咲夜「・・・・・・・・・・・・・」
作者「あの、何か言ってください」
咲夜「・・・・・・・・おなかすいた」
作者「・・・・・・・それでは、始まりです!」
咲夜「・・・・・・・逃げた?」
作者「orz」
「今日の、めし、とりにいかなきゃ」
朝日を感じて鼻に入ってくる腐敗した匂いに顔をしかめながらも咲夜は体をゆっくりと起こす。生まれて9年の月日がたち髪は腰まで伸びぼさぼさであった。ここは放棄世界リンド。つまりは捨てられた世界。ごみの掃き溜め。いろいろ呼ばれているらしい。
「おっさん。それくれ」
「あ?…っ!咲夜か…」
「くれ」
「ちっ!ほらよ!」
パンを持ったおっさんに話しかけると露骨におびえた顔をした。それを無視して同じくいうとパンを地面にたたきつけて逃げるように走って行った。
若干食べかけなのかかじられた跡がある。
「はむ……砂の味が…ま、いっか」
着いた砂を叩いて落としたけど、まだついているのかじゃりじゃりとした感触に咲夜は少し顔をしかめたがすぐに表情をもどし気にせずに食べ続けた
「ねよ」
リンドでは一日に一食でも食べられればましな方である。道端にはさっきまでパンを食べていた咲夜をうらやましそうに見つめる咲夜と同じくらいの子供がたくさんいた。咲夜は気にせずにそのまま自宅である廃墟のアパートへと向かって歩き出した
「…………今日も終わった」
眠りから覚めて外を見るとすでに日が落ちてあたりは暗くなっていた。外を見まわすと酔っているおっさんを付け狙う集団や、女の人を襲っている奴らがいっぱいいる。ここではそれが日常。殺し、奪い、犯し、嘲り、人を人として扱わないものたちのたまり場だ。転生してここに来てから咲夜は目の前の状況に自分を呪いたくなった。幸いにも2歳までは自分を世話してくれる人たちがいた。そもそも、咲夜は本来はこの世界にいる人間ではなかった。もともとは別の世界で生まれ育っていたのだが、人攫いにあい、さらにその次元船が事故にあいこの世界へと流れついてしまったのだ。
「どう、しようかな…」
近づいてくる足音に咲夜は壁に立てかけてあった刀を手に取る。如月。黒の鞘に白の持ち手、白銀の刀身をもつこの刀。手に入れたのは本当に偶然だった。この世界に来て咲夜がまず初めに覚えたのは人殺しだった。ついたばかりのころ咲夜の来ている服を自分と変わらない子供がはぎ取ろうとしたのだ。その眼に咲夜は怯えた。必死で抵抗もした。そして、突き飛ばしたその子供は頭を打って死んでしまった。咲夜はすぐに胃の中のものを吐き出した、殺した、そのことで頭がいっぱいだがふと周りを見渡すとそんな状況をさも当たり前のようにしている大人たちやほかの子供がいたのだ。その時転生して大人の知識を持っていた咲夜は悟った。ああ、ここではこれが普通なんだ。ならば自分も生き残るために適用しなければ、とそうして、咲夜は人殺しを覚え、食糧の取り方を覚え、気配の殺し方を覚えていった。そしてちょうど3年前咲夜は何気なく禁止区域の特に危険である特区と呼ばれる場所まで足を運んでいた。咲夜の家も特区に存在するのだが、それにもランクがある。ここはその中で一番危険なところ通称牢獄であった。足を踏み入れて咲夜はああ、ここはだめだと自分では生き残れないことを悟りすぐに戻ろうと思ったところふと視界に刀があるのが見えて手に取ったそれは如月であった。名前は鞘に小さく彫られていたのでそうなのだろうと納得した。
「さて、ただのばかかそれとも…」
咲夜は今住んでいる特区の中ではそれなりに名が知られていた。あるものは顔を見ただけで逃げ出し、またある者は隣を横切っても気が付かない。それぐらいの知名度だがこの足音は確実に自分の部屋へと向かってきている。殺しに来たのら殺す。はたまた別の要件なら話しだい、咲夜はそう決めて静かに扉が開くのを待った
少しして、ぎぃと鈍い音がした瞬間咲夜は駆け出し扉を鞘で開き刀を相手の首元に近づけ、相手の顔を見てすぐに刀を下した
「何しに来たんですか優香さん」
「あら?私が来たらいけない?」
派手に胸元をはだけさせた女性、年は20前半くらいの化粧をしたその人は優香、苗字は知らず咲夜は何度かあったことのあるいわゆる娼婦だった
「そうは言いませんが、別にお呼びはしてませんよ」
「あんたみたいなガキを相手にしてると知られたらそれこそどうなのよ」
「それじゃ、またですか」
「ええ、お願いね」
「はぁ…わかりました」
特区では珍しい貴族街と呼ばれる金持ちの集団がいる場所が存在している。そこでは特区の一番危険である特区、牢獄の住人を護衛として守らせている。そこの奴らもうまい飯にありつけるし遊んだりもできるため貴族の連中とごたごたを起こさずに今でも良好な関係を気づいている。咲夜もその総まとめである男と顔なじみではあるのだがそこは割愛しておこう。ともかくその貴族街に優香は娼婦としていつも仕事に行く。ただし、夜は危険であるためたまに護衛として咲夜を雇っているのだ
「それで、今日はいつお帰りで?」
「そうね、今日は上玉だから少しかかるかも」
「了解しました」
護衛ではあるが所詮は下賤のやからである咲夜は優香のように家の中に入れないし外をうろうろすることもできない。だから、一定の時間をどこかでつぶしまた、迎えに行かなければならない
「じゃあ行ってくるわ」
「ええ」
優香を見送り咲夜はこれからどうやって時間をつぶそうか考えて久しぶりにあいつに会いに行こうと牢獄まで足を運んだ
「ユリウスいるか?」
「咲夜か。待ってろ」
バーのカウンターにいる大柄の男に咲夜は声をかけ、男はそのまま奥に引っ込んでいった
しばらくして、青い髪をした男がこちらに歩いてきた
「おお!咲夜久しぶりだな!」
「ユリウス、最近はどうだ?」
「お前、久しぶりに会った親友にその態度か?」
「15も離れて親友か?」
「年は関係ないさ」
「そんなものか?」
「おう!」
屈託なく言い切るユリウスに咲夜は少し、本当に少しだけ頬を緩くした
「それで、管理局はどうなっている?」
「……正直よくはないな」
ここ最近になってこの世界でロストロギアと呼ばれるものが流れ着いた。それによって放棄世界であるこの世界にも管理局が鑑賞してきたのだ。無論町のものは何を見捨てた癖にいまさらとと思ったがユリウスがロストロギアの脅威を知っていたため管理局と手を組んだのだ。反対意見は出たがユリウスの決定なので誰も強くは言い切れなかった。
「まだ、見つからないのか?」
「ああ」
咲夜も詳しい話を知らないからこれと言って今回の件に参加していないが、街の人間の不満の声を聴いているため定期的に確認しに来ているのだ
「管理局も鈍間だな」
「そういってやるな。中には優秀な人もいる」
すでに捜索に3か月たっている。けれど、今だに手がかりすらつかめていない状況だ
「やっぱり俺も参加するか?」
「いや、お前は俺たちの隠し玉だ。下手に動かせない」
咲夜は牢獄の中では数知れた手練れの中でも暗殺や殺しに関してはトップクラスだった。殴り合いや泥試合はそこまで出ないが気配を殺すことにたけていた咲夜は牢獄では影の暗殺者としてそこそこ有名である。ユリウスはそんな咲夜を安易に使うことは良しとしなかった。一応裏で動いてはいるのだが、表立って動かすことはできなかった
「はぁ、それじゃそろそろ優香さんを迎えに行くよ」
「ああ。またな咲夜」
「ああ」
時計を確認して咲夜は立ち上がり扉を開けて外へ出ていった。その途中老婆とすれ違ったが咲夜は気にせずにそのまま過ぎ去った。なぜか後ろに視線を感じながら
「遅いわよ」
「そこまでまっていないでしょ」
「女性を少しでも待たせちゃいけないの」
「そんなものですか?」
「そんなものよ」
「…わかりました」
「わかればよろし」
笑いながら歩き出した優香の後を咲夜はついていった
しかし、そんな平穏はいつまでも続くことはなかった