幼馴染がガチ勢だったので全力でネタに走ります   作:銀鈴

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強化回
ユッキー(のLuk)が超強化されます。それ以外? ………元々オワタ式だから関係ないよネ!

最後にスキルの効果説明がありますが、そこは読み飛ばしても問題なし………かも?


第18話 イベントを終えて

 イベント後の祝勝会兼歓迎会が終わった翌日、俺は利用できるようになったギルドの個人ルームでウィンドウを開いていた。

 目的は、なんだかんだで昨日弄ることのできなかったイベントの報酬関連。交換期限はまだまだあるけど、早くやるに越したことはない。

 

「さて。まずは目星をつけてたスキルを取得っと」

 

 有り余るだろうポイントの使い道は、そこら辺のスキルを取得しきってから考えても十分だろう。

 

 速攻で交換したスキルのひとつは【激運】

 これは他のステータスにも共通で存在する、その数値を1.3倍するスキルだ。特にデメもなく効果はパッシヴな、イベントなどで限定入手のスキルらしい。必要ポイントは10万。

 

 2つ目は【空間認識能力】

 これは掲示板で『気配感知と併用したら情報の密度がヤバすぎて吐いたwww』とか言われてたスキルだ。これがあれば、もしかしたら奇襲にも対応できるようになるかもしれない。必要ポイントはこちらは5万。

 

「で、後はこれを取って……、思ったより残りポイント減ったなぁ」

 

 そんなことを呟いた原因は、今しがた大量入手したアイテムが原因だ。消費したポイントはちゃっかり20万。理由としては、実はあのたかいたかいの後、れーちゃんが「ん」と突き出してきたウィンドウに『ユキおにいさんのそうびを強化したいので、しょう品の《三界の紋章》を20個おねがいします』と書いてあったのだ。何か(たかいたかいじゃないのは確か)が相当恥ずかしかったのか、顔を朱に染めて……るのは非常にランさんから殺意が飛んできてたからいいとして、そう頼まれて交換しないのはクソ野郎ですね。

 

 明らかに楽しそうな【マネーパワー】のスキル(10万pt)を断念することになったのは残念だけど、まあ許容範囲だろう。代わりに入手した【オーバーチャージ】(20万pt)と【生命転換】(10万pt)のおかげで少しは戦闘能力が底上げできた(気がする)し、あまり問題はない気がする。どうにもガチスキルっぽいから微妙な気分ではあるけど。

 

「平時は控えかなぁ…スキル枠も問題だし」

 

 けれど、ちゃっかり問題になってくるのがスキル枠。10個しか装備できない中をどうにかやりくりしなくちゃいけない。……あ、いいこと思いついた。

 

 スキルを合成したりして、スキル枠をどうにかできる物はないだろうか。そう思ってソートをかけると、ひとつだけ検索にヒットした。【スキル合成釜】という、ふたつ以上のスキルを合成して新しいスキルにできる使い捨てアイテムがひとつだけ交換できるようだ。必要ポイント、これまた高い…

 

「…残り28,950pt、減ったなぁ」

 

 アレだけあったポイントが一瞬でコレである。後悔はしていないけれど、こう、何か虚しいものがある。余ったポイントなんて存在しない、イイネ?

 少し探したが特に欲しいものもなかったので、残りのポイントは全部爆発物とMPポーションに交換してウィンドウを閉じる。これでもう、結構イベントが終わったなという感じがするなぁ。

 

「ふぅ……さて、気合い入れ直しますか!」

 

 頬を叩き、俺は早速【スキル合成釜】を取り出す。って、ちょっと待ってこれ見た目がかなりカマエルなんですけど。某RPGで大成功を悉く失敗しやがってあいつめ……しかも使い方がわからない。

 

「そらっ!」

 

 思い出した不安を込めて、釜の蓋部分に思いっきり拳を打ち下ろす。

 微妙に痺れるだけというのは、VRらしい不思議さだと思う。ダメージが全部そのままだったら、俺はとっくに発狂して……森を燃やすのとは別に発狂してただろうね。

 

「ふっ、この手に限る」

 

 とりあえず叩けばどうにかなるってじっちゃんが言ってた(捏造)

 そんなこんなで起動した【合成釜】の前に現れたウィンドウには、こんな感じで文字が映し出されていた。

 

 ====================

 ベース

 【】

 素材

 【】【】【】【】【】

 ====================

 

 非常に分かりやすくて良いね。そして、俺の所持スキルで合成しても矛盾しないようなものは【サバイバル】【投擲】【固定ダメージ強化(大)】【潜伏】の4つ。何かこう特殊部隊的なスキルができそうな気がする。つまり俺もコマンドー……は無理か。無駄な思考を巡らせつつ【サバイバル】をベースにれっつ合成。

 

『ガガガー、ピー、ザーッ』

「……大丈夫か、コレ」

 

 壊れたテレビのような音を出している暫定カマエルは、見てるこっちが何か心配になってくる動きをしている。爆発しそうだし、動いてるせいで叩くに叩けない。よし、こうなったら爆竹で……

 

「ッ! 《障壁》!」

 

 そんな考えがフラグになったのか、突然停止したカマエルは白煙を吹き出して爆発した。咄嗟に障壁を張ったから無事で済んだけど、これ下手したらHPかなり持っていかれたと思う。あ、街中だからセーフか。

 いやそれよりもスキルはどうなった。そう思う俺の目の前で、白煙の中から光の塊が飛び出して俺の胸に吸い込まれていった。

 

「合成、できてる…よな?」

 

 恐る恐るステータスの欄を開くと、そこにはちゃんと合成されたものであろうスキルがその存在を堂々と主張していた。

 

【レンジャー】

 多数のスキルが複合されたスキル

 気配感知・騎乗・水泳・料理・クラフト系スキルを最大65%の性能で発揮することができる

 サバイバルと同様、振り分け設定はプレイヤーに依存する

 潜伏が可能になる

 固定ダメージがかなり上昇する

 投擲ダメージがかなり上昇する

 

 よし…よし、ちゃんと大成功している。Luk極振りは通常プレイにおいて最強。まあこれ、多分Dex辺りの成功判定を幸運で塗りつぶした脳筋な気がするけど。

 

「それじゃあスキルをこうこうこうしてっと」

 

 一先ずPTプレイでしか使う用のない【ドリームキャッチャー】を控えにすれば全部収まるし、Lukの実数値がとてもいい感じになるだろう。【ドリームキャッチャー】のスキル、使役Mobとかいたら10個のデバフの代わりにLuk値を70%上昇させるぶっ壊れスキルになるのになぁ。ふむ……

 

「………あるかな? ないか」

 

 そして残すは残り交換の処理。元々さして期待してなかったアイテムの交換を見てみるが、そこにあるのは大半が装備類で、良さげなスキルも使役Mob系列の何かがヒットすることはなかった。

 装備品は……あ、《幸運の耳飾り》の上位アイテムがあった。名前が《黒蛋白石のピアス》で、Lukは+30とな。対価は《灰の宝珠》がひとつ……特に上位互換はないし、宝珠は軽く3桁を超えてるし即交換ですね。

 

 他に交換できるものはないかと思いっきり画面をスクロールしていく。

 武器は正直、れーちゃんの作ってくれた物から乗り換える気は一切ない。もし乗り換えて悲しそうにされたら確実に殺される。色んな意味で。故に選択肢から除外。

 防具は頭部装備だけは変えたけど、他はれーちゃんがこれから強化してくれるっていうんだから、これも除外。それにザイルさんにも悪いしね。

 アクセサリは《幸運の蹄鉄》を超える性能のものがなかったので却下。もっとLukを寄越せこんにゃろー。

 そして最後に行き着いたアイテム欄で、とても興味を唆るアイテム群を発見した。

 

「ほほう…」

 

 そこは固定ダメージアイテムが並ぶ場所。

 TNTにC4、地雷やパイプ爆弾なんて物騒なものに始まり、毒や魔法的な固定ダメージアイテムまでなんでも御座れだ。

 

 神は言っている「買え」と。

 

「……」

 

 無言でボタンを連打。キャンプファイヤー(森の焼き討ち)の副産物である有り余る素材を用いて、交換限界まで危険物を交換していく。うん、多分これを少し使えば、第3の街に行くためのボスも爆殺できるだろう。やるにしてもあくまで少ししか使う気は無いけど。

 

「一切使わなかったガラスの靴やらティアラは……ギルドに寄付しておけばいいか」

 

 だって使い道ないし。使わないなら、他の人にあげて有効活用してもらった方がいいだろう。爆発物もう残ってないし。

 

「後は装備をれーちゃんに渡して……スキルの試運転して今日は終わりだな。うん」

 

 やることも終わったし、部屋の扉を開けてれーちゃんの待つお店ゾーンへと進んでいく。さて、やりますか!

 

 

 というわけでやってきた湿地帯。元の装備はれーちゃんに預けてきたので、今はそこら辺のNPCのお店で適当に買った黒っぽい服装備だ。

 イベントの時とは違い閑散としてるここなら、まあ何をしても大丈夫だろう。ファンブル的なミスで吹き飛んでも水溜りにしかならないだろうし。

 

「ギョォォォ!」

 

 なんてことを考えていると、沼の中から奇妙な叫び声をあげてモンスターが飛び出してきた。

 

「《カース》【生命転換】」

 

 見た目が完全にヤツメウナギなモンスターの攻撃を潰しながら、俺は手に入れたスキルを使ってみる。アクティブスキルは初めて使ったけど、使い方はこれで間違ってないようだ。

 俺の足元に光る魔法陣が展開され、HPが減り【オーバーチャージ】の効果で上限の上がったMPが増えていく。HPなんて元々あってないようなものだし全く気にならない。【レンジャー】のスキルで半径6.5mまで広がった探知圏内といい、今回のイベントの成果は素晴らしかったと思う。

 

「《奪撃》《フルカース》!」

 

 【幸運強化】とついでに成長した【長杖術】で使えるようになった《吸撃》の上位スキルでウナギっぽい敵を仕留めた後、錫杖をついて集中をし直す。普通はこんなことしないが、例のスキルを使う都合上こうせざるを得ない。説明欄に中々怖いこと書いてあったし、流石に吐いたなんて感想があるスキルをやすやすと使うなんてできない。

 

「まあ使うんですけどね!【空間認識能力】ON!」

 

 瞬間、世界がガラリと変わった。

 効果はバッチリ6.5m、その圏内でのことが手に取るようにワカル。自分の姿、足の沈んでる深さ、足下に広がる波紋、水溜り、草、泥、空気の流れ、その他諸々の情報がどっと押し寄せてくる。視界がチカチカと明滅し、足元の感覚が覚束なくなる。若干動きがゆっくりになった気がするし、これはヤバイ。ヤバイ、形容する語彙が足りない。

 6.5mの球形でこれなのだから、本家の10mで吐くと言うのも納得だ。今でも情報過多で頭が痛くなってくるし、いつもより余計に頭が回転してる気がする。

 

「でも、いいな、これ」

 

 敵が来た、動きを極めて詳細に見た、ならば後は勝つだけのこと。使い過ぎは毒な気がしないこともないけど、多分常時使っていれば慣れるだろう。ゆくゆくは黄色い死をもれなくプレゼント、送料無料でね!

 またも飛び出してきたヤツメウナギを半歩動いて避け、沼地に飛び込まれる前に暴発させた《エンチャントサンダー》を3回ほど叩き込む。姿勢を崩して泥の上をウネウネしてるウナギに爆竹を4つほど投げ爆発させる。爆炎の向こうから飛んできた胃液っぽい物を障壁で防ぎ、小型爆弾を追加で放ってトドメを刺す。

 

「これはパーフェクト」

 

 自画自賛だかそう思わざるを得ない。これはもしかしたら、もしかするかもしれない。

 

「「ギョォォォ!」」 

 

 そう思った矢先のエンカウント。

 敵はヤツメウナギが×3に、灰色じゃないコンドルが1匹。周囲にプレイヤーは勿論いない。

 あっ、やべこれ詰んだわ。

 

「や、やってやらぁ【生命転換】!」

 

 そう意気込んで威勢良く叫んだはいいが、十数秒後俺は呆気なく死に戻りをすることになったのだった。……敵を1体たりとも道連れにできず。




強くなった(一定の強さまでのタイマンのみ)
戦えるようになった(タイマンのみ)

色々出したスキル詳細
ここはテキトーに読み飛ばしてもまあ

【幸運強化(大)】
 Luk上昇 20%

【激運】
 Luk値を1.3倍する

【空間認識能力】
 指定範囲内の空間認識能力を強化する
 ※プレイヤーによって、稀に想定を超えた効果が発揮される場合があります。もしもの場合は運営にご連絡下さい。

【オーバーチャージ】
 魔力を過剰に保持するスキル
・MPを100%余分にチャージ可能になる
 Str -65% Vit -65%
・MPが100%以上の場合
 Int +15% Min +15%

【生命転換】
 命を捧げ、魔力に変換するスキル
 AS
 毎秒自身のHP1%を消費し自身のMPを1.3%ずつ回復する
 途中停止不可。この効果でもHPは0になる
 冷却時間 : 10秒
 効果時間 : 30秒


 ボツスキル

【マネーパワー】
 これが金の力だ
 AS
 自身の所持Dを好きなだけ支払う
 払った金額×0.001%制限時間内の行動を強化する
 冷却時間 : 1分(Dを支払う事により短縮可能。最大10秒)
 効果時間 : 1分(Dを支払う事により延長可能。最大3分)


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