幼馴染がガチ勢だったので全力でネタに走ります   作:銀鈴

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後書きにユキのステ書いてるので悪しからず
今年はハロウィンSSは無理だったよ……夏だもん


第48話 儀式魔法

 特に変化もなく2日目は過ぎて到達した最終日。数名の女子グループに連れていかれた沙織に手を振って、俺は1人でUPOにログインしていた。

 場所は勿論、にゃしぃさんに教えてもらった【ルリエーの地下迷宮】だ。入口が分からなかったが『適当な水路を3mくらい潜れば突き抜けて入れますよ!』との事だったので、自身に10個ほど《加重》を掛け、ガイナ立ちで沈んだところ突入する事が出来た。落下ダメージでHPが半分消し飛んだのはご愛嬌である。そしてこの事から、ここが街中ではなくフィールド判定になっている事が確認できた。

 

「それにしても、暗いしジメジメしてるし人気ないだろうなここ」

 

 そう呟いた自分の声が、非常によく響く。しかしそれ以外に音は無く、真っ暗な闇が視界を覆い殆ど見通すことが出来ない。加えてどこからか香る磯の香りと、足元に僅かに張った水、自分がたてる音以外何もない静寂が不安を掻き立てる。

 練習するにしても、これは少し整備というか、少なくとも視界は確保しないと何も出来そうにない。

 

「確かどっかに《魔法の松明》を入れたままにしてた様な……」

 

 そんな事を呟きつつウィンドウをスクロールしていくと、かなり下の方の欄に松明は確かに存在していた。確か着火する為に持ってたんだっけと思い出しつつ6本全てと、序でに愛車(ヴァン)も取り出しておく。

 勝手に点灯したヴァンのライトと、六爪流風に持った松明が闇を照らす。そうしてある程度照らし出された空間は、巨大な柱が並ぶ地下神殿とでも形容すべき場所だった。

 

「こういう所、放水路って言うんだっけ」

 

 喋らないとおかしくなりそうなので呟きつつ、1番近くの柱に近づく。何かギミックがあるのではと思い探ってみると、俺の頭ほどの高さに火のついていない篝火の様な物があった。

 

「よしっ」

 

 ちょっとした確認のため、右手の松明を仕舞い篝火に全力のアッパーカットをかました。これが耐久値の設定されているアイテムなら、俺の虚弱ステータスではダメージを受ける。だが今回は、痺れの様なものは返ってきたものの、自分のHPは全く変動していない。

 

「不壊オブジェクト……イベントキーとか?」

 

 現状攻略中らしいダンジョンなのだから、その可能性もない事はないだろう。そんな事を思いついてしまったら、試してみたくなるのがゲーマーだろう。篝火の中に松明を1つ投げ入れて、数歩下がって【三日月】を構えた。

 

「何も、ない?」

 

 数秒警戒を続けるも反応がなく、気を抜きかけた時のことだった。目の前の篝火が勢いよく燃え上がり、炎の色が赤から薄気味悪い緑色に変色した。更にその篝火からいくつもの炎が弾け、他の柱に伝播し次々と火が灯されていった。そして全ての柱に篝火が燃え上がった時、1枚のウィンドウが目の前に現れた。

 

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 【鎮魂の儀式】推奨Lv 30

 湖底に沈められ、奉られ鎮められていた邪神の封印が解けかけている。復活を防ぐべく、鎮魂の儀式を行おう。

 

 MP蓄積値 0/80,000

 ※MPの蓄積は、柱に触れる・MP回復アイテムを使う・魔法などのスキルを使う等で可能です

 

 報酬金 10,000D

 経験値 80,000 

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 そしてウィンドウの上部には《クエスト実行中》と小さく文字が点滅していた。あの篝火は案の定クエストキーだった様だが……いきなり経験値を数値化されても、はっきり言って分からない。まあ、それはそれでいいとして、

 

「8万かぁ……」

 

 要求MPが非常に多い。俺のMPの最大値が3,000代といえばその多さが分かるだろうか? 特に期限がないとは言え、普通にやっていたらかなりの時間がかかってしまうだろう。特に俺は1人でやるつもりだし。

 

「まあいいか」

 

 スキルスロットに儀式魔法がある事を確認。完全な静音環境で寂しいので、BGMをかけてから魔導書を1冊上空に放り投げた。途端に天候が【荒天】に変わり、豪雨と暴風の中に緑の炎が燃え盛る気味の悪い光景が広がった。

 更に、自分の足先と、両手に持ったフィリピン爆竹、更に周囲に浮かぶ残り5つの魔導書全てに淡い光が灯った。そして視界の端に、7つの[empty]と[limit 60s]表示されたバーが現れたところで準備は完了する。

 

 儀式魔法は、発動する方法がいくつかある。

 1つは、この前【極天】のギルドで披露した、紋章を直接描く方法。アレは、紋章を描ききったと同時に発動する。だが、描く紋章自体に正確さと大きさが求められるので、大概失敗するかショボい。

 もう1つがこれだ。発動する術式毎に設定されたゲージを、時間内に溜めて発動させる方法。因みに逆にゲージをオーバーすれば、暴発してボンッだ。

 今回の場合、俺自身が下の方法、周囲を舞う魔導書が上と下の混ざった方法である。

 

「初手より奥義にて仕る!」

 

 やる事は簡単だ。6.5m半径という限られた範囲内に、踊りながら正確に爆竹を投擲して爆破させる。魔導書は自身の動きを高さをずらして追随させれば良い。ただそれだけの事で、儀式魔法が7つも同時に発動する。

 

 軽快なメロディに合わせて身体を動かしながら、手首のスナップと《加速》を使い爆竹を投擲する。天候のせいで微妙に小さくなってしまったが良い爆発音が連続し、1番上のゲージが1/5ほど上昇した。予想通り……いや、予想よりかなりいける。

 

 因みに儀式魔法の発動条件であるダンスや舞は、思った以上に他の方法より判定が緩かった。神楽舞や奉納の様なゆっくりとした動きでも、Daisukeやブレイクダンスの様な激しい動きでもゲージは上昇する。無論、後者の方が上昇速度は速いが。

 

「【魔力の泉】」

 

 天候変化維持のため削れ続けるMPに微量の回復を図りつつ、ダンスよりかは舞に近い事をしながら爆竹を投擲していく。だが、耳に心地よい爆裂音を聞きながらふと思った。

 

 暴風雨の中、気味の悪い緑の篝火に囲まれて、舞を踊りつつ、火薬の量を間違えた様な爆竹を鳴らし、浮遊する5つの本を従える、フードを被った茶色いコートの男。しかも謎の光の軌跡が、これまた謎の紋様を描いて光っている。

 

 どこからどう見ても邪教の司祭ですありがとうございました。

 

「♪〜」

 

 そうして続ける事ジャスト1分。良い夢は絶対に見れない様な光景は、魔法の完成によって終わりを告げた。全て9割程溜まっていたゲージが消え去り、直径15m程の魔法陣がそれぞれの場所に浮かび上がった。

 

「おおー、凄い回復量」

 

 7つもの儀式魔法が発揮した回復効果は、減った分のHP・MPを数秒で全快してくれた。一応かなり練習しただけあって、全部問題なく普通の水準で発動している様だ。

 

「で、こっちはどうかなっと」

 

 視界の端に追いやって無視していたクエストウィンドウをみれば、空だった表示が967/80,000まで溜まっていた。その数値が毎秒2ずつ増えているのは多分荒天の影響で、2秒に1回7になるのはまだ発動している儀式魔法の影響だろう。

 

「7つもあれば俺のステなら全快できるし……いけるか」

 

 大体1度で1,000くらいの魔力が溜まって、かつ減った分のHP・MPは補填出来る。なら、もうちょい紋章とかを色々使って試すのもありだろう。全部一通り試してから、効率良いやつをずっとやり続ければ……

 

「希望が見えて来た」

 

 晩御飯を作り始めるまで、大体4時間程は時間があるのだ。集中力しかどうせ疲労しないのだし、そんだけやり続ければ多分終わるだろう。

 

 

「ぜぇ、はぁ……」

 

 自分で定めた刻限まで残り約30分。メニューの時計が17時34分を示す時になって漸く、このクエストの終わりが見えてきた。MP蓄積量は78,987/80,000、あと1回、つまり今やっているこれが最後の儀式魔法だった。

 

「そいやっ!」

 

 カウントが0になり、頭上に7つの巨大な魔法陣が現れる。そして、一面に流星の様に光が叩きつけられた。その全てがフィリピン爆竹1本分程の火力しかないが、れっきとした攻撃魔法である。使ってる理由は、他の物と比べて1番MP回収効率が良かった為だ。

 

「あーもう疲れた」

 

 そう呟いて水の張った床に、俺は大の字で倒れ込む。ずっと正確な動作をする為酷使していた脳には、この冷水の冷たさが非常に心地良い。

 

「あ゛ー」

 

 意味のない呻き声をあげる俺の前に、congratulateと書かれたクエストの終了した旨の書かれたウィンドウが出現した。レベルが5つも上がったので、ボーナスポイントを全部Lukにぶち込んでおく。後ついでに、【激運】が【豪運】に変化したとのメッセージも来ていた。

 

 そんな事を考えていると、ゴゴゴゴという深く響く音が耳に届いた。なんというか、巨大な何かが蠢く様な恐ろしい音だ。たっぷり数十秒間続いたその音が突如途切れた。そして、その代わりとでも言うように新しいウィンドウが目の前に現れた。

 

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 【鎮魂の儀式Ⅱ】推奨Lv 35

 蓄積された魔力と真摯な祈りによって封印の強度は強まった。だがまだ安心する事は出来ない。邪神の力は、人など及びもつかないほど強大なのだ。復活を防ぐべく供物を捧げよう。

 

 機天の光輪 0/1

 聖なる魂 0/1

 聖水 0/20

 魔導書(種類問わず)0/1

 邪悪なもの 0/5

 

 報酬金 50,000D

 経験値 90,000

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 1つ目の時と同様に、クエスト実行中の文字が点滅していた。どうやらこれは、連続クエストだったらしい。けれどこれは、もうボーナスクエストである。1つ目と2つ目は【機天・アスト】からのレア泥で4つくらい所持してるし、聖水は99個携帯している。魔導書も、確かヴァンに数冊積んであるし、邪悪なもの……ヴァンに積んだままの、第2回イベントの残りを入れれば余裕だろう。

 

 そう気を取り直して立ち上がると、少し離れた場所に祭壇の様な場所が出現していた。装飾は特にないが、見ても触っても材質が気色悪い。1番的確な表現だと、緑がかった黒色に金色や玉虫色の斑点と縞模様の入った、石鹸の様に滑らかな石……だろうか。あまり長く出現させているのも嫌なので、投げつける様にアイテムを置いた。見る間にウィンドウの要求素材が埋まり、congratulateと表示が変化した。

 

「レベル42……一気に上がったなぁ」

 

 呟く俺の足下で、再びあの地響きが鳴り出した。

 だがどうせまだ終わらないのだろう? そう確信して待つ事数秒、音が止み案の定新たな画面が目の前に現れた。今度はなんだ? HPか? MPか? また何か素材か? そう思って見た画面は、度肝を抜かす事が書かれていた。

 

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 【鎮魂の儀Ⅲ】推奨Lv 40

 ーー準備中ーー

 このクエストは他のクエストと連動しています

 現在、このクエストは解放されていません

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 この日俺は、初めて運営への怒りを爆発させた。

 具体的には、ビル15本を爆砕した。

 




 Name : ユキ
 称号 : 詐欺師 ▽
 Lv 42
 HP 2100/2100
 MP 4150/2075(4150)

 Str : 0(20) Dex : 0(10)
 Vit : 0(16) Agl : 0(10)
 Int : 0(57)Luk : 610(3360)
 Min :0(50)

《スキル》
【幸運強化(大)】【長杖術(大)】
【紋章術】【愚者の幸運】【豪運】
【レンジャー】【ドリームキャッチャー】
【空間認識能力】【魔力の泉】
【儀式魔法】

 -控え-
【抜刀術(極)】【常世ノ呪イ】
【ノックバック強化(大)】

( )内は、装備・スキルを含めた数値
 小数点以下は切り捨て
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