A.準備が整った50層辺りで、アインクラッドを使っただるま落としをすると思います
更新遅れて申し訳ない
自分に味付けをして特攻する春巻き型クレオパトラアタックをかまし、翡翠さんに盛大に捕食され帰ってきた観客席。セナと藜さんを始めとしたみんなに『もう勝てないからってネタに走ったな』と、弄られたから成功だったと思う。
因みに翡翠さんの味評価は、10点満点中7.8点くらいはあったらしい。曰く『もう少し甘くて、白くて、ふわふわな方を食べたかったです』とのことだったけど、変身して戦わなかったお陰で助かったと本能が叫んでいた。
とまあ、そんな数行で終わる3位決定戦はどうでもいいとして、だ。凄まじく長かった様に感じる極振りエキシビジョンマッチにも、最後の時が訪れた。
『さあさあさあさあ!!
遂にこの時がやってきました、極振り最強が決まるこの時が!!
極振りエキシビジョンマッチ最終戦!
奇しくも残ったのは最初期組であり、筋力と速度に特化したこの2人!!』
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【裁断者】アキ
vs
【限定解除】レン
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にゃしぃ先輩が仰々しい態度で手を振り上げた先、出現したのは2枚の画面。これまでの戦績を示したものと、これから行われる決勝戦の組み合わせを示したもの。間違いのない激戦の予感に、スタジアムは緊張に包まれていた。
『攻撃全てが一撃必殺、悪即斬で敵を討て。三千世界の鴉を殺す! 我らがギルド【極天】のマスターにして、言葉にするならウルトラトンチキ! アキの入場です!!!』
軍靴を鳴らし、外套を翻し、何一つ恥じることはないと言った様子でアキさんがスタジアムに戻ってくる。瞬間、スタジアムから湧き上がる歓声。なんてことはないレベル×物理=最強論の最終形態、男の子なら誰もが憧れるその姿に興奮しないわけがない。
『疾風迅雷紫電一閃、飛竜乗雲となりて幻のTSUBAMEも超えて行く! 過激なまでの速度の地平を過ぎ去って、光の速さで敵を討て! レンの入場です!!!』
対するレンさんはやはり最速。アキさんが現れると同時、スタジアムの中央に出現した。対峙したからこそ分かるあの理不尽な速度、それをひしひしと実感しながら、やはり歓声がスタジアムを包み込む。力 is パワーが熱狂的な人気を誇るのと同じくらい、スピード=パワー理論も人気があるのだ。
「ねぇユキくん。ユキくんはどっちに勝って欲しい?」
「実際に戦って負けた分、やっぱりレンさんかなぁ。いやでも、一戦交えようと思ってたアキさんを応援するのも……やっぱりレンさんにしておくかな。セナは?」
「私もレンさんかな。こう見えても私、一応速度偏重型で昔からUPOやってるからね!」
ふふんと胸を張るセナに、それもそうかと納得する。レンさんのあの速度に慣れた今、もしかすればセナの速度も見切れるのかもしれない。いや、分身がある以上まだ無理な気がする。
「む、私は、アキさんを、応援、します」
「藜さんは確か、どちらかというと
「ふふ、そう、ですね」
何故か楽しそうに藜さんが足をパタパタとして、微妙にセナが不機嫌そうになった。どうして……? 肘で脇腹突かれるの微妙に痛いんですけど、その。あの。
『さあ、これが泣いても笑っても、胃が死んでもサーバーが悲鳴をあげても最終戦よ。気張って行きなさい!』
そんなことを考えている間に女性運営の言葉が掛けられ、先輩2人の間にカウントダウンが出現した。いや、それはどちらに対する応援なのだろうか……両方だろうなぁ。
「何時ぞや私は、速さが足りずにお前に斬られたことがあったよな? アキ」
「ああ。条件が整っていたとは言え、あの時俺の
スタジアムの中央で向かい合いながら、レンさんは挑戦的な笑みを、アキさんは相変わらずの仏頂面で火花を飛ばしあっていた。レンさんの周囲には既に豪風と雷電が渦巻いているし、アキさんは名状し難い波導のような物がスタジアムをひび割れさせている。なにアレ。
「だからこれは、あん時の雪辱戦って訳だ」
「俺もお前も、かつてと比べて格段に成長している。勝負を決めるには丁度いい機会だろう」
「ならお互い最初から、最速で、全力だ。どうせお互い、長くは最大値でいられない身なんだ。出し惜しみは無しで行こうじゃねえか」
「……なるほど、そういう意味か。悪くない、そちらがその気ならこちらも全力を尽くすまでだ」
既にそんな散々たる状態であったのに、また一段ギアが切り替わった。レンさんのブーツからは光で作られた翼が立ち上がり、霧のような粒子を吐き出し始める。アキさんが両手に構える剣は、明らかに別物へと切り替わった。片や奇妙な節が刀身に刻まれた長刀、片や狼の牙を思わせる形の短刀に。
「
「そいつらを抜いたってことは、完全にやる気か。良いねぇ、そそるじゃねぇか」
アキさんが微かな笑みを浮かべ刀を引き、レンさんも右足を大きく下げた初速優先の姿勢になる。レンさんの方は俺が最後にやられた最大加速技、アキさんの方は……武器の名前からして、ロクなことが起きないのは間違いない。
『ええい、間に合ったのがギリギリじゃない。減退式観戦用減速処理フィールド展開、やっとこれでマトモな実況が出来るわ!』
そうして、カウントがゼロになり──
「フォトンブリッツ!!」
「
互いが互いの必殺を叫び、アキさんが競り負けた。壁のような二条の極光斬をすり抜けて、深紅の粒子を纏ったレンさんの脚撃がアキさんの頭を撃ち抜いた。
「獲った!」
「ああ、だが
結果、耐えきれず爆散しながら千切れ飛ぶアキさんの頭部。しかしそれは当然のように、
『この実況は無理ね』
『ええ、諦めて観戦しましょう』
実況は放り投げられた。
「
「待ってたぜ、お前がそいつを使うのを!」
そうして37秒の無敵状態に入ったアキさんに対し、微塵も臆することなくレンさんは突撃した。アキさんが刀を振るうよりも目算数十倍は速く、そして鋭く突き込まれた蹴撃は──
「1度この身で経験した以上、乗り越えてこそだろう!」
迎え撃った短刀の一撃が、蹴りを去なしながら左脚を包んでいた防具を粉砕。続いて右の長刀が展開されている筈のバリアを紙以下の扱いで切り捨て、無防備なレンさんの右腕を斬り飛ばした。
「ハハッ、お前なら絶対そうしてくれると信じてたぞ!」
右腕を笑って見送りながら、サングラスを下ろしてレンさんが更に加速した。右腕の負傷によるダメージは例のペットで無効化しつつ、軽くなった分常態でシステム最高速へと到達している。
だが、どうしてまるでアキさんから逃げるような軌道なのか? その疑問は一瞬と経たずに氷解した。
「Jackpot!」
引き起こされたのは、下手をしなくても俺のユニーク装備を超える大爆発。よく思い出してみれば、さっきレンさんの右腕に装備されていたのは腕時計型課金装備じゃなかった。
アレは別ゲーに例えるならメガンテの腕輪。自滅と引き換えに、極大の爆発を引き起こすタイプの装備。爆破を見れない以上、つまらないので俺は持っていないけど……使われると、ここまでの威力を発揮するのか。だが──
「まだだ!」
炸裂した暴風が、爆風と粉塵全てを吹き飛ばした。目を凝らせば分かる暴風の正体は、アキさんの右腕に先程まで長刀として握られていた
「瞬殺のファイナル・ブリットォォォォォ!!!」
しかしそれに臆するこなく、とても楽しそうな笑みを浮かべてレンさんが特攻する。回転しながら急降下しての回し蹴り。発生しているエフェクトも相まって、さながら某映画の竜の巣のような有様のそれを迎撃するときに、ありえない筈のことが起きた。
「
アキさんが余剰として吐き出す炎が、深い闇を思わせるような漆黒に染まる。同時にアキさんからも発生する漆黒の暴風雷雨。既に特化紋章術は起動しているのに、新たな特化紋章術が起動された。しかも側から見て上書きではなく、加算されているのが分かる異常事態。
解放された蛇腹剣が、吹き荒れる暴風に乗って宙を舞う。いつの間にかレンさんの風をも飲み込んだ漆黒の暴風雷雨は、その正体を天候欄に示していた。天候【嵐天改】、間違いなく俺も使う【嵐天】のカスタム品がそこには顕現していた。
「テメッ、ズルじゃねえか!」
「いいや、公式裁定だ。どうにも元は2秒の無敵スキルである以上、本来使用不可能な特化紋章の回数もリセットされるらしい」
「それでも、詠唱時間は無理できるもんじゃ──ッ!」
「正真正銘、最後の切り札だ。UPOの後衛であれば誰もが使う、プレイヤースキルとしての二重詠唱。それを俺も、少しばかり利用させてもらった」
それが意味することはただ一つ。1つのバフですら手に負えない無敵モードのアキさんが、更に新たな力を加えて理不尽の領域に達したこと。新たな紋章の効果は分からないけれど、このタイミングで切った手札ということはこの状況への回答札のはず。ならばつまり、この紋章の能力は──
「すべては、“勝利” をこの手に掴むために───!」
「ッ、面白れぇ!」
掟破りの2重紋章。ダメージ発生範囲の超拡大。本来成立することなどない、
アキさんの残りカウント 15秒
つまり?
通常攻撃が(実質的な)即死攻撃で、(実質的な)MAP兵器なプレイヤーとかナーフ待った無しだと思います。重ね掛けとかなくてもアレですが。
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・特化付与 : 狂飆狼
属性付与 : 風・雷・闇
詠唱時間 : 60秒
効果時間 : 戦闘終了まで
《メリット》
攻撃範囲拡大(極大)
Agl上昇 600%
物理攻撃威力上昇 500%
物理攻撃の3割を魔法ダメージとして追加
与ダメージの1割を耐久値へのダメージに変化
特殊効果でのHP全損無効
天候制圧【嵐天改】
《デメリット》
HPスリップダメージ発生(1s/800)
Vit・Min低下 50%
発動中武器以外のスキル封印 60秒
被クリティカル確率100%
痛覚減少深度低下 Lv3