クロスアンジュ LIGHTNING EDITION ~天使とドラゴンと五人の巨人使い~   作:ヒビキ7991

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Ep.18/対決!アンジュvsサラマンディーネ!《前編》

~神殿 食堂~

 

 

アンジュ達が竜の里にやって来た次の日の朝、神殿の食堂ではヴィヴィアンとラミアが朝食を食べていた。

 

 

ヴィヴィアン

「おかわり!」

 

ラミア

「もう、ちゃんとよく噛んでね。」

 

ヴィヴィアン

「はーい!お母さんさん!」

 

アンジュ

「あ、ヴィヴィアン。」

 

 

そこへ、アンジュ・天馬・信助・タスク・サラマンディーネ・ナーガ・カナメがやって来た。

 

 

ヴィヴィアン

「おう!おはようさーん!」

 

信助

「おはようございます、ヴィヴィアンさん。」

 

ラミア

「おはようございます、サラマンディーネ様。」

 

サラマンディーネ

「昨日はよく眠れましたか?」

 

ラミア

「それが、朝までミィとお喋りをしていまして…」

 

ヴィヴィアン

「だから寝不足~!」

 

 

ヴィヴィアンは両手で頬をおさえながら言った。

 

 

サラマンディーネ

「それは何よりですわ。」

 

 

一同はヴィヴィアンとラミアが食事をしている隣の座卓に集まり、腰を下ろした。座卓の上には白ご飯と味噌汁、刺身や天ぷらやすき焼き等、朝食にしては豪勢な料理が並んでいた。

 

 

天馬

「凄い…」

 

信助

「リアルに高級旅館の料理だよ、これ…」

 

 

天馬と信助は並べられた料理に圧倒され苦笑いをしていた。

 

 

サラマンディーネ

「さあ、冷めないうちにどうぞ。」

 

タスク

「い、いただきます・・・。」

 

 

タスクは箸を手に取り、恐る恐る刺身をつまみ醤油を付け口に運ぶ。

 

 

タスク

「・・・ッ!」

 

 

口に入れた途端、タスクは目を見開いた。

 

 

サラマンディーネ

「お口に合いまして?」

 

タスク

「す、凄く美味しいです!」

 

天馬

「ホントですか!?」

 

信助

「じゃあ僕も!」

 

 

天馬と信助も箸と茶碗に手を伸ばす。

 

 

パシンッ!

 

 

天馬

「あてっ!」

 

 

パシンッ!

 

 

信助

「いたい!」

 

 

ドスッ!

 

 

タスク

「ぐほっ!」

 

 

突然、天馬と信助はアンジュ手を叩かれ、タスクは腹部に肘打ちを食らった。

 

 

アンジュ

「何普通に食べてるのよ!?毒でも入ってたらどうするの!?」

 

 

アンジュが小声で語りかけた。

 

 

タスク

「ご、ごめん…」

 

天馬

「すみません…」

 

信助

「ずっと非常食だったからつい…」

 

アンジュ

「・・・ヴィヴィアン、大丈夫かしら?」

 

タスク

「えっ?」

 

 

アンジュ達はヴィヴィアンの方を見る。ヴィヴィアンはラミアと楽しく食事をしていた。

 

 

アンジュ

「情報を得るために敵を解錠するなんて、常套手段じゃない。母親なんて、本物かどうか怪しいし・・・。」

 

天馬

「まさか・・・。」

 

信助

「他人には見えませんけど・・・。」

 

 

グウゥ~

 

 

突然、アンジュの腹の虫が鳴いた。

 

 

アンジュ

「あ・・・。」

 

サラマンディーネ

「冷めないうちに召し上がれ。」

 

天馬・信助

「はーい♪」

 

アンジュ

「わ、分かってるわよ!」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~神殿 広場~

 

 

食事を終えた後、一同は神殿前の広場にいた。

 

 

アンジュ

「家に帰る?」

 

ラミア

「この子が生まれた家を見せてあげたくて。」

 

ヴィヴィアン

「てことで、ちょっくら行ってくるね!」

 

 

ラミアは翼を広げ、ヴィヴィアンを抱え飛び立った。

 

 

タスク

「親子水入らずか。」

 

天馬

「羨ましいですね。俺の親、小6の頃から単身赴任で家に居ないんです。」

 

信助

「そういえばそうだったね。」

 

アンジュ

「・・・茶番はもう十分よ。それで、私達をどうするつもり?」

 

 

一同が笑顔で見送る中、アンジュはサラマンディーネに問いかけた。

 

 

サラマンディーネ

「・・・"腹が減っては戦は出来ぬ"と言います。お腹はいっぱいになりましたか?」

 

アンジュ

「えっ?いっぱいだけど・・・。」

 

サラマンディーネ

「では、参りましょう。」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~都の外れ スタジアム~

 

 

サラマンディーネはアンジュ達を連れて、都の外れに設けられたスタジアムにやって来た。スタジアムは今まで見てきた建造物とは違い、最近作られたかの様に綺麗だった。

 

 

アンジュ

「何ここ?」

 

サラマンディーネ

「古代のスタジアムです。ある競技を行うために作られ、かつて多くの戦士達が集い、強さを競い合ったそうです。」

 

天馬

「まさか、500年前の施設ですか!?」

 

タスク

「凄い、完璧な保存状態だ!」

 

 

スタジアムを見て興奮する天馬とタスク。

 

 

ナーガ

「姫様自らが復元されたのだ。」

 

信助

「えっ?復元!?」

 

ナーガ

「サラマンディーネ様はその頭脳で旧世界の文献を研究し、様々な遺物を現代に甦らせておられる!」

 

天馬

「じゃあ、もしかして三人の乗る龍神器って機体も?」

 

カナメ

「はい。詳しくは言えませんが・・・。」

 

アンジュ

「で、ここで何をするの?」

 

サラマンディーネ

「・・・共に戦いませんか?私達と。」

 

アンジュ

「・・・は?」

 

サラマンディーネ

「私達の目的は、アウラを奪還し失われた調和と安定を取り戻すこと。アウラを奪い、あなた達を戦わせ、私達の仲間を殺した全ての元凶はエンブリオです。彼の者を打倒すれば、私はアウラを、あなたは自由を。目的は違えど倒すべき相手が同じなら、協力できる。」

 

アンジュ

「・・・なーんだ、結局あなたも私を利用したいだけなんだ。戦力として。」

 

 

アンジュはサラマンディーネを睨んだ。

 

 

アンジュ

「知ってほしかっただの、解り合いたかっただの、全部打算だったんでしょ?」

 

天馬

「ちょっとアンジュさん。いくら何でもそれは・・・。」

 

 

天馬はアンジュの前に立ち、アンジュを抑えようとする。

 

 

アンジュ

「悪いけど、もう誰かに利用されるのはうんざりなのよ!」

 

サラマンディーネ

「ならば勝負しましょう、アンジュ。」

 

アンジュ

「勝負?」

 

サラマンディーネ

「そのためにここへお連れしたんです。このスタジアムの中で、私とあなたで勝負をします。あなたが勝てば、皆様は無条件で解放いたします。私が勝てば、あなた達は私の所有物になっていただきます。」

 

アンジュ

「奴隷か自由か、自分の力で掴み取れって訳ね・・・いいわ!ヤってやろうじゃない!」

 

サラマンディーネ

「そう来なくては。」

 

 

アンジュとサラマンディーネの交渉は成立した。

 

 

ナーガ

「・・・サラマンディーネ様、その勝負、私達も加えてください!」

 

 

突然、ナーガが口を開いた。

 

 

サラマンディーネ

「お二人もですか?それでは3対1になりますが・・・。」

 

カナメ

「いえ、私達が行うのは3対3の勝負です。」

 

アンジュ

「3対3?いったい誰と?」

 

 

ナーガとカナメは答えず、天馬と信助に目を向けた。

 

 

ナーガ

「天馬!信助!私達と勝負しろ!」

 

天馬・信助

「えええっ!?」

 

カナメ

「私達は以前、不覚にも龍神器に乗っていながら、あなた達に敗れました。その時の屈辱を晴らさせていただきます!」

 

信助

「・・・つまりリベンジしたいって訳ですね?」

 

天馬

「いいですよ。その挑戦、受けて立ちましょう!」

 

ナーガ

「話が早くて助かる!」

 

アンジュ

「それで、何で勝負するの?」

 

サラマンディーネ

「これから説明いたします。どうぞこちらへ。」

 

 

サラマンディーネは一同をスタジアムの中へと案内した。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~スタジアム内~

 

 

スタジアムの中には2階まである沢山の観客席。中央に六角形の巨大なプロジェクターとおぼしきマシンが設置してあった。

 

 

天馬

「何ですかこれ?」

 

サラマンディーネ

「このスタジアムでかつて大々的に行われていた競技、《ガンプラバトル》のシステムです。」

 

タスク

「ガンプラバトル?」

 

サラマンディーネ

「ガンプラバトルとは、21世紀中頃から戦争が起きるまでの間、世界中で大流行した競技です。20世紀末から登場した《機動戦士ガンダム》という空想物語に登場した機体を模したプラモデル《ガンプラ》を、このバトルシステム内に入っている《プラフスキー粒子》と呼ばれる、プラスチックを流動化する特殊な粒子を使用して動かし戦わせ、勝敗を決めます。」

 

アンジュ

「何よそれ?それじゃタダのオモチャの遊びじゃない!」

 

サラマンディーネ

「遊びと思って侮ってはいけませんよ?私が調べたところ、ガンプラバトルは世界競技にも選ばれた由緒正しき競技なのですから。」

 

アンジュ

「はぁ!?」

 

 

サラマンディーネの発言にアンジュ達は驚いた。

 

 

サラマンディーネ

「しかも、このガンプラバトルは互いを傷付ける事も無く本気の勝負が可能。おまけに勝敗は操縦技術だけでなく、機体の完成度等の様々な要素が兼ね合います。どうですか?」

 

 

アンジュは少し考え・・・。

 

 

アンジュ

「・・・ねえ、組み立て前のガンプラってある?」

 

サラマンディーネ

「ええ、多数揃えていますよ。」

 

アンジュ

「なら条件。自分の使うガンプラは自分で作ること。いい?」

 

サラマンディーネ

「えっ!?・・・い、いいですわよ?」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~スタジアム 売店~

 

 

一同は売店へと移動した。売店には様々なガンプラが並んでいる。

 

 

アンジュ

「うわぁ、ガンプラってこんなに種類があるの?」

 

タスク

「ある意味凄いね…」

 

 

一同は売店内を見て回る。

 

 

天馬

「・・・ん?」

 

 

天馬の目に1つのガンプラが入った。天馬は商品棚から目に入ったガンプラを取り出す。

 

 

天馬

「これって・・・!」

 

アンジュ

「どうしたの?」

 

天馬

「アンジュさん、これ!」

 

 

天馬は取り出したガンプラをアンジュに見せた。

 

 

アンジュ

「《ガンダムAGE-FX》?これがどうかしたの?」

 

天馬

「よく見てください!」

 

 

アンジュは外箱に描かれたガンダムAGE-FXをよーく見る。すると突然、目を見開いた。

 

 

アンジュ

「これって、前にミスルギで見た奴じゃ!?」

 

天馬

「俺もそう思ったんです。でも、サラマンディーネさんの言い様ならガンダムは空想の存在。それが実物として俺達の前に現れたなんて・・・。」

 

アンジュ

「う~ん・・・。」

 

 

二人が悩んでも何も出ず、アンジュと天馬はガンプラ探しに戻った。それから数分後、全員のガンプラが決まった。

 

 

信助

「これにしよう!強そうだ!」

 

 

信助が選んだのは、HGUC ZZガンダム。

 

 

カナメ

「私はこれにしよっと。」

 

 

カナメが選んだのは、HGAW ガンダムXX

 

 

ナーガ

「私はこれだ。」

 

 

ナーガが選んだのは、HG デスティニーガンダム。

 

 

アンジュ

「これがいいなぁ。何だかヴィルキスに似てるし。」

 

 

アンジュが選んだのは、HGCE ストライクフリーダムガンダム。

 

 

サラマンディーネ

「これにいたしましょう。」

 

 

サラマンディーネが選んだのは、HG ダブルオークアンタ。

 

 

タスク

「俺はこれ。」

 

 

タスクが選んだのは、HG ガンダムサバーニャ。

 

 

天馬

「俺はこれだ!」

 

 

そして天馬が選んだのは、HG ウイングガンダムゼロEW。

 

 

信助

「早速作ろうよ!」

 

アンジュ

「そうね。ねえ、作り方教えてくれない?」

 

 

アンジュはサラマンディーネに話しかけたが、サラマンディーネは少し困っていた。

 

 

サラマンディーネ

「・・・アンジュ、1つよろしいですか?」

 

アンジュ

「何?」

 

サラマンディーネ

「ガンプラバトルを提案しておいてアレなんですが、実は私、まだガンプラを作ったことが無いのです・・・。」

 

 

ズコッ!

 

 

一同が一斉にコケた。

 

 

アンジュ・タスク

「なんじゃそりゃ!?」

 

天馬

「それじゃあ、どうすれば・・・。」

 

 

「ここは私の出番の様ですね。」

 

 

突如、一同の後方から聞き覚えのある声がした。振り向くとそこには、ドクター・ゲッコーがいた。

 

 

ゲッコー

「サラマンディーネ様、ここは私にお任せ下さい。私が皆様に、ガンプラ作りを教えて差し上げましょう。」

 

サラマンディーネ

「本当ですか?お願いいたします!」

 

ナーガ

「だが、大丈夫なのか?」

 

ゲッコー

「ご安心を。実は私、サラマンディーネ様がガンプラとバトルシステムを復元されてから、作業の合間を縫ってガンプラ作りとガンプラバトルの研究をしていたのです!」

 

タスク

「それって、ある意味マニアでは・・・。」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~売店 工作室~

 

 

一同は工作室に移った。作業用の大きなテーブルの上にはプラスチック用ニッパー、紙ヤスリ、ピンセットが人数分用意してあった。

 

 

ゲッコー

「ではこれより、ドクター・ゲッコーのガンプラ製作教室を行います。解りやすい様に、作りながら説明致しますね。」

 

 

ゲッコーの前には、BB戦士 武者頑駄無が置いてある。

 

 

ゲッコー

「返事をする時は"サーイエッサー"。よろしいですね?」

 

一同

「サーイエッサー!」

 

 

 

◇其ノ壱 組み立て説明書◇

 

 

 

ゲッコー

「ではまずガンプラの箱を開け、中に入っている組み立て説明書を取り出します。」

 

 

一同は箱を開け、説明書を取り出す。

 

 

ゲッコー

「説明書を熟読!時間は1分です!」

 

信助

「いや無理でしょ!」

 

 

 

◇其ノ弐 内容物の確認◇

 

 

 

ゲッコー

「作る前に、説明書に記載されている内容物が全て入っているかを確認します。ポリキャップや付属のシールも忘れずに。」

 

サラマンディーネ

「ランナーAは問題無し。次はBですね。」

 

 

 

◇其ノ参 ランナーからの切り離し◇

 

 

 

ゲッコー

「説明書の組み立ての手順、1番から製作します。ニッパーの扱いには要注意。パーツとランナーを繋ぐゲートは少し長めに切り、はみ出た部分をもう一度切ります。」

 

アンジュ

「こういう細かい作業、苦手なのよねぇ…」

 

 

 

◇其ノ四 パーツ組み合わせ◇

 

 

 

ゲッコー

「切り取ったパーツを説明書通りに組み立てます。ポリキャップの入れ忘れに注意してください。」

 

 

パチンッ

 

 

タスク

「しまった!ポリキャップ入れ忘れた!」

 

 

 

◇其ノ伍 シール貼り◇

 

 

 

ゲッコー

「シールの貼り直しは粘着力低下の大きな原因。慎重に位置を合わせて貼ること。エンプレム等の貼り込むタイプのシールは、綿棒等で押さえてあげれば効果的です。」

 

ナーガ

「慎重に・・・慎重に・・・。」

 

 

 

◇其ノ六 最終組み立て◇

 

 

 

ゲッコー

「出来上がったパーツを組み合わせながら、機体の可動範囲を確認します。ガンプラを深く理解すれば、バトルを有利に進められます。」

 

天馬

「肘はここまで曲がるのか。」

 

 

 

 

◇其ノ七 最後の一工夫◇

 

 

 

ゲッコー

「マーカーでスミ入れを施し表面のモールドを強調させ、仕上げにつや消しスプレーを吹きます。たったこれだけで、ただ組んだだけの時よりも見栄えが良くなります。」

 

カナメ

「スミ入れ終了!お次は・・・。」

 

 

 

そして数分後、全員のガンプラが完成した。

 

 

天馬

「やったー!完成!」

 

ゲッコー

「素晴らしい!どれも初めてとは思えない出来です!」

 

アンジュ

「カッコいい!」

 

サラマンディーネ

「スミ入れとつや消し処理を行う前でもカッコ良かったですが、少し手を加えただけでここまで見栄えが変わるとは。」

 

ゲッコー

「ガンプラは手を加えれば加えるほど、それに答えてくれます。カラーリングや武装の変更、機体改造、創意工夫は無限大です。それがガンプラの面白さでもあり、奥深さでもあります。」

 

天馬

「よし、じゃあ早速動かすとしましょう!」

 

アンジュ

「そうね!行きましょう!」

 

 

一同は各自製作したガンプラを手にし、バトルシステムのところへと向かった。


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