アスト自身が強化されていたり、何やら厄介事を呼び込みそうなレアアイテムがドロップしたりとアクシデントはあったものの。むしろそれを起爆剤として、出現の限界時間まで【機天・アスト】改め、【機装堕天・アスト】を乱獲した結果がこのアイテム欄だった。
一般的な通常アストからドロップするアイテム群、それぞれ2スタック(1スタック99個)!
通常アストのレアドロである光輪、1スタック!(99個)
そして件のレアドロと思しき神臓! 7個!
多分オークションに流せば凄まじい価値になるのが目に見える。しかも手に入れる過程で、レベルもカンストするというオマケも付いてきた。経験値の塊だったからね、仕方ないね。
「で、もう一つ問題なのがこれだよなぁ……」
ステータス画面に燦然と輝く新スキル【幸の求道Ⅲ】の文字。機装……面倒だし闇アストでいいか。闇アストとの幾度目かの戦闘中、パターン分析を兼ねてLuk強化を行って挑戦しようとした時に発生したスキル。
幸運強化系のスキルを色々食って生まれたこのスキルの効果は、Lukを3万に固定すること。この効果の倍率、コレガワカラナイ。フルバフのセナですら2万に届かないステータスだというの……あれ、もしかすると妥当?
一先ずアストを推定70戦オーバー狩って時間切れになったところで先輩方に聞いてみたところ、どうにも【極天】メンバーは全員取得しているらしい廃スキルだった。
推定取得条件は、①レベル80②特定ステータスが常態で10000を超えること、なのだとか。前例がなさ過ぎて不明とも言っていたけど。
「多分倒すごとに強化されるタイプのボスだったんだろうけど、火力がインフレし過ぎて検証の意味が消えたし……」
一応分析した攻撃パターンと方法、その他諸々はあの場にいたジェイド=サンと一緒に動画込みで掲示板に挙げてある。とはいえ、どこまで通用するのかわからないんだよなぁ……
「ん*1」
「ありがとう。でも、悩みの1つは大丈夫かな」
れーちゃんからお茶を受け取りつつ返事をする。そう、ボスモンスターについてセナに根掘り葉掘り聞かれるのは、未来予知に等しいレベルで想像できるから別に構わないのだ。
「ただ、これをどう使えばいいか迷ってて」
言って、れーちゃんに【アストの神臓】を手渡した。記憶違いじゃなければ、1体目、11体目、21体目と言ったように10の倍数+1の時にしか落とさないレアドロ品。ただ使い道が微妙によくわからず、かと言ってオークションに投げるのも勿体ないという扱いに困る感じなのだ。
「ん。ん……ん?*2」
「願っても無い申し出だけど、良いの?」
「なら、お願いします」
れーちゃんが出してきた手に、今装備している防具一式を手渡した。代わりに呪いの装備を身に纏っておけば、インナーのみの変態という烙印は押されないから問題ない。
「ん?*5」
「はい。ちょっとした事情でメガネリオンを使うことはなく成りそうなので。Dex重視で、メガネと似たようなスキルだと嬉しいです」
「分かりました。神臓以外はギルドの倉庫に全部突っ込んであるので、好きに使ってください」
追加で神臓を渡しつつお願いした。すると、とても楽しそうな表情でお店のバックヤードというか、プライベートな方のギルドハウスにれーちゃんの姿は消えて行く。
そうして残されるのは、俺ことどう見ても呪いの塊みたいな怪しげな物体と、明らかに俺を見て怯えてるNPCの店員さんたち。
「……取り敢えず、置物しつつ手伝っておこう」
最近30冊に増えた魔導書のオールマニュアル操作の練習も兼ねて。半分以上ヤバイ本だけど、強制的に中を読もうとしない限り平気平気(10敗)
そこら辺のmobとか、盗賊NPCとかに読ませたらもれなく発狂したけど。序でにアストまでのボスも全員発狂済みである。
◇
魔導書で注文の品を提供したりしながら待つこと数分。ギルドホームに続く扉が開いた音を聞いて、閉じていた目を開いた。
「ん!*8」
「あ、じゃあ早速」
呪いの装備から受け取った新装備に変更する。けれど、特に見た目は前と比べて変わっていなかった。この全体的に草臥れたというか、使い込まれた感じの装備と、藜さんから貰った爆破用のグローブ。完璧である。しかしそれでもちゃんと全能力が調整されている辺り、もうほんと最高。パーフェクトだれーちゃん……
「ん!」
「ん!」
翻訳を意識しなくとも、意思は通じ合っていた。こういうところ、多分れーちゃんはランさんの影響をモロに受けていると思う。
「え、あ、はい。じゃあ、ちょっとお暇しますね」
厨房の方に声をかけながら、れーちゃんに手を引かれて工房に案内される。……何気にこのギルドに長くいるけど、入るの初めてだなぁここ。
「ん!*11」
「変身!」
あっこれ魔法少女とか戦隊モノっぽい。そう感じた印象は、間違っていなかったらしい。言葉を告げた瞬間、装備が……いや、ユキというアバター自体が
《人外用コントローラー type:Size changeを起動します》
そしてそんな表示が目の前に流れ、アバターが組み直されていく。普段の自分より明らかに小さい、それこそ沙織くらいのサイズで。
インナーのみの装備でアバターが再構成され、まるで魔法少女物の変身シーンのように各パーツが元の形を変えて全身に装着されていく。なにこれ凝ってる。
「アナウンスからほぼ時間経ってないのに、実装済みとか嘘で──えっ?」
しょ? と続くはずだった言葉は、思わず出た困惑の声に塗り潰された。何せ今自分の口から出た音は、実現不可能と言われていた完全に女の子Voice。それも音声流用でも、男がボイスチェンジャーを使って出したり裏声で出すようなものではなくて、多分セナ辺りなら俺であると看破できそうなくらいには自分の特徴があるヤツ。
「いや、そもそもこんな声それこそ骨格ごと変えないと……あっ」
なるほど、だからこその人外用コントローラーなのか。
しかも軽く動いてみた感じ、気持ちが悪いほど違和感がないこの身体。一時期やってたことのある他社のゲームの人外コントローラーと比べても、数世代先行ってない……?
「ん!」
UPOの運営会社……確かCrescent Moon社の超技術に感動していると、れーちゃんが全身が見えるような姿鏡を持って来てくれていた。そしてそこに移る自分の姿は──セナとか藜さんとかには劣るけど、それでもまあまあな美少女であった(配点 : 72)くっ。
普段の男性ボディと違って、明らかにサラッサラで且つ
モノクルは眼鏡に。黒いジャケットと茶色系統の草臥れたコートは、水色のカジュアルな服と謂わゆる萌え袖になってる丈の長い白衣に。ハザードグローブは白い宝石の付いたブレスレットになり、おてて民歓喜な小さなおててが晒されている。特に特徴がなかったズボンは丈が短めのスカートに。それなりにゴツかったブーツはローファーと黒い靴下に変わり、綺麗な脚が惜しげもなく晒されている。胸部装甲は皆無だ。セナたちに見られてリスキルされずに済む。
なるほど、大体読めたぞ。でもそれはそれとして。
空間認識能力全開。
所作模倣。対象は沙織と空さん。
所作融合。ちょっと男っぽい感じに。
声のトーンとイントネーションを調整。
第一声パターン1 ポーズを決めながら「好きなんだろぉ? こういう女の子がさぁ!」
パターン2 鏡を見ながら「これが……俺?」のテンプレート
準備完了!
「これが……俺?」
レイドボス戦すら越える脳みその超速回転で弾き出した答えは、とりあえず最初はテンプレに沿うというものだった。成る程……TSっ娘の気持ちがわかった気がする。幼馴染枠がセナだから百合展開にしかならないだろうけど。
「ん」
「迷ったのがダメだったかぁ……」
70点と厳しめの点数が書かれたボードを持ったれーちゃんにダメ出しされてしまった。くっ、流石にタメが長過ぎたか。
「それにしても、反転って特性をこんな感じにする辺り、パーフェクトだよれーちゃん!」
「ん!」
再度のサムズアップの応酬である。ただ俺の見た目がハァイ、女子ィ化した為ここは百合の花園に変わる可能性がある。そしてこの技術が他社に渡った場合、薔薇で作った百合の花が乱立する可能性ももれなく存在する。実際コワイ。
そんな
性別反転。身長は……俺が平均的な身長だからかそんなに変動なし。そして装備の色調と、性別的な差異が反転してるのだから察せられる。
「それはそうと、これがバレるのはなんか癪……」
だからこそ、さっきリビルドった時に取得したスキルが、必要だったんですね。
なんか余ってたチケットで取得した最上級のヘイト減少スキル、その名も【存在偽装】の能力は簡単。色々なモンスターからのヘイト減少と、プレイヤーネーム&看破された時のステータス偽装&看破耐性である。色々と縛りは多いけど便利で、変身能力を得た今なんか変なシナジーが発生したスキルである。
「ん!?」
「これでよし」
驚くれーちゃんの前で、名前をユキからしらゆきに変更。レベルも80から25くらいにまで下げて、純魔的なステ振りに変更する。持ち物は……偃月の非抜刀状態もいいけど、研究者っぽい見た目だから魔導書を一冊脇に抱えておこう。
「ん?*13」
「ちょっと初心者に擬態して第1の街爆破してきますね!」
この姿ならやれる。警戒されないからストーカーされないし、落し物も拾われない。そして制裁用クソ強NPCを呼ばれることも、脱出のために札束ビンタをする必要もない!
そして意気揚々と、ステルスしながらギルドホームを飛び出し、ノンステルスして歩き出した時だった。
「小さくて、白くて、ふわふわ、かわいい。貴女、マシュマロみたいですね?」
「ひぁっ」
そんな哀れな
アスト、渾身の呪い
なおれーちゃんの言葉はユキによる意訳です。その為、本質的な意味は同じでも口調とかはユキの認識に依存してます。
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Name : ユキ
称号 : 爆破卿 ▽
Lv 80(レベル上限)
HP 4000/4000
MP 3975/3975(7950)
Str : 0(20) Dex : 0(200)
Vit : 0(0) Agl : 0(20)
Int : 0(68)Luk : 990(30000)
Min :0(36)
《スキル》
【幸の求道Ⅲ】【仕込み長杖術(極)】
【動作制限解放】【運命のタロット】
【ドリームキャッチャー】【龍倖蛇僥】
【コート・オブ・アームズ】【魔力の泉】
【戦術工兵】
追加 : ノックバック強化(極)
【幸運は手指を助ける】
Dexによる判定を要する被戦闘域での行動に、Lukの値に応じて確率判定を行う。
成功すればLuk値を加えて判定することができる。失敗すればそのまま作業の判定を行う。
【存在偽装】
モンスターと遭遇しても単独の場合アクティブ化しない。
アクティブモンスターからのヘイト減少(極)
自身の名前とステータスを一時的に変更することができる
※見かけ上でしかステータスは変化しない
※このスキルと同等かそれ以上のスキル以外の効果でしか看破されない
※PK行為中、或いはGMが他プレイヤーに損害が発生する行為中はこのスキルは発動しない
-控え-
【常世ノ呪イ】【神匠の内弟子】
【特化作成 : 爆薬】
《装備一覧》
【錫杖《三日月》】(適応中)
Str +46 Min +20
Int +47
属性 : 光
状態異常 : 拘束
射程延長
耐久値 500/500
【杖刀《偃月》】【二式銃杖《新月》】
【浮遊魔導書 参拾式】
Int +10 Str +10
Min +10 Luk +10%
(略)
【機装堕天のモノクル】
Dex +60
命中補正(極) 弾道誘導(極)
マルチロックオン
耐久値 500/500
【機装堕天の多機能コート】
Dex +40
全天候ダメージ無効
全環境適応 ステルス
簡易ポーチ(5スタック×5)
耐久値 1000/1000
【ハザードグローブwithアストの神臓】
Dex +40
爆破ダメージ上昇50%
爆破範囲強化(極) 副次爆破追加
環境汚染爆破/環境爆破浄化
オートリロード(簡易ポーチ)
一定時間爆破に属性追加(属性と時間は捧げたアイテムに依存する)
リアクティブアーマー(爆弾系アイテムを1つ消費することで、威力に応じた範囲の状態異常を1種無効化する)
耐久値 1000/1000
【機装堕天のズボン】
Dex +40
低位状態異常無効
中位状態異常無効
簡易ポーチ(5スタック×6)
耐久値 1000/1000
【機装堕天のブーツ】
Dex +20 Agl +20
全地形ダメージ無効
特殊地形効果無効
特殊地形効果任意適応
耐久値 500/500
※装備ボーナス(機装堕天)
任意のタイミングで性別を反転可能
一度死亡するまで再発動は不可で、また死亡することで効果は解除される
《アクセサリ》
【賢者の証 : 消費魔力】×2
消費MP軽減 40%
【多機能ベルト】
被ダメージ軽減10%
簡易ポーチ(5スタック×6)
【アイテム射出装置(腰)】×2
指定部位の簡易ポーチに収められているアイテムを、任意の動作で前方に向けて射出する。
※射出可能数はプレイヤーに依存する
【アイテム射出装置(胴)】×2
【多機能ウェポンラック】
装備していない武器を3本まで、装備補正を受けない代わりに形を消して携行することができる。
簡易ポーチ(5スタック×6)
【最低の保険証】
ステータス補正が0以下にならない(※ステータス振りにおけるペナルティは除く)
【仮称 : 機装堕天の神核】
力を秘めた正十二面体の純然たる力の結晶をペンダントに加工したもの
※現バージョンでは装飾用アイテムでしかありませんが、後のアップデートで秘められた能力が解放されるかもしれません
《特殊装備》
【無尽火薬】
無尽蔵の火薬
収束爆弾(3/3)
集約爆弾(3/3)
耐久値 : なし
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