魔法少女リリカルなのは~転生する者~   作:かおうどう

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作者「やばい、悠斗君出しすぎてる」

悠斗「そんなに問題あるのか?」

作者「だって、今回はほとんど出ない設定だったのにガッツリ出てるし」

悠斗「無計画だからそうなるんだ」

作者「だって、最終的に悠斗君使えば丸く収まるんじゃね?って思えてきて」

悠斗「メタ発言だな。そんな状態でやっていけるのか?」

作者「きびしっす」

悠斗「まぁ、頑張れ。応援は一応してやる」

作者「一応なのね」

悠斗「さて、リリカル・マジカル。始めるか」


進むべき道

「ここは…」

「サクヤ!?大丈夫!?」

「フェイト?…そうか、俺あの後気を失って」

 

泣きながら抱き付くフェイトを見て、ようやく自分の置かれた状況を思い出した咲夜

 

「どれくらい眠ってた?」

「1日だよ。心配した。もう目を覚まさまないんじゃないかって」

「そうか。すまない」

「もう、あんな無茶しないで」

 

バカと言いながら胸をたたくフェイトを咲夜は優しく抱き寄せた。フェイトは咲夜のぬくもりに安心したかのように体を預けた

 

「あ、咲夜さん起きましたか?」

「良太郎。そうか、お前が助けてくれたんだな」

「僕はアルカスの指示に従っただけです。お礼ならアルカスに」

「ああ。だが、お前がいなければ危なかったのも事実だ。ありがとう」

 

良太郎はどこか照れくさそうに鼻をかいた

 

「みんなに咲夜さんが起きたことを知らせてきますね」

「ああ」

 

良太郎はそれだけ言って出ていった。その場に残ったのはフェイトと咲夜だけだ

 

「サクヤ」

「ん?どうかしたのか?」

「何か難しい顔をしてる」

「ちょっとな…」

 

咲夜は悠斗に言われた言葉を思い返していた

 

(お前はこれからつらい思いをすると思う。何もできない俺を赦してくれ。すまない。か、悠斗、お前は何を知っているんだ?)

 

悠斗の言葉を理解できない咲夜は首をかしげる。つらい思いとはいったい何なのか、これから起ることを悠斗は知っている風だった。ならば教えてくれてもいいのに悠斗はそれを言わなかった

 

(悠斗、お前はいったい何と戦っている?)

 

友として、数年を過ごしてきた相棒。悠斗が何を思い、何をしているのかそれが咲夜にはわからなかった

 

「情けないな…」

「サクヤ?」

 

不思議そうに見あげるフェイトの頭を咲夜は優しく撫でた。フェイトは気持ちよさそうに咲夜に体を預ける

 

「なぁ、フェイト」

「なに?」

「大切な友達が今、何かと戦っているかもしれない。そんな時お前はどうする?」

「一緒に戦うよ。だって、大切だから、失いたくないもん。ここで動かなかったら私はきっと後悔するから」

 

すぐに答えるフェイトを咲夜はどこか眩しそうに見ていた

 

「フェイトは強いな」

「そうかな?」

「ああ。強い」

 

フェイトのようにすぐに答えられなかった自分自身に嫌気がさしながらも、悠斗が何かと戦っているなら力になろうと咲夜は誓った

 

「そろそろ行こう」

「うん」

 

咲夜はゆっくりと起き上ってフェイトの手を取り、みんなが集まるアースラへと向かった

アースラではクロノがせわしなくモニターと資料を睨み続けていた

 

「何かあったのか?」

「ああ、咲夜か。体もういいのか?」

「なんとかな」

 

咲夜は壁もとに何食わぬ顔で立っている猫姉妹を人にらみするがすぐに視線を外した

 

「それで、何かあったのか?」

「騎士たちの行動が活発になってきた」

 

モニターに映し出されたのはいくつもの赤い点だった

 

「これが今日報告されている情報だ」

「多いな」

 

その数に咲夜は顔をしかめる

 

「どう思う?」

「どうもこうも、ここまで露骨に行動していることから焦っているんだろう」

「君もそう思うか」

 

今まで偏狭で蒐集していたことを考えるとこれはあまりにも多すぎる

 

「主に期限でもつけられたのか?」

「そのことなんだが、アルフが彼らの一人から重大な情報を得た」

「重大な情報?」

 

咲夜はアルフのほうを見る。アルフはどこか気まずそうに口を開いた

 

「あいつらの主、蒐集のことに関して知らないって言ってたんだよ」

「蒐集を知らない?確かなのか?」

「ああ。ザフィーラってやつが確かにそういってたよ」

 

アルフの言葉に咲夜は思考を巡らせる

 

「君はどう読む?」

「それが真実だとしたら。いくつかの疑問が生まれる」

「なんだ?」

「一つ目。どうして騎士たちは勝手に蒐集を行っているのか。二つ目。どうして主に報告しないのか。三つ目闇の書を完成させる必要性だ」

「それは僕たちも疑問に思っていることだった。どうして騎士たちが勝手に蒐集を行ってなおかつそれを主は知らないのか」

 

この時咲夜は一つの可能性に至った

 

「もしかして、今回の主は蒐集をよしとしていないんじゃないか?」

「だから主に報告しないと?なら、騎士たちが蒐集する意味はなんなんだ?主の許可なしにどうして蒐集を行う」

 

闇の書は主しか使用できない。そのためにわざわざ犯罪を犯してまで動く理由が彼らにあるとは思えない

 

「そもそも、闇の書ってなんなんだ?」

「なに?」

 

咲夜はずっと思っていたことを口に出す

 

「破壊を招くロストロギア。これは知っている。でも、その用途、必要性はなんなんだ?どうしてそんなものが作られた?」

「それは…」

(そこからは僕が話すよ)

「ユーノ君!」

(久しぶりなのは)

 

モニターに映ったユーノの姿になのはは嬉しそうに声をあげた

 

(闇の書ってのは本来の名前じゃない。正式名所は夜天の魔道書。主とともに旅をする魔道書だよ。でも、長年の主の中でその機能を改変したものがいる。そのせいで防衛機能と転生機能が暴走をしているんだ。一番厄介なのは一定以上の蒐集がないと主を浸食してしまうってこと。そして、完成させても暴走してしまう。だからこれまでの主はみんな)

 

ユーノはそこまで言ってつらそうに顔を落とした

 

「修復は可能なのか?」

(今探してる。でも、古代ベルカの時代の産物だからね、時間がかかると思う)

「停止の可能性も現状では見当たらないか?」

(うん。プレシアさんがこれまでの資料を基に停止プログラムを作っているけど、それもどこまで成功するか)

 

どうすれば止まるかもわからないものを手探り状態で行っている作業。当然はかどるわけなどない

 

「わかった。引き続き探索を頼む」

(わかったよ)

 

ユーノの通信が切れて咲夜はクロノに話しかける

 

「クロノ、もしユーノの言う通り主に闇の書が浸食をしていたとするとどうだ?」

「そういうことか」

 

闇の書は一定期間蒐集がないと主を浸食する。ロストロギアに寄生されて無事で入れるとは思えない。騎士たちは主を助けるために蒐集を開始したのではないか。その可能性が一番高かった。それにこれならさっきまでの疑問が解けていく

 

「クロノ、主を探そう。このままでは彼らが報われない」

「わかっている。だが、どうやって探す気だ?」

 

この数多くの次元で人ひとりを探すのは砂漠で一粒の金を見つけるほど難しいものだ

咲夜は何かヒントはないかとこれまでの情報を整理して、一つ疑問が生まれた

 

「あいつらはどうしてこの世界に来た?」

「なに?」

「ここは魔力文化もない。蒐集を急ぎたいなら、ここにあるような無人世界の魔力生物を探せばいい。なのにどうしてわざわざこの世界に来る必要があったんだ?」

「それは…」

 

たまたまこの世界になのはたちのような強い魔力を持った人物がいた。けれど、それは急いでいる蒐集を中断してまでこの世界に来る価値などないはずだ

 

「あいつらは前からこの世界にいたんじゃないか?だからなのはたちの魔力を感じ取っていた」

「管理局の目を欺くためにこの世界に来た時にたまたま気づいただけじゃないのか?」

「なら、はじめの一回だけで充分だろ。どうして二度もここに現れた?蒐集を行っていないのはフェイトだけだ。管理局から逃げたいならリスクが高すぎる」

 

フェイトの魔力は確かに高い。けれど、そのために無理をしてまでこの世界にいる必要性はないはずだ

 

「つまり、主はこの世界にいると?」

「可能性は一番高いだろ」

 

なにも情報がない今この可能性にすがるほかクロノたちに選択はなかった

 

「わかった。部隊の6割をこの世界に。残りはほかの世界で情報を集めよう」

「そうだな」

 

その様子をロッテとアリアは複雑そうに見ていた。

アースラから戻る帰り、咲夜は買い出しに行くとフェイトとアリシアを店に残して外に出ていた

 

「それで、何の用だ」

「余計なマネをしやがって」

 

咲夜の後ろに立つのはロッテだった

 

「お前がここにいるってことは俺の仮説は間違いがなかったってことだな」

「残念だが、はずれだよ。主はこの世界にいない」

「いや、いるね」

 

鼻で笑うロッテに咲夜は確信をもっていった

 

「どうしてそう思うんだい?」

「俺が一番疑問に思っていたのはお前たちだ」

「私たち?」

「お前たちの行動が早すぎるんだよ。アースラから向かうならまだしも、本局にいたはずのお前たちがどうしてあんなに早く事件が発生してから現場に着けた?」

「それは…」

「見ていたのだろ?ずっと。闇の書の主を」

 

その問いにロッテは答えない。ただ、拳を咲夜に向ける

 

「昔からあんたは感がよすぎる」

「褒め言葉として受け取っておくよ」

 

咲夜は如月を取り出す

 

「手加減はできないからな」

「私もするつもりはないよ」

 

二人は2度目の戦いを始めた

 

「龍幻衝!」

 

残像を生み出し後ろに回った咲夜は刀を振り下ろす。ロッテはそれを障壁を張って防いだ

 

「燃え尽きろ!陽炎!」

 

いったん後退をしたロッテを逃がさないように炎の斬撃を放つ

 

「くっ!」

 

今度は障壁を張る暇もなく被弾するがそれでも、身体強化をして防御をあげたのかさほどダメージは見られなかった

 

「あんたはやっぱり強いよ」

 

咲夜を睨みながら立ち続けるロッテを見ていった

 

「あんたもね。昔からそうだったよ。大した魔力を持ってないくせしてその技術は大したものだ」

 

訓練校時代、クロノの修行に付き合って何度かロッテたちと模擬戦をしたことがあった。その時もこうして戦いはなかなか決着がつかなかった

 

「戦いは魔力がすべてじゃない。あんたたちがクロノに言っていた言葉だ」

 

クロノは咲夜ともよく模擬戦をしていた。その時の勝率は咲夜のほうが上だった。なかなか勝てないクロノはロッテたちに聞いた。どうして魔力に差があるのに負けるのかと。その時ロッテたちが言ったのだ

 

「もうやめろ、こんなことをしてなんになる」

「やめられるわけない。あたしたちはもう、止まれないんだ!」

 

拳と刀が激突する。激しい爆音を生んで二人は距離をとる

 

「そう思い込んでるだけだろ!まだ間に合う!」

「もう無理なんだよ!あたしたちは進むと決めた!」

「それがクロノにつらい思いをさせることになってもか!」

「っ!」

 

クロノの言葉を出した時一瞬だがロッテの力が弱まった。だが、すぐに持ち直す

 

「悪いとは思ってる!けど、今更やめられるわけない!あたしたちはずっと見てた。あの日からお父様がずっと悩んでいる姿を、だから決めたんだ。お父様の望むとおりにしようと。そのために手を貸そうと!」

「復讐で何を得る!?ただの自己満足で人の命を奪おうとするな!」

「きれいごとばかり並べるな!!!」

 

この前の戦闘の傷がうずいて咲夜の手が止まる。その隙をロッテは見逃さず拳を叩き込んだ

 

「ぐっ…」

「誰もがあんたみたいに強いわけじゃない。あんたは頭もよかった。だからそんな言葉が言える。けど、弱い人間には選ぶことさえできないんだ!」

「選ぼうとすることさえ放棄して、何が弱いだ…ただ逃げてるだけだろ!」

 

口から血を流しながらも咲夜はロッテをまっすぐに見据えていた。その視線にロッテはたじろく

 

「ただ怖くなって、辛いことから逃げただけだ、それを弱さのせいにするな!」

「弱いからこそ受け止めきれない現実だってあるんだ!」

 

火花を散らしながら二人は交差する

 

「けど、そのままでいいわけないだろ!どんなにつらくても受け止めなければ前には進めない!」

「何も知れないくせして偉そうに言うな!!」

 

ロッテの怒りを乗せた拳が咲夜を吹き飛ばす

 

「今だって悩んでる、これでいいのかって。わかってるよ間違ってることくらい!でもね、この思いはそう簡単に消えやしないんだ!あんたにわかるのか!?ずっと落ち込んでいる大切な人を見る辛さが、何もできない無力なあたしたちの気持ちが!」

 

地面に倒れている咲夜にロッテは足をのせて踏みつける

 

「あたしたちの気持ちも知らないやつが、邪魔するなよ!!」

 

魔力を込めたけりをとどめとばかりに咲夜に放つ。それを咲夜は転がって回避した

 

「どんな言葉を並べたってお前たちのやってることは罪だ。それを許すわけにはいかない」

 

すでに満身創痍になりながらも咲夜は刀をロッテに向ける

 

「恨むことをやめろとは言わない。憎むなとは言わない」

 

咲夜は呼吸を整え、ロッテを見つめる

 

「でも、人の命を自分たちの都合で奪うことだけは許さない。誰にだって生きる権利はあるんだ。どんな奴だってそれは変わらない。だから俺はお前たちを否定する!」

「あんたに許しを得る必要なんてどこにもない!」

 

ロッテは泣きそうな顔をしながら魔力を拳に収束する。咲夜は如月を天高く掲げた

 

(悠斗、力を貸してくれ)

 

咲夜が心で願った瞬間、咲夜と悠斗の意識が変わった

悠斗は瞳を閉じて、刀に魔力を込め詠唱をはじめる

 

「命脈は無情になりて、敵を打つ。祖は、凍てつく荒野、荒れ狂う嵐を我が腕に」

 

あたりの空気がどんどん冷えていく

 

「はぁああああああああああ!!!」

 

ロッテが最大の威力をもって拳を振り下ろす

 

「不動氷明剣!!」

 

振り下ろされた刀から魔法陣が出現しその中から巨大な氷河がロッテを包み込んだ

 

「眠りを抱いて、永久の夢を」

 

刀をしまった悠斗の後ろには氷漬けになったロッテの姿があった

 

「アリア、連れていけ」

「気が付いていたのかい?」

「ああ」

「でも、いいのかい?あんたにとってはチャンスなんだよ?」

「この体じゃ、あんたの魔法をよける自身はないんでね」

 

アリアの周りにはすでに何十という魔法弾が形成されていた

アリアは悠斗を警戒しながら転移魔法でロッテを連れて姿を消した

 

「俺が表に出れるのは咲夜は知らないはずなんだがな。勝ちたいって気持ちが俺を引っ張り出したってことかな」

 

悠斗は苦笑しながら咲夜に意識を戻そうとした

 

「咲夜、お前の気持ちは間違ってなんかいない。でも、誰かを犠牲にしても大切なものを守りたいというあいつらの考えも俺は間違ってるとは言えないな」

 

自分の世界に戻るために咲夜を殺そうとしている悠斗にとってロッテたちの考えは一概にも否定できるものではなかった

 

「まぁ、それでも。お前はお前の道を進めばいい」

 

悠斗は伝わらないとわかってはいるが咲夜に心で語り掛け意識を落とした

 

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