幼馴染がガチ勢だったので全力でネタに走ります   作:銀鈴

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え、合体できるんですか……?


第142話 朧「最近マスターが構ってくれない」

 出落ち(翡翠さんによる捕食)した悲しみを第1の街にぶつけて、自己採点75点くらいの爆破をしてきた後。れーちゃんとしらゆきちゃん用の装備をどうするか話し合ったり、セナや藜さんにしらゆきちゃんとして着せ替え人形にされたり、今まで使ってこなかった11個目のスキルの検証をしつつ新しい戦闘スタイルの模索をしたりして、時間はあっという間に流れイベント当日。

 

 諸々の家事を全て済ませUPOにログインすると、普段最初に目にするギルドホームの部屋ではない空間にユキの姿で立っていた。

 見渡した感じ室内はログハウス風。目の前にあるのは机とテーブル。そして対面の椅子に座ったメイド服の幼女。見た感じサポートAIとかそんな感じの存在だろうか?

 

「我々は私によって幼女趣味を理解した」

「なんでやねん」

 

 冷え切った目と声音で言われた言葉に、思わずそう突っ込んでしまっていた。瞳も金色だし、どことなくケイ素系の香りがするぞこの幼女。

 

「私は我々の創造者と35423番目のプレイヤーたるユキによって、男性には幼い少女の姿が、女性には幼い少年の姿が最適だと理解した」

 

 運営としてサポートAIがこんな状態でいいのだろうか? 間違った方向に学習して──いや、放置してるってことはこれで良いのだろう。

 

「そういえば、貴方のことはなんて呼べば?」

「私の開発コードはスフィンクス。故に私はスフィと呼称される」

 

 その割には受け答えにタイムラグなしで答えてくれるし、動きにも特に不自然さは感じられない。なんというか、チグハグな印象だ。

 

「我々はイベント概要を提示する」

 

 そんな風に考えを巡らせていると、業を煮やしたのか今回のイベント【探索!従魔大森林 -β版-】について新たな公開情報を加えた内容の画面が目の前に展開された。

 

 ・イベント開始直後はランダムに転送される

 ・マップの各地にセーブポイントが設置されている

 ・第2回イベント同様徘徊ボスが存在する

 ・所持しているペット6体までを1集団とし、6集団までPTとして扱える。つまりは少し特殊だが普段通りのPT編成が出来る

 ・同時召喚は不可。操作中のペットが死亡した場合、他の自身のペットに操作を引き継げる

 ・イベント期間中はログインするとこの場所に飛ばされ、イベント用サーバーに行くか通常サーバーに行くか選択できる。

 

 追加情報の中で特に重要そうだったのはこの6つほど。そういえばペットって、今の俺のレベルだと8体まで持てるんだったっけ。完全に忘れていた。

 それに普段と同じ人とのPTが組めないってことは、結構な問題な気がしてきた。野良PTが上手くいく試しってそんなに多くない気がするし。

 

「我々は単独行動を推奨しない」

「ですよね」

 

 ならやっぱり数体買ってくるべきだろうか? いや、それはそれで管理苦労が凄そうだしな……いや、最近セナも本気のスタイルの時尻尾が9本に増えてたし、割と皆持ってるのか。なら先達に倣おう。

 

「じゃあ一旦通常サーバー行ってきます」

「了解した」

 

 ということで仲間にして、30分程アストをコンスタントにしばき倒して最終強化してきたペット四天王。その内訳はこんな感じになっている。

 

 エントリーNo.1!

 仕込み刀に取り付いた真・付喪神の幻月!

 エントリーNo.2!

 仕込み銃に取り付いた真・付喪神の暈月!

 エントリーNo.3!

 降魔宝杖擬きに取り付いた真・付喪神の繊月!

 エントリーNo.4!

 ペット屋の人がくれた影型のペット朔月!

 

 そう、つまり俺はまんまと付喪神バブルに乗ってしまった訳だ。朔月はオマケで付いてきた。競り合いになったせいで、大体300万Dくらいの出費である。安い安い。

 実質一人暮らし勢として、本日限定と特売の文字には抗えなかったのだ……まあ、悪い結果ではないからいい。結果、ここに一番頼れる相棒の朧が加わり、計5体のペットを抱えることと相成った訳だ。

 

 お陰でユキとして戦う場合に、仕込み刀と銃と杖が魔導書同様周りを浮遊して、デフォルトで復活が3回、MPが9200ほど増え、少し防御性能が上がるという謎強化も入った。

 そして何より、初心者の攻撃を受けただけでHPが0にならなくなったという超強化。今なら多分、あの憎き兎*1も初心者の杖できっと倒せる。ペットだけでここまで強化されるとかうせやろ……?

 

「我々はユキによってゲテモノを理解した」

 

 今度のスフィの言葉には、自覚がある分何も言い返すことは出来なかった。何せ今の自分の姿は、合計30冊の魔導書が周囲をゆったりと旋回し、その内側に三振りの杖が旋回しており、時折影が蠢いているのだから。どう見ても敵方の存在である。

 

「それじゃあ、今度こそイベントに参加してきますね」

「了解した。我々は健闘を祈る──あっ、これキャラ作りの中でも不評だったタイプなんですけど、これから変えますか?」

「折角なんでそのままで!」

 

 いや、まともに喋れたんかい。唐突にスフィの言い放った言葉に、思わず本音と建前が逆になってしまった。けれど嗚呼、引き返す間も無く転送は始まっていく。

 

 《人外用コントローラー type:Size changeを起動します》

 《人外用コントローラー type:Insectaを起動します》

 

 そして何かを言い返す前に身体の分解が始まり……気がつけば俺は、鬱蒼と生い茂る大森林の中にいた。名前はWasp*2なのに身体はBee*3な朧の姿で。

 

「おぉ……」

 

 本来の自分の掌サイズから見る世界は何もかもが大きく、何もかもが新鮮に見えた。増えている6本の足も、翅を使った飛び方も、これまでずっとそうしてきたように動かせる。ある意味怖い。

 

「一応、普段通りメニューも開けると」

 

 開いたメニュー画面は、普段とさして変わらない状態だった。流石にステータスやお金、所持品の引き継ぎは無いようだけどそれは仕方のないことだろう。

 一応あるマップもほぼ白紙であり、他プレイヤーの姿も、徘徊ボスの姿も確認できない。さて、どうしようか。

 

==============================

 Name : 朧

 Race : レギオンワスプ

 Master : ユキ

 Lv 45/45

 HP : 2000/2000

 MP : 1500/1500

 Str : 150 Dex : 120

 Vit : 85 Agl : 600

 Int : 40 Luk : 65

 Min : 85

《ペットスキル》

【状態異常攻撃 : 猛毒】

【状態異常攻撃 : 移動速度低下】

【状態異常攻撃 : 呪い】【状態異常攻撃 : 魅了】

【自爆】

 HPを0にし、現在のHP分のダメージを与える。範囲は半径威力/100m

【レギオン】

 自身の最大MPを半分にし、自身のステータスと同等(HPMPは半分)の実体を持った分身を20体作り出す。

 効果時間 : 分身が全滅するまで

《スキル》

【真・影分身】

 自身のMPを1割消費して、自分の半分のステータス(HPMP含む)の実体がない分身を5体作り出す。

 効果時間 : 戦闘終了まで

 冷却時間 : 20秒

【ドッペルゲンガー】

 自身と同じステータスを持つ扱いの実体のある分身を作り出す。分身の維持には毎分100のMPを支払う。

 また、分身出現中に受けたダメージは全て分身が受ける。分身のHPが0になったとき、このスキルは解除される。

 冷却時間 : 20秒

【多重存在】

 攻撃のヒット数を3増加する(威力は4分の1に減少する)

【状態異常攻撃 : 裂傷】

【状態異常攻撃 : 最大HP減少】

【状態異常攻撃 : 最大MP減少】

《装備枠》

 なし

==============================

 

 少し表示が変わっているけど、特にエラッタとかはされていないらしい。見ての通り、朧のステータスは速度と状態異常特化型。この時点で普段よりマシな探索ができるのは確実だけど、戦うなら少し心許ない。

 

「……なら、マップ埋めしつつ合流を目指すのが一番か」

 

 そうと決めたらサクサクと進めよう。

 そこら辺の木の枝を走っていたリス(哀れな被害者)を捕獲。何度か足でペシペシと叩き戦闘状態に移行しながら、諸々の状態異常を付与する。これで準備完了である。

 

「分身の操作はセミオートにするとして……」

 

 リスが毒でお亡くなりになる前に、分身系のスキルを全起動。総勢252匹の群勢となった自分を、四方八方に全速力でばら撒いた。

 

 急速にマップから空白が消えていく。名前が見えるモンスターを発見。モンスター。モンスター。川。砂漠に到達。敵。敵。敵。採取ポイントっぽい場所。他の蜂の巣?自爆してよし。敵。水場。ダンジョン。岩石地帯に到達。森の深部。あっ、ゴリラさんちっす。えっちょっまっミ゜ッ。空。広い。鳥。食われた?自爆してよし。明らかに手の入った場所。巣。プレイヤーが複数名。

 

「よし、拠点っぽい場所見つけた」

 

 プレイヤーがいる場所以外の分身を、いい感じの場所で自爆。マップで残った最後の分身の座標をマップで確認。ここで、下敷きにしていたリスのHPが尽きたらしく、分身は消滅してしまった。

 しかし十分過ぎる程マッピングは出来たし、プレイヤーの拠点らしき場所も発見出来た。MPを消費しただけにしては、十分な結果である。

 

「行くか」

 

 そう一言自分に言い聞かせて、翅を広げ飛び立った。そのまましらゆきちゃん用戦闘スタイル模索で慣れた高速移動で、最後まで反応があった方向に全速力で飛翔する。

 

「すみません!」

 

 このイベントって、どんな感じで進んでいるんですか? と、聞こうとした瞬間だった。

 

「虫陣営発見! 小型高機動の蜂型!」

「チッ、もう見つかったのか!」

「遠距離攻撃持ち、てぇぇぇ!!」

 

 一切の警告も説明もなく、突然飽和攻撃に晒された。飛んでくるのは針、黒い球、魔法の数々による弾の壁。これくらいなら避けられるとはいえ、ちょっとこれはあんまりではないだろうか。

 

「一応話し掛けたんだけどなぁ……」

 

 こうも煩くなってしまっては、もう声なんて届かないだろう。しかもなんか戦闘態勢が整ってきてるし、スキルが発動できる辺りPvPがこのイベントでは解放されているらしい。リーダーらしき狼のヴォルフさん以外は爆破していいか。

 

「【レギオン】【真・影分身】【ドッペルゲンガー】」

 

 さっきと同様、分身体の制御はセミオート。セナは7人とはいえ全手動らしいから、明らかに鍛錬不足である。それでもなお、数の暴力というのは覆せないものである。

 

「各分身体、順次【自爆】開始」

「ひっ、なんだこの数!?」

「助けっ」

 

 地表付近。リーダーを除いた範囲で、目測7〜10mの爆発が連鎖する。相手の攻撃をすり抜けて自爆した分身体、つまり攻撃力700〜1000程度の範囲攻撃の連鎖だ。

 しかもその全てに猛毒、移動速度低下、状態異常耐性低下、確率行動不能と自傷、裂傷によるスリップダメージ、最大HPMP減少の効果が乗っているのだ。生半可なペットではリスキル確実だろう。

 

「こちらが話し掛けたのを無視して、いきなり襲いかかってきた説明してくれませんか? 分身(残弾)はまだまだありますけど」

「……はい」

 

 リーダー格以外が静かになったところで、分身を引き連れつつ地表に降りた。そして精一杯の笑顔(スズメバチの威嚇音みたいな音が鳴った)を浮かべながらヴォルフさんに問いかけると、丁度イッヌがお座りするような姿勢で返事をしてくれた。

 耳はぺたんと閉じ、尻尾は股のうちにしまい込み、小刻みに震えているけれど知ったことではない。最初からそうしてくれればよかったんですよ、そうしてくれれば。

*1
第4話くらいの兎。未だに爆破抜きだと中々倒せない

*2
スズメバチ系

*3
ミツバチ系




前話のEND、メス堕ちしらゆきちゃんが誕生する可能性があったので捕食シーンはカットしてたりしてます。TSした瞬間堕ちるとか、前々から受けではあったけどユッキー弱すぎない????

おまけ
ユッキーの本日限定特売ペット達
==============================
 Name : 暈月
 Race : 付喪神・真
 Master : ユキ
 Lv 40/40
 HP 1500/1500
 MP 2000/2000
 Str : 600 Dex : 100
 Vit : 100 Agl : 90
 Int : 10 Luk : 90
 Min : 100
《ペットスキル》
【完全憑依 : 器物】
 ペット取得時発動
 主人の持つアイテムのうち何か1つに憑依する。憑依したアイテムに自身のステータスを全て加算する。
【スキル共有】
 自身の所持するスキルを主人と共有化する
【憑依物性能強化】
 自身が憑依したアイテムの性能を30%強化する(自身の加算分は除く)
【自律駆動】
 主人の意思とは関係なく活動することができる。その場合、毎分10のMPを消費する
【変化物】
 対霊性を獲得する
【魔銃】
 使用時主人のHPを確率で5%消費する。また、同種族(主人・ペット共通)を討伐する度正気度を1減少させる
《スキル》
【主人追従】
 主人から半径10m以内までであれば、MP消費なしに移動できる(攻撃・防御不可)
【装填補助】
 銃火器類憑依時限定スキル
 主人のDex・Agl合計分リロード速度を上昇する
【銃火器ノ理】
 火器類を用いて攻撃する場合、与ダメージ+20%、クリティカル発生率+30%
【忠誠ノ誓イ】
 主人と自分のMPを共通化する。また、主人のHPが0になった場合、自身のHPを0にして復活させることができる。
《装備枠》
 憑依 : 【二式銃杖《新月》】
==============================
 Name : 幻月
 Race : 付喪神・真
 Master : ユキ
 Lv 40/40
 HP 1500/1500
 MP 2000/2000
 Str : 600 Dex : 120
 Vit : 80 Agl : 100
 Int : 10 Luk : 100
 Min : 80
《ペットスキル》
【完全憑依 : 器物】
 ペット取得時発動
 主人の持つアイテムのうち何か1つに憑依する。憑依したアイテムに自身のステータスを全て加算する。
【スキル共有】
 自身の所持するスキルを主人と共有化する
【憑依物性能強化】
 自身が憑依したアイテムの性能を30%強化する(自身の加算分は除く)
【自律駆動】
 主人の意思とは関係なく活動することができる。その場合、毎分10のMPを消費する
【変化物】
 対霊性を獲得する
【妖刀】
 使用時主人のHPを確率で5%消費する。また、同種族(主人・ペット共通)を討伐する度正気度を1減少させる
《スキル》
【主人追従】
 主人から半径10m以内までであれば、MP消費なしに移動できる(攻撃・防御不可)
【急所狙い】
 刀剣類憑依時限定スキル
 クリティカル時の威力が50%上昇する
【刀剣ノ理】
 刀剣類を用いて攻撃する場合、与ダメージ+20%、クリティカル発生率+30%
【忠誠ノ誓イ】
 主人と自分のMPを共通化する。また、主人のHPが0になった場合、自身のHPを0にして復活させることができる。
《装備枠》
 憑依 : 【杖刀 : 幻月】
=============================
 Name : 繊月
 Race : 付喪神・真
 Master : ユキ
 Lv 40/40
 HP 1500/1500
 MP 2000/2000
 Str : 300 Dex : 100
 Vit : 95 Agl : 100
 Int : 300 Luk : 100
 Min : 95
《ペットスキル》
【完全憑依 : 器物】
 ペット取得時発動
 主人の持つアイテムのうち何か1つに憑依する。憑依したアイテムに自身のステータスを全て加算する。
【スキル共有】
 自身の所持するスキルを主人と共有化する
【憑依物性能強化】
 自身が憑依したアイテムの性能を30%強化する(自身の加算分は除く)
【自律駆動】
 主人の意思とは関係なく活動することができる。その場合、毎分10のMPを消費する
【変化物】
 対霊性を獲得する
【魔杖】
 使用時主人のHPを確率で5%消費する。また、同種族(主人・ペット共通)を討伐する度正気度を1減少させる
《スキル》
【主人追従】
 主人から半径10m以内までであれば、MP消費なしに移動できる(攻撃・防御不可)
【射程延長】
 本来の武器より射程を延長する
【錫杖ノ理】
 錫杖類を用いて攻撃する場合、与ダメージ+20%、クリティカル発生率+30%
【忠誠ノ誓イ】
 主人と自分のMPを共通化する。また、主人のHPが0になった場合、自身のHPを0にして復活させることができる。
《装備枠》
 憑依 : 【錫杖《三日月》】
==============================
 Name : 朔月
 Race : デァ・ゲファッター・トート
 Master : ユキ
 Lv 45/45
 HP : 1500/1500
 MP : 2000/2000(3200)
 Str : 125 Dex : 200
 Vit : 150 Agl : 400
 Int : 50 Luk : 50
 Min : 150
《ペットスキル》
【影ニ潜ム】
 召喚時指定の影に潜り込みMPを共有する
【光属性脆弱】【自動反撃】
【状態異常攻撃 : 即死】【自動防御】
【マジックミラーボディ】
 表からは黒い身体に見えるが、裏からは周囲を映し出す身体を持つ
《スキル》
【魔力核】【魔力核Ⅱ】【魔力核Ⅲ】
【悪食】
 遠距離攻撃系ダメージを無効化、想定威力の30%HPを回復する。
【肉風船】
 MPを消費して近距離攻撃のダメージを遠距離攻撃として計算する。
【影の衣】
 影に潜り込んでいる間、対象が受けるダメージを全て自身に適応する。その際物理ダメージは半減して適応する
《装備枠》
 なし
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