幼馴染がガチ勢だったので全力でネタに走ります   作:銀鈴

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けもフレの再放送が始まったので、ストックが尽きるまで連続投稿

海底47mを非常に見にいきたい……


第28話 第2回イベント1日目④

 俺たちが逃げ込んだ先は、そこもまた暗闇に覆われていた。けれど、どうやらここはあまり広くはないようだ。俺で感知しきれるのだから、6.5m四方もありはしない。

 振り向くと俺たちが入ってきた穴はなく、この小部屋が完全な密室になっていることが分かった。感知を信じれば、どこにも繋がっていない完全な密室のようだ。

 一先ずの危険性はない。そう判断して松明を取り出すと、この小部屋がどんな場所であるのかが判明した。

 

「わぁ……」

「なるほど。宝物庫でしたか」

 

 3.64m×4.55m四方のこの部屋の壁はそれぞれ大きくくり抜かれ、巨大な宝箱が鎮座していた。金色の縁取りに赤色と、いかにも高級そうな感じだ。ほんと範囲内なら【空間認識能力】さんの便利具合が半端じゃない。範囲超えて拡張して使ったら? できなくはないけど、脳の酷使で吐きますor鼻血出して倒れますが何か?

 そう気を抜いてしまったからだろう。本来ゲーム内では聞くことのない腹のなる音が2人分、ハッキリと耳に届いた。ああ、そういえばあったね空腹度。

 

「……休憩、しますか」

「……はい」

 

 なんとも居た堪れない空気の中、座ってアイテム欄を操作する音だけが響く。水は暴発エンチャントで生み出すか聖水でも飲めばいいけど、アイテム欄が爆弾ばっかりで食料が一切見つからない。ソートしてみても鹿肉とポーション類しかヒットしないとか、サバイバルする気あるのか俺よ。

 

「そういえば、ユキさんって、食料とかあるん……ですか?」

「まあ、一応鹿肉くらいは。水も一応ありますよ」

 

 そのくせ持ってた鉄串に鹿肉を打ちながら答える。ハンドアックス持ってきててよかった……ぶつ切りにできる友情仕様に感謝しかない。

 有り余ってる枝……今度は桜のものを取り出して焚き火のように組み、暴発エンチャントで着火する。作った串を火に当たるように並べていると、なんだか不機嫌そうな藜さんがこちらをみていた。

 

「肉ばっかりは、めっ、です」

「アッハイ」

 

 こういう場合にゴネたり嫌がったりしても、男は絶対に勝てない。嫌というほど実際に体験してきているので、沢山の山菜らしき物を持った藜さんに逆らうなんて選択肢は、俺の中にはハナから存在していないのだった。

 

 

「ごちそうさまでした」

「おそまつさまでした」

 

 そうしてご飯を食べ終わったとき、メニュー画面の時計は既に午後6時を指していた。まさか聖水飲んでいたらハーブ入れられてお茶にされたり、障壁がフライパン扱いされるとは……この海のリハクの目を(ry

 

「それじゃあ、落ち着いたことですし。そろそろお待ちかねの、宝箱の確認といきますか」

「です、ね!」

 

 宝箱を開ける瞬間のドキドキやワクワクは万民共通のものだろう。でも鎖の音がする宝箱は開けちゃいけない(戒め)

 

 なんだかんだ考えつつ、揃って開けた1つ目の宝箱。そこに入っていたのは、長い杖だった。形を例えるならば、ドラクエのオーロラの杖だろうか? 中心の宝珠の色こそ透き通る蒼だが、それを飾る羽のようにも見える装飾はとてもよく似ている。

 

「長杖……それじゃあ、これは、ユキさんのですね」

「残念なことに、要求値が足りてませんけどね。ありがたく頂戴します」

 

 装備条件 : Intの値が75以上 ってどういうことだよおい、とツッコミたくなる。どうせ俺が持ってても使えないし、後でれーちゃんにでもプレゼントしようそうしよう。

 次に開けた宝箱には、白い鞘に納められた1本の長刀と巻物が2つ入っていた。

 

「えっと【無垢なる刃】使用者の最も高いステータスの値がこの武器の攻撃力となる、ですって。要ります?」

 

 憎悪の空より来そうな名前だと思いつつ隣を向けば、巻物の片方をぎゅっと抱いた藜さんの姿が。タイトルは会心の極意……俺には一切の関係がない感じですね分かります。多分スキルを習得するタイプのものだろうし。

 

「……さっき杖を譲ってもらいましたし、取ったりはしませんよ?」

「え、あう、はい。ありがとう、ございます」

「ところでこの刀は……」

「つ、使わないので、どうぞ」

 

 またも貰ってしまった。いやまあ確かに、俺が使うと威力1900とかいう約束された幸運の剣(当たらない)になるんだけども……もう片方の居合の極意と書かれた巻物も貰ってしまって、非常に申し訳ない気持ちになってくる。

 

 そんな気持ちを抱えながら開けた3つ目の宝箱。そこに入っていたのは、棘の生えた朱色の長い槍だった。よくステータスは見てないけど、これは確実に強い。ついでに何かよく分からない牙型のペンダントも入ってた。

 

「これは全部藜さんの物ですね」

「ふふっ、ですね」

 

 これで釣り合いが取れたとは言わないけれど、少しは気持ちが軽くなった。やっぱり誰でも笑顔が一番だ。みんなに、笑顔を……

 そして最後に開けた宝箱。そこに入っていたのは装備でも、巻物でも、アクセサリーでもないものだった。

 

「これは……カード?」

「凄く、不気味です」

 

 入っていた物は、全身を鎖に縛られ頭巾を被らされ首を吊られた人型が描かれたカード。

 猟銃のような物が6つ、鎖に雁字搦めにされたカード。

 巨大なハンドキャノンの下に刃を取り付けたような武器が、文字の書かれた帯で縛り上げられたカード。

 そして、また読めない文字で延々と文が綴られた1枚の整形されていない羊皮紙。それもボロボロなせいで文字が虫食い状態になってしまっている物の、合計4つだった。

 

 今の場所や状況、そしてこれらがここにあった意味を考えるに……

 

「ボスの情報、です、かね?」

「恐らくは。ですけど、文字が読めませんしね……」

 

 ボスが縛られた人型、武器がガンブレと6つの銃なのだろうことは予測できる。けれど、肝心の文字が読めないため如何ともし難い。俺が極振りしてるのが、火力関係ならゴリ押しで行けたと思うけれど。

 

「ゲーム内なら繋がりますし、掲示板の人たちに、任せればいいんじゃ、ないですか?」

「いや、でもそれだと無駄に時間がかかっちゃいます。今が大体6時半ですし……多分、夜までかかるでしょう。それだと、夜だし眠気もあると思うので戦えませんし……多分この部屋に泊まることになっちゃいますよ?」

「私は別に、構いません、けど?」

 

 何の躊躇いもなく言われたその言葉に、俺はずっこけてしまう。いやいやいやいや、流石にこれはないでしょ。沙織でもあるまいし。

 

「見ず知らずの男子と、個室で1晩過ごすんですよ? 普通あり得な……なるほど、俺が出ていけば万事解決ですね」

「い、いえ、外は危ないし、ここに居てもらって大丈夫、です」

 

 まさかのOK宣言に、俺は額に手を当てて天を仰ぐ。いやほんと、これどうすればいいんですかね。

 

「藜さんみたいな可愛い人と一緒にいて、男が何もしないとでも?」

「でも、ユキさんはそういうこと、しません…よね?」

「そりゃしませんけど……」

「なら、大丈夫、です」

 

 俺の溜め息混じりの返答に、笑顔でそう返された。信頼してくれるのはありがたいけど、流石にこれは無防備が過ぎるんじゃないですかね?

 

「はぁ……じゃあアレです。俺は所謂ステータスを極振りしてる奴なんで、不快に思ったときには槍で一突きしてください。それで撃退できますので」

「むぅ、分かりまし、た」

 

 そんなやりとりから大体1時間。お互いに色んな伝手で調べていたはずなのに、隣からはすぅ…すぅ…という寝息が聞こえてきていた。幸いにして俺じゃなく宝箱に寄っかかって寝ているけれど、ほんと無防備が過ぎやしませんかねぇ!!?

 ゲーム内だから意味があるかは分からないけど、とりあえず毛布代わりに俺のコートでもかけておく。火薬の臭いが染み付いてる気もするけど。

 さーて今夜は徹夜だぞぅ。

 

 

【極振りスレ】おうイベントだぞ喜べよ

 

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 76.名無し@長杖使い

 すみません、みなさんの中に読めない文字を解読できたり、そういうのができる知り合いがいる方はいますか?

 

 77.名無し@鞭使い

 そういうのは解読スレの方で頼め。

 って言いたいが、いいだろう。可愛い後輩の頼みだ、俺が直々に解いてやる

 

 78.名無し@気持ち的にナイト

 そうだな……あそこはあんまり雰囲気良くないうえに、解いたら解いたで金を要求してくるからな……しかも情報すぐバラすし。

 俺も手伝おう

 

 79.名無し@長杖使い

 2人とも、本当にありがとうございます。

 多分これ、イベントのダンジョンボスに関する情報なので、あんまり晒したくはなかったんですよね……

【写真】

 

 80.名無し@鞭使い

 ふむ……虫食いだらけだな

 

 81.名無し@気持ち的にナイト

 ボス情報ってお前さん……サラッとトンデモナイ情報置いていきやがって……

 

 82.名無し@鞭使い

 ……長杖、今はお前1人か?

 

 83.名無し@長杖使い

 いえ、1人一緒に行動してる人が。レベルも同じくらいの人です

 

 84.名無し@鞭使い

 それじゃあ言っておく。このボスに挑戦するのはやめておけ。無駄死にからのイベント中断まっしぐらだ

 

 85.名無し@気持ち的にナイト

 解読完了っと。って、これは確かにな……

(炎)と俺ならなんとかできそうだが、流石に勧められないなこいつは。というか、どうやってこんな情報手に入れたし

 

 86.名無し@長杖使い

 えっ、えっ、どういうことです?

 情報はダンジョンの隠し部屋で見つけました。F.O.Eが闊歩する中の安全圏、見つけられたのは偶然ですけどね

 

 87.名無し@鞭使い

 このボスの名前は【The Sealed criminal】

 推奨レベルは65だそうだ。現状UPO最高レベルの、ここの魔法戦士ですら届いてないな

 そのうえ魔法、物理共に化け物みたいな火力だそうだ。防御面と移動速度はさほどでもないらしいが、勝ち目はないぞ

 

 88.名無し@気持ち的にナイト

 もう1人の火力が不足してるなら、今すぐに撤退をお勧めする

 因みにその謎言語は、一番解読が楽なやつだ。早見表があるから置いておくぞ

【写真】

 

 89.名無し@長杖使い

 …………ここに来たいって言ってたのは、今寝てるもう1人なので、起きたら相談してみようと思います。

 早見表ありがとうございます

 

 90.名無し@鞭使い

 まあ、頑張るといい。楽しめよ

 

 91.名無し@片手剣使い

 因みにその隣で寝てる子は美少女か?

 

 92.名無し@気持ち的にナイト

 どうしてもってときは、ここで誰かを呼ぶといい。もしかしたら誰かが駆けつけてくれるやもしれない

 

 93.名無し@長杖使い

 ありがとうございますm(_ _)m

 >片手剣使いさん

 ええまあ。とても可愛い人ですけど?

 

 94.名無し@片手剣使い

 隠し部屋……密室……閃いた!

 

 95.名無し@長杖使い

 通報した

 

 96.名無し@気持ち的にナイト

 通報した

 

 97.名無し@鞭使い

 通報した

 

 98.名無し@片手剣使い

 (´・ω・`)

 ハッ、まさか長杖使いはホm

 

 99.名無し@長杖使い

 あ゛? 爆破しますよ?(にっこり)

 

 100.名無し@片手剣使い

 あ、いえなんでもないです

 

(以下雑談)




ーピキーンー
セナ「ポジションの危機を感じた!」

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