幼馴染がガチ勢だったので全力でネタに走ります   作:銀鈴

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連続更新ラストぉ!


第31話 第2回イベント2日目③

 チリ、と何かが繋がる感覚がして、意識が戻って来た。どうやらこれがゲーム内環境での覚醒らしい。随分と不思議な感覚だ。

 なんか頭の下に柔らかい枕があり、なんかいい匂いもするしこのままもう少し寝ていた──待った、ここはあの研究所の筈。この最下層にそんな物はなかった筈だ。このままじゃまずいとゴーストが囁いてきた気がしたので、とりあえず目を開ける。

 

「あ、おはよう、ござい、ます」

「おはようございます」

 

 再起動していくスキル群と脳。物凄く近い距離で見つめ合うこと数秒、俺は今がどんな状況なのかを完全に理解する事ができた。

 

 Q.(この事がバレたら)何が始まるんです?

 A.大惨事大戦だ

 

 こんな膝枕をされて頭を撫でられていた状況をセナが見たら、確実にAクラスの狂化が付与されるのが見えている。バーサーカーな沙織はちょっとマズイ、主にリアルの方が。これが身バレの恐ろしさか。

 

「いたた……なんか、すみません。膝枕なんてしてもらっちゃって」

 

 流石に気恥ずかしさもあり、立ち上がろうとしたけれど強烈な頭痛によって倒れかけた。錫杖がなかったら思いっきりすっ転んでただろうなこれ。

 

「辛いなら、もうちょっと、休んでも……いいん、ですよ?」

「いえ、気持ちだけ受け取っておきます。いつまでも女の子の膝を借りる訳にはいきませんし、杖を突けば歩けますから」

「むぅ……」

 

 俺は別にシャア(意味深)じゃない。保身の意味もありはするけれど、それよりも普通に恥ずかしいのだ。セナの立ち位置が特殊なだけで、俺の感性はいたって普通なのだから。だからそんな残念そうな顔をされたら、ないとは思いつつも勘違いしそうになるじゃないか。

 

「そう言えば、俺ってどれくらい眠ってました?」

「多分、1時間くらい…です」

「あー、そんなに……ほんとすみません」

 

 突然ぶっ倒れたから心配かけただろうし、本当に申し訳ない。戦闘中、勝手にバイクで攫ったりもした訳だし。あれ? 俺相当クズじゃね?

 

「あの、気にして、ませんから。それより、こっちに」

「はい…?」

 

 なんだか分からないが藜さんに手を引かれて付いていくと、そこにはいつからあったのか分からない豪奢な扉が鎮座していた。

 

「えっと、これは…?」

「ボスを倒した後、出てきたみたいです」

 

 なるほど。と言うことは……

 

「多分、お宝とか、沢山あると思います」

「ですね。もしかして、俺が起きるの待っててくれたとかですか?」

「一緒に倒したのに、先取りなんて、嫌ですから」

 

 なんとなく聞いてみると、当たり前の様に頷いて返された。成る程つまりは鴻門の会ということか(意味不明)

 つまらない冗談は1度頭から追い出し、一緒に扉を押し開ける。そこから現れた光景は、中々に壮観なものだった。

 

「わぁ…」

「これは、凄いな」

 

 明らかに材質の変わった真っ白な床には天に届きそうな程の金色の物体が積まれ、周囲の壁には剣や弓や槍などの武器が透明なケースに入れられ保管されている。本がギッシリ積まれた本棚も複数あるのだが、同じ様なカバーが張られており簡単には取り出せなさそうだ。

 

 そして、目の前にはこれ見よがしに円柱が浮かんでいた。幾重にも円が重なって出来ている様で、それぞれに細かく数字が刻まれている。イメージとしては、某死ぬ気の炎な漫画のジャイロルーレットだ。更にその隣には、小さなウィンドウが展開されていた。

 

「なんて、書いてあるんです?」

「『我が財宝を欲する者よ、天運に身を任せよ』ですって。多分Lukの値を加味して、運次第でしかこの財宝は持ち帰れないって事ですかね?」

「折角、頑張ったのに」

 

 藜さんが若干不機嫌になり、僅かに俺も不機嫌さが表に出てくる。つまりこれは、(Luk極振り)に対する挑戦と受け取っていいんだな?

 

「藜さん、ちょっと協力してくれませんか?」

「藜で、いい。協力も、ぜんぜん平気」

「よろしく、藜。それじゃちょっと失礼して、《カースフィジカル》《カースマジック》《フルディクリーズ》【ドリームキャッチャー】《ラックエンハンス》」

 

 やるからには全力で挑まねばならない。元のLukの値である2058に、【ドリームキャッチャー】の効果で14個の状態異常を請け負ったので70%を加えて3498に。そこにエンハンスで40%増加するから、最終Lukステータスは4897となる。ふふっ、怖いか? 俺は怖い。

 

「準備も出来ましたし、一丁ルーレットを回──」

 

 下からの視線を感じ、伸ばした手を戻す。そして藜には微妙に高い場所に円柱は浮いてるので、錫杖で円柱を押し下げる。

 

「一緒に、せーの! で回しますか」

「はい!」

 

 円柱に当てた俺の手の上に藜さんの小さな手が重ねられ、準備が完了する。2人分のLukを合わせたら、もしかしたら5000の大台に乗ったかもしれない。

 

「「せーの!」」

 

 息を合わせて手を動かし、ルーレットが勢いよく回転し始める。そして段々と速度が落ち、7箇所存在する数字が表示される欄が完成していく。

 

「これは酷い」

 

 表示された数字は全て7。最大値を知らないのでなんとも言えないけれど、大きな音を立ててカバーが外れていっているんだから草も生えない。

 

「これ、全部貰っちゃっていいんでしょうか…?」

「持てる限りなら大丈夫だと思いますよ」

 

 これに関しては、俺は全くの無実だ。極振りに同じ土俵で挑んだ、しかも臨時インベントリなんてものを用意してくれた運営が悪いのだ。嬉しそうに走っていく藜さんを見ながら、俺も頭痛を堪えながら置いてあるものを見て回る。

 

 とりあえず長杖と銃は回収するとして、服装備が一切ないとは何事か。あのボスからコートはドロップしたとはいえ、この宝物庫的な場所にないとは運営の服装備の扱いが知れる。

 

「頭装備も……特にないか」

 

 姿隠しの兜なる物は回収するとして、俺が装備できる頭装備に現在装備中の物を超えるLuk値を持つ物はなかった。やすやすと上げさせてはくれない様だ。藜さんに聞く訳にもいかないし、変形とか成長する様な面白い物もなかったので素通りする。

 

「うわ、何このアクセサリーの量」

 

 それに比べて、アクセサリーの量が尋常じゃなかった。指輪にネックレス、腕輪やよく分からないものまで様々な物がディスプレイされている。

 

「何か、あったんです…か?」

「!?」

 

 突如傍から聞こえてきた声に、危うく変な声を出すところだった。ビクッとなってしまったのは許して欲しい。

 

「え、えぇ、凄く良いものが」

 

 前回イベント時に頑張って集めた蹄鉄を上回るアクセサリーが、そこには大量に放置されていた。名称は【ウロボロスの脱け殻】性能的にはLuk+5% Min+3で、見た目は小さな白い∞の物体だ。早速透明化している蹄鉄を入れ替える。着いてるだろう場所も、蹄鉄同様腰の様だ。

 

「ふふっ」

「えっと、俺何かしました?」

「いえ。やっと、楽しそうに、笑ってくれたので」

 

 そう告げられた言葉に、カッと頬が熱くなる。男の赤面とか誰得だよ、セナですね分かります。後、何か嬉しそうだし藜さんもかもしれない。いやなんでだし。

 

「でも、本当に、凄い量……」

「小型化にでも力を入れてたんですかね? 研究所だったらしいですし」

 

 確かそうだった気がする設定を思い返しつつ、良さげな物を物色していく。おっ、1分間だけ特定ステが4倍とかいうキチアイテム発見。調味料とパンもあった。確保確保。

 そんな事を続けていく内に、トンデモナイ掘り出し物を発見した。

 

「綺麗、ですね」

「効果も十分おかしいですよこれ……」

 

 見つけたのは、開かれたアタッシュケースに納められた5個の指輪。中央に六角形の結晶があしらわれたそれの効果を見てみると、それぞれが共通して『MPを消費して天候を変える』という能力を持っていた。嵐天・猛吹雪・砂嵐・快晴・濃霧と言った感じだ。天候効果はそのままだろうから、十分に壊れ装備な気がする。MP消費にもよるが。

 

「でも私は、使ってる余裕も、意味もない……です。だから、ユキさんのです」

「正直、俺にも過ぎた物ですけどね」

 

 今すぐ装備という訳にはいかないのでアイテム欄に仕舞いながら、苦笑して俺は言う。ほんと、極振りにこれをどう使いこなせと。

 そんな風に和やかに進んだアクセサリー集めも終わり、揃って最後に残った本棚へ向かう。アレだけの本だ、さぞ良いものがあると期待していたのだが……

 

「まさか、大半が白紙だとは…」

「びっくり、です」

 

 本棚に納められていたのは、大半が『無記名の本』や『白紙の魔導書』だった。やる気になれば新しい物を作れるから、一応回収はしたけど。

 手に入ったマトモな本は数冊。無記名の本に紛れていた『無銘祭祀書』、『キメラの研究』とかいう用途が謎の本、最後にその近くにあった存在の圧が違う白と黒の本の合計4つだけだった。

 

「俺は白紙のやつがあれば満足ですけど……どうします?」

「私も、要らないです…」

「ですよねー……」

 

 何せ読めない、意味ない、分からない、と欲しい要素が一片たりとも無いのだ。知り合いに欲しそうな人もいないし。

 

「じゃあ、戻しておきますか」

「誰か使うかも、ですしね」

 

 なんて話しながら、近くにあった黒の本に手をかけた時だった。

 

 ブゥンという何かの起動する様な音が鳴り、小さな魔法陣が床に展開された。俺の目線の高さほどに本が瞬間移動し、バラバラバラとページが捲られていくと共に、新たな魔法陣が現れ巨大な魔法陣を描いていく。

 しかも金縛りにでもあったかの様に身体が動かせない。頭痛も何故か再発している。SAN値が削れてってるんじゃないだろうか……何これマジやばくね?

 

「ユキさん!」

 

 魔法陣が床を覆い尽くす直前、藜さんの手が動けない俺に届いた。

 次瞬、身体が重力の軛から解き放たれたかの様な浮遊感が俺を襲った。新手の転移ではない。純粋に床が消失し、何処とも知れぬ場所へと落下しているのだ。プレイヤーである俺たちだけが、ではあるが。

 

「ッ!」

 

 既に落下時間は数秒。とりあえず俺が死ぬ事はこの時点で確定したので、せめて藜さんが残機を減らさない様俺がクッション代わりになる様に抱きしめる。

 それから数秒経っても墜落は訪れず、衝撃を認識するよりも早く唐突に意識がブラックアウトしたのだった。目が覚めてから1時間足らずでまた気絶って、どういう事なの……?

 




【嵐天の指輪】
紅赤の六角形の結晶があしらわらた指輪
MPを消費して天候を嵐天に変更する
【氷雪の指輪】
雪色の六角形の結晶が(ry
MPを消費して天候を猛吹雪に変更する
【砂塵の指輪】
小麦色の六角形(ry
MPを消費して天候を砂嵐に変更する
【太陽の指輪】
紺碧の(ry
MPを消費して天候を快晴に変更する
【濃霧の指輪】
菫色(ry
MPを消費して天候を濃霧に変更する


要するに色違いボンゴレリング(未来編ver)
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