ありがちなやつ。
アイテム毎に設定されていて、0になると壊れる。
0になっても下着にも全裸にもなりません。きわどい感じでボロボロにはなります。
「続いて【スキル】の選択に移行します。スキルのセット可能数は最大10、ここでは5つまで選択可能です」
そして武器の名前が書かれていた画面から、武器の数の倍以上の【スキル】が書かれた画面に切り替わった。
【スキル】というのは、大抵のゲームと同様に自分を強化したり、魔法を使うために必要な…装備品とか才能とかそういう系統のものだ。そして、これが『Utopia Online』のやり込み要素らしい。
【スキル】は、どうやらプレイヤーの行動によって、強化・派生していくとのことだった。単に小→中→大のように成長するだけでなく、名称が大きく変わったり、類似したスキルに進化したり色々あるらしい。
「ソート機能は……よし、あった」
最大10個セットできるうちの5つではあるが、この莫大な量から選ぶのは骨が折れる。トコトン親切仕様でありがたい。
この場での選択以外でスキルを取得する方法は『売られている物を買う』『特定の行動を起こす』『取得チケットを入手』の3種類が基本らしい。最後のはほぼイベント限定らしいし、俺には関係ないね、きっと。
「最低限戦えるようにするのと、お巫山戯スキルに走るとして……」
余談だが【スキル】を10個以上取得している場合、任意の【スキル】を外して控えに置いておくことができるらしい。変更は戦闘時以外はいつでも可能で、控えておける数は最大10だとか。
控えの枠を増やすことはできるが、課金か課金アイテムが必要らしい。まあ、そこら辺はゲームだから仕方がないか。
◇
うんうんと悩むこと十数分、極振りということもあって、そこそこ早く決められた方だと思う。そして選んだスキル群がこれだ。
【幸運強化(小)】
Luk上昇 5%
【長杖術(小)】
「長杖」装備時、魔法のリキャストタイムを5%カット
耐久値減少を半減
【投擲】
物を投げて攻撃するスキル
スキルレベルとステータスによって、射程・威力・命中率上昇
【付与魔法】
自身及び敵味方に魔法を付与するスキル
使用可能魔法
・基礎ステータス強化系
・基礎ステータス弱化系
【愚者の幸運】
愚か者のみが手に入れることのできるスキル
自身のLuk以外のステータスを強化する際、必要なポイントが通常の4倍になる
自身のLukの値を2倍にする
最後のは、極振りさん専用のスキルと調べがついている。全員がキャラを作り直してるとはいえ、ここは先達に倣おう。
回避系のスキルは入れないのかって? 調べた限り、Aglが0の場合『徒歩と同じスピードで、無敵時間が無く、勝手に身体が動かされる』という非常に残念なものに成り下がるらしいから無しだ。
そして見てわかる通り、物を投げつけて倒す。近付いてきたら杖で殴る。付与魔法のバフとデバフで頑張ろう。そんな戦い方が丸見えの構成だ。卑怯とかかっこ悪いとか言うなし、言うなし……
もうどうにでもな〜れという気分で決定のボタンをタッチし、このチュートリアルを終わらせにかかる。
「続いて、防具の選択へ移行します」
「知 っ て た」
さっきと同じように切り替わった画面。そこに表示される文字は、やはりほぼ全てが暗くなっていた。
少し前に挙げた重戦士タイプが装備するらしい鎧類は当然装備不可。一般的な剣士タイプが装備する軽鎧の類も装備不可。唯一残ってる物は、服系統のみ。極振りさんの受難その2だね。
「ああうん、選べるのは3箇所だけなのか」
このゲームでは、装備は【頭】【体】【手】【足】【靴】の5箇所。武器や
ここで選べるのは、そのうちの【体】と【足】【靴】の3箇所のみ。それは、全員が変わらない部分と書いてあった。鎧と服とじゃ、性能に雲泥の差があるが。
一先ず性能については置いておくとして、俺が選んだのは白っぽいローブだ。黒だと何か攻撃魔法を使いそうなイメージがあるしね。
【初心者のローブ(白)】
Vit +2
Min +3
耐久値 無限
【初心者のズボン(白)】
Vit +2
耐久値 無限
【初心者のブーツ】
Vit +1
Agl +2
耐久値 無限
性能はお察しのようだけど、壊れないというのは非常にありがたい。どうせうんざりするほど死ぬだろうし、装備が壊れて…なんて目には遭いたくない。
決定を押すと俺を一瞬光が包み、次の瞬間には灰に近い白色のローブを纏っていた。フードもあるんだ、これ。中々いいじゃん。
アバターのクリエイトをし直しますか? という最終確認でNoを選択し、ようやく俺はチュートリアルを終わらせた。
「これにてチュートリアルは終了です。お疲れ様でした。ようこそ『Utopia Online』の世界へ」
そんな音声を最後に強い光が俺を包み、エレベーターに乗っているような浮遊感が俺を包み込んだ。
そして次に目を開けた瞬間俺は、いかにも中世といった雰囲気の街に立っていた。そして、このゲームの謳い文句が間違っていなかったことを認識した。
「凄いなこりゃ……」
ガヤガヤとした喧騒、現実の世界と見分けがつかない空、何処からか焼いた肉の匂いが漂い……つまり、五感が現実と同等だった。
振り向いてすぐの場所に存在する噴水も、キチンと液体とわかるほどリアルで、じっと見つめてもポリゴンなんて見えはしない。この分だと、味覚もしっかりと再現されているだろう。
なるほど、人気になるわけだ。今までのVRゲームとは一線を画している。
「さて、メニューはどうすれば開く……って、音声か」
メニューという言葉を口に出した瞬間、先程まで弄っていた物と同種の画面が現れた。時刻と所持金が表示され、他にはボタンが7種類存在した。
《ステータス》
ここでは今の自分のステータス、スキル、装備、称号が確認できた。長くなりそうだから、確認は後回しにする。
《アイテム》
所持アイテムを確認できる所。入っていた物は『初心者用ポーション』が5つだけだった。効果は、自分のHPを100回復する(Lv 10まで使用可能)
所持枠が30個で、何個まで重ねられるかはわからない。
《フレンド》
当然空欄。フレンドができれば、メッセージを送ったりログインしてるかの確認ができる。
《マップ》
地図。今は街の中しか描かれていない。場所の検索もできるっぽい。
《ギルド》
クランとかとも言われるアレ。ギルドに加入していると、色々な恩恵が受けられるらしい。多分、俺は受け入れてくれる所は無いだろうから無視していいだろう。
《オプション》
色々な設定ができる場所。ここからネットに接続できるようだが、他の機能までいちいち確認してたらキリがないのでカットする。
《ログアウト》
これが無ければデスゲームだし、ちゃんと目立つ所にあった。
さてと。長々と確認していたけれど、そろそろ動かないと怪しい人物になる。マップを開き、一先ず歩き出す。
「うわ、おっそ……」
そして気づくAglの重要さ。
俺が徒歩程度の速度で歩いているのに対し、速い人は自転車並みの速度で走っている。街中でさえこれなのだから、戦闘時はもっと凄まじい速度なのだろう。
「あと大体3時間、沙織が来るまでに少しは慣れておかないとだし……」
噴水もあったから、ここがおそらく『始まりの街』だろう。3時間もあれば、自分の限界も把握できるし、調べきれなかった部分も大半は調べられる。
「それじゃあ先ずは、戦闘と行きますか」
そうやることを決めて、俺は石畳で整備された道を歩いていくのだった。Luk…つまり幸運が実質400台なのだ、きっと何かいいことがあるに違いない。
Name : ユキ
称号 : なし
Lv 1
HP 50/50
MP 25/25
Str : 0(3) Dex : 0
Vit : 0(5) Agl : 0(2)
Int : 0(10)Luk : 200(420)
Min :0(3)
《スキル》
【幸運強化(小)】【長杖術(小)】
【投擲】【付与魔法】【愚者の幸運】
( )内は、装備・スキルを含めた数値