幼馴染がガチ勢だったので全力でネタに走ります   作:銀鈴

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割といらないって意見多かったので、一般プレイヤー目線のイベント回は消えました(大嘘)書いててつまんなかったので消しました


第151話 バクハ……バクハ……バクハシタイ……

 何故か配信に出演することになった初日と2日目以降。特に何か、特別だったり大きなイベントに巻き込まれることはなく、1週間という長いようで短いイベントの期間は終了した。

 当然その間、合流できたセナや藜さん、1日遅れたものの全員集合したすてら☆あーく全体でイベント攻略をしたりもしたがそれはそれ。工夫を凝らした爆破も出来たし、一気に攻略速度が上がって、全員の全ペットが現時点での最終段階に進化したくらいだ。

 

 まあ、そんなことはどうでもいい。イベントが終わろうと、あれ以降特にイベントが無かろうと。今の俺にはそう! この桃源郷があるのだから!!!!!

 

 たった一つの真理(爆発)に気付く!

 見た目は掘っ建て小屋!

 中身は火薬庫!

 その名も……その名も?なんだろう、特に決まってなかった。信貴山城(しぎさんじょう)にでもしようか、いや不敬か。

 

「右を見れば火薬、左を見れば爆薬、天上には朧の巣、床には地下室へ続く隠し階段! すぅぅぅぅ……ああ、秘密基地感、最高」

 

 配信でここの情報をリークしてくれたあの人には感謝しかない。よもやここまで、良い爆発物とその素材が採取できるとは思いもしなかった。

 これでも爆薬や火薬、爆弾の製作に関してだけは問題なく出来るのだ。そして誰に見咎められることもない。つまり、改良も魔改造もし放題である。

 

「それに、やっと完成したぁ……」

 

 そうして、まる2日ほど掛けて行っていた大仕事が、たった今完了した。ザイルさんから挑戦していると、話だけは聞いていたことを先んじて──かは知らないが成功させたのだ。我ながら鼻が高い結果だ。

 

「称号報酬の特別アイテムの改修……あとでザイルさんにも教えとこう、れーちゃんにも」

 

 結果に満足感を感じつつ、装備から外していた【無尽火薬(アタ・アンダイン)】改め、【無限火薬(ピース・プール)】を見る。見た目は以前から何も変わらず、カラビナに黒い中身の詰まった試験管が3つ接続されているものが一対。

 

【無限火薬】

 無限の火薬

 収束爆弾(3/3)

 集約爆弾(3/3)

 耐久値 : なし

 

 この通り、データとしても名前の表記が変わった程度だが、しかし、まるで全然! 元のスペックとは程遠いんだよねぇ!

 

 収束爆弾……つまりクラスターなタイプの爆弾は、範囲が3割り増。威力は元々が固定500くらいのダメージだったが固定700に。装備効果を含めれば当たれば固定1050ダメージ、十分すぎる火力だ。

 具体的には、集約爆弾の方は5段ヒットで“全段ヒットの場合”固定ダメージが3000。装備効果を含めれば4500……ある程度までのプレイヤーなら確定1発の火力だ。というか俺は即死する。自爆で即死するので、おいそれと使えなくなってしまった。

 

「あとこっちも随分改良できたけど……販売はしなくて良いかなぁ」

 

 満足感に溢れて頬ずりする程完璧に仕上がったそれは、見た目はもうしっかりとした現代的な爆竹ではない。ただの竹筒に見えるこれは、時代が戦国時代に戻っていると言って過言ではないだろう。

 

「……? いや、寧ろこれこそ本当の爆竹?」

 

 なんか頭が混乱してきたが、この爆竹……アイテム名【爆竹・平蜘蛛】の性能は本物だ。

 

 本来なら持ち運びに難があり、その場に設置して起爆する程度しか出来ない大型の樽に詰めた爆弾がUPOには存在する。通常プレイヤーが店売りで手に入れられる最強の爆弾の威力が、固定ダメージ800となっている。

 それに対して、この平蜘蛛の威力は650。俺の筋力でも難なく扱え、ある程度は投げられ、携行性の高いという特徴を持ちながらだ。序でに、俺の場合装備補正で威力は975の固定ダメージになる。当たった場合アドでしかなく、他プレイヤーが使ってはPvPが終わるようなアイテムだ。文字通りの爆アドだ、爆弾だけに。

 

 まあ、材料に無限火薬から創り出せる火薬、朧の巣から取れる女王の慈悲と働蜂の結晶、そしてこの【悉燼の燎丘】と【尽焼の燎森】で採取できるアイテムが必要だから、そうそう簡単に他人が作ることなんてできないが。

 

「惜しむらくは、外で使った瞬間マップごと爆ぜることだよなぁ……朧もそう思うでしょ?」

『呆』

 

 ダメだったらしい。ここの生態系は本当に素晴らしいと思うのだけれど、そこだけが難点だった。使うと……というか火花1つ、足を一歩踏み出すだけでマップが爆発する。

 お陰でこの2日でPK扱いまで受けてしまった。解せぬ。ちゃんと気をつけて歩いても爆発するけど、辺り一面に水か氷をぶち撒ければ燎丘はどうとでもなるのに。

 

「あー……堪能した。素材取って来なきゃ」

 

 こうして、俺だけの秘密基地に大の字で転がって、ただの出癖でアイテム作製を続けること十数分。採取してストックしておいたはずのアイテムが尽きたので、仕方がなく起き上がった。

 

「朧ー、ちょっと護衛お願い」

『呆、了』

 

 巣(爆薬)で蜂蜜(爆薬)を作っている朧に頼めば、渋々と言った様子で引き受けてくれた。ちょっと流石に、【尽焼の燎森】は俺単独では生存すらままならない環境なのだ。

 

 何せ【尽焼の燎森】の植生の大半を占めるのが、()()()()()なのだから。そう、言わずと知れたコアラの主食と、日本の風景でよく描かれる植物──などではない。

 ユーカリは自らの繁殖の為に自然発火するとかいう、意味不明な生態を持っている謎植物。竹だって意味不明な繁殖力と、焼けると爆ぜる性質を持っている。

 

 そんな元々危ない性質を持っている物が、この土地の全てが爆発か火を発するという性質で変異強化されている。相変わらず一歩無防備に踏み出すだけで、マップごと爆発炎上するように。

 因みに生息モンスターは、火を吹き爆ぜる蛇、ツチノコ、ムカデ、クモ等厄介な奴らばかりである。

 

「さあ、一丁採取に行きますかぁ!!」

 

 と、勢いよくプレイヤーホームの扉を開け放ち、一歩を踏み出した瞬間だった。ふわりと、火の粉が舞う。

 

「あっ」

 

 起爆。暗転。リポップ。

 

 朧の呆れきった声が聞こえた気がした。

 

 オイオイオイ、死んだわアイツ。早く耐爆仕様のプレイヤーホームにしなければ。ビルの残骸とか大したものじゃないけど使えそうだし。脳内のメガネもそう言ってる。

 

 

 所は変わって旧大陸(暫定)のギルドホーム。

 

「ねぇねぇユキくん。ユキくんは見た? 次のイベントの話」

「まだ。噂ではPvP形式っては聞いてるけど」

 

 爆破でヒビの入ったプレイヤーホーム強化の為、今日も花火ルの残骸運びに精を出すかーなんて、ギルドホームの机でアイテム欄を整理していた時だった。机の向こうから、そうセナが話しかけてきた。

 

 あくまで最近ずっと入り浸っていたペット強化イベントは、運営の告知ではミニイベントでしかない。次にある本イベントまでの繋ぎとして、急に実装したとかそんな話だったはずだ。

 そして他でもないセナ自身から、次のイベントはPvPじゃないの?という予想は聞いている。

 

「今までずっと、色んなイベントはやっててもPvPだけやってなかったからね。それでね、さっきアップデートの予告と一緒に次回イベントのお知らせが更新されてたんだ」

「ということはやっぱり?」

「うん、確定みたい。第7の街が元々開催予定だった場所で、今まで更地だったから実質中止だったけど、復興がようやく終わったんだって」

「文字通りの更地だったからね……」

 

 本当にほぼ何もない焦土に変わった第7の街だった場所は、今でもありありと思い出せる。そしてそこに、『プレイヤー自治区を作るんや!』と叫んで殺到していった生産職の皆々様方も。

 

「それで、今プレイヤーがほぼ占拠してる状態だから、最低限街としての活動ができるNPCを実装してイベント開催地にするって……ほら、これ!」

 

 そんなことを思い出していると、座る場所を隣に変えて、セナが携帯でUPO公式のSNSの画面を見せてくれた。まだゲーム内では情報が来てない辺り、まだ宣伝段階らしい。

 

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《イベント予告!》

 遂にこの時がやってきた。

 プレイヤー同士が覇を競い、蹴落とし合う時が!

 プレイヤーの頂点が決まる時、世界が動き出すだろう

 PvPイベント【正月礼賛、餅つき兎は最強の夢を見るか】

 ※本イベントに限り、プレイヤー同士の戦闘場面を公式がPVとして採用する場合があります

 開催期間 12/7〜12/14

 開催場所 初心者・中級者の部『始まりの街』

      上級者・パーティの部『第7の街』

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 文字数制限があるからかそんな感じに纏まっていて、リンク先で更なる詳細が見れるような形になっていた。こうもご丁寧に開催場所を分けてあるのは、多分戦力の足切りだろう。レベルが足りなければ基本的に上級の方には来られないが、逆に辿り着ける実力が有れば参加資格があると見做すみたいな。

 

「というわけで! 久し振りにデートしよユキくん。第7の街で!」

「いいけど……久し振りだっけ? 確か昨日も放課後──」

 

 遊びに行ったような。そう口にする前に、圧倒的なパワーの差で口を塞がれてしまった。元より特に異存はないけど、行くのはほぼ確定らしかった。元ミスティニウム、闘技場と賭場と闇市と遊園地やらなんやらが混ざり合ったカオスな空間になってるらしいから、行ったことないんだよなぁ……

 

「それでも、最近ユキくんと一緒に冒険してないもん。ずっと最近、噂の新大陸?に行ってばっかりだし」

「それもそっか。復興最初期以降、ミスティニウム行ってないから割と楽しみかも」

 

 まあ現実の遊園地なんて、行った記憶がそんなにないが。でもここはゲームの中、なんか知らないけど火薬と爆薬は定期的に売れてる所だし、きっと爆破関係の何かもあるに違いない。

 

「行くのは今から?」

「今から!」

「了解っと」

 

 プレイヤーホーム強化は急ぐことじゃない。なら良い機会だし行くとしよう。なんてことを考えながら、アイテム欄に詰め込んであったビルの残骸を全て破棄した。消す作業が面倒過ぎて、部屋にまだ99スタック以上はあるんだよなぁこれ。

 そんな操作をしていたからか、セナがガッツポーズらしき動きをしてたのは見えたが、何かを呟いてた内容は聴き逃してしまった。

 




何だかんだ、休日どころか平日も主人公とお出かけしてるヒロイン
ゲーム内でも外堀から埋めてきました

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