クロスアンジュ LIGHTNING EDITION ~天使とドラゴンと五人の巨人使い~   作:ヒビキ7991

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最終回/そして始まる、新たな物語

天馬

「う、う~ん……」

 

 

気が付くと、天馬は見慣れた懐かしい場所に居た。そこは彼が本来居るべき場所。

 

 

天馬

「・・・ここは・・・部室?」

 

 

天馬はいつの間にか、雷門中サッカー部の部室で眠っていた。

 

 

天馬

「・・・何で俺、部室に居るんだろう?俺はさっきまでアルゼナルに・・・。」

 

 

天馬は自分が目覚めるまでの出来事を思い出そうとするが、思い出せない。

 

 

プシュー

 

 

天馬は部室を放れ、サッカー棟の外に出る。外では他の運動部の生徒達がトレーニングをしてたり、帰宅部の生徒達が集まって話をしていた。

 

 

天馬

「・・・そういえば、サッカー部のみんなは何処に行ったのかな?」

 

 

天馬は校舎の中を通り、正門前のグラウンドへと出る。グラウンドではサッカー部の仲間達が練習の真っ最中だった。だが、何故かメンバーの何人かが欠けていた。

 

 

三国

「遅いぞ天馬!もう練習始まってるぞ!」

 

天馬

「はい!今行きます!」

 

 

天馬は急いで階段を降りグラウンドに向かう。だが、ふと裏山の方に目を向けた時、彼は足を止めて目を見開いた。

 

 

三国

「天馬?」

 

天馬

「あ・・・あれは・・・!?」

 

 

裏山には見覚えのある巨大な神殿と、見慣れた巨大な施設が聳え立っていた。

 

 

天馬

「アウラの神殿に、アルゼナル・・・!」

 

 

ザバーン!

 

 

すると、今度は川の方から巨大な水飛沫が上がる。水飛沫の中には、見覚えのある巨大な銀の船が見えた。

 

 

天馬

「アウローラ・・・!」

 

 

天馬は走り出し、正門を抜けて河川敷へと向かう。途中何人かの女性とすれ違ったが、ある人はアルゼナルの制服を、ある人はアウラの民の服を着ていた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

~河川敷 グラウンド~

 

 

河川敷に着くと、川の中にはアウローラ、グラウンドには共に戦った仲間達の姿があった。

 

 

アンジュ

「天馬!」

 

天馬

「アンジュさん!みんな!」

 

 

天馬は嬉しさのあまり駆け出し、アンジュ達と再会した。

 

 

天馬

「良かった、無事だったんだ!」

 

アンジュ

「それはこっちの台詞!それよりも天馬、ここってもしかして・・・。」

 

 

不思議そうに辺りを見回すヒルダ達と、驚きの表情を見せる剣城達。

 

 

剣城

「間違いない、ここは・・・!」

 

神童

「ああ・・・俺達の故郷、稲妻町だ!」

 

信助

「でも、何で稲妻町にアルゼナルとアウラの神殿があるの?」

 

 

 

 

 

 

「答えは簡単だ。此処は時空融合によって誕生した、松風天馬の理想の世界なのさ。」

 

 

突撃、背後から声がする。振り向くとそこには、見覚えのある男が居た。

 

 

天馬

「エンブリヲ!」

 

エンブリヲ

「真の時空融合を発動させた時、ラグナセイバーとヒステリカのコアが天馬の願いを感じ取り、この世界を作ったのだよ。」

 

アンジュ

「天馬の願い?」

 

エンブリヲ

「人間、ノーマ、そしてドラゴン、全ての民が同じ大地、同じ空の下で共に暮らす世界。それが彼の理想の世界。」

 

 

キラキラ・・・。

 

 

突撃、エンブリヲの身体が光の粒子となって消え始めた。

 

 

天馬

「エンブリヲ!?」

 

エンブリヲ

「・・・どうやら、別れの時が来た様だ。すまない天馬、君と共に我が理想の世界を目指す事は、残念ながら不可能だ。だが君ならば、いつか私の理想郷を実現してくれると信じている。頼んだよ、天馬・・・。」

 

 

シュゥゥ……

 

 

エンブリヲは光の粒子となって消え、彼が消えた場所にはラグナセイバーが刺さっていた。

 

 

天馬

「エンブリヲ・・・。」

 

 

天馬はラグナセイバーを引き抜き、ゆっくりと鞘に納めた。

 

 

アンジュ

「終わったのね、私達のリベルタス・・・。」

 

タスク

「ああ・・・。」

 

サラマンディーネ

「・・・これから、どうされるのですか?貴方達が戦う必要も、私達が殺し合う理由も、もう無いのですよ?」

 

アンジュ

「決まってるじゃない?」

 

 

アンジュは天馬と目を合わせ、共に微笑み合う。そして、二人は仲間達に目を向けた。

 

 

アンジュ

「みんな聞いて。今日から私達は、この稲妻町の人間として生きていくわよ!異論はあるかしら?」

 

 

アンジュの問いに、誰も反論する者は居なかった。

 

 

ヒルダ

「反対ナシ。みんな賛成みたいだね。」

 

天馬

「よし、じゃあアレやろう!」

 

剣城

「アレか。」

 

神童

「アレだな。」

 

 

天馬達は円陣を組み、全員中心に手を重ねる。

 

 

天馬

「みんな、今日からここが俺達の世界だ。みんなで力を合わせて、頑張って行こうぜ!!」

 

 

「「オオーー!!」」

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~神殿 広場~

 

 

戦いは幕を下ろし、彼らの物語は新たなスタートを切った。

 

 

ジル

「アルゼナル総司令官、ジルと申します。私達ノーマは、貴方達アウラの民と共に歩んで行きたい。」

 

 

アンジュは総司令官の座をジルに返し、ジルはアウラの神殿にて、人の姿を取り戻したアウラと会談した。

 

 

アウラ

「私はアウラ。我らアウラの民は、皆様を歓迎致します。」

 

ジル

「感謝する、神聖なるアウラよ!」

 

 

ジルとアウラは握手をし、共に歩んで行く事を約束した。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~河川敷 新ジャスミン・モール~

 

 

アンジュ達はアルゼナルを放れ稲妻町で暮らすことになり、役目を終えたアウローラは河川敷に停泊し、アンジュ達の新たな家となった。

 

 

ジャスミン

「いらっしゃいらっしゃい!新ジャスミン・モール、只今開店セール中だよ!」

 

 

ジャスミンは河川敷の側で古い倉庫を借り、新ジャスミン・モールをオープンさせた。ジャスミン曰く、以前より仕入れがしやすくなった分、以前よりお買い得価格になったらしい。

 

 

ロザリー

「なぁクリス、これなんかどうだ?」

 

クリス

「あっ、可愛い!」

 

 

そして買い物客の中には、クリスとロザリーが新しい髪止めを探していた。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~ラミアの家 玄関~

 

 

ヴィヴィアンはサリアとエルシャを実家に招待した。

 

 

ヴィヴィアン

「お母さん!ただいまー!」

 

ラミア

「ミィ!お帰りなさい!」

 

 

ヴィヴィアンはラミアに抱き付き、ラミアはヴィヴィアンを抱きしめた。

 

 

ヴィヴィアン

「お母さん、友達を連れてきたよ!」

 

サリア

「サリアと申します。初めまして、お母さん。」

 

エルシャ

「エルシャです。よろしくお願いします。」

 

ラミア

「まぁ、嬉しい!ミィの母親のラミアと申します。」

 

サリア

「・・・ところでヴィヴィアン、ミィって?」

 

ヴィヴィアン

「ミィって言うのは、こっちでのアタシの名前!」

 

エルシャ

「そうなの?じゃあ私達も、ヴィヴィちゃんじゃなくてミィちゃんって呼ばないとダメかしら?」

 

ヴィヴィアン

「アタシはどっちでも良いよ?でも、サリアやエルシャ達にはヴィヴィアンって呼んでほしいなぁ?」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~商店街 アーケード~

 

 

コンッ! コンッ! コンッ!

 

 

天馬

「よし、これでOKです!」

 

タスク

「ついに完成したね。」

 

アンジュ

「ええ。私達のお店、喫茶アンジュよ!」

 

 

アンジュ・タスク・天馬はアーケードの空き店舗を改装し、喫茶アンジュをオープンさせた。ちなみに現段階のメニューは・・・

 

 

アンジュが考案した、モモカが煎れる《本日のオススメ紅茶》と《本日のオススメコーヒー》。

 

 

タスクが考案した、海蛇スープと焼き魚、そしてデザートに木の実を添えた《サバイバルプレート》。

 

 

ヒルダが考案した、懐かしき故郷の味、《手作りアップルパイ》。

 

 

エルシャが考案した、愛情たっぷり《カレーライス》。

 

 

モモタロスが監修した《絶品プリン》。

 

 

デネブとヴィヴィアンが考案した《手作りキャンディーセット》。

 

 

晴人が監修した、《プレーンシュガードーナツ》。

 

 

絋汰が考案した、生クリームたっぷりの《フルーツタルト》と、イチゴたっぷりの《イチゴパフェ》。

 

 

キバットとタツロットが考案した、《絶品トマトパスタ》。

 

 

天馬達雷門サッカー部が考案した《手作りおにぎり》。

 

 

以上12品目。今後メニューは増える予定らしい。ちなみに従業員は現在、アンジュ・タスク・モモカ・ミスティ・エマ・ターニャ・イヌマ・オリビエ・パメラ・ヒカルの計10人。

 

 

そしてオープン前日の夜、店内で完成祝いのパーティーが行われた。

 

 

天馬

「賑やかですね。」

 

アンジュ

「・・・ねえ、天馬。」

 

 

アンジュはカウンターを挟んで天馬に語り掛ける。

 

 

アンジュ

「エンブリヲが言ってた事って、ホントなの?私が貴方を選ばなかった事、貴方は恨んでるって・・・。」

 

 

天馬は黙り込み、数秒程俯き、そして真剣な表情を見せる。

 

 

天馬

「確かに、アンジュさんが俺じゃなくてタスクさんを選んだ事を、心の何処かで微かに恨んでるかもしれません。でも・・・。」

 

 

天馬は顔を上げ、アンジュに笑顔を見せる。

 

 

天馬

「俺はアンジュさんに選ばれなくても、別に良いんです。アンジュさんが幸せで居てくれれば、俺はそれで十分幸せです。」

 

アンジュ

「天馬・・・!」

 

 

アンジュは突然顔を赤く染め、天馬に背を向けた。

 

 

タスク

「どうしたの?」

 

アンジュ

「・・・もう、私のバカ!」

 

天馬・タスク

「えっ?」

 

 

アンジュは恐る恐る、天馬に顔を向けた。

 

 

アンジュ

「私・・・天馬の事も・・・好きになっちゃったみたい・・・。」

 

天馬・タスク

「えっ?・・・えええっ!?」

 

 

アンジュの突然の告白に仰天する天馬とタスク。

 

 

アンジュ

「て言うか反則よ!さっきみたいな事言われちゃ、嫌いになれないじゃない!でも、私にはもうタスクが居るし、かと言って二股する訳にはいかないし・・・あ、そうだ!」

 

 

何か思い付いたのか、アンジュは天馬の手を強く握る。

 

 

アンジュ

「ねえ天馬、私の弟になってよ!」

 

天馬・タスク

「はいぃ!?」

 

 

突然の発言に又もや仰天する天馬とタスク。

 

 

アンジュ

「私ね、ずっと弟が欲しかったの!貴方が私の弟になってくれれば、タスクや貴方とずっと一緒に居られるわ!何ならいっそのこと、私とタスクの名字も”松風”にしちゃいましょうか?」

 

天馬

「あの、ちょっと、えっ・・・?」

 

 

アンジュの話に付いて行けず混乱する天馬。すると・・・。

 

 

シルヴィア

「でしたらお姉様、もっと良い方法がありますわ!」

 

 

そこへシルヴィアがやって来た。シルヴィアは天馬の隣に座り、天馬に急接近する。

 

 

シルヴィア

「私が天馬様の奥方になれば良いのです!そうすれば天馬様は自然と、お姉様の弟という事になりますわ!」

 

天馬

「ちょっとシルヴィア様、いきなり何言ってるんですか!?」

 

 

と、そこへ更に・・・。

 

 

ココ

「ズルいですよ、シルヴィア様!」

 

ナオミ

「天馬君は私達のなんですからね!」

 

天馬

「ココさん!?ナオミ!?」

 

 

更に・・・。

 

 

モモカ

「天馬様のお世話は、私の勤めです!」

 

「随分と楽しそうね、天馬?」

 

天馬

「葵!?モモカさん!?」

 

 

更に更に・・・。

 

 

ナーガ

「私との決着がまだなのを忘れてないか?」

 

天馬

「ナーガさんまで!?」

 

 

と、天馬はいつの間にか集まった美女達に板挟みにされていた。

 

 

アンジュ

「・・・ねえ、私もしかして不味い事言った?」

 

タスク

「言った・・・不味いじゃ済まされないよ、コレ・・・。」

 

 

アンジュとタスクはカウンターの向こうから見守るしかなかった・・・。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~稲妻総合病院~

 

 

剣城はヒルダを病院へと連れていき、恋人となった事を優一に報告した。

 

 

優一

「君が京介の彼女?」

 

ヒルダ

「はい、ヒルダと言います。剣城・・・いや京介君には、アルゼナルに居た頃から良くお世話に・・・。」

 

優一

「そうか。でもまさか、京介に貴女みたいな綺麗な彼女が出来たなんてなぁ。俺は嬉しいぞ、京介!」

 

 

優一は剣城に彼女が出来た事を喜び、剣城は微笑み、ヒルダも恥ずかしがりながらも微笑んだ。その時・・・。

 

 

ガタッ

 

 

「「うわああ!?」」

 

 

突然病室の扉が開き、ロザリー・クリス・ゾーラ・ノンナ・マリカ・メアリーが倒れ込んで来た。

 

 

ヒルダ

「お前ら!?」

 

ゾーラ

「不味い!お前達逃げるぞ!」

 

 

覗きがばれ、ゾーラ達は急いで病室から走り去る。

 

 

ヒルダ

「待てコノヤロー!」

 

 

ヒルダはゾーラ達を走って追いかける。

 

 

剣城

「ヒルダさん、病院では走っちゃダメですよ!」

 

 

と言いながら、剣城も走ってヒルダを追いかけた。そしてその光景を、診察室からマギーが酒・・・ではなくコーヒーを飲みながら見ていた。

 

 

マギー

「平和だねぇ・・・。」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~お日さま園~

 

 

エルシャ

「みんなー!今日からこのお日さま園でお世話になります、エルシャ先生でーす!よろしくね!」

 

 

「「ハーイ!」」

 

 

エルシャは円堂の勧めで、知り合いの運営する孤児院《お日さま園》の先生になった。

 

 

瞳子

「エルシャさん、子供達に大人気ですね。」

 

エルシャ

「瞳子さん!子供達を保護して頂いた事、本当に感謝しております!今後は全身全霊を尽くして、お日さま園の子供達のお世話をさせて頂きます!」

 

瞳子

「ありがとう。でも、無理の無いようにお願いしますね?」

 

エルシャ

「はい!」

 

 

瞳子の話によると、以前ジュリオがアルゼナルを襲撃した際に白竜達が保護したノーマ達は、全員お日さま園に保護してもらったらしい。そして一部のノーマ達は既に新たな里親を見つけており、7歳から18歳までのノーマ達は、お日さま園の子供たちが通う私立校《永世学園》の生徒となっているそうだ。ちなみにエルシャがエンブリヲ幼稚園から連れてきた子供達も、今ではお日さま園で仲良く暮らしている。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~私立雷門中学校 1-A~

 

 

担任

「全員注目!今日は転入生を紹介するぞ!」

 

ココ

「ココ・リーヴです!よろしくお願いします!」

 

ミランダ

「ミランダ・キャンベルです!よろしくお願いします!」

 

ヴィヴィアン

「ヴィヴィアンでーす!よろしくー!」

 

ナオミ

「ナオミ・東雲です!よろしくお願いします!」

 

シルヴィア

「シルヴィア・斑鳩・ミスルギと申します!皆様、どうかよろしくお願い致します!」

 

 

ココ、ミランダ、ヴィヴィアン、ナオミ、そしてシルヴィアは、天馬達の通う雷門中学校に通うことになった。ただ五人の希望で、全員天馬と信助のクラスに入ることになった。

 

 

「なあ、あれ凄くないか?」

 

 

「松風の周り、可愛い子ばっかじゃん!」

 

 

「くううう、羨ましいぃぃぃ!」

 

 

ヴィヴィアンとミランダは信助の隣の席となったが、ココ、シルヴィア、ナオミ、そして葵は、天馬の四方を囲む形の席位置となってしまった。さらに五人は転入と同時にサッカー部に入部。だがミランダ以外の四人は選手として入部した。

 

 

天馬

(俺、これからどうなるの・・・?)

 

 

先行きが怪しく見え、不安が絶えない天馬であった。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~河川敷~

 

 

ファーン!

 

 

モモタロス

「じゃあな!」

 

リュウタロス

「元気でね!」

 

キバット

「俺達の事、忘れないでくれよー!」

 

 

戦いが終わり役目を果たしたモモタロス達は、後日デンライナーに乗って時空の彼方へと去っていった。

 

 

《テレポート!プリーズ!》

 

 

晴人

「じゃあ、俺達はコレで。」

 

紘汰

「また会おうぜ、みんな!」

 

 

晴人と紘汰も、テレポートウィザードリングの力でその場を去った。

 

 

明日人

「みんなありがとう!元気でね!」

 

 

明日人とエンマ大王も、AEG-FX、ウイングゼロ、ダブルゼータと共に炎の裂け目の向こうに消えた。

 

 

「ここでお別れだな。」

 

天馬

「色々、お世話になりました。」

 

タスク

「ねえ司、また会えるかな?」

 

「さぁな?だが会えると信じていれば、いつかまた会えるんじゃないか?」

 

海東

「じゃあね、みんな。僕達と共に戦った思い出を、大切なお宝にしたまえ。」

 

 

海東は密かに手に入れたラグナメイルの設計図を持って、司と共に光のカーテンの向こうに消えた。

 

 

天馬

「ありがとう・・・通りすがりの、仮面ライダー!」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

~アルゼナル 墓地~

 

 

そしてアンジュ達が稲妻町にやって来て約一ヶ月後、天馬とアンジュはアルゼナルの墓地に、ある人の墓を建てた。

 

 

アンジュ

「にしても、ホント貴方って物好きよね?態々アイツの墓を建てるなんて。」

 

 

墓にはこう刻まれていた。

 

 

《永きに渡り

   世界の平和を願った調理者の魂

              ここに眠る》

 

 

そう、二人が建てていたのはエンブリヲの墓。

 

 

天馬

「せめて、伴ってあげたかったんです。」

 

 

天馬は墓に線香を添え、アンジュは花束を添える。

 

 

天馬

「いつか、貴方の思い描いた理想郷を実現してみせます。だから、見守ってて下さいね・・・エンブリヲ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして時は流れ、とある街のとある喫茶店・・・。

 

 

「・・・済まない。紅茶のおかわりを頼めるかな?」

 

 

「はい、只今!」

 

 

一人の青年が、カフェテラスで本を読みながら紅茶を飲んでいた。辺りには高架道路が何本も伸び、巨大な摩天楼が幾つも聳え立っている。

 

 

『次のニュースです。地球連合が結成されてから丁度五百年目となる今日、ネオ・トキオ国際博物館では、松風天馬初代地球連合儀長の資料等が特別に一般公開されています。地球連合の創立者でもある松風天馬儀長は、地球上から国境を無くし世界を一つにすると言う偉業を成し遂げ、誰もが平等に暮らせる平和な世界を築き上げました。以後、松風天馬儀長の意志は歴代地球連合儀長に受け継がれ、今日までの五百年間、世界の平和は守られ続けています。』

 

 

近くの高層ビルの外壁に設置された大型ディスプレイに、ニュースが映された。青年はそのニュースを見て微笑んだ。

 

 

「あれから五百年・・・時間とは、実に早いモノだ。」

 

 

青年は本を閉じ、紅茶を飲み干し、会計を済ませ喫茶店を後にした。

 

 

「さて、では行くとしよう。私の志を継いでくれた、彼の築き上げた世界を見に!」

 

 

青年は歩き出した。金色に輝く長い髪を、風に靡かせながら・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

THE END


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