幼馴染がガチ勢だったので全力でネタに走ります   作:銀鈴

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運営がLP半分払いました


第153話 お前らはエキシビジョン行き(神の宣告)

 俺の預かり知らぬところで、PvPイベントでセナと藜さんが戦う約束が成立した事件から数日後。一旦そのことは頭の隅に寄せ、王城を盛大に爆破した数時間後。ゲーム内でイベント【正月礼賛、餅つき兎は最強の夢を見るか】の詳細が発表された。

 

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《イベント予告!》

 遂にこの時がやってきた。

 プレイヤー同士が覇を競い、蹴落とし合う時が!

 プレイヤーの頂点が決まる時、世界が動き出すだろう

 PvPイベント【正月礼賛、餅つき兎は最強の夢を見るか】

 ※本イベントに限り、プレイヤー同士の戦闘場面を公式がPVとして採用する場合があります

 開催期間 12/7〜12/14

 開催場所 初心者・中級者の部『始まりの街』

      上級者・パーティの部『第7の街』

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 当該期間、現実時間で午前10時〜午前0時に2時間毎に、プレイヤーvsプレイヤーで戦い覇を競う一大イベントを開催します。相手と待ち合わせし同じ時間で戦うも良し、強大な相手を避けるも良し、自由にお楽しみください。

 また各会場、難易度についての目安。全体を通じてのルールを以下に記します。

 

【基本ルール】

 決着方法 : どちらかが戦闘場所外にリスポーンする(自力での復活、ペットのスキルでの復活は続行と見做す)

 戦闘空間(個人戦) : 50m×50m×50m

 戦闘空間(PT戦): 100m×100m×100m

 アイテム使用制限 : 復活アイテム、HP・MP回復アイテム全て(魔法等自力での回復、ペットによる回復は除きます)

 戦闘後の処理ついて : 戦闘終了後HP・MP、装備の耐久度、ペットのHP・MP、回数制限スキルの回数が回復します。ただし、使用したアイテムは復活しません。

 参加賞 : 称号【夢に挑みし者】

     効果はありません

 賞品 : 本イベントはポイント制です。優勝者、準優勝者、第3位が受け取ることが可能な特別称号を除き、イベント終了までにポイントを引き換えてください。

 

 初心者の部 : Lv1〜20

       ペット召喚禁止

 中級者の部 : Lv21〜50

       ペット召喚可能数1

 上級者の部 : Lv51〜80

       ペット召喚可能数8

 パーティの部 : Lv1〜80

       ペット召喚可能数8

       編成制限(後述)解除

 

【エキシビション戦について】

 また、本イベントを開催するにあたって『ある一部のプレイヤー達を通常プレイヤーの枠に入れないで欲しい』との意見を数多く頂きました。

 よって運営としては非常に不本意ではありますが、余りにも多くの意見であった為、ご本人達に了承を取りトーナメント形式でエキシビションマッチを別途開催することとなりました。

 

 日程 : 12/8(日)正午から

 

 ユキ━━━┓   ┏━━にゃしい

      ┣┓ ┏┫

 ザイル━━┛┃ ┃┗━━翡翠

       ┣┻┫

 レン━━━┓┃ ┃ ┏━━デュアル

      ┣┛  ┗╋━━センタ

 ザイード━┛    ┗━━アキ

 

 また極振りと呼ばれる9名については、エキシビション戦と、希望があればパーティ戦、バトルロイヤル戦にのみ出場が可能となっています。

 

【最終日について】

 12/14日(土)のバトルにおいてのみ、始まりの街でレベル、ペットの召喚数の制限を解除し、基本ルールに則ったバトルロイヤルを正午より開催予定です。マップはかつて第2回イベントで使用した特別サーバーとなります。

 特別報酬や称号も用意しておりますので、参加したいプレイヤーは是非是非暴れまわってください。

 

【その他】

 始まりの街と第7の街において映像中継を。公式サイトの特設ページにて、その日のハイライトを掲載予定です。

 

 同2つの街において、ゲーム内通貨を使用するギャンブルミニゲームを運営主催で開催します。一攫千金を狙ってみるのも一興でしょう。

 

 以前より要望があった、別の構成(ビルド)を体験する為の特設ルームをサーカステントの形で出店します。一部ユニークスキル、称号を除いて、全く新しい自分を体験することか可能です。同テントで、リビルドアイテムの販売も検討中です。

 

 折角の祭りである為、イベント期間中街中のNPCの活動が活発化します。それにより、複数の屋台が出店されることでしょう。()()()()()()何か、ユニークなイベントを体験することが出来る……かもしれません。

 

 同時に、NPC商店でのアイテムの買取価格が普段の1.5倍に、購入価格が0.5倍になります。多くのプレイヤーか訪れる場所で、普段戦うことのないプレイヤーの皆様も、遺憾なくその腕を振るっていただければ幸いです。

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 と、大体こんな内容だった。今までのイベント告知に比べると随分と長いけれど、その分色々と情報が詰まっていた。

 

 エキシビションについては、事前に日時確認があったから知ってた。日曜日の正午になったことは、今初めて知ったけれど。

 

 開催期間が長いのと試合が分割されているのは、幾ら時間加速が出来るとは言っても、何十万といるプレイヤーを一纏めにしてはやれないということだろう。小学生……っぽい人は偶に始まりの街で見るし、逆に年上の人なんて探せば探すだけいる。

 だからこそ時間を小分けにして、人数もバラけさせようって考えと見た。引きこもっていたり事情がある人を除いて、大体戦うプレイヤーの年齢も固まるだろう。

 

「ザイルさんに勝てても……多分キツイよなぁ」

 

 とお知らせを読みながら、うへぇと悪態を零したくなる未来が頭をよぎる。ザイルさんに関しては相性有利だけど、レンさんにしてもザイードさんにしても、速度に乗られたら追い付けるはずがない。目で追えるだけでは意味がないのだ。

 

 そんな皮算用をしている俺が何をしているか?

 

 これでも早々に負けるつもりはない、出来れば勝ってみせたいのだ。だからこそ……普段は即殺かサンドバックになる黒アストを相手に、わざわざ発狂モードまで追い込み、黒い光弾の壁を気合い避けする練習をしている。

 

「これで被弾20回目……朧はこのままザイルさんとかち合って、大丈夫だと思う?」

『否。確証。無。推測。65%』

「そんなもんかぁ……」

 

 自分で思っていたよりは勝ち目がありそうなので、その点は良かったか。でも俺の知る限り、手軽に体験できる最高の弾幕で練習してこれなら……もう練習は要らないかもしれない。

 

「じゃあいつも通り」

 

 武装を仕込み刀に切り替え、最大火力になるようにスキルを全起動。加速の紋章を30枚ほど脚に重ね、刀にも30枚ほど重ねる。そのままポリゴンがぶれそうな速度まで一息に加速して、防御無視の抜刀術でバフを無視して黒アストの首を叩き落とす。

 反動でこちらも即死しながら、黒アストを撃破したことを確認して、着地でまた即死する。こんな即死大前提、1秒しか持たない加速を使ったとしても──

 

『目標。不足。30%』

「足元にも及ばないかぁ」

 

 過去のレンさんの速度の30%。それが俺が出せる最高速で、練習できる限界のラインでもあった。ますます初撃で決着させる以外、勝ち筋が一切見えない。

 けどきっと、なるようにしかならない。ちゃんと備えつつ、楽しみに待っておくことにしよう。

 

「ただなぁ……」

 

 それはそれとして、そんな楽しみなイベントより逼迫する問題があるのもまた事実だった。

 

 あの第7の街での出来事以来、セナと藜さんがバッチバチに火花を散らしているのだ。外から見ればゲームとして競っているようにしか見えず、その点以外は何も変わらないからギスギスしている訳ではない。

 ただこう、なんというか。危ない気配がするのだ。今まで埋められた外堀が最大限に効力を発揮して、一気に懐に攻め入られているような。そんな感覚が。

 

「まさに年貢の納め時……」

 

 外堀の埋められ具合的に夏の陣だろうか、今は絶賛冬だけど。いやそもそも、何もしなかった自分が原因なのだ。籠城作戦も限界である。潔く首を取られるか、出陣して討ち死にするかしかない。いや、本当にそうか……? まて、そうだ、今はクリスマス前だ。ちょっと休戦しよう(松永弾正久秀インストール)その隙に俺は平蜘蛛ごと自爆する!(歴史再現)なんだ、完璧じゃないか。

 

『失笑』

 

 カシャンと、HPが0になりアバターが砕ける音。そしてリスポン。

 どうやら、朧が一回殺してくれたらしい。危なかった……リスポンさせて貰えなければ、脳が変な方向に汚染されていたかもしれない。そんな逃げは、それこそ失笑もいいところだ。

 

「向き合わなきゃなぁ」

 

 改めてそう考えると、リィンリィンと幻聴まで聞こえてくる。カードデッキもミラーワールドも無いはずなのに。向き合え……向き合え……あっ、これは自分の声だわ。

 

「その前に。久し振りに自分とのミラーマッチに行くか」

 

 なんとなくその方が、考えも纏まってくれる気がする。運営が生み出すコピーとはいえ、自分と対話できるのだ。ナイスアイデアのはず。単純に新調した爆弾の評価とか、そっちの面も気になるし。

 

 ただ、まあ。何をどうするにしても、1つだけハッキリしていることがある。俺はもし沙織に「嫌い」や「もう近づかないで」とかを言われたら、昔ならヒッソリと失踪して首を吊っていた自信がある。

 我ながら気持ち悪いレベルのクソデカ感情なのは自覚しているけど、まあそこは事実だし。今でも失踪くらいは多分する。それはどうでも良いとして、告白して振られるのはそれくらいのショックになると……多分、思う。

 

 前置きが長くなったが。だからこそ、きちんと覚悟を決めろという話だ。それに尽きる。今までのようになあなあは許されないのだ。2人とも好きなどというのが許されるのは、小説の中の世界だけである。リアルでは二股クソ野郎にしかならない。

 

「はぁ……気が重い」

 

 なお、好いて貰ってるという予想が外れた場合、それはそれで失踪して完全にどこかに隠居する。UPOで獲得した技術を最大限活用すれば、死にはしないでしょ。うん。

 

『怒』

 

 などと思っていると、再び朧に爆破された。カシャンと、アバターが砕ける音。そしてリスポン。思考の海から戻って来れば、どうやら朧さんがお怒りだ。

 

『拒否』

「UPOに来なくなるのは許さない、と」

『同意』

「理想郷ではあるからね……はいはい了解しました」

 

 関係的な意味でも、戦闘的な意味でも、波乱の予感がした。

 




よく考えたら、感想返信以外でユッキーのクソデカ感情文にしたの初めてかもしれない。

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