「とりあえず、君と彼女のことについて説明してもらいたい。アースラまで来てもらえるか」
「ああ、わかった」
「君たちも一緒に来てくれ」
「うん」
「わかった」
回復した隆も和人もみんなアースラに戻った
「さて、どこから話したものかな」
アースラに戻ってリンディも含め悠斗の話を聞いていた
「あの、彼女はいったい」
エイミィが恐る恐る声をかける
「ああ、彼女はクリス・ストーラ。第4管理世界、レティアスの出身だ」
「まて、レティアスは今は危険地区だぞ」
レティアス、4年前に大きな事故があり人が住める環境ではなくなっていた
「前聞いた話では第6世界に住んでいるはずだ、悪いがどこに住んでいたかまではわからない」
「いや、それはこちらで探してみよう」
「彼女の目的はなんだったの?」
「クリスの目的は死んだ恋人のレオンを生き返らすこと、だと思う」
「それって」
「だからこそ、プロジェクトFを求めたんだろう」
「でも、どうしてプレシアさんのところなの?」
「それは…」
「いいわ悠斗君。私から話すわ。いいわねフェイト?」
「うん。なのはやみんなにも知って欲しいから」
そしてプレシアはフェイトを生み出した経緯を話した。それによりフェイトとなのはがもう一度友達になったりもしたがここは割愛させてもらう
「でも、どうして悠斗さんにあんなに敵対視を向けていたの?」
「それはレオンを殺したのが俺だからだ」
「「「「っ!!!!」」」」
「どういうことだい?」
「4年前、あの事故があったとき俺はあそこにいたんだ」
「君はあの事件の真相を知っているのか?」
「いや、それはわからない」
4年前の事件、人が急に死んでいく伝染病が流行り世界の人口の6割を死人で埋めた。原因はいまだにわかっていない。それは突如として世界から命を奪ったのだから
「俺は仕事であの世界に来てある村の討伐依頼を受けていた。そこでクリスたちと知り合った。依頼自体は簡単なものですぐに終わり、その世界から出るつもりだった。だが、村の近くに研究施設があるのが気になって俺はそこに行ったんだ。何もないただの村の奥に巨大な研究所、文明レベルもそこまでないあの世界でなぜここまでの研究所があるのか気になってな」
「そこには何があったんだ?」
「わからない、入ることはできなかったし。潜入も厳しそうだったのでな。ただ、気になったから何日か滞在することにしたんだ。そして、特に成果が見られずもうこの世界から出ていこうと思ったんだ。その中で俺はレオンたちと友人になったんだ。そして旅立つ前夜、事件が起こった。人が急に苦しみだいし、倒れたんだ。俺は自分に結界を張って事なきを得たがレオンは違い感染してしまった」
「ちょっと、待って。それでどうして悠斗さんが殺したことになっての?」
「クロノ、あれはどう報道されたんだ?」
「ただの死病が発生したと」
「そんなところだろうな…あれは死病なんかじゃない。ディン」
(かしこまりました)
悠斗のデバイスから映像が流れ始める。それは苦しみだした人が倒れそして化け物となる姿
「なんだこれは」
「俺は魔獣化と呼んでいる」
「魔獣化」
確かにこの姿はもはや人ではなく獣だ。体から黒い塊が吹き出しすでに人の原型をとどめていない
「これがあの死病の正体だ」
「なぜ、管理局はこれを隠した」
「隠したのではなく、この姿のものが生きていないからだろ」
「どういうことだ?」
「この姿をしたものは1日しか生きられない、そして、死んだ者は元の肉体に戻る」
映像で悠斗が斬った魔獣は確かに倒れると煙を放ち元の姿に持った
「まさか、レオンさんも?」
「ああ」
(レオン。なのか?)
映像はちょうどその時を映していた
(レオン!)
(だめだ悠斗!僕に近づくな!)
(だが!)
(ごめん、もう無理だ。クリスを頼む)
(ふざけるな!自分でどうにかしろ!)
(こんなこと頼めるの悠斗しかいないんだ)
(馬鹿野郎が)
(ごめん。もう一つ、お願いがある。僕を殺してくれ)
(なっ)
(僕は誰も傷つけたくない、それにクリスにもこの姿を見られたくないんだ。だから頼む)
雨に打たれながら刀を向ける悠斗は泣いているように見えた
(苦しまないように一瞬で終わらせてやる)
(うん、ありがとう)
そして、血が舞った
悠斗は一人雨の中たたずみながらレオンを見下ろしている。その時茂みがかすかに揺れた
(だれだ!)
(レオ…ン)
(…クリス)
そこから出てきたのはクリスだった
(どうしてレオンが、なんで悠斗の刀に血が…)
(………)
(答えて!)
(……すまない)
(殺したの?…あなたがレオンを!)
怒りと恨み、いろいろな感情が混ざった目で悠斗を睨む。けれど悠斗はしゃべらない
(…………)
(返して、返してよ!レオンを返して!)
(………言い訳はしない)
悠斗はそういって刀をおさめその場から歩き出した
(あなたを殺す!絶対に殺してやる!レオンの敵!)
そこで映像は途絶えた
「これが、事の顛末だ」
「こんなことって…」
フェイトは泣きながら悠斗に抱き付いていた、アリシアも同じ、ほかのみんなも涙を流していた
「これで、すべてを話した」
「君は悲しくなかったのか?」
「あの時も言った。どんなことであろうと俺がレオンを殺したことには変わりない。どんな言葉で飾ろうとそれは変わらない。だから言い訳はしない。俺がレオンを殺したんだ」
「それでも、笑ってましたよ」
「そうだとしてもだ…」
「そんなの哀しすぎますよ!」
「そうだよ!悠斗さんこんなにつらい思いをしたのにそれでこんな」
「ありがとう、そういってもらえるだけで十分だ」
悠斗はそういって微笑んだ
結局今回の事件はジュエルシード事件と総称され、犯人は死亡、民間協力者の中になのはたちの名前が連なっていた、そこに悠斗の名前は存在しなかったが
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「気分はどうだい?」
「さてね、いいとも言えるし悪いとも言えるよ」
暗い独房の中に悠斗はいた、今回の件で使用した魔法、禁断魔法のことはどうやっても隠し通せなかった、それにより管理局上層部は悠斗を危険と判断し入局するなら見逃すがす、しないならば逮捕という選択を与えた、それにより悠斗がとった選択は逮捕だった
「君も馬鹿だね」
「そうかよ」
「フェイトが泣いていたよ」
「…………」
「フェイトだけじゃない、みんな泣いていた。どうして協力しないんだい?」
「俺は、傭兵であることを選んだ、誰かとともに戦うのは性に合わないんだよ」
クロノはため息をこぼした。すでに悠斗が拘束されて1週間が経過している。その間にフェイトたちが何度も講義をあげた。あのプライドの高い隆でさえも今回のことには怒りを覚えていた。当の悠斗本人はあまり気にした様子ではないが
「このままだと一生このままだぞ」
「それでもかまわないさ」
悠斗はすでに自分のできることは何もないと感じていた。アリシアのことが片付き原作とは違ってしまったが悠斗が望んだ結末であることは間違いない。一つ気掛かりなのはこの先に起きるであろう闇の書の事件のこと、だが、今のなのはたちならばなんとかなると悠斗は思っている、だから自分はここで一生過ごすことも厭わないと思っているのだ
「下手をしたら君は上層部の操り人形となる可能性もあるんだぞ」
「そうか、だがそれは無理だ」
「フェイトたちのことを盾にされたらどうするつもりだ」
「そうなったら、つぶすだけだ」
悠斗は自分が洗脳されることはないと思っている。それだけの精神力は持っているし跳ね返す魔法も知っている。
しかし、フェイトたちがもし人質となり悠斗に入局を強要した場合悠斗は迷うことなく管理局をつぶすだろう。悠斗にはそれだけの力がある、奇しくもそれだけの力を見せているのだ。だからこそ管理局も今は簡単には手を出せないでいる。
「はぁ、また来るよ」
「ご苦労なことだな」
「そう思うなら少しは僕の負担も減らしてくれ」
クロノはフェイトたちからだけでなく管理局からも悠斗の説得を命じられている、悠斗もそれは知っているがいまだに首を縦に振らない。クロノ自身ここまで否定するのだからもういいだろうと思っている、だが、上はそれをよしとしていないのだ
――――――――――――――――――――――――――――――
「うー、悠斗さんまだ戻ってこないの?」
「だから説明してるだろ、悠斗が返事をしないんだ」
「どうして!悠斗さんは悪いことしてないじゃない!」
牢から出てアースラに戻るといつものようにフェイトがいた。フェイトの後ろには和人とアリシア、プレシア、リニス、アルフもいる
「そうだよクロ助、悠斗は何も悪くないじゃん」
「クロ助言うな、アリシア。それも説明しただろ、悠斗の魔法は危険すぎる」
「本当にどうにもならないのかい?」
「ああ。上が決定を覆すまでは。艦長も掛け合っているのだが」
リンディも今回の拘束の件は納得していない、それを言うならここにいるアースラのクルーは誰一人として納得はしてないだろう。あの絶望的な状況を打破した存在、ある種の英雄的な位置に悠斗はいるのだ。そもそも犯罪行為と言えるようなことは何もしていない、だが、悠斗の使った魔法が悪すぎた。古代魔法、それも禁断魔法と呼ばれる魔法は危険すぎる。管理局自体も使えるものがいないから法で縛るようなことはしていない、いやそもそも古代魔法をつかえるものがこの世に存在するとは思ってもいなかったのだ。
だからこそ悠斗の存在は貴重であり同時に危うい
その気になれば世界の一つは破壊できる歩くロストロギア、それが今の悠斗の立ち位置だ
「どうにかならないものかしらね」
プレシアも今は民間の研究員として管理局に協力している、今回の件でリンディがプレシアの罪を隠すために用意した抜け道だ。もっともこの案は悠斗の提案だが
「なら悠斗さんに合わせてよ」
「だめだ、局員でも限られたものしか会うことは許されていない。君は民間協力の人間だ。悠斗に合わせるわけにはいかない。僕だって上からの命令で会えるだけなんだ本当は会えるほど権限は持っていない」
悠斗の力が強力過ぎるため何かあったときに対処できるよう限られたものしか今は悠斗に接触できない、悠斗は基本的にクロノ意外とは口をきいていないが
「母さん何とかならない?」
「そうね、フェイトのお願いなら聞きたいのだけど」
この家族も初めはぎくしゃくしていたが今は仲がいい(よすぎる)普通の家族になっていた。プレシアも悠斗のおかげで病気も治り感謝しているため、この仕打ちは納得していない。だが、現状ではどうしようもない
「あら?フェイトさんたち来ていたの?」
「リンディさん」
「それで、どうでしたか?」
「そうね、いい報告と悪い報告どちらから聞きたいかしら?」
本局から帰還したリンディはクロノの質問にそう答えた
「悪い報告からで」
「そうね、このままでは悠斗君は本局に護送されるわ」
「なっ!」
本局に連れていかれたら確実に会うことはもうできないだろう。仮に会うことができたとしても五体満足である保証はない
「それではいい報告は」
「悠斗君が管理局が出す条件をクリアしたなら悠斗君には5年間管理局に勤めるだけでその先は本人の意思を尊重するそうよ」
「本当ですか!?」
「ええ、だからフェイトさん少し近いわ」
「あ、す、すいません」
一生会えない可能性もあった悠斗が5年間管理局に勤めるだけで解放される、それはフェイトにとっては喜ばしいことだった。それにこれならいつでも会える
「それで、条件とは?」
「指定されたロストロギアの捕獲、もしくは破壊よ」
「そんなこと」
ロストロギアは本来管理局が今回のようにかなりの人数を動かして解決にあたるものだ、実際はここまで大事になるとは思っていなかったため、人数自体は少なかったのだが
それを上層部は悠斗一人にやらせようとしている
「確かに無謀だと思うけど、悠斗君なら大丈夫だと思うわ」
「それは、そうですけど」
クロノもあの光景を見ているひとりだ、だから悠斗の力を疑うわけじゃない
「指定されたロストロギアは全部で3つ。レギオン、グランディス、そして闇の書よ」
「どれも第1級指定ロストロギアじゃないですか!」
「そうよ、でも。これを解決すれば悠斗君は解放されるわ」
「僕らのしわ寄せを彼にやらせるつもりですか」
「ええ。そうなるわね」
今まで管理局が破壊、もしくは捕獲できなかったロストロギア、どれも世界一つを滅ぼすほどの危険なもの。それを悠斗一人で解決しろいうのだ
「悠斗さんはなんていったんですか?」
「了解した、だそうよ」
「本気ですか?」
「ええ、サポートも必要ないとのことよ」
「そんな危険な…」
その時リンディに通信が入った
「悠斗君?どうしたの?」
通信相手は今しがた話していた悠斗だった
「悠斗さん!?」
「なんだ、フェイトもいたのか。グランディスを確保したんだがどうすればいい?」
「え?」
「だからグランディスを確保した」
「あの、さっき話してまだ一時間位しかたっていないのだけど?」
「そっちがある場所を教えたのだろう?」
「あの、そこにいた魔導士は?」
「全員寝ているよ」
グランディスが確保を困難としていたのはそれを所持する犯罪集団のせいだった。中にはSランク以上の魔導士もいる。だから管理局も居場所は特定できても手をこまねいていた。最悪ロストロギアを使われる可能性もあるからだ。それを悠斗はものの30分ほどで解決してしまった
「と、とりあえずこちらに送ってもらえるかしら」
「了解した」
確かに転送されたのは探して求めていたロストロギアだ、リンディは驚きを隠せないでいた。悠斗の実力はここまであったのだと。これは下手したら上層部も決定を間違えたかも知れない、これほどの手練れを五年で解放しなければならないのだから
「それでは次にレギオスを探す」
「あの悠斗さん!」
「なんだ、フェイト」
「こっちに一度戻ってきてくれませんか?」
もう1週間あっていないフェイトは通信越しとはいえ悠斗にあえて喜んでいた、だけど実際はもっと近くで見たいのだ
「悪いが、もう一つ見つけるまでそっちには戻れない。次は3か月以内に何とかする。そうしたらしばらくは海鳴の家に戻るさ」
「約束ですよ?」
「ああ、プレシア。あの家は好きに使ってもらって構わない、だが壊すなよ?」
「ええ。わかったわ」
「それじゃ、またな」
悠斗の通信はそこできれた
「まさかこうも早く事件を一つ解決するなんてね」
「そうですね、悠斗は本当に優秀です」
5年後悠斗自身が本局に残るかを決める、あれだけ断っていたのだ、確実に入ることはないだろう。悠斗の魅力は古代魔法が使えることでも、その思考能力でもない。純粋な武術だ、その気になれば魔力無しでもSランクの魔導士と武器ひとつで戦い勝利することが可能だろう
「やっぱりこの考えは早計だったかしら?」
「いえ、このままあそこでくすぶらせておくよりははるかにいいと思っています」
「そうよね」
「(けど、彼の強さは明らかにおかしい…いったい何が…)」
クロノ自身悠斗が管理局に入ってくれれば今回のような未解決事件を解決できると信じて疑わなかった。それは今しがた証明もされている。けど、本人に意志を無視してまでやろうとは思っていなかった。それはリンディも一緒でだからこそ今回の提案を出したのだ。けど、クロノの中では悠斗の強さに対する疑問だけが残った
「フェイトもそんなに落ち込まないで」
「だって、せっかく会えると思ったのに…」
最近フェイトはよく我儘を言うようになった。主に悠斗のことに関してだけだが。剝れているフェイトを見ながらクロノはため息を吐いた
三か月、悠斗が次のロストロギアを捕獲するのに使う時間。今まで幾重もの魔導士が達成できなかった事件をたった三か月
「やっぱり、結論を出すには早すぎたかな…」
クロノのため息がアースラに響いた