幼馴染がガチ勢だったので全力でネタに走ります   作:銀鈴

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※基本的にふざけてるので、完成されたゲーム性とかは期待しないでくださいな
※気に入らないならプラウザバック、良い作品は他にごまんとあります


本編
第1話 始まり


 キーンコーンカーンコーン。

 そんな慣れ親しんだ音を目覚ましに、俺は目を覚ました。未だ靄がかかった頭で見上げた時計は午後3時35分を差し、近くの黒板には数式が書き連ねられていた。先生は既にいないようだ。

 大体10分くらい寝てた計算か。まあ、多分それくらいなら大丈夫だろう。そこまで苦手な教科じゃないし。

 

「ふわぁ、眠」

「眠、じゃないでしょとーくん!」

「ふぐっ……」

 

 ベシリと頭を叩かれ、机に顎を強かに打ち付けることとなった。痛い、実に痛い。寝起きの微睡みタイムを吹き飛ばすくらいには。

 

「なんだよ沙織……ちょっと寝てただけじゃん……」

 

 授業をサボったという背徳感と寝起きのレムレムした多幸感をぶち壊してくれた女生徒の名は、瀬名(せな)沙織(さおり)。一応俺の幼馴染で、なんていうかとてもちんまい。具体的に言うと、160台後半の俺から見て結構低いので、身長は大体150付近といった所だろう。

 腰に手を当て、ぷんぷんという擬音が似合いそうな感じで怒りながら、こんなことを言ってきた。

 

「ちょっとでも大変だったんだよ! とーくん先生に指されても起きないし、揺さぶられても起きないし、先生カンカンだったんだからね?」

「マジ……?」

「マジだよ」

 

 それは…少し不味くないということがあるだろうか? いや、不味い(反語) でも今から行っても間に合わない、ナンテコッタイ。

 

「まあ、そんなことはどうでもいいの」

「おい」

 

 結構これって重大な事だと思うんですけど。や、確かに寝てた俺が悪いと言われれば何の反論もできないのだけれど。

 

「とーくんも知ってるよね? 明日、あの『Utopia Online』の第二陣が発売するんだよ!」

 

 因みに、とーくんというのは俺の愛称だ。お察しの通り、そう呼ぶのは沙織だけだが。ちゃんとした名前は幸村(ゆきむら)友樹(ともき)。両親が職場に泊まり込む日が大半で、ほぼ一人暮らしなことくらいしか特徴のない高1だ。

 

「まあ、一応はな。アレだけニュースでも話題になってるんだし、知らない方が珍しいだろ」

 

 『Utopia Online』――フルダイブ技術が一般にも解禁されたせいで発生したVRブーム。そのお陰で氾濫したゲームの中、造形とかの作り込みが1段階違うと噂のゲームだ。

 内容は、よくある感じの剣と魔法のファンタジー物。だけど所謂ラスボスは、今のところ見つかってないとのこと。そして、開発陣の趣味で、一部では機械関連の物品が当たり前のように使われてもいると特集されていた。

 ……どこへ行ったファンタジー。戦車や爆撃機部隊に蹂躙される魔王なんて悲しい現実、俺は見たくないぞ。

 閑話休題

 けれど、その謎を上回って有り余るディティールの作り込みと、様々なスキルによるやり込み要素が相まって人気が爆発したとか何とか。確か朝のニュースでそうやっていたと記憶している。

 

「ふっふっふ、とーくんはやりたい?」

「んー、まあまあ?」

 

 やりたいかと聞かれればやりたいが、今となっては遥か昔のゲームに嵌ってる今、何が何でもやりたいとまではいかない。昨日も盛り上がったせいで徹夜するまでやっていたのだ。至高の天は怒りの日にあった。

 

「それじゃあやろうよ! VRゲームの機械は持ってたでしょ?」

「持ってるけど、今は他のゲームを……」

「やーろーうーよー!」

 

 机をバンバン叩き、子供のように駄々を捏ねてそう言ってきた。うん、身長的にも正に子供ですね。しかも涙目。これは、このまま拒否ったら泣き出される。明日明後日は土日だし……泣き出されるのは嫌だし…仕方ない。

 

「わかった。けど、俺はソフトを持ってないぞ? 確か予約も取れないし第二陣なのにもう徹夜組がいるとかで、店頭販売でも購入は絶望的って聞いたんだが?」

「ひれ伏すが良いんだよ!」

 

 スッと机の上に置かれたのは、そこそこの大きさがある箱。つまり『Utopia Online』のパッケージだった。なんて物を学校に持ってきてるんですかねぇ……

 

「ははぁ……って、何でここに? というか、何で?」

「とーくんと遊びたいからに決まってるじゃん!」

 

 ふふん、と満面の笑顔で沙織は言う。

 

「それは分かったけど、正直こんな高いもの受け取れないんだが……というか、俺に渡したら沙織の分がないんじゃないか?」

「いや、これはロボット掃除機目当てで出した懸賞の外れだから特に問題ないよ? むしろ、とーくんと一緒に遊べるからwin-winだね!」

 

 どこからどう見ても幸せといった表情で、鼻唄まで歌い始めた。そろそろ他のクラスメイトからの視線が痛い。リア充爆発しろという意思がひしひしと伝わってくる。別にそういう関係ではないのだけれど。

 簡単に言えば、非常にこの場から立ち去りたい。

 

「分かった、受け取る。受け取るから場所変えような?」

「いぃぃやったー!!」

「ちょっ、いきなり抱きつくな、周りの目が凄いから!!」

 

 それと、いくら幼馴染でもこういうことを人前で、衆人環視の中堂々としていい年齢じゃないから、ないから!

 

 

「……来週から、学校行きたくないなぁ」

 

 それじゃあ私は部活があるから、とパッケージを俺に押し付けて去っていった沙織のせいで、気分が若干憂鬱だ。幾ら幼馴染って公言してる(勝手にされてる)とは言っても、アレは流石に弄られる。

 

 第一なんだかんだ言って沙織は人気者なのだ。低い身長、長い黒髪、胸とかはお察…スレンダーな体型だけど部活もやっている。見事に日本人男子(一部)の好みに嵌ってますね。

 対する俺はイケメンと言えるほど顔が整ってるわけでもなく、中肉中背。勉強もできるはできるがトップとは言えない点数で、中学のときに燃え尽きたので部活は帰宅部だ。

 はい、どう考えても不釣り合いです。しかも今の俺は例のゲームを受け取っていて、その光景を色々な人に見られてるわけで…

 

「闇討ち案件ですね分かります。よし、早く帰ろう」

 

 安易に「貴様、見ているな!」なんて言って本当に闇討ちされても困る。徒歩じゃ逃げ切れないだろうし、早く家に帰るに限る。

 

「ん?」

 

 そう思って足を早めたとき、ポケットに入れていた携帯が振動した。足を止め開いてみれば、どうやらSNSでメッセージが送られてきたようだった。

 

『今日の夜10時に、始まりの街の噴水前で待ち合わせね!』

 

 表示されている文を見れば、誰からのものかは一目瞭然だった。

 現在の時刻は午後4時。キャラメイクやVRに慣れるのには、そこそこの時間がかかる。そして、リアルでやることを色々済ませなければいけないとして、大体使える時間は4時間。

 

「……走るか」

 

 家はそこまで遠くないとはいえ、使える時間が多いに越したことはないだろう。

 料理、風呂、洗濯、情報集めetcetc……軽く挙げただけで、やるべきことは山積みだった。折角手に入れたとても古い積みゲー達の消化は、暫く諦めるしかなさそうだ。

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