平和な?世界に生まれ育ち、結構サブカルチャーに毒されているシリュー君。
…あと、小猫たん。
「…えい!」
バタン!
「きゃああっ!?」
ゴスロリの金髪堕天使、ミッテルトの光の槍の投擲を躱した小猫。
直後、その低い身を、更に低くした姿勢で一気に距離を詰めると、片足タックルでダウンを奪い、マウントポジションを取る。
そして、制服のポケットから取り出したオープンフィンガーグローブを両手に嵌めると、
「…私は!アナタが死ぬまで!殴るのを止めません!」
冷たく言い放った。
「………………………………。」
その静かな迫力に、顔を引き攣つらせるミッテルト。
「えぇ~とぉ、ギ、ギブは無しっスかぁ?
って、ゆーかぁ!ギブギブ! 降参ッス!
ギブするッス!!」
「…だが、断ります。」
「い、いやあああああ~~~~!!…ッス!」
≫≫≫
「雷よぉっ!!」
バリィッ!
朱乃が天高く右手を掲げると、その右手に雷が堕ち、その雷は その儘、まるで帯の様に朱乃の右手に纏わりついた。
朱乃は その手を、自分の目の前で跪いている堕天使、カラワーナに向ける。
「うふふ…さあ、覚悟は宜しいかしら?」
「あわわわわわ…ひいぃっ!?」
身を包んでいたボディコンスーツは既にズタズタに引き裂かれ、見方を変えたら全裸以上に官能を誘う様な体躯を、恐怖に脅え、まるで自らを庇うかの様に抱き締め、ガタガタと震わせるカラワーナ。
「も、もう お許し下さい、お姉様!!」
既にプライドも何も無く、只単に、眼前の敵に惨めにも泣きながら命乞いをする、只の雌と成り下がった堕天使に、背中に悪魔の羽を生やした巫女装束の少女は、
「あらあらあらあら?
もう お仕舞いですの?
もう少し、抗って欲しい物ですわぁ?
そ・れ・に・同じ事を言われた時、アナタは赦したり…す・る・の・か・し…ら?」
「ひいぃぃぃぃぃぃっ!!?」
バチバチバチ…
迸る雷を帯びた右手は前に差し出した儘、悦に浸った妖艶な顔をし、何か物足りなさそうな顔で、左手の人差し指と中指を舌嘗め摺りするのだった。
≫≫≫
ガァン!
「おいおい、あの糞悪魔の姉ちゃん、少し怖過ぎやしねーか?
いくらグレモリーの
シリューの左拳を白銀色の拳銃でガードしたフリードが、まるで自分が、女王の責め苦を受けているのをイメージしたかの様な、今にも泣き出しそうな顔をして話す。
真剣に怖がっているのか、通常の巫山戯過ぎた口調と比べたら、かなりマトモな喋り方だ。
それに対してシリューは、
「ああ、姫島先輩だけは、絶対に怒らせない様にしよう…」
やはり真剣に、そう言う他になかった。
》》》
「死になさい、リアス・グレモリー!!」
「…!!」
ガキィィン!!
「…お待たせしました、部長!」
「ゆ、祐斗!?」
レイナーレがリアスの脳天目掛け、光の槍を振り下ろした瞬間、突如として現れた木場が、2人の間に分け入り、
「ええ、助かったわ、祐斗…って、何、アナタ、傷だらけじゃないの、大丈夫?」
「すいません、あの堕天使、予想以上に手強った物ですから…」
「あ、あの堕天使って、まさか!?
貴様、ドーナシークを殺ったとでも言うのか?!」
既に全身ボロボロの体を押して、己の主の前に駆けつけた木場と、それを心底心配そうに気遣うリアス。
その2人の会話を聞いたレイナーレが、驚きの声を上げる。
「彼のシルクハットでも、持ってくれば良かったのかな?」
「ぎぃ…貴様…!!」
信じられないという顔のレイナーレに、微笑みながら木場が応えると、レイナーレは今度は顔を歪ませ、金髪の少年を睨み付ける。
「部長、僕が前衛に立ちます。
部長は隙を突いて、『滅びの魔力』を!!」
「え、えぇ、分かったわ!」
リアスが数歩、バックステップで後退すると同時に、木場がレイナーレにダッシュからの、闇を纏う剣での斬撃を仕掛ける。
例え女だとしても、堕天使…敵に対して微塵の容赦の無い、鬼気迫る顔での猛追に、レイナーレは一瞬だが怯んでしまい、光の槍でのガード一辺倒となってしまう。
しかし、木場の持つ剣は
互いの武器を交える度に、レイナーレの槍の光は木場の剣の闇に喰われ、徐々に小さくなっていく。
「ちぃ!」
たまらず黒い翼を展開し、空中に回避するレイナーレ。
小さくなった槍を木場に向かって投げつけると、己が魔力を集中させ、先程より強大な光の槍を生成、反撃の構えを見せる。
…が、
「…
「な…!?」
そのレイナーレに、リアスが右掌の前に作った、巨大な深紅の魔法陣を掲げていた。
「く、くそ!あと数日後には、あの女が この町に着いていたのに!
そうすれば、そうすれば、私は至高の堕天使になれたと云うのに…!
アザゼル様…シェムハザ様ぁああぁーっ!!
》》》
「まぁ~じぇ~っ!!?姉さん達、全滅ぅ?
ドーナシークの旦那も、上で殺られてるみたいだしぃ?!」
シリューと攻撃を交わしながら、思わず絶叫するフリード。
〇子猫vsミッテルト●
(マウントパンチ)
〇朱乃vsカラワーナ●
(雷撃)
〇リアス(&木場)vsレイナーレ●
(滅びの魔弾)
〇木場vsドーナシーク●
(??)
既に一緒に戦っていた、3人の堕天使の姿は無く、只、地下礼拝堂の床には、無数の黒い羽根が散乱しているだけだった。
「お~い、赤龍帝?
ボスも殺られちったみたいだしぃ、もう俺ちん達が殺り合う理由なんt
「この孜劉、貴様の様な外道を この儘放っておくつもりは無い!」
「でっすよね~っ?
そーゆーと、思ってました~!!」
後ろ盾を失った今、自分からすれば、これ以上の戦闘…殺し合いは無意味だと、休戦を持ち掛けるフリード。
だがシリューは どうあっても、この快楽殺人者を赦す心算は無く、これ以上の犠牲者を出さない為にも、この場で確実に斃し、決着させる気でいる。
事情が事情なだけに、普通に殺人犯として、警察に突き出したりする訳にはいく筈がないのだ。
「ちっくしょー、この糞露出魔がぁ!
テメーが その気なら、俺ちんだって!!」
BANG BANG!
「きゃっ!?」
「「「「ぶ、部長!」」」」
フリードの放った2発の弾丸は、礼拝堂奥中央の、キリスト像の心臓部、そしてリアスの足下に着弾する。
それぞれが請け負った相手を倒し、残るはフリード1人。
これを全員で一気に攻撃し、終わらせようとしていたリアス、オカ研メンバーだったが、シリューが基本的に1vs1を重んじる
それに従い、その勝負の行く末を見守っていたリアスが不意に狙われ、その場の…シリューを含む全員の注意が、リアスに向けられた瞬間に、
「これ以上、やってられっかつの!」
フリードは懐から、ソフトボール程の大きさの球体を取り出し、
BOMB!!
「ケホッ…何なのですか、この煙は?」
その場で床に叩き付けると、小さな爆発音と共に、瞬く間に辺り一辺、濃い煙に覆われた。
タッタッタッタ…
「じゃ~あな、赤龍帝~ぃ!
あばよ、ばいびー、しゃいなら~!!」
何者かが階段を駆け上る音が、出口の奥から聞こえたと思えば、既に、不本意ながら聞き慣れてしまった、巫山戯た口調の声が聞こえてきた。
実はシリューと交戦中も、いざとなれば直ぐに逃げられる様、部屋の出口近くで戦っていたフリード。
この男からすれば、それが功を奏した形となった。
「くっ…逃がさん!!」
煙が立ち込める中、シリューも階段に向かおうとした時、
ぽと…ころころ…
階段の上側から、直径約3㌢、長さ約30㌢の筒棒が転がり落ちてきた。
その先端に付いている線は、パチパチと小さな火花を散らし、
「い、いかん!!」
DOGOOOOHN!!
派手な爆音と共に、大爆発を起こした それは周囲を破壊し、階段へ繋がる出口を完全に塞いでしまう。
「クソ、逃げられたか…まさか、ダイナマイト迄持っていたとは…」
未だ晴れぬ煙の中、シリューは悔しさと怒りを顔に隠す事無く、呟くのだった。
◇シリューside◇
「…シリュー先輩、1人だけ誰も倒せなかったからって、凹まないで下さい。
誰も、そんなの気にしてませんから。」
「犯〇ぞ?」
「トーカちゃんにチクります。
あと、カンちゃんにm
「すまん。」
小猫よ…彼女や従姉妹の名前を出すのは反則だぞ…
「はいはい、そこの2人、兄妹喧嘩は後にしなさい。
それからシリュー?
どうでも良いから、早く服を着なさい!
正直、目の やり場に困るのよ!!」
いや部長、別に兄妹じゃないです。
服については…すいません。
…尚、俺が戦闘中に脱ぎ捨てた制服を拾って袖を通してる時、姫島先輩だけは名残惜しそうな顔でコッチを見ていたのは、気のせいだという事にしておく。
いや、俺は何も見ていないし、何にも気づいていない。
そういう事にしておく。
「…あの はぐれ悪魔祓いを逃したのは残念だけど、一応当初の目的であった、町に巣喰う堕天使の殲滅は果たせた事だし、今日は もう、帰りましょ。
皆、今夜は お疲れ様。」
俺が制服を着終えると、リアス部長は そう言って皆を労いながら、帰り支度とばかりに転移魔法陣を転開し始めた。
でも、俺は、
「…部長、俺はテレポーションで戻りますよ。」
「シリュー?」
もう転移酔いは、こりごりなんだよ。
「この魔法陣は元々、グレモリー家の者と、その眷属悪魔しかジャンプ出来ない仕様だから、その辺りで、きっと無理があったのね。」
部長…それ分かっていて、最初は同行させたんですか…?
「それじゃシリューは もう、直接自宅に飛んでも良いけど、どうする?」
「そうですね、それなら御言葉に甘えて、直帰させて頂きm(バギァッ!!)…!!?」
「わ…キリスト像が…!!」
「な、何なのですの?」
▼▼▼
一段落着き、この廃協会を去ろうとしていたオカ研メンバー。
しかし その時、礼拝堂のキリスト像が いきなり大音を立てて崩れ落ち、その中から、黒に近い紫色の流動体が、ドロドロと流れ出てきた。
その流動体は赤紫に発光し、ブクブクと泡立たせると、そこから黒い靄の様な物を吐き出しながら、まるで意志を持っているかの様に、リアス達の方向に流れ動く。
…いや、明らかに意思を持ち、オカ研メンバーを狙い、突如として動くスピードを上げ、常人と変わらぬ大きさのキリスト像の中に埋め込まれていたとは思えない、質量保存の法則無視な巨体が襲い掛かってきた。
ビチィッ
「…スライム…ですか?」
「ちぃ、あのイカレ神父の置き土産か!!」
フリードが逃げる直前の発砲の内の1つは、確かにキリスト像に命中していた。
単にリアス…或いは他のメンバーを狙った弾が外れたと思われた一撃は、実はキリスト像の中に潜んでいた、コレを突き付けたのだと理解するシリュー達。
「…このっ!!」
液状の身体の一部を弾く様に飛ばしながらの攻撃を避けながら、木場が反撃とばかりに己の剣の間合いに飛び込むが、
しゅわゎ…
「うっく…!?」
このスライムの体から出ている靄に触れた途端、その場で膝を着き、蹲ってしまう。
「木場!」
この直後、木場は慌てて駆けつけたシリューによって、回収される。
「皆、気を付けろ!あの靄は、猛毒だ!!」
「接近戦は危険ね。
小猫、シリュー、あなた達は下がってて!
朱乃、2人掛かりで吹き飛ばすわよ!!」
「はぁい部長!…って、シリュー君?」
シリューの言葉に、遠距離からの飛び道具…即ち魔法による攻撃がベストと判断したリアスが、朱乃とのコンビネーションで撃破を狙おうとした時、それよりも速く、シリューが飛び出した。
「でぇい!」
ズバァ!
「ちぃ、駄目か!」
どうやら、普通の物理攻撃は、殆ど無意味な様だ。
寧ろ、このシリューの場合、籠手にも
≫≫≫
「…絶対に あり得ません。
スライムが こんなに強い訳ないです!!」
「ああ…全くだ!」
「2人共、ゲームの やり過ぎよ!」
言った当人達は至って大真面目な心算なのだが、端から聞いていると どう見てもボケているとしか思えない様な発言に、リアスが思わずツッコむ。
「そ、それにしても、私の滅びの力が効かないなんて!?」
「私の雷撃も、効果がありませんわ!」
このスライムの特性なのか、恐らくは体全体から発してる赤紫の光が魔法の類の攻撃を緩和してるらしく、下級とは云え、堕天使を一瞬にして消す程の力を秘めた、滅びの魔力が殆ど効果を成していない。
全くのダメージ無効という訳ではないが、大幅に その威力を削られており、朱乃の雷撃は、既に問題外の域である。
「部長、祐斗先輩も心配です。
この場は撤退すべきでは?」
この小猫の意見も、
「駄目よ、今 私達が逃げたりしたら、コイツは外に出て、町が滅茶苦茶になるわ!
コイツの体なら、あの瓦礫の間も簡単に通り抜けられる!」
リアスがフリードのダイナマイトで破壊された、出口を指差しながら言う。
スライムの攻撃。
スライムは、体の一部を千切るかの様に周囲に撒き散らし、オカ研メンバー全員にダメージを与えると同時に、
しゅわゎぁあ…
「きゃあ!?」
「あらあらあらあら?」
「む…?」
「なぁ!?」
そのスライムの欠片は何故か、
バサァッ
「と、とりあえず、部長達は下がって!」
「え、えぇ…」
「了解ですわ。」
「…はい。」
つい先程、着直したばかりのブレザーとワイシャツを脱ぎ捨てながら、少しだけ顔を赤くしたシリューが目を逸らしながら、リアス達の前に立つ。
因みに木場は、まだ毒のダメージが抜けておらず、後方で待機状態の戦力外だ。
「スライムの分際で生意気です…」
下着姿の小柄な白髪の少女が、自身の慎ましい胸を両手で隠しながらボソッと呟く中、実質、動けるのが唯一自分のみとなったシリューが、再び攻撃を仕掛けた。
「廬山龍飛翔!!」
龍を象る闘気となった
ズサァッ!
この攻撃はスライムの巨体に自らの身体を埋めたかと思えば、次の瞬間、文字通りにスライム本体を突き抜ける。
グロロロロ…
「!!」
この攻撃で、今迄、リアス達の魔法攻撃を含めて、如何なる攻撃に対してもアクションの無かったスライムの体から、唸り声の様な音が立つ。
否、それは紛れもなく唸り声。
原生生物その儘な姿。
前後左右の概念が無い筈の体の中に、目の様な光が2つ灯り、無数の巨大な牙に口、そしてブラックパープルの半透明な体の中に、様々な臓器の様な器官が形成されていく。
そして それは、シリューを敵、或いは捕食対象と認識したのか、その巨体を まるで津波の様な形に変えて、覆い被さるかの様に襲い掛かった。
その大波に浚われ、包まれるシリュー。
「シリュー!」
「シリュー君!」
「シリュー先輩!」
リアス達が叫ぶ中、スライムの体内でシリューは、
「パワーアップな心算だったのだろうけど!」
普通の人間なら、摂り込まれた瞬間に消化されるのだろうが、
そして その体の内から、目についた臓器の1つに、
『グロロロロロロロロ~っ!!?』
内部からの攻撃だからなのか、魔力でなく
生物的には新たに臓器等を生成すると云うのは、確かに進化、パワーアップなのかも知れない。
だが、シリューからすれば、それは弱点を公開した事と同義に、他ならなかった。
「フィニッシュだ!行くぞ、ドライグ!」
『おぉっ、相棒!"アレ"をやる気か!』
「ああ、ぶちかますぜ!!」
スライムの体内から抜け出たシリューがフィニッシュ宣言と共に、自身の中に宿るドラゴン…赤龍帝ドライグに呼び掛ける。
『Boost!!』
それに対しドライグも、赤龍帝の籠手の能力の1つである、『倍化』を発動させて応えた。
シリューが構えを取る。
両足を やや広く開き、右足を一歩、前に踏み出し、左脇を引き締め、肘を曲げて前に向けた左拳に右掌を重ねた。
そして…
『Boost!!』
「ド~…」
その姿勢から、
「ラ~…」
カッ…
高めた
「「ゴ~…」」
更には木場のブレザーを勝手に拝借した小猫が隣に立ち、同様なポーズを見せて声を重ねていく。
これには思わず、吹き出しそうになってしまうシリュー。
「「「???」」」
因みにリアス達は、何が起きたのか、何が起こるのか解らない様な、唖然とした表情で、この2人を見ている。
「「ン~…」」
そして最大級に溜まった
『Booooostぉっ!!』
「「波あっ!!」」
左拳を思いっきり、前に突き出した。
カァッ!!
その瞬間、シリューの拳から放たれる、聖闘士としての
その光る波動が、目の前の巨大な異形の怪物に直撃すると、怪物は断末魔を揚げる間さえ無く、跡形も無く、その場から消えて無くなったのだった。
「…石〇〇ブラブ天〇拳?」
「違うっ!!」
※※※※※次回予告!!※※※※※
「ちょっとシリュー?
ウチの部は、ペットショップでなければ、保健所でもないのよ?」
次回:聖闘士DxD
『〇〇〇〇、拾いました!(仮)』
乞う御期待!!