この面白き世界   作:【時己之千龍】龍時

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第07話 幽霊屋敷

 

 午前中は皆で屋敷を掃除した。午後からは稼ぎも考えギルドへ行くために、後半方は龍燕が百鬼火獣を使い、分担させたためかなり早く作業が終わった。

 

 夕方。クエストを終えた皆は屋敷に戻った。めぐみんはいつものように龍燕が背負っている。もう帰り道の特等席みたいになっていた。前に撃った後も多少動けるように龍燕が技を考えて成功はしていたが非常時でなければ使わなくていいですとめぐみんに言われたため使わなかった。

 

 帰宅した皆は交代で風呂に入り、疲れを癒した。夕食を賑やかに終えた後は龍燕と手伝うと言い出しためぐみんとで片付けをして、それぞれの自室に戻った。

 

「今日も楽しかったな」

 

 やることのなくなった龍燕は、布団を敷いて横になる。しばらくするとノックがかかった。誰だと思った龍燕は気配を探りめぐみんと気づく。

 

「めぐみんか?どうした?」

『はいっ私です!た、助けてください!開けてください!お願いします!』

 

 めぐみんはかなり焦っているようだった。気づけばアクアが暴れまくっている……いやほかにもたくさんの気配を感じた。しかし悪いものでもないと気配からわかった。ふとそこでここが幽霊屋敷と呼ばれていたんだったないまさらながら思い出し苦笑する。

 

「鍵は開いてるぞ」

「しつれいしますっ!」

 

 勢いよく開け、勢いよく入り、勢いよく閉めた。めぐみんの顔を見れば真っ青だ。

 

「大丈夫か?」

「だ、大丈夫……です。紅魔族はおばけなんて……怖く、ないのです」

 

 いや段々と涙目になりながらめぐみんは言っている上に、さらには身体もかなり震わせて、それはもう物凄く怖いようにしか見えないぞ?

 

「うむ……今日は俺の部屋に泊まるか?」

「い、いいんですか?」

「今から自室か誰かの部屋に行くか?向こうは騒いでいるみたいだぞ?あれじゃおばけを呼んでいるも同じだろう。気配からすれば悪くないみたいだしな。おばけ達は面白くて堪らずに遊んでいるんだろう」

「気配でわかるなんて凄いですね」

「まぁ悪いのも良いのも見分けようとして気配を探るのは初めてだがな。でも悪いものなら殺気が入っていたりするだろう?」

「そうですか、安心しました。龍燕の部屋に来て良かったです。……っす、睡眠不足で爆裂魔法が撃てなくなるのが心配なだけですよ」

 

 めぐみんの言葉に龍燕はそうかと頷き返す。

 

「なら安心して眠るといい、今布団をだ「待ってください!」」

 

 武己から追加で布団を出そうとした龍燕をめぐみんが止める。

 

「それでも少し、ほんのすこーーしばかりですよ?ですので……怖いので、同じ布団で寝てもいいですか?あっ、ダメならいいです!別の布団で寝ます!」

 

 顔を真っ赤にさせ、あたふたとするめぐみんに近づきその頭を龍燕は優しく撫でてやる。

 

「それくらい構わないよ」

 

 その言葉にめぐみんは物凄く喜んでいた。

 

「ありがとうございます、龍燕!」

 

 めぐみんはゆっくりと龍燕の布団に入った。

 

 

 

 

side めぐみん

 

 あまりの怖さに龍燕の部屋に来て……一緒のふ、布団に……アクアやダクネス達には見せられません。朝まで気づかないで欲しいです……。

 

 ふと私は隣に横になっている龍燕を見る。異性が隣にいるのに全く動じずに寝てます。それも気持ち良さそうに……龍燕は私を異性としてみていないのでしょうか?それともお子様扱い的なものなのか?……龍燕は鈍感なんでしょう、うん。

 

 私は気持ちを落ち着かせるために少し深呼吸をしてみた。落ち着かせたところで眠気がしてきました。とその時、部屋の扉がガタンと音を開けて開かれ私は思わず飛び起きてしまった。

 

「龍燕は大丈夫?」

「こ、ここっこれはその、ええと……」

 

 入ってきたのはアクアだった。

 

「ん、どうした?」

 

 龍燕は眠そうにあくびをしながらゆっくりと半身を起こす。

 

「お、お邪魔だったわね!」

 

 アクアは驚きながら扉を閉めた。それを私は慌ててアクアを追う。

 

「待ってください、誤解なんです!」

 

 

side out

 

 

 

 

「待ってください、誤解なんです!」

 

 めぐみんがアクアを追いかけて行くのを龍燕は見て、何か起きたのかな?と羽織を羽織ながら後を追ってみた。

 

 夜中にアクアが勢いよく扉を開けてきたことも気になったが、意識を集中させて龍燕は気づいた。辺りに多数の気配がある。しかし肉体は無いみたいなので、それがすぐにさっきの霊達かとわかった。

 

「アクアは心配になって、霊を祓いながら見に来てくれたのかな?となるとめぐみんはなぜ誤解だとか声を上げていたんだ?必死にも見えたが……まぁいいか」

 

 めぐみんの行動に龍燕は疑問を浮かべながら原因になっている霊を捜す。

 

「あっ龍燕助けて!」

「お、カズマか。……人形と鬼ごっこをしているのか?」

 

 カズマが人形達に追われている姿を見た龍燕が首を傾げながら言う。

 

「どこが鬼ごっこに見えんだよ!悪霊だよ?!全部悪霊人形だあぁぁ」

 

 悪霊人形?と龍燕は呟く。気配からして悪霊という感じではない。いや、専門というわけでもないが殺気は感じないというだけだが。

 

「悪霊では無さそうだが……とりあえずそのまま玄関の広間に誘導しろ」

「なんか作戦があるのか?わかった」

 

 龍燕は一度瞬間移動で部屋へ跳び、すぐに念話でアクアやめぐみん、ダクネスに同様にそれぞれ広間へ誘導するようにお願いした。連絡を終えた後、龍燕も瞬間移動で広間に跳ぶ。そんなに広くない屋敷なため、丁度皆も霊達を引き連れて来た。

 

 皆が龍燕へ任せたと言ってその後ろへ隠れる。アクアだけは龍燕の隣に立つ。

 

「炎球壁」

 

 手を翳した龍燕が、人形達に目掛けて結界を張る。結界に閉じ込められた人形達は、結界の炎壁目掛けて体当たりして脱出しようとするが皹一つといらない。

 

「アクアの番だ」

「うん。見てなさいよ悪霊達!」

 

 アクアの魔法により霊達は皆浄化され、脱け殻となった人形達はガタガタと炎球壁のそこに落ちていった。確認した龍燕は炎球壁を解き、人形達は床に落ちていった。

 

「やったわ!私と龍燕がいればどんな相手もイチコロね」

「まぁ……そうだな」

 

 普段あまり役立たないアクアなのだが、龍燕や皆も否定は止めておいた。

 

「後一つ……いや一人だな」

 

 龍燕の言葉に皆が再び辺りを警戒し始める。

 

 目の前に靄みたいのがスゥと現れ、それが白い光を帯びた少女の姿に変わった。

 

「あれがラスボスね、堪忍しな、えっ?」

「待てアクア」

 

 少女に杖を向けたアクアに龍燕はそれを下ろさせる。そして龍燕は歩き出し少女に近づく。皆から危ないと言われたが、それでも龍燕は問題ないと少女の前へと進む。

 

「君はこの屋敷に住む霊か?」

 

 少女はこくりと頷く。

 

「さっきの霊達とだいぶ違うな。これは予想だが、さっきの霊達は『後から来た霊達』か?」

 

 龍燕の問いにさらに頷く。

 

「君は……未練があって成仏出来ないのかな?」

 

 少女は少し考え、それから頷く。

 

「そうか」

 

 龍燕は少女の前にしゃがみ、言った。

 

「未練はなんだ?」

「……」

 

 少女は何かを訴えようとしているが声が出てこない。龍燕は少し考えた後、アレを使うかと床に武己から出した布団を敷き、少女に似せた肉体を作り出し、それに羽織をかけた。それを見ためぐみん達が後ろでかなり驚いていた。

 

「入ってみろ」

 

 少女は少し迷ったようだったが、龍燕の作った肉体に入った。そして数秒間、間を開けてパチリと目を開き、ゆっくりと半身を起こした。

 

「わ……たし、は……しゃべ、れてる?」

「まだ肉体に馴染んでないから動きにくいかもしれないな。多分明日には話ができるようになる。慣らせば身体もうまく動かせるだろう」

「わた、し……生きて、るの?」

「あぁ。まぁ人間とは少し違うがな。それに俺がその身体に常時精神力を送っていかしている状態だ。でも段々と自力で精神力を回復できると思う。思うというのも初めてだから確証はないが……なに、問題はないさ」

 

 少女はクスリと笑った。

 

「あ、りが……とう」

 

 そう言うと少女は龍燕に寄り掛かった。

 

「ま……だ、手と……足が、う、まく動か……ない」

「まぁそうだな」

 

 龍燕は少女を抱き抱え、布団を武己に戻した。

 

「さて皆、これで一件落着だ」

「「「え、説明なしなの?!」」」

 

 振り返ってスラッと皆に言う龍燕にさらに驚いた顔を見せる。

 

「説明……か。明日話そう、正直言うとかなり眠い。さらには禁忌の技を使ったから身体も辛い」

「つ、らいの?ごめ……んなさい」

 

 暗く言う少女に龍燕は「これくらい休めば良くなる」と笑って返した。禁忌の技を使って、と言う言葉に皆は副作用とかあるんじゃないのかと龍燕を心配するが、皆にも大丈夫だと笑顔で言い返し、今日は解散となった。

 

 めぐみんはアクアとダクネスと一緒に寝ることになった。めぐみんは少し残念というような顔をしていたが誰も辺りが暗かったため気づかなかった。

 

 少女は龍燕の部屋で寝かす事になった。

 

 

 

 

 

 

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