1つの章並みのボリューム
新クラス・ムーンキャンサー&アルターエゴ
リップ・鈴鹿御前?が☆4で、メルトが☆5…これは、林檎カード案件?
「それじゃあ、なんでさっきあんなことをしたのか白状してもらうんだから!」
人混みの中から離れて歩くこと数分、殆ど人通りがない通りのベンチに俺は座らされ説教を受けていた。罪状はさっきの大立ち回り、はっきり分かんだね。
「絶対に勝てると思ってたし、ああするのが一番早い解決方法だと思ったからだけど?」
「確率なんだから、絶対なんてあるわけないじゃん。それにあの人、β版のときからいる人だからかなり強いんだよ?」
むーっと唸りながら、俺に向かって文句をぶつけてくる。そういう話なら、俺のステータスを知らない限りこうなるか。
「それでも勝ってたよ。俺のステータス、Lukに全振りしてるんだし」
「へ?」
「だから、万が一にも負けない勝負に持ち込ませてもらった。流石に実数値700の幸運を突破できる奴はいないだろ」
超頑張って集めたうさぎのしっぽ×10、元のスキル、さっきゲットした称号を合わせると、今の俺のLuk値は700まで上昇している。そこに小細工を加えてたんだから、確実に勝てた。
「とーくん、今、なんて?」
「ゲーム内なんだから、本名はあんまり言わないでくれよな。それで、実数値700の幸運を――」
「ううん、その前」
「Lukに全振りしてるんだしってところか?」
「そう、そこだよそこ!」
ガシッと肩を掴まれ、セナが顔をズイッと近づけてきた。うん、近くで見ても銀髪も碧眼も似合ってるんじゃないかと思う。
「別に極振りするのはいいんだけど、なんで
「いや、だって二番煎じって嫌じゃん」
その質問に俺は堂々とした顔で即答した。特に隠すことでもないし。流石に、沙織に追いつけなさそうだから一芸特化にした…なんて事情は伏せるけど。
「むぅ、確かにそれはそうだけど…一緒に冒険したかったのに…」
「足の遅さだけはどうしようもないけど、一応、戦えないことはない……ぞ?」
ウサギと延々と戯れていたお陰で、どの程度この身体で無茶ができるかは把握したのだ。ついでに、投擲以外の遠距離攻撃も会得した。火力も無いわけじゃない(当社比)
だからもう、足の遅さを除けば初心者と同列にはなったはず! その割にレベルが低いのは、ウサギばっかり倒していたからだ。
「ふーん、それじゃあ私が見てあげる! これでも私、β版のときはそこそこ有名なプレイヤーだったんだから!」
「知ってる、よろしく頼むよ。
けど、それはそれとして…顔近くないか?」
ここまでの会話は全部、息も触れ合うほど近くで交わされている。となると、いくら慣れているとはいえ恥ずかしい。何か分からないけどいい匂いがするし。
美少女にここまで迫られて何も思わないのは、薔薇の道を走っているか不能しかいないだろう。
「ひゃあっ!」
言われて初めて気がついたのか、セナは顔を赤くして飛び退った。随分と速いっすね…
「それじゃあ行くか。といってもまだレベル5だから、東かその少し上の南にしか行けないけどな」
ここ数時間ずっと握っていた長杖を出現させ、肩に軽く担いで言う。買い換えた方が良いんだろうけど、まだ最初の街じゃ良いものはないだろうから無視だ無視。
「もう、ユキくんのばか…」
そうボソッと呟かれた言葉は、覚えておくけど聞かなかったことにする。気づかないほど鈍感ではないつもりだが、こういう問題には迂闊に突っ込んじゃいけないのだ。
「さて、どこまで戦えるやら」
ウサギと時折出てきたフォレストドッグ以外、未だにモンスターと実は戦ってないのだ。そこで通じた戦法が、果たして他の敵にも通じるのか…まあ、試してみるに限るよね!
◇
【極振りスレ】第七の使徒襲来
1.名無し@ニンジャ
いたぞぉ、いたぞぉぉぉぉ!
2.名無し@片手剣使い
何を見つけた?
3名無し@魔法戦士
アイエエエ!?ニンジャ!?ニンジャナンデ!?
4.名無し@気持ち的にナイト
そうか、遂に現れたか。第七の同類が
5.名無し@魔法使い(炎)
βテスト振りだね
6.名無し@ニンジャ
ああ、間違いない。極振りだ
7.名無し@鞭使い
プレデターとエヴァとニンジャスレイヤーが混ざって、これもうわかんねぇな
8.名無し@片手剣使い
なんでホモが湧くんですかねぇ…
9.名無し@武闘家
まあこんなネタはいいとして、正式版稼働以来初めての極振りプレイヤーがいたんだ。β版の惨状を知っててやってるなら、勇者としか言いようがないぜ…
10.名無し@片手剣使い
で、何に振ってるんだその新しい奴は
11.名無し@気持ち的にナイト
>9
β版の惨状って言うけど、あれはあれで楽しかったんだからな。そのお陰で今も似たような構成だし
12.名無し@ニンジャ
>10
……よりにもよって、Lukらしい。軽く盗み聞きしてきたところ、実数値は既に700だとか
13.名無し@魔法戦士
700wwww
14.名無し@気持ち的にナイト
なんだその数値wwいくら極振りでも頭おかしいww
15.名無し@魔法使い(炎)
そんなにLukがあれば、レア泥が捗りそうだね……勝てればだけど
16.名無し@鞭使い
なあ、それってもしかしてこいつか?
っ【写真】
17.名無し@ニンジャ
>16
そうそう。というか、いつ撮ったんだよそんな写真…
18.名無し@魔法戦士
>16
それなら俺も知ってるぞ。確か始まりの街で大立ち回りしてた奴じゃないか?
19.名無し@鞭使い
おかわりもいいぞ!
っ【動画】
20.名無し@片手剣使い
うめ…うめ…
というか、煽りスキル高いな。みんなが黙ってたことを言って、的確に心を抉ってやがる
まあ、この勝ち方は9割詐欺じゃねえかと思うけど
21.名無し@ニンジャ
>20
勝てばよかろうなのだぁぁぁ!!
極振り相手に、同じ土俵で戦ったあいつが悪い
22.名無し@短剣使い
>21
汚い。流石ニンジャ汚い
けど、あいつオベロンとかいう多少上級プレイヤーだろ? 実際勝つ方法はあれしかなかったんじゃね?
23.名無し@魔法使い(炎)
それはそうとしてちょっといいですか?
運極振り君にしがみついてるの【銀閃】さんじゃないですかね?
24.名無し@気持ち的にナイト
え? あっ…セナって呼んでるし間違いないぞ…
25.名無し@魔法戦士
しかも、待ち合わせをしていたってことは、リアルか何かでかなり親しい関係のはず…しかも凄く楽しそうだし
26.名無し@武闘家
チクショウ、こいつリアルラックまで高いじゃねえか。爆ぜろよ。
27.名無し@短剣使い
オベロンザマァと思いつつ、運極振り野郎にも爆ぜろと祈りを捧げよう……美少女と親しいとかもうね
28.名無し@気持ち的にナイト
俺らと同じく、きっと第2の街で詰むんだろうな…そこを乗り越えてくれることを祈る。そして爆ぜろ。
29.名無し@鞭使い
確か最後まで生き残ってたのがVit極振りだったか?第2は普通のプレイヤーでも苦戦するからなぁ。あと爆ぜろ
今気づいたんだが、極振り野郎の初期ローブに付いてるの、うさぎのしっぽじゃないか? しかもご丁寧に10個。
30.名無し@魔法戦士
ひいふうみい…マジだ、10個ある。つーことは、Lukと獲得経験値が30%増? 極振りなら愚者の〜〜を取ってるだろうし、頭のおかしい数値になるのも納得だな。
31.名無し@ニンジャ
一先ず、今のところ判明してる情報はこれくらいか。
またなんか詳しいことが分かったら書き込むわ
32.名無し@鞭使い
乙ー
それはそれとして、煽りの中にあった「失礼ながら大爆笑ですね」って部分、クッソ昔のアニメの名台詞のパロなんだろうが…
33.名無し@片手剣使い
乙ー
ガン×ソードだろ? 話してたら懐かしくなってきた…【UPO】に蛮刀ってあったっけ?
(以下雑談が続く)