ファイアーエムブレム PAST   作:崩壊桜

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第3話:疑惑の予感

─────その日、カダインは混乱に陥っていた。

 

 

「スターライトが……盗まれた!?」

 

「ああ……今朝だと、思う……」

 

「どうして!?一体誰に!?」

 

 

リンダは興奮した様子で凝視してきた。

 

 

「落ち着くんだリンダ……だけど悪いね、パレスから来てもらってる時に……」

 

「それはいいけど……大体、どうしてスターライトが盗まれたのよ?」

 

「分からない……唯一、マフーを破れるからか……」

 

「でも、ガーネフはもう倒したじゃない」

 

「うーん……何か他に…スターライトが必要な理由があったのかな……」

 

「逆にマフーを強めるため、とかかしら?」

 

 

半ばリンダは冗談気味で言っているようだが、なかなか恐ろしいことだ。

 

だが、それは無いだろう。

 

 

「……そのマフーを使うやつは倒れたって、君が言ったじゃないか」

 

「そうだけど……」

 

 

 

スターライトは、終戦後、カダインに引き取られる形となっていた。  

理由としては主に、マフーを打ち破る効力の研究だが、トロンやボルガノンといった単純な高位魔法とは違い、オーラ同様、最高位光魔法として貴重な存在でもある。

 

そんなスターライトが盗まれるとは………

 

 

 

「とにかく早いところ見つけないと……」

 

机に寄りかかり、何も手がかりがない中を探していかないといけないことに、ため息をついた。

 

だが、そんな時、扉を叩く音がした。

 

リンダが応答し、扉を開けると、そこにはフードを被った人物が立っていた。

 

 

「誰っ!?」

 

 

リンダも反射的に魔道書を握りしめる。

 

 

「──────お探しのものは、これかな?」

 

 

しかし、そんなことはお構い無しにと、その人物は手に持っていた魔道書を自分たちに見せてきた。

 

 

「そ、それは……スターライト!?」

 

「どうしてあなたが持っているの!?」

 

「まさか、スターライトを盗んだのは君か?」

 

「いや……私じゃない。ただ……伝えに来たのだ。スターライトは無意味だと」

 

「無意味…?」

 

「……スターライトの光では弱すぎるのだ」

 

「何を……まさか、ガーネフが復活したとでも言うのか!?」

 

「…………。」

 

「そんな……嘘でしょ!?ガーネフは死んだんじゃないの!?」

 

「…………。」

 

「何か答えてくれ!!」

 

「……それはいずれ…分かることだ」

 

 

最後にそう言い残し、スターライトを置いて謎の人物は姿を消した。

 

リンダも愕然として床を見ていた。

 

 

「……ガーネフが復活したとしたら、また……この世界が……」

 

「……とにかく、さっきの人が言ってることがどうであれ、まずはマルス様に報告しよう」

 

「アリティアに行くの?」

 

「ああ、すぐ向かうよ」

 

「なら私も行くわ。道中、安全とは言い切れないし、一人より二人の方がいいでしょ?」

 

「…助かるよ。すぐに準備をしよう!」

 

 

急いで身支度を整え、アリティアに向かって二人、歩き出した。

 

エリス様もその話を聞いて心配していたが、アリティアにいる弟にと、手紙を預け、無事に帰ってくることを祈っていた。

 

しかし、スターライトを盗んだのが一体誰なのかも、返しに来たのが誰なのかも、分からないままだ。

 

何か嫌な予感がするのは、きっと……僕だけではないだろう。

 

 

 

✻ ✻ ✻

 

 

 

「──────昔々ある所に、一人の王様がいました。王様はとても怖くて、とても強かったです。しかし、王様はある時、死んでしまいました。王様があまりにも人々をいじめるので、見かねた王様の犬が、王様を殺してしまったのです」

 

「……またその話ですか?あなたもお好きですね」

 

「二度と…あんなことが起きないようにしなければならない。お前もそう思ってるんだろ?」

 

「……犬はその後、どうなったんですか?」

 

「……自らが王となり、人々を牽引した。だが……それも所詮は犬だ。続くはずもなく、すぐに王国は滅んだ」

 

「…………。」

 

「その時、初めて国民は気がついたんだよ。無能な正義感に溢れた奴より、愚王と呼ばれても人々を牽引することのできる奴の方が、有能だとな」

 

「そうですか……」

 

「行き場を失った人々は絶望に苦しんで死んだ。犬は人々に恨まれ続けた。当然だ、有能な王を殺した無能は、のうのうと生きているんだからな」

 

「…………。」

 

「時は戻らない。後悔しても意味は無いんだ。お前がするべきことは、過去を嘆くことじゃない。未来を阻止することだろ?」

 

「ええ……」

 

「……気を付けろよ。お前が敵対する相手は生半可な強さではない。想像以上に力を秘めている」

 

「ええ……」

 

「上手くやれよ、ルサリィ」

 

「はい……」

 

 

 

第3話:完

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