幼馴染がガチ勢だったので全力でネタに走ります   作:銀鈴

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異聞帯を踏破して遅れた挙句、昨日誤爆したので初投稿です


第143話 探索!従魔大森林 -β版-

「成る程、今回のイベントはそういう風な流れになってるんですね」

 

 取り敢えず無力化したリーダーに対して、たっぷりと時間をかけて脅h……じゃなくて尋m……でも無くて、お願いをしたところ、最初の態度はなんだったのかと思うほど素直に話をしてくれた。

 

 曰く、最初はほんのちょっとした衝突だったらしい。

 名前は知らないけれど動物系のペットのプレイヤーが、俺のように虫系のペットを使っているプレイヤーに対して「気色が悪いから近寄らないで。PTを組んで一緒に冒険なんてしたくない」と言った。

 それに対して虫系のプレイヤーが「そんなことを言うお前こそ、他のプレイヤーとPTを組む資格なんてない。人の好きを馬鹿にする相手なんかとは、こちらこそお断りだ」と言った。

 

 そこまで聞いた限りでは虫系のプレイヤーに大賛成だし、その場にいたプレイヤーの空気も大半は虫系プレイヤーに傾いていたらしい。実際今震えてるヴォルフさんも、意見として虫側らしい。

 

 ただ間の悪いことに、動物系のペットのプレイヤー……チワワだったらしい……は所謂姫プレイヤーだった。更にそこには、大量の取り巻きがいた。しかも、あまり頭のよろしくないというか、自分に酔ってる連中だ。

 

 そこまで聞けばもう、結果は見ずにとも想像できる。始まったのは大乱闘。無機物系プレイヤーが出てきて仲裁を試みようとしても、姫が一切聞く耳持たず乱戦に。

 

 その場は圧倒的な物量差で姫側が敗北したけれど、姫側が掲示板とフレンド経由でデマをばら撒いたらしい。曰く、『虫プレイヤーに騙されてキルされた。無機物系プレイヤーもそれを見てるだけで助けてくれなかった』と。

 本来なら相手にもされないその噂は、プレイヤーをキルしても進化に必要な素材を落とすPvP仕様のイベントであることも重なり、尾ひれはひれが付きまくって拡散。組織立って動物系vs昆虫系、中立の無機物系という流れになったと言うことらしい。

 

 確認してみたら、結構な素材が俺のアイテム欄にも溜まっていたから、PKで素材ゲットが可能というのは間違いない。しかも常に窒息してる検証班が珍しく動いて、同レベルの敵モンスターと同等の素材が泥することまで判明してるのだとか。

 

「流石に普段通りのPTで動いてる奴らは別だが、集団で動いている奴は大体そんな考えになっている」

「厄介なことしてくれましたね、ほんと」

 

 つまり探索しようと意気込んで来たのに、探索イベという趣旨が完全に壊れていたという訳だ。こういうのが嫌で、ネトゲをあんまりやってなかったことを思い出した。

 

「まあ事情は分かりました。それで、一応話し掛けたんですけど、なんで俺は急に襲われたんですか?」

「今思えば分身なんだろうが、一回こっちを見に来てただろう? だから偵察だろうと思ってな」

「あー……そういうことですか」

「とんだ誤解だったがな。申し訳ない」

「いえ、それを言ったらこっちも、反射的にあなた以外をリスキルしちゃいましたし」

「反射的にリスキルって、マジかよ爆破卿……」

 

 お互い頭が冷えたからか、そんな感じで割と冷静な話をすることができていた。決してこれは脅しでも脅迫でもない、ちゃんとした対話なのである。

 

「それで、爆破卿はこれからどうするんだ?」

「そういう諍いは嫌いなんで、ギルドのみんなと合流を目指しますかね。なまじ有名なので、巻き込まれたら面倒だと思うんですよ」

 

 自分がゲームの中で有名なのは、重々承知している。極振りとしても、ユニーク称号持ちとしても。そしてそんな奴がどこかの陣営に加担したら、それだけで騒ぎは大きくなると別ゲーで経験済みだ。

 

 さすがだぞ 自分の 影響力を

 ばっちり わかって いるんだな!

 

 じしんかじょうな脳内の幻影は爆破処理だ。謎の思考に邪魔されたが、今回のイベントも結局、セナたちを頼るかソロで行くのが正解となる。……本当は普段絡みのない、避けられてたりする人とも遊べたらと思ったけど、諦めた方が良さそうだ。

 

「それじゃあ失礼しますね」

「いや、ちょっと待ってくれ」

「はい?」

 

 戦闘状態を解除するのは惜しいけど仕方ない。そう飛び去ろうとした時、何故か俺は引き留められた。

 

「なら、この後少しで良いから付き合ってくれないか? 元々、まだ誰も踏破していないダンジョンを見つけて、今から挑むところだったんだ」

「んー、別に良いですけど、何故? というか、割と俺まだ貴方のこと信用してないんですけど」

 

 暗にまだPKする気やろ、騙されんぞ(画像略)と伝えてみる。いやまあ、してきたならしてきたで返り討ちにする気しかないけれど。それでも事情を聞いてしまった以上、あんまり関わりたくないのが事実だった。

 

「なら、虫系ペットの進化に必要なアイテムを全部渡す。一番レア度の高いアイテムも入っていたはずだ。それで依頼ってことに出来ないか?」

「そういうことなら良いですけど、報酬高くないですか?」

 

 隠し事してるやろ、それじゃあな!と探りを掛ける。だが正直進化アイテムは欲しい。後ろ髪引かれている。だから素直に話してくれるなら良いのだけど……

 

「単純に、朧さんの能力からしてそれくらいの価値はあると思うんだよ。あの分身数なら、探索も戦闘も確実に楽になる」

 

 確かに分身数の上限が500匹までに制限されたとはいえ、虫系プレイヤーの分身能力は有用だろう。我ながら分身特化型は、特に探索において凄まじい活躍が出来ると現在進行形で認識している。何せもうすでに、この地域一帯のマップは完成しているのだから。

 序でに進化用アイテムと思しき物も、人海戦術ならぬ虫海戦術で根刮ぎ回収中だ。朧の進化分は、それこそ最後に必要な『虫入りの琥珀晶』なるアイテム以外はそろそろ集まると思う。

 

「それと、こっからは下心だから嫌なら拒否してくれて構わない。その上で相談なんだが、ちょっと配信に出てみないか?」

「はい?」

「一応これでも、動画配信者(ストリーマー)をやってるんだ。ヴァーチャルなガワを纏って」

「ははぁ」

 

 ヴァーチャルなってことは、確かDutubeとかそういう感じの名前のところだろう。偶にSNSでバズってる人くらいは俺でも知っている。過去のすったもんだはあったとはいえ、今は割と花形のポジションにいる人たちの筈だ。視聴者数が伸びれば、それ一本で食っていける人もいるとかなんとか。

 

「というか、UPOって配信に対応してたんですね」

「ああ。時間加速実装の時に一旦非対応になったが、最近復活したんだ。そのお陰でブームで、ソフトが品薄になってるらしいぞ?」

「へぇ〜」

 

 生返事をしながら気になったので外部サイトに接続。適当に検索してみれば、確かに色々と動画が上がっていた。長時間のミスティニウム解放戦の動画がある辺り、あのイベントの時点では既に配信が解放されてたらしい。

 

「再生数とかも稼げそうですしね」

「まあ、そういう狙いもないことはない。登録者数は10万と少しいてくれるから、元々困ってないけどな」

 

 多分それなりに有名な人だったらしい。知らないけど。

 あ、この動画のサムネ、デュアルさんを掘り起こしてる俺だ。誰だ盗撮してアップしやがった奴。というか極振り系の動画割と多いな。

 

「あ、割と極振りに挑戦してみた系の動画もあるんですね」

「俺含めて、全員挫折してるけどな」

「えぇ……」

 

 どうやら目の前のヴォルフさんも、挫折組の1人らしい。いやまあ、理由がわからないことはない。我ながら当初の装備だと、未だにうさぎに苦戦するし。

 

「因みに何のステータスを?」

「Strだった。お陰で今もStr偏重型でやってる」

「ということはペットもその強化系ですか?」

「ああ、こう見えて付喪神系で、変形して剣になる」

 

 言うと、ヴォルフさんの全身が折りたたまれる様に変形を始め、開いた狼の口から細長い両刃の刀身が伸びる剣に変わっていた。何これカッコいい……

 

「今は銀河一刀流をどうにかスキルで再現できないか、配信中でも配信外でも練習中だ」

「いつか百鬼夜行をぶった斬れると良いですね」

 

 分かってくれたのかとでも言いたげに目を光らせたヴォルフさんと、握手……は出来ないのでサムズアップ……も無理だ。ウインクすら出来ねぇ!

 

「まあ、そのなんだ。ありがとう。というか、随分古い作品なのによく知ってるな?」

「なんやかんやで今でもスーパーヒーロータイム観てますから」

 

 昔沙織とプリキュアから観てたせいで、今でも見続けている。ああいや、順番が変わったんだったか。なんでか昔とあんまり変わらない、隣に並んで見る構図だから気にしてなかった。……正直今の戦隊モノは趣味に合わなかったから観てないけど。

 

「それで、話は戻すが配信の方は……?」

「いくつか条件がありますけど、それでもいいなら」

 

 元々の趣旨からは若干外れたことになるけど、偶には知らないプレイヤーと遊びたいという目的は達成できる。火力特化プレイヤーなら、相性も悪くないし。

 

「分かった! 条件を教えてくれ!」

「PTは組まないで、このまま敵対状態で良いですか? このままの方が分身の管理が楽なので」

 

 一々分身を再開するのは、実際面倒極まりないのだ。その点敵対状態のままなら、分身管理が凄まじく楽なのだ。

 

「あと折角なんでフレンド登録と、チャンネル教えてください」

「PT組まないままは……まあ、仕方ないか。けど残り2つは、寧ろこっちからお願いする様なことなんだが? それくらいで良いなら、条件を飲もう。ドロップ品はどうする?」

「1段落ついたら話し合いってことで」

「分かった。じゃあ少し待ってくれ、今配信の準備とか告知とかの諸々を済ませる」

「はい、じゃあ俺は分身集めておきますね」

 

 フレンド登録……クルーガーさんというらしい……を済ませて、教えてもらったチャンネルを一応登録。準備をしている横で、片手間に動画を漁ってみる。うわ、普通に有名どころ所属だ。

 

「それにしても、よく時間加速してる中から通常速度のネット弄れますよね」

「そこが一番運営が苦労したポイントらしい」

 

 そんなことを言いつつ、件のダンジョンまでの道をクリアリング。それで必要な進化素材は8割型揃ってしまった。まあ、楽しめそうだから良いか!

 




デカレンジャーはいいぞ……そしてルパパトもいいぞ
サモーン・シャケキスタンチンの野望が1年越しで叶ったルパパトはいいぞ
\クリスマスにはシャケを食え/

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