ファイアーエムブレム PAST   作:崩壊桜

2 / 3
第2話:誘いの手紙

「エストー?エストー?」

 

「あ、アベル、どうしたの?」

 

「どうしたの?じゃないよ……君を探すのに苦労したんだ」

 

「それはごめんなさい……」

 

「それよりエスト、どうして急にアリティアを出たのか、そろそろ教えて欲しい。もうあれから五ヶ月も経ったんだ、そろそろいいだろう?」

 

エストの表情が一転して曇った。

 

「……それは言えない。例えアベルでも……それだけは言えない」

 

「どうしてだい?マルス様にも言わず、突然だったじゃないか」

 

「………アベルだって、今じゃアリティアでは消息不明になってるじゃない」

 

「それはそうだけど……」

 

「アベルこそ、どうしてアリティアに戻らないの?私は置いていけばいいじゃない」

 

「そういう訳にも行かないよ……」

 

「……とにかく、私はアリティアには戻らない。アリティアを出た理由も言わない。だって……」

 

「だって……?」

 

最後は聞こえないように言ったつもりだったが、アベルには聞こえていたらしい。

 

「何でもない!!」

 

勢いよく扉を開け、部屋から飛び出た。

 

アベルは唖然としていたが、とにかく、言えるはずが無かった。

 

「お姉様………」

 

ぼんやりと空を眺め、あの日を思い出していた。

 

「ハァ……」

 

もう一度空を見上げると、空から何かが落ちてくるのが見えた。

 

思わず立ち上がって、ヒラヒラと落ちてくる、それを掴んだ。

 

「手紙……?」

 

宛先のようなものは書いてなかったが、とりあえず封を開け、中身を見てみると、そこには一枚の紙が入っていた。

 

 

 

『アベル、エスト様へ

この度あなた方を<楽園>へと御招待致します。

もちろん、お金の方は頂きません。

これはあなた方を祝福し、また、願うもの。

決して怪しい誘いではございません。

もし気になるようでしたら、

カダインにお越しになってください。

あなた方に、永遠の祝福を。

賢者、ヴァンレより』

 

と、書かれていた。

 

だが、どう考えても怪しい。

 

まず、ヴァンレという賢者を知らない。

<楽園>というのもなんだか曖昧で怪しい感じがする。

 

 

「……アベルに相談してみようかな」

 

 

しかし、怪しいが気になるのも人の性。<楽園>というのも、妙に気になる。

 

一人じゃ心細いが、アベルと一緒なら……。

 

何より、このヴァンレという人物は『二人』を誘っているのだ。

 

 

「アベルーー!!」

 

 

手紙を握りしめ、若干の気まずさを覚えながらも、部屋に戻って行った。

 

 

 

✻ ✻ ✻

 

 

 

「──────帰った!?」

 

「そうですよ!一体どこで何をしてたんですか!?」

 

「ご、ごめんシーダ……」

 

「結局、『またいらっしゃる時に』って言って帰っていきました。それと、手紙を置いていかれましたから、後で読んでくださいね?」

 

「あ、ああ……」

 

「それでー……マルス様?」

 

「ど、どうしたのシーダ?そんなに…怖い顔して」

 

「ドコニイッテタンデスカ?」

 

「し、シーダ……せ、せめて文字を変換してくれ……」

 

「まさか……」

 

シーダは顔を寄せ、物凄い剣幕で詰め寄ってきた。

 

「……こっそりと女性に会ってたんですか?」

 

「ど、どうしてそうなるんだい…?」

 

「……怪しいですね」

 

ここまで迫られては、隠すのも無理だろう。

 

会っていたのも、カタリナだ。何もやましいことは無い。

 

「あ、会ったよ会った。で、でも、会った人はカタリナだ。カタリナが僕を探しに来たんだよ……」

 

「………。」

 

「し、シーダ……?」

 

シーダはずっと凝視するばかりで、何も喋らない。

それが怖い。

 

どうしようかと考えているところに、シーダの後ろで人が見えた。

 

 

 

「────なんだか騒がしいですが……どうかしましたか?」

 

どうやら僕達の声がかなり響いていたらしい。

 

騒ぎを聞きつけて、カタリナが降りてきたのだ。

 

 

「カタリナ!?丁度いいところに!!」

 

 

 

────結局、カタリナが確かに会ってたことをシーダに伝え、なんとかシーダは落ち着いた。

 

「ふう……助かったよ……」

 

「いえ」

 

カタリナは微笑んだ。

 

 

 

「────あ、マルスのお兄ちゃんーー!!!」

 

 

今度は突然、どこからかひょこっと遊びに来ていたチキが現れた。

 

手に何かを握って嬉しそうに駆け寄ってくる。

 

 

「チキ?どうしたの?」

 

「うん、お姉ちゃんがね、マルスのお兄ちゃんにお手紙だって!!」

 

「お姉ちゃん?誰のことだい?」

 

「マルスのお兄ちゃんに会いに来た人ー」

 

おそらく自分に会いに来ていた『例の女性』のことだろう。

 

 

「ありがとう、チキ」

 

「うん!!」

 

チキはまたひょこひょこと帰っていった。

 

早速手紙を開けてみた。

シーダもカタリナも、横から手紙を覗き込んでいる。

 

 

『マルス様、シーダ様へ

この度あなた方を<楽園>へと御招待致します。

もちろん、お金の方は頂きません。

これはあなた方を祝福し、また、願うもの。

決して怪しい誘いではございません。

もし気になるようでしたら、

カダインにお越しになってください。

あなた方に、永遠の祝福を。

賢者、ヴァンレより』

 

 

「賢者ヴァンレ……一体誰だろう?」

 

来客の名前はヴァンレと言うのだろうか。

 

 

「私も聞いたことないですね……でも気になりませんか?ヴァンレって女性というより男性の名前のようですけど」

 

「確かにね。でも、このヴァンレという人物から、僕に渡すよう頼まれただけかもしれない」

 

「マルス様…どうするんですか?こうありますけど」

 

「そうだね……カダインにはマリクもいるし、行ってみるのもいいかもね」

 

 

ふとシーダを見ると、嬉しそうに首を縦に振っていた。

 

 

 

✻ ✻ ✻

 

 

 

「─────古の英雄王マルス……ですか……どうしてあなたは……」

 

 

夜の風もまた心地よい。

 

感じたことのない空気、それが全身を癒していく。

 

 

「……大事にしてください、そのファルシオンを……失う前に」

 

 

第2話:完

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。