嬢は、なかなかに聡明だな。」
このシーグヴァイラの解説に、シリューは称賛の意。
「ま、まさか…」
そして この時点で漸く、自分が絡んだ人間が何者たのか察したゼファードルに対し、
「【赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)】!」
(Boost!!)
シリューも神器を発動させ、
「…これなら、貴様も この俺が何者なのか、理解出来るだろう?」
それを名刺代わりに、自分が何者かをアピール。
「せ…せっせっせ…(ガクッ)」
「「「た、大将お?」」」
「「「若ぁ?!」」」
そして、それを見て、完全に理解したゼファードルは、その後 結局立ち上がる事は無く、自分が喧嘩を売った男の正体に恐れ慄き、ズボンと床を濡らすと同時に気を失ってしまうのだった。
「どーでも良いけど、この前からDOGEZAが多い気がするにゃ。」
「おい黒歌…それ、絶対に言っちゃいけないヤツな。」
≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫
ゼファードルは眷属に背負われ、一時退場となった。
汚水がぶち撒かれた廊下の床を、凄く嫌そうな顔で拭き掃除するメイド悪魔達に多少の罪悪感を感じながら、シリューはリアス、ソーナ、サイラオーグ達と改めて、若手が集う予定の部屋に、破壊された扉枠を潜って入室。
「改めてまして…初めまして、赤龍帝様。
アガレス家次期当主の、シーグヴァイラ・アガレスです。」
「あ、あ…アスタロト家次期当主、ディオドラ・アスタロトです!」
そんなシリューに、改めてシーグヴァイラが、そしてディオドラが、それぞれの『家』の次期当主候補筆頭として挨拶を交わし、其の儘 自分の事、自分の『家』の事等、他愛の無い会話を始めていった。
パリィン…!
「きゃあっ?!」
「なっ…シーグヴァイラ?」
そんな中、突然にシーグヴァイラの瓶底眼鏡が、原因不明で粉々に砕け散る。
「シーグヴァイラ嬢、大丈夫か?」
「え…ぃぇ、はい、だだ、大丈夫ですぅ!!
あは…あははははは…はぁ…」
「「????」」
昭和から…否、明治時代からの様式美。
瞳を完全に隠していた眼鏡が除かれた時、そのレンズの下の素顔が露わとなった美少女は、何かを誤魔化す様な作り笑いを混ぜ、心配無用の無問題を主張した後、懐から予備の眼鏡を取り出して掻け直す。
あの女(ひと)、間違い無く神崎の『ぴー!!』の戦闘力を測ってたな…
…その一連の遣り取りを、少し離れた位置から眺めていて、心の中で そう呟いたのは匙である。
≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫
「あ…あの…」
「ん?」
あの後、何故だか気不味い顔をしたシーグヴァイラは眷属達を連れ、サイラオーグの下へ。
シリューも何やら色々と話していたリアスやソーナ達と合流して、彼女達の会話に混ざっていた時に話し掛けてきたのは、ディオドラ・アスタロト。
「も、もしかしたら 其方の女性は、アーシア・アルジェントさんでは、ないでしょうか?」
「はい?」
「や、やっぱり そうだ!
ライザー・フェニックスとのゲーム、チラッと画面に写った時に、もしかして…と思っていたんです!!」
「え…ぇと…」
どうやらアーシアの方は心当たりが無いのだが、ディオドラはアーシアを知っているらしい。
「アーシアさん、僕ですよ!
忘れたのですか?
ほら、貴女に怪我を治してもらった!」
バサッ…
「ひぇっ!?」
そう言うとディオドラは、羽織っていたマントを脱ぎ捨て、その下に着ていた上着のボタンを上から順に外していき、赤面するアーシアに胸元を晒したと同時に、
「何をやっているのだ?貴様わっ!!?」
すぱかーん!!
「ざんぎえふ?!」
赤龍帝の張扇による一撃を、後頭部に まともに貰ってしまう。
「あ痛たたた…
い、いきなり何をするんですか?
如何に貴方と云えど、不条理な暴力は控えて戴きたいのですが?!」
涙目で後頭部を押さえながら、シリューに物申すディオドラだか、
「喧しいわ!
いきなり女子の前で衣服をはだけるとは、貴様は一体、何を考えているのだ?!」
「うぅっ!?」
逆に、正論な…至極尤もな、正論で斬り返される。
「「「「「「「…………。」」」」」」」
尚、その言葉を聞いたリアス達が、何やら突っ込みたいのを必死に我慢していたのは、謂う迄も無く。
因みにディオドラ君、この作品では『禍の団』未加入の設定です。
‡‡‡‡【 次回予告(予定)!! 】‡‡‡‡
次回:ハイスクール聖x龍
『若手と老害と魔王とドラゴン(仮)』
乞う御期待!! コメントよろしくです。