幼馴染がガチ勢だったので全力でネタに走ります   作:銀鈴

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風邪で死んでて遅れました


閑話 それぞれの極振り戦(vsザイル)

 極振りの1人、Dex極振りのザイルが創造したダンジョンは、難易度は然程でもないが、システムのミスマッチにより最も攻略に時間がかけられた。1層から9層まで、ほぼ全ての行為に何かしらの謎を解く必要があったからだ。

 宝箱を開けるならナンバープレースパズル。扉を開けるならなぞなぞ。階段への扉を開けるにはクロスワード。その他にも魔方陣や詰将棋、エイトクイーンなど様々な謎が完備されている。階層が上がれば上がるほど難しく、又は中身が良品な宝箱ほど難しくなるそれは、考えとしては何の問題もないように思えた。

 

 しかし、運営とザイルの間で致命的なすれ違いが起きていた。

 ネットに接続すること前提でダンジョンを製作していたザイル

 ネットに非接続の状態前提でダンジョンを実装した運営

 その2つがオーバーレイしてエクシーズした結果、『ネットに非接続の状態でネット接続前提の問題しかないダンジョン』という問題がエクシーズチェンジしてしまった。

 

 1階層は洞窟

 敵の平均レベルは35で、謎の難易度は低めとなっている。

 

 2階層は遺跡

 敵の平均レベルは40で、謎はまだ簡単な部類だ。

 

 3階層は森林

 敵の平均レベルは45で、偶に難しい問題が出てくる。

 

 4階層は夕暮れの砂漠

 敵の平均レベルは45と変わらないが、出てくる敵が総ピンクの為不意打ちで死ぬことが多い階層となっている。問題は若干難しい。

 

 5階層はボス部屋

 魔法をバフ含め全反射してくるボス。自身にバフをかけると相手も同じバフがかかり、相手にデバフをかけると同じデバフが返ってくる。因みに相手にバフをかけるとデバフが返ってくる。

 レベルは50とそこまで高くはないので、物理で殴れば基本的に問題ない。

 

 6階層は霧の深い山脈

 敵の平均レベルは60で、謎は難しくなってくる。攻略ルートから外れた谷底に行くと、良いアイテムの入ってる宝箱が高確率であるとか。

 

 7階層は完全に水中

 突入前の扉の前や、内部の所々に設置されている、水中呼吸用アイテムを使用しながら進む階層。宝箱にはそれなりに良いものが多いが、気をとられると溺れてアボンしてしまう。敵の平均レベルは65で、謎は難しい物が多い。

 

 8階層は溶岩流れる火山

 7階層と同じように配置されている、耐熱・溶岩内活動用アイテムを使用しながら進まなければいけない。宝箱の中身は良いものが殆ど。しかしその分謎も複雑な為、あまり熱中していると溶ける。

 最大の特徴として、次の階層への階段を解放する為のスイッチ(当然謎付き)が溶岩の池の内部にある。敵の平均レベルは65で、度し難い難度の謎が偶に紛れ込んでいる。

 

 9階層は天界

 第2回イベント時に、【死界】の対として設定された特殊ステージ。詳細は省くが、簡単に言えば天使系の敵が強化状態で無限湧きする代わりに、自身には永続的な強化及びリジェネと取得経験値1.2倍が付与される。敵の平均レベルは70で、攻略法を知らないと突破出来ない謎ばかりとなっている。

 

 今は攻略も進み、このダンジョンが位置する特設マップに『攻略サイトを開いたまま突入する』という荒業によって、基本誰でも10層までたどり着くことのできる難易度となっている。

 つまりそれは、出現する敵を倒すための実力と、謎を解くための頭さえあれば、誰であろうと極振りと戦えることを示していた。

 

 

 ザイル塔9階層。神聖さを感じさせる光が降り注ぐそこでは今、絶え間ない戦闘の音とともに言い争いの声が響いていた。

 

「ごめんツムちゃん、無理! マジで! 1人じゃ戦線支えられないって! にゃぁ!? 死ぬ、死んじゃうって!」

 

 そんな風に叫びつつ大鎌を振り回し、襲い来る天使型モンスターを1度に3体は撃破しているのは、日本式のフリッフリなメイド服を着た小柄な女子。黄緑の短髪をなびかせ橙色の眼光を散らすその女子は、何を考えているのか首から頬にかけて禍々しいタトゥーを入れており、ギザ歯を見せながら実に楽しそうに傷だらけで笑っていた。

 

 つまり、冥土服のヤベー奴である。

 

「そう言いながら、タタラのHP半分と満タンでピストン運動してるじゃない。それに、タタラはそういうの好きでしょう?」

 

 そう言い返しつつ扉を開けるための操作をしているのは、これまたメイド服を着た背の高い女性。右腕部分はバッサリ切り落とされノースリーブになっているが、その他は所謂ヴィクトリアンメイドと呼ばれるタイプのメイド服だ。矢筒と弓を背負い、長い青紫の髪をヘアピンで留めた彼女は、銀の瞳で出された問題と向かい合っていた。

 

 つまり、メイド服のヤベー奴である。

 

「ピストン運動なんて、ツムちゃんの え っ ち」

「……」

「無 視 ! ああ! そういうツンツンしたツムちゃん、嫌いじゃないわ!」

 

 そんなことを言いつつ、タタラと呼ばれた少女は天使型モンスターを斬り伏せていく。その小柄な身体には幾本も弓矢が刺さっているが、攻撃を受け減少したはずのHPはスキルによる回復で帳消しとなっている。更に、矢が刺さったままというのは、僅かな痛みとそれなりの異物感、不快感があるはずなのだが……その表情は恍惚としていた。

 つまり、ドMのヤベー奴である。

 

「……よし、解けた」

 

 相方に放置プレーをかまして問題を解いていた、ツムちゃん……ツムギというプレイヤーは、相方の反応をBGMに面倒な難題を解き終えていた。解いていたものは『エイトクイーンを8回解くとパネルが全て解放され、解読が可能になるナンバープレースパズル』という嫌がらせのような代物。

 つまり、頭脳派のヤベー奴である。

 

「そんな木偶と遊んでないで、早く行くぞタタラ」

「えー、もうちょっとレベル上げていきたいー」

「元はと言えば、タタラが極振りを制覇したいって言ったから付き合ってるんだぞ? まあ、誰にも勝ててないが」

 

 どことなく女性体に見える天使型モンスターと遊んでいるタタラを見て、ツムギが不機嫌そうにそう言った。少し照れていて、目を逸らしているのが高ポイントである。

 そんなツムギの様子を、戦闘中にも関わらず目敏く見つけたタタラは、ニマニマとした笑みを浮かべながら言い返す。

 

「私、そういうツムちゃんのこと好き!」

「ッ、馬鹿。援護するから、早くこっち来なさい」

 

 そう言うが早いか、ツムギの左眼に様々な数値が表示された画面が表示される。同時に、5本の矢が番えられた弓矢がギリギリと引き絞られる。

 

多重照準(マルチロック)……シュート!」

 

 そして、放たれた弓矢は蛇のような軌道を描いて天使型に突き刺さった。それによってHPの減っていた天使型は消滅し、生まれた隙を使ってタタラが脱出する。

 次層へ続く扉を閉じ、安全圏を確保して2人はハイタッチを交わす。

 

「ナイスシュート!」

「そっちこそ、ナイス」

 

 手と手が打ち合わされる乾いた音が響き、すぐにその手は繋がれて、次層へ向けて2人は歩き出す。この2人が登頂していないのは、残るはこのザイル塔とレイド戦前提のアキ塔のみ。通じ合ってる2人で、前衛後衛で別れた構成であるからこその戦績だった。未だ誰からも白星は得られてないものの、十分な成績だろう。

 

「さて、みんな個性的だったけど、ザイルって人のボス部屋はどんなだろう?」

「さてな。Dexの極振りって言うんだから、きっと綺麗な何かではあるんじゃないか?」

 

 そんな風に2人が、期待を募らせたどり着いたザイルのボス部屋。そこには、全く予想外の光景が広がっていた。

 

 そこは、まるで嵐が過ぎ去った直後のような場所だった。

 以前は綺麗であったのだろうステンドグラスは、砕け散り地面に散乱している。

 優美な絵が描かれていたであろう額縁は、真っ二つに叩き折られ絵画は無残にも引き千切られ。

 如何にも高価そうな調度品も残らず砕かれ、見せつけるかのようにばら撒かれている。

 

 そんな破壊跡に1人、赤い縮れた髪を無造作に伸ばし、ボロを纏ったヒトガタが座っていた。裸足で、肩からは五文銭を繋げたような飾りを下げ、顔には右眼以外を覆い尽くすように呪符が貼られている。

 

「……ああ、来たのか」

 

 そんな異様な風体で話すものだから、2人は瞬時に臨戦態勢で武器を構えた。それを見て大きく溜息を吐きつつ、死んだ様な目でザイルが立ち上がった。

 その都会の薄汚れた語彙でしか表現できない様な、暗く濁った目を見てメイドのヤベー奴らは確信する。あ、これ普段の自分たち(社畜)と同じ目だ、と。

 

「なら、さ、俺の話も聞いてくれよ……その後で、ちゃんと戦いはするからさ、な?」

 

 そのあまりにも鬼気迫る様子に、さしものメイドのヤベー奴らも無言でコクリと頷いた。このままじゃ危ないと、直感が囁いていたのだ。その様子に雰囲気を柔らかくしたザイルは、ポツポツと悩みを吐き出し始めた。

 

「俺な、いっつもいっつもあの馬鹿どもの尻拭いさせられてるんだ……β版から。やれ山を斬った、やれ湖に穴を開けた、やれ森が焦土になった、やれフィールドが汚染された……期待の新人は街を爆破して遊びだすし、大人しいと思ってた奴らは街を吹き飛ばすし……毎回だ。毎回俺は、運営と話して愚痴を聞かなきゃいけない」

 

 ザイルが吐き出す呪いの様な言葉に、メイドのヤベー奴らの脳裏に伝え聞いた極振りの奇行が浮かんだ。それに気づいたせいで、目の前のザイルに対して同情にも似た感情が湧いてくる。

 

「それでいて周りから浴びせられるのは、『極振り最弱』『極振りの良心』を始めとして俺の自由を拘束する物ばかり。憂さ晴らしに突破しやすく作ったはずのダンジョンは、運営とのすれ違いでクソダンジョン呼ばわり……」

 

 心の底から吐き出しているのがわかる溜息が、ボス部屋に静かに響いた。

 

「アイツらとつるんでるのは、普段の疲れを飛ばしてくれて楽しいからいいんだ。事後処理が私に回ってくるだけで」

 

 私と言うぽろっと溢れた一人称に首を傾げるも、一振りの刀に見える物を携え、3丁の浮かぶ長銃を従えたザイルが立ち上がったことにより、改めて戦闘態勢を取ったことで忘れ去られた。

 

 直後、双方の間に10のカウントが出現した。

 

「だからさ、ここまで来た奴らには毎回謝ってるんだ……イメージ壊して悪いなってことと、今から八つ当たりの対象にして悪いってこと。そして最後に、β版での極振り最強を、あまり舐めるなよってなぁ!」

 

 ザイルの狂ったような笑い声に合わせて、カウントが0になった。

 

 同時に駆け出したタタラと、矢をつがえたツムギの前で、ザイルが宙に浮かんでいた銃を手にとって言った。

 

「《Advent》」

 

 瞬時に地面に描かれた魔法陣から召喚されたのは、ザイルのペット。実装されている中で間違いなく大当たりの、人型の従者(サーヴァント)。アンドロイドと言うよりは絡繰に近い、4本腕に4色の武器を構えたソレは、マグナという名が付けられていた。

 

「こういうゴチャゴチャしたの、吹っ飛ばしたら気持ちいいよなぁ!」

 

 そう言ってザイルは、何処からともなく取り出したカードを長銃に差し込み、マグナの背中に突き刺した。そう、これこそがザイルの必殺技1。他の極振りと違い使い切りであるため、初っ端から使用を許されたヤケクソ技。

 

 FINAL VENT

 

 何処からともなく、システム的に合成された音声が響いた。

 

「タタラ! 止まって全力防御!」

「ふぇ!?」

 

 マグナの全身が変化していく。絡繰仕掛けが稼働し、各部のパーツが開き、ミサイルポッドやレーザー砲が露出する。ソレを見てツムギは警告を発したが、時既に遅し。

 

「もう遅い《エンド・オブ・ワールド》」

 

 銃弾砲弾光線が乱舞し、破壊跡のようなボス部屋に破壊の嵐が吹き荒れた。しかも発射された全てが、気味の悪い軌道を描いて2人に迫る。本来外れるような軌道の物も、Uターンするように飛来する。

 

「え、ちょ、わっ」

「チッ、くそ!」

 

 それを迎撃するのは、乱れ振るわれる大鎌と、乱射される弓矢と魔法。ギリギリで拮抗したそれらは、必殺技の時間が短かったお陰でメイド服のヤベー奴らのHPを3割削るだけで終わった。

 

「Go!」

「援護頼むね!」

 

 大破壊の所為で粉塵が舞い上がり、視界がろくに取れなくなった戦場。そこで唯一活動できる《空間認識能力》の持ち主であるタタラを先行させ、ツムギが後方支援を担当する。これが、ヤベー奴らのいつもの必勝パターン。それに持ち込んだのだから、僅かなれど勝機があるように思えた。

 

「生産職が、素材の消費を無しとされたらなぁ、そこらの戦闘職に負けるようなこたぁねえんだよぉ!」

 

 が、しかし。粉塵を抜けた先に広がっていたのは、迫り来るマグナと、20を超える銃器を積んだドローンの群れだった。

 

「えっ」

 

 タタラとマグナが互いの得物で斬りむすんだ直後、自身のペットを巻き込んでザイルの操作するドローンが銃弾を吐き出した。恐ろしいことに反動で逆方向に飛んで行くそのドローンは、弾を撃ち尽くすと同時に自爆して破片をばらまいて行く。その間隙を3本の長銃の射撃がカバーし、その間に次のドローン群が生産される。

 

「増産、増産、更に増産! そうだな、空だけじゃ寂しいから戦車も呼ぼうか」

「は?」

 

 ドローンの撃墜に精を出していたツムギがそんな声を漏らすより早く、僅か数秒でミニチュアの戦車のようなものが多数出現した。しかもそれらは、今度はツムギに対して狙いをつけて攻撃を開始する。

 

「《スプラッシュ》《フリーズ》《アローレイン》!」

 

 水を飛散させてから凍結しドローンを落とし、弓スキルによる雨のように振らせる一撃で戦車を撃破して行くが、ザイルのワンクリックで増産されるそれらの生産速度に撃破が追いつけない。

 

「よっし倒したぁ!」

 

 焦燥がツムギの心を焼く中、頼れる相棒のそんな声が聞こえた。機械の群れから目を離して確認すれば、そこでは装備などでブーストされた即死を引き当てたのか、ザイルのペットを両断したタタラの姿が。

 

 いくら極振りとはいえ、ザイルは見たところ近距離型ではない。腰に佩いている刀こそ不安要素だが、ワンチャン自分の相棒なら倒せるのではないか。大鎌を振りかぶりザイルに向かって行く相棒を見て、そんな考えが浮かんだ直後だった。

 

「撃ち抜け」

 

 爆発音と共に、タタラはツムギの元まで吹き飛ばされた。ダメージこそ軽微だった為、きっとスキルか何かなのだろう。そう思い、迎撃しながらザイルを見て、そこで蠢くものを見てツムギの頭は一瞬硬直した。

 

「なに、アレ?」

 

 ザイルがその手に持っていたのは、異形としか言いようのない武装だった。

 ザイルの周囲に蠢くそれは、蛇のように動くが柄を有している。腕の振りに応じて波打つそれは、銃身のみとも言える銃が、フレームで幾つも繋がれ、玉簾状になっているものだった。またその先端部の銃身のみが、精緻な龍の顔となっている。

 それは愛称が鈍器と呼ばれるライトノベルにおいて『銃鎖刀』と呼ばれた異形の武器を元に、鞭として使えるまでその長さを伸ばしたゲテモノだった。

 

「それじゃあ、連射いくぞ」

 

 そうザイルが宣言した瞬間、数えて50の砲身が火を噴いた。一斉ではなく、手元から順に先端部に向けて。ザイルの高笑いに合わせて、弾丸が四方八方に撃ち出されていく。

 

 当然その全てが、ものによっては90度以上のターンを見せて2人への直撃コースに捻じ曲がる。

 

「タタラ、突っ込め!」

「ツムちゃんは?」

「どうにかする」

 

 そんなやり取りを交わし、銃弾を一身に受けつつも疾走するタタラだったが……

 

「残念だが、そこは地雷を埋めてあるぞ」

「ぎゃー!?」

 

 狙い澄ましたかのような爆発と銃撃で再び押し戻される。その間もあくまでドローン&戦車の増産は止まず、戦場の流れは決まってきていた。

 

「このまま削り倒すのはなんか違うしなぁ、俺もいっちょ必殺技で締めるか」

 

 絶え間なく銃撃と製作をこなしつつ、ザイルがそんなことを呟いた。

 

「なあ、今回の挑戦者。丁度いいから昔話をしてやるよ。なに、そっちにデメリットはほぼないから聞いていけ」

 

 そういってポツポツとザイルは語り始めたが、正直なところ2人にはそんな余裕なんてなかった。

 

「まだこの本サービスじゃ実装されてないみたいだが、β版ではステータスが補正込みで8000を超えるとな、そのステータスに対応した自分が所持しているスキルを1つ、自分だけのスキルに進化させられたんだ」

 

 βテスト期間終了目前だったせいで、仲間内でしか試せなかったけどな。そう言ってザイルは自嘲気味に笑った。そんなもの見てる余裕は誰にもなかったが。

 

「でもって、俺の必殺技のもう片方はソレだ。今のリソースじゃ首一本が限界だが、折角だし見ていくといい」

 

 そう言ってザイルが自身の首に、注射器のようなものを突き刺した。その自傷よりHPが10%まで減少し、注射したDexブーストアイテムによってステータスが跳ね上がる。

 

「オン・コロコロ、センダリマトウギソワカ──」

 

 そしてザイルが真言を唱えた瞬間、ソレは一気に形を表した。散らばる瓦礫や機械の破片が組み上がって生まれていくのは、蛇の……否、龍の首。それも、腐敗したような肉に骨の様な外殻と所々に鱗が付着しているようなもの。それが橙色の目を光らせ、グパァという生々しい音を立ててその口腔を晒した。

 

「六算祓エヤ滅・滅・滅・滅・亡・亡・亡ォォォ!」

 

 その直後、龍の首が向いていた方向にあったもの一切合切が消滅した。『アイテムを任意の数消費しその数と質に応じたモノを召喚、自身に憑依させ使役する。その際付与されるステータス、状態異常、特殊効果等は呼び出したものに対応する』という、かつては【廃神招来】という名で呼ばれたスキル。現行の【憑霊術 : 荒御魂】の上位互換のそれが、ザイルの持つもう1つの必殺技だった。

 

「いやぁ、久しぶりにやってさっぱりさっぱり」

「こん、のぉ!」

 

 晴れ晴れとした表情のザイルに向け、黒い大鎌が振るわれた。しかしその一撃は、龍の首がブレることなく受け止めた。ペットスキルによる蘇生。今はまだ1部にしか認知されていないが、それは非常に有用なものだった。

 

「悪いな。ユキと違ってこいつ、半自動(セミオート)なんだ」

「あの人、普通に不意打ちを防御してきましたが」

「なんなんだよあの後輩……」

 

 この頃件の後輩は、投獄されて札束ビンタの準備中なのだが、そんなことは誰も知る由がなかった。

 

「とまあ、あれだ。全塔制覇頑張れ、応援してるぞ」

「それはどうも!」

 

 大鎌を引き戻す間も無く、多数の銃器が火を噴いた。どこぞの団長並みに被弾したタタラのHPはそれで0になり、勝利はザイルに輝いたのだった。

 




ザイルの必殺技
【エンド・オブ・ワールド】
ザイルの趣味
ごちゃごちゃした説明は嫌いなんだよ……

【廃神招来】
ザイルのβ版スキル
他の極振りを相手にしても、全開なら引き分けか勝ちに持ち込めていた。見た目からして、その、ね?
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