魔法少女リリカルなのは~転生する者~   作:かおうどう

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二人の魔法少女

 

「フェイト、本当にやるのかい?」

「うん、これは私が決めたこと。それに母さんの頼みだから」

 

暗い闇の中少女と少年はビルの上に立っていた。

街並みを見下ろしながら青髪の少年は続ける

 

「でも、あの人はフェイトに」

「それ以上言うと和人でも怒るよ?」

「ごめん」

 

目も合わせず二人の会話は続く

 

(反応感知しました)

 

少女の手に握られる金色の宝石が電子音をあげる

 

「うん、それじゃ行こうか」

「慎重にいこう」

「うん」

 

金髪の少女、フェイトと青髪の少年和人、そして使い魔であるアルフの三人は空を駆け出した。そんな彼らを見る一つの影があった

 

「あれが、フェイト・テスタロッサ。そして青木和人、使い魔のアルフか」

 

悠斗は彼らのすぐ近くで見ていた。けれどなぜ気づかれずにそこにいられたのか、それは悠斗が気配を消していたからに過ぎない。彼らは大きな魔力を保持していても所詮は子供、さまざまな戦場を渡り歩いて戦い続けてきた悠斗とは格が違う

 

「二人の強さは大したものだな」

 

見ただけで相手の力量を読み取ること、これは戦いに置いてとても重要なことである。そして悠斗はその能力にたけていた。伊達に剣聖とまで呼ばれているわけではない。

 

「高町はテスタロッサには勝てないだろう、青木と桐原は互角といったところか」

 

それが悠斗の見解だった。この世界の記憶を持っていることから原作と違う流れになることはある程度予想はついていた。まずは転生者の存在、そして死んだはずのリニス、一応アリシアも生きてはいるが今回はカウントしない。そのイレギュラーが起きている中、この物語の主人公である彼女たちに何か異変がるんじゃないか、それが悠斗には気がかりだった。でも見たところ問題なくこのまま話は進みそうだ

 

「ならば見届けるか」

 

アリシアのことは今すぐに何とかしないといけないわけじゃない。むしろなのはとフェイト、この二人のことを考えたら手を出すのは最終決戦のあの場所。時の庭園で参加するのが一番都合がいいだろう

 

「プレシアの力をまだ直で見ているわけじゃないから、これからは見守りつつも修行だな」

 

最後の時にプレシアに負けましたなんてことでは話にならない。あの大魔導士の力を見ていないからこそ備えていなければと思い悠斗はその場を後にする。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

あの後、なのはと俺、そしてユーノ(フェレットもどきの名前らしい)と話し合いをした

なのはは俺の力について聞いてきたので仕方なく魔導士であると伝えた。びっくりしていだがすでになのはも魔導士、似たようなもんだろ?と言ったら笑って納得した

 

「これからどうするんだ?」

「私はユーノ君のお手伝いをしたい。だって、放っておいたら大変なことになっちゃうんでしょ?」

「けど、それでお前が傷つくかもしれない。俺はそれが嫌だ」

 

まだ出会って間もないころ、なのはの親父さんが怪我をして入院してしまった。その時は高町家の人が一生懸命頑張っていた、もちろんうちの親も手を貸していた、けど、そんな中なのははいつも一人ぼっちだった。母親は店とお見舞い、姉と兄も店の手伝いと学校、そんな中誰もなのはのことを助けてはいなかった、いや、正確には助ける余裕もなかったそれになのは自身も助けを求めなかった、本当は寂しいくせにつらいくせに何も言わずにただ塞ぎ込んでいた。俺はそれが気に入らなかった、納得できなかった、だから俺は言ったんだ。うじうじしてる暇があるだけいいなって

我ながら子供なんだと思う。俺も両親がそっちにかかりっきりで俺のことをあまり構ってくれなかった。精神年齢は高くてもやっぱり体が子供だと考えも子供よりになるんだよな、だから言っちまった。それから二人で大ゲンカ、でも、終わったらすっきりしてなんか笑えて、そこで初めてなのはと本当の友達になれたんだと思う。だから、なのはが傷つく可能性があるなら俺は賛成できない

 

「隆君、心配してくれるのはうれしい。でも、これは私が決めたことだから」

 

まっすぐな瞳、こいつはいつまでも変わらない。不器用で、優しくて、強い。だから俺は

 

「なら、俺も手伝うよ」

「隆君?」

 

どうしてって目で見てくる。だって仕方ないだろ?

俺はこいつが好きなんだから

 

「そういうわけだ、ユーノ。これからよろしくな」

「うん。でも本当にいいの?」

「ああ、もう決めた」

「うん、私も」

「二人とも、ありがとう」

 

そのあとなのはを家に送り届けて、恭也さんたちからこってり怒られて、今日が過ぎていった。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「こっちは一つ見つけたよ、そっちは?」

「うん、こっちも見つけた。これで二つだね」

「思ったよりもあっけないな、これは簡単に終わるんじゃない?」

 

思ったよりも簡単にジュエルシードを二つ見つけることができた。

ジュエルシード、今回僕たちが探しているもの。フェイトの母親プレシアさんが欲しているものだ。事故から結局僕はプレシアさんのところでお世話になっていた。

いつの間にか母親みたいになっていたから、母さんって呼びそうになったけどやめた。だってフェイトを見る目がいつもどこか違う誰かを見ている気がしたから。

世話係だったリニスもいつの間にか消えてしまった。あの時は僕とフェイト、アルフの三人で泣いていた。

この前、プレシアさんがいつになく真剣な顔でこのジュエルシードを探してほしいと言ってきた、正直何のために必要なのかわからない、けどフェイトはプレシアさんが頼ってくれたそれだけでよかったみたいですぐに捜索に出た。僕とアルフは心配だから一緒に来ていた

捜索から3日、すでに二つのジュエルシードを見つけることに成功した僕たちはこれからのことを話していた

 

「でも、この世界が管理外世界でよかったね」

「本当だよ、管理局なんて出てきたら最悪だしね」

「うん、だから、可能な限り早くそして慎重に集めよ」

 

時空管理局、その名の通り世界を管理する組織。基本は犯罪者の逮捕や古代遺失物、ロストロギアの捜査、捕獲を目的としている。今回僕たちが探しているジュエルシードもそのロストロギアだ。だからこそ管理局に見つかったら逮捕される可能性もある。

管理外世界なのが不幸中の幸いか管理局が気づくことはまずないと思っている。仮に気が付いたとしても対応が遅れることは安易に予想がたつ

 

「それにしても、あと何個集めればいいんだっけ?」

「全部で21個あるはず、全部集めれればそれが一番だと思うけど、最低でも15は集めて欲しいって母さんが」

「少なくともあと13か…しかし、こんなもの何に使うんだろうね?」

「わからない、でも母さんが欲しがってるから」

 

昔から僕が感じているフェイトの危うさ、僕たちがいてもフェイトが見ているのはプレシアさんだけなんだと思う

 

「今日はもう遅いから、あとは明日探そう」

「うん」

「わかったよ」

 

時刻はすでに12時、もう寝なきゃいけない時間だ。

僕たちは寝室に入って目を閉じた

明日からまた頑張らないと…

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

時は流れあれから一週間が過ぎ

なのはは友達であるすすかとアリサに呼ばれ、すずかの家で遊んでいた

 

「しかし、ユーノは本当に可愛いわね」

 

撫でまわしながら抱っこしているアリサ

 

「きゅ~」

(助けてなのは)

 

脱力しながらユーノはなのはに助けを求めるけど当のなのはは苦笑で返すしかなかった

そのとき魔力反応を近くで感知した

 

(これって!)

(ジュエルシードだ!急いでなのは!)

(でもみんなが…)

 

そう、ここにはアリサとすずかがいる。二人に隠し事をしているのは心苦しいけどこんなこと言えるわけがなかった

 

(おい、ユーノ。なのは)

((隆(君!))

 

この場にいないはずの少年隆の声が聞こえてくる

 

(ジュエルシードを探知した、そっちはどうだ?)

(こっちも感じたよ。でも、アリサちゃんたちがいて)

(なるほど、ユーノ。ジュエルシードに向かって走り出せ)

(え?…そういうことか!)

(えっ?え?)

 

いまだになのははわかっていないようだがユーノは隆の意思を読み取ってアリサの拘束から逃れて走り出す。そしてそこでなのはも気づく

 

「あら?どうしたのかしら?」

「なにかみつけたのかな?」

「私ちょっと探してくるね」

「一緒に行く?」

「ううん、連れ戻すだけだから大丈夫」

 

なのははユーノの後を追って走り出した

現場に着くとそこにはすでに隆が来ていた

 

「隆君!」

「お、来たか」

「ジュエルシードは?」

「まだ発動はしてないっ!」

 

隆の言葉が言い終わる前に大きな魔力反応を感じた

するとそこには

 

「え?」

「は?」

「うにゃああああ~」

 

大きな、とても大きな猫がいた

 

「これって…」

「たぶん、大きくなりたいって願いをかなえたと思うんだけど…」

「とりあえず、元に戻すか」

「うん、このままじゃ困るよね」

「いや、そうなんだけど…いや、なんでもない」

 

なんかちょっとずれてるなのはと目の前の現状に隆は肩を落とした

唯一救いなのがユーノが同情の目を向けてくれてるくらいだ

 

「レイジングハート、セットアップ!」

「術式展開、投影開始」

 

なのはがバリアジャケットを装着し、隆はゲートオブバビロンの力を発動させる

いまだにデバイスを持たない隆は基本は後方支援に徹している。

前衛に出ることを望んでいたがユーノが危険だといい、なのはが止めたので仕方ないだろ

 

「行くよ、隆君」

「おう!発射!」

 

剣が無数に猫に降り注ぐ、本当は傷つけたくないでも、これはやんなきゃいけないことだから

 

「アクセル、シューート!!」

 

なのはの魔法弾がぶつかり猫が倒れる

 

「あっ!」

 

小さな罪悪感、本来持つ優しさがなのはの動きを止めてしまった

 

「ファイア!」

 

なのはの横をかける金色の魔法弾

とっさに後ろを振り向くとそこには

黒いバリアジャケットに黒のマント。手には漆黒の斧をもつ金髪の少女と

青いバリアジャケットに白のインナー、下には青いジーパンを着た少年がたっていた

 

「あの、貴方たちは?」

 

なのはが声をかけるしかし二人は答えない

少女は自分のデバイスを構えると倒れている猫に向かって雷を落とした

 

「サンダー、レイジ」

 

無慈悲に振り落された雷は猫の意識を刈り取りジュエルシードが浮かび上がる

 

「封印」

(封印)

 

重低音の機械音が鳴り響いてジュエルシードが少女のデバイスに飲み込まれる

 

「あの!あなたたちは?」

「……」

「おい、何とか言ったらどうだ」

 

隆も飛行魔法を使いなのはの隣に降り立つ

 

「どうしてジュエルシードを集めてるの?」

「あなたたちには関係ない」

 

そういって去ろうとする少女と少年

 

「待てよ!」

 

隆は彼らを止めるためにゲートオブバビロンを使う、だが

 

「甘いよ」

 

隣の少年が白銀の銃を取り出したかと思うと打ち出された剣をすべて叩き落とした

 

「待って!それはユーノ君が集めている大事なものなの!」

「私にとっても必要なもの」

 

少女はなのはを障害と感じたのかデバイスを構え、そして

 

「はあああ!!」

「きゃああ!」

 

少女の速さに驚き一瞬判断が遅れる。けれどレイジングハートのおかげで何とか防御は間に合った

 

(アークセイバー)

 

斧が鎌に代わり振りかぶったかと思うと斬撃が飛来する

 

(protection)

(セイバーエクスプロード)

 

なのはの防御をかわし新たな刃になのはは防ぐすべもなく落とされる

 

「…ごめんね」

 

小さく放った言葉は確かになのはの耳に届いていた

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

 

「お前、何者だよ」

「………」

 

二人はいまだに硬直状態だった。

剣を出せば銃で落とされ

銃を撃てば剣で斬られ

この状態が二人を動けなくしていた

 

「終わったよ」

「わかった」

 

なのはが戦っていた少女がなぜ…まさか!

 

「なのは!」

 

落ちていくなのはに隆は急いで駆け寄る。目の前の敵だとかそんなことはどうでもいい

今はなのはのことだけ考えろ

なのはを抱えた隆は二人のほうを見るがそこには誰もいなかった

最強だと信じて疑わなかった自分の力。自分は負けたわけじゃない。けど、結果としては敗北だった

 

「くそ!」

 

この時、自分の無力さを悔しく思った隆だった。

 

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