幼馴染がガチ勢だったので全力でネタに走ります   作:銀鈴

39 / 243
明日おまけを投稿予定
支援絵って、実在したんですね…(感動)


第30話 第2回イベント2日目②

 多分扉を開けるだけじゃ襲ってこないから、色々とやる事が出来るはずだ。真正面から戦っても勝ち目がないなら、それくらいのボーナスはあっても良いだろう。

 

「何、してるんです、か?」

「正攻法で戦ったら勝ち目がないっぽいので、少し小細工をしようと思いまして」

 

 俺が用意してるのは、ありったけの爆弾だ。雷管を刺して爆薬を用意し、他の爆弾も起爆準備をせずに並べていく。

 

「とりあえず部屋の中に爆弾をありったけ投げ込んで、爆破してボスのHPを限界まで減らそうかと思いまして」

「え、えぇ…?」

 

 開いた鉄扉から、俺は適当に爆弾を投げ入れていく。なんか鎖が見える辺りに落ちてってるし、吊られた人型が見えるから多分大丈夫だろう。

 

「手伝い、ますか?」

「出来ればお願い致します」

 

 そうやって続けること数分、とりあえず火力の高い爆弾は大概投げ入れ終えた。流石に五尺玉とかは転がしたが。これでも既に十二分なダメージだとは思うが、最後に1つ仕上げが残っている。

 

「それ、は?」

「小麦粉ですね」

「ご飯のとき、出してくれれば、良かった、のに」

「あはは……すみません」

 

 謝ってから大量の小麦粉を投げ入れて、部屋の中に濛々とした白い煙を作り出す。現実世界じゃ起きにくい事だけど、この結構設定が甘い運営と俺のLukのゴリ押しでなんとか出来るはずだ。

 分かってない様子の藜さんの手を引いて1個前の部屋に戻り、扉を閉めて部屋の隅に座り込む。

 

「起爆したら戦闘開始なので、近接戦闘は任せちゃいますけどよろしくお願いしますね」

「勿論、です」

 

 仮称タニキの槍を持って、藜さんは頼もしい返事をしてくれた。自分でもこんな量の爆弾を扱ったことは無いから、ダメージもこちらに対する被害も想像できない。

 

「耳を塞いで口をあけて」

 

 一拍おいて、起動キーを叫ぶ。

 

「起爆!」

 

 瞬間、キュガッ!!!! という訳のわからない爆裂音が響き、扉を吹き飛ばしながら爆風が目の前を駆け抜けていった。よし、今回は耳もおかしくなってない。

 爆風が落ち着いたのを見計らって確認のため頷き、宿直室を抜け最後の扉を開いてボス部屋へと進入した。

 

 そこにいたのは、解読した通りの悍ましい生物だった。

 尋常な人の2.5倍程の体躯、ボロボロのコートを纏い、被らされている頭巾には血が滲み黄色い獣の眼光が1つだけ覗いている。首には金属の枷が嵌められ、そこから千切れた鎖がだらんと垂れている。同様に手にも枷と鎖が存在しているが、脚はそもそも存在せず宙に浮いており、ポタポタと何か赤い液体を零している。その周囲にはクロスして回転する鎖が存在し、そのさらに外側に巨大な猟銃が6つ宙を舞っている。そしてその両手には、鈍い輝きを放つ銃剣。

 ああこりゃ勝てないわ。そう納得してしまいそうな圧を感じるモンスターだった。なんてったって、半分消し飛んではいるものの、HPバーが3段もあるのだから。

 

「◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎ッ!!!」

 

 そしてこちらを認識したボスが、身の毛もよだつ咆哮を放った。瞬間、次々と俺と藜さんに状態異常が付与されていく。火耐性消失、氷耐性消失、雷耐性消失、風耐性消失、防御力低下、攻撃力低下、移動速度低下、会心率低下、命中率低下、即死耐性低下、恐慌と、その数12個に及ぶ大量のデバフ。ちょっと訳がわかりませんね。

 

「【ドリームキャッチャー】《フルカース》《フルエンハンス》《フルエンチャント》《オールディクリーズ》《ラックエンハンス》【潜伏】!」

 

 システム的なアシストでもあるのか、かなりの早口でも噛まずにバフデバフをかけ終える事ができた。けれど多分、これでも足りない。MPハイポーションを踏み砕き回復しながら歯噛みする。

 推奨レベル65相手に、レベル30にすら届いていない2人で挑もうというのだ。無い無い尽くしが当たり前だ。

 

「《パニッシュレイ》《ストライクスタブ》!」

 

 宙に浮かぶボスに鎖分銅と光と3連閃が突き刺さり、僅かにHPを削り取る。ストライクスタブという技の効果で状態異常の相手に対するダメージが約2倍、バフモリモリで更に2倍の計4倍程のダメージでこれだ。

 無論俺も、観戦してるだけなんて情けない真似はしていない。

 

「っ!」

 

 既に【生命転換】を使用しつつ、障壁での全力サポート中だ。ファンネルの様に動く猟銃が藜さんを狙撃しようとする度に、展開時間も面積も極限まで削った障壁で逸らす。なんらかの魔法陣が猟銃に浮かべば爆発で魔法の矛先を壁や天井にずらし、本体が振るう銃剣のグリップ辺りに障壁を発生させあわよくば武器を奪おうと画策している。

 爆弾に頼らない戦闘が、ここまでやる事が多いとは思わなかった。言葉を発する余裕もありはしない。

 

「くはは!」

 

 防ぐ、守る、逸らす、護る、妨害する、MPを補充、バフデバフをかけ直す……どれだけの時間そうやっていたか分からないが、遂にその瞬間がやってきた。

 

「1本目!」

 

 開始時は半分ほど残っていた2段目HPバーが、空になった。そして、ボスが銃剣を持ったまま頭を掻き毟る様な動作をしつつ後方に下がっていく。ファンネル猟銃も同様だ。何か、途轍もなく嫌な予感がする。

 

「《障壁》!」

 

 藜さんの目の前に障壁を設定したコンマ数秒後、プレッシャーの様なものが放たれ藜さんを俺のいる辺りにまで吹き飛ばした。そしてボスは悠々と、空中に浮かび猟銃を正六角形の頂点に並べてこちらを照準する。8つそれぞれの銃口に別色の光が灯り、段々と大きくなっていく。

 

「藜さん、遠距離出来ます?」

「1発、だけなら」

「なら本体をお願いします!」

 

 短くそう言って、無理矢理頭を回して回転率を上げる。6つの銃口を照準、それぞれに15枚ずつ障壁を展開待機、真ん中は藜さんに任せた!

 

「◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎ッ!!!」

「《キャノンスピア》!」

「《障壁》!」

 

 ファンネル猟銃から光が放たれる直前に、それぞれのファンネルの内部に障壁を展開する。5つまでは、銃の内側で放たれた魔法(推定)を暴発させて爆破に成功した。

 けれど最後の1つは失敗してしまった。タイミングのズレた障壁を砕き、放たれた闇色の閃光が俺を貫く。その数瞬後、発射され突き刺さった槍など意にも介さずに本体が放った暗い二重の波動が、俺たちを直撃した。

 

 結果。

 あっけなく、余りにも簡単に俺たちのHPは0になった。

 

《コンティニューしますか?》

 回数 残り2回

 Yes/No

 

 灰色の視界にそんな表示が現れる。けれど迷う理由はありはしない。

 

「まだ、です!」

「ここまでやって、諦める訳ないでしょうが!」

 

 藜さんに数瞬遅れて俺も復活する。サポーターが先に1人だけ復活してもドルベ(固有名詞に非ず)するだけだからね、仕方ないね。

 

 切り替えよう。集中しないといけない。

 

 デバフは健在。バフはかけ直す。相手のHPバーは残り1段、しかも2割くらいは削れてる。猟銃ファンネル撃退ボーナスかな? ラッキーだ。残りの回復アイテムは少数。何故か【ドリームキャッチャー】の効果が残っている。誤差の範囲ではないが僥倖。

 結論、戦闘続行は問題なし。

 

「ふぅ…」

 

 集中再開。

 身体を動かすところまで手が回らない代わりに、一気に障壁を再展開してサポートを再開する。防いで逸らしてバフをかける、基本だね。

 そんな事を続けている間に【潜伏】の効果があっても流石にヘイトが溜まり過ぎたらしい、ファンネルがこちらに銃口を向けていた。

 

「よっと」

 

 銃口の向きから射線を予測、その地点にMPポーションを投擲する。発射された銃弾がポーションを砕いた事で消失し、俺にポーションブチまけるだけの被害に終わる。

 

「これで王手」

 

 本体と死闘を繰り広げる藜さんから意識を逸らさずに、右手で鷲掴んだフィリピン爆竹を6個ファンネルに向けて投擲する。そして起爆。中途半端な暴発で耐久値にガタがきていたのか、地面に落下してファンネルは沈黙した。

 

 これで漸く労力が別の事に割ける。新たな敵の追加を警戒しつつ、【生命転換】が原因で瀕死に陥っていたHPを回復させ、MPも同様にポーションを踏み砕き補充する。これでMPポーションは品切れである。

 

「◼︎◼︎◼︎◼︎ッ!!」

「やぁっ!」

 

 横薙ぎに振るわれた銃剣を躱し、槍が突き入れられる。まだボス本体のHPバーは6割強、防御力はさほどでもないとはなんだったのか。っと、人体的にあり得ない方向に腕を曲げて振るわれようとした銃剣を障壁で妨害する。

 そこに、例の3連コンボが突き刺さりHPを削り飛ばす。そしてスキル後の硬直を狙ってか、天井に向けられたボスの銃剣に障壁を展開。先程までファンネルに割いていた集中力で、漸く暴発させる事に成功した。

 

「◼︎◼︎ッ!」

「残念」

 

 グリンと梟の様に回転しこちらを向いたボスの顔を、唯一露出してる眼球を狙って《カース》で爆破する。いとも容易く行われるえげつない行為で、目を抑えてボスが後退した。けれど、その方向には藜さんがいる。

 

「《ストライクスタブ》ッ!」

 

 再度突き刺さる例のコンボ。ボスの最後のHPバーが5割を切り、そのダメージに追い立てられる様に高度を上げていく。そしてそれに同期して、今まで気にも止めてなかった撒き散らされている液体が淡い光を放ち始めた。んっんー、よくないよくないよくないなぁ!!

 

「きゃっ」

「すみませんね!」

 

 嫌な予感に従い単車状態のバイクを取り出し騎乗、そのまま掻っ攫う様に藜さんを回収する。そのままアクセルを全開にして部屋の端に到達してターン、より一層光を強める液体の上を走行し──

 

「ニトロ!」

 

 即座に倍の速度に到達し、障壁をジャンプ台にしてI can fly。一斉に大爆発を引き起こした地面のあおりを受けながら、ボスの土手っ腹に横に倒したバイクで突っ込んだ。

 

「◼︎◼︎◼︎!?」

「着だーん、今!」

 

 ぎゅっと強く抱きつかれながら、俺たちはボスを壁に叩きつけこの研究所自体を激震させる衝撃を引き起こした。さしものボスも、男女1人ずつ・魔改造で重量なんか知らないバイク・純正極振りレベルの速度での事故は応えた様だ。ミシミシバキグチャと、生物が鳴らしちゃいけない音を立てながらHPバーが減少していく。

 そんな中ふとバイクの耐久値を見てみると、まさかの5,003/20,000まで低下していた。元々1,000程削れていたとは言え火力が頭おかしい。慌ててバイクを収納、空中(に瞬間的に張った障壁)を蹴って地面へと着地する。

 

「これでもまだ生きてるのか……」

 

 どちゃ、と地面に落下したボスのHPバーは削れに削れて2割。しかもボスはピクピクとして、スタン状態と言えるだろう。

 

「やぁっ!!」

「《奪撃》」

 

 そこに叩き込まれる2人分の全力攻撃。一気にHPバーが1割程削れ瀕死の状態まで落ちる。恨めしげに獣の眼光を向けてくるボスの目に、もう一度《奪撃》を叩き込む。

 そして最後に藜さんのコンボが叩き込まれ、このボス【The Sealed criminal】はカシャンという儚い音をたてて砕け散った。

 

「これでやっと、トドメです……ね?」

「ですね……良かった」

 

 気が抜けて、張りつめていた思考が急速に普段の状態に置き換わっていく。そしてそのまま振り向こうとして、ガクリと膝が落ちた。全身に何故か力が入らず、意識が遠のいていく。

 

「ーーーー!?」

 

 何かが聞こえた後、全身をフッという浮遊感が包み……原因がハッキリとわかった。

 

 ただの寝不足と脳の酷使のし過ぎだわこれ。

 

 そんな思考を最後に、プツンと俺の意識は途絶えるのだった。




多分この状態のユッキー、目が充血して赤くなってると思うんだ……


抜き打ち☆ユッキー持ち物チェック!

簡易ポーチ
・フィリピン爆竹×99(9スタック)

アイテム欄
・HPポーション×6 ・HPポーション改×2
・HPハイポーション×3 ・小型爆弾×10
・中型爆弾×10 ・パイプ爆弾×70
・手榴弾×50 ・対戦車地雷×20
・雷管×59 ・ハンドアックス×30
・ハンドアックス×30 ・ダイナマイト×20
・パラライズボム×10 ・スリープボム×10
・ポイズンボム×10 ・マジックボム×10
・爆薬×99 ・錆びた鉄片×99 
・猛毒袋×99 ・小麦粉×59
・鉄串×99 ・スタングレネード×18

臨時インベントリ
・虹霓の杖 ・無垢なる刃
・居合の極意

・多数のドロップ品
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。