フェイト「これでいろいろわかるんだよね」
作者「そうだね。伏線とかもう難しくてつらかった…」
フェイト「伏線なんてあったの?」
作者「え?」
フェイト「え?」
作者「あったよね?」
フェイト「??」
作者「ほら!いろいろあったじゃん!」
フェイト「たとえば?」
作者「えっと…ほら!悠斗君との神との話とか!」
フェイト「悠斗君って誰?」
作者「はっ!(そうだ。このフェイトちゃんは咲夜君の世界のフェイトちゃんだから…)」
フェイト「?」
作者「うん。そうだね。なかったね。勘違いだったよ…」
フェイト「どうして血の涙を流してるの!?」
作者「もう始めよ…お願いだから」
フェイト「え?うん…えっとリリカル・マジカル。始まります」
「君はいったい…」
「こっちです」
フェイトによく似た女性に手を引かれながら咲夜は海鳴によく似た街を歩いていた
「あ!フェイトちゃん!」
「なのは!」
「なのは?それにフェイトって…」
前方から歩いてきた女性と男性。女性の方は栗色の髪をしており、男性の方は金髪の髪をしていた。二人は手をつなぎながらとても幸せそうに歩いてきた
「この人は?」
「うん。私たちの希望だよ」
「あ、そうかこの人が…」
咲夜の存在になのはと呼ばれた女性は首をかしげるがフェイトと呼ばれた女性の説明ですぐに納得した。咲夜はその会話でさらに困惑する
「なぁ、俺が希望ってどういうことだ?それに君たちはいったい…」
「………………」
咲夜の問いにフェイトと呼ばれた女性は何も答えない。ただ少しだけ寂しそうな顔をした。
「あの、お願いします。悠斗さんをどうか助けてください」
「俺からも頼む。師匠を助けてくれ」
「悠斗?悠斗ってあいつのことか?いったいどういうことなんだ?」
「……こっちです」
「おい!」
フェイトと呼ばれた女性は咲夜の手を引いてまた歩き出す。なのはと呼ばれた女性と男性は頭を下げたまま動かなかった
「なのはって呼ばれてたあいつは誰なんだ!?それに君はいったい…どうしてフェイトと呼ばれている。いや、どうしてそんなに似ているんだ!?」
「……………………」
「なんや、ずいぶん困惑しとるな…」
「はやて…和人…」
咲夜たちに声を掛けたのははやてと呼ばれた女性と和人と呼ばれた男性だった
「お兄さんもようわからんかもしれんけど、ちょっとうちらに付き合ってほしんや」
「最後にはちゃんと説明しますから」
「…話してくれるんだな…」
「……はい」
フェイトと呼ばれた女性がうなずくのを確認した咲夜は黙って3人についていった
「ほな、自己紹介でもしとこか。うちは八神はやてや」
「僕は青木和人です」
「私はフェイト・テスタロッサ」
「…藤宮咲夜だ」
「もう、なのはちゃんたちにはあっとるんよね?」
「あ、ああ」
「栗色の髪の女の子方が高町なのはちゃんで、金髪の男の子が桐原隆君や」
女性の方は自分が知っている子たちと全く同じ名前に咲夜は動揺を隠せない
「それで、ここが海鳴市や」
「やっぱり。ここは海鳴なのか」
どこまで言っても見覚えのある風景、はやての説明で咲夜は納得する
「うーん。確かに海鳴やけど、咲夜君の知っとる海鳴とはまた違うと思うんよ」
「?いったいどういうことだ?」
「パラレルワールドって知っとる?」
「よく似た世界だけど確かに違う世界のことか?」
「そや、それで…ああ、うちらはもう時間みたいやな」
急に空を見てそういったはやてはどこか悲しそうだった
「ほな、フェイトちゃん。あとは頼んだよ」
「うん。任せて」
「おい!どういうことだ!」
「こっちに、もう時間があまりないから」
フェイトは咲夜の手を引いて走り出した。はやてと和人は手を振りながら咲夜を見送っていた。フェイトは咲夜を丘の上まで連れてきた
「ここからなら海鳴を見渡せる。見て」
「なんだ、これ…」
咲夜が見た光景は街を大きな闇が覆っている姿だった
「はやての説明の続きだけど。こことあなたの世界は本来は交わることのない別の世界だった。でも、それがある日。ほんとに偶然で交わってしまった。それによって世界は互いに存続するためにお互いの世界を消そうと動き出した。それがあれ」
フェイトは街を覆う闇を指さした
「なら、この世界は滅びるのか?」
咲夜の問いにフェイトは首を振った
「交わった原因を取り除けば世界はまた、回りだす。だから私たちはその原因を突き止めて封印した」
「なら、これはいったいどういうことなんだ?」
世界が交わる原因が消えたのなら世界はまた回りだす。なのに今だに互いの世界が存続をかけて戦っている
「あなたたちの世界に潜むイレギュラー。それがいまだにお互いの世界をつなぐ原因」
「俺の世界に潜むイレギュラー?」
「悠斗さん。あの人の存在がいまだに世界をつなげている」
「もしかして、ここが悠斗の言っていた戻りたい世界なのか?」
「うん」
「なら、いったいどうすればいいんだ?悠斗をこの世界に返すにはどうしたらいい?そもそも悠斗はこのことを知っているのか?」
悠斗の性格は咲夜は少しでも理解はしているつもりだ。咲夜の知る悠斗ならこんな状況を良しとはしないはずだ。
「悠斗さんは何も知らない。あるものが邪魔をしてるから」
「あるもの?」
「因果を歪めるロストロギア。イグナイター」
「イグナイター?」
「悠斗さんはそれを回収するために任務に就いていた。そして、回収し帰還しようとしたときイグナイターが偶発的に発動して悠斗さんの因果を歪めた」
「悠斗の因果を歪めた?」
「だから悠斗さんは本来いかないはずのあなたの世界に流れ着き、それによって世界はつながった。イグナイターは封印したけど。悠斗さんの中に残った歪んだ因果の残骸がいまだに存在しているから完全にイグナイターを封印することはまだできてないの」
「なら、俺が悠斗の中の残骸を封印すればもとに戻るのか?」
フェイトはゆっくりと首を振った
「それは無理。確かに悠斗さんの中の残骸を封印すればイグナイターの脅威は去る。でも、繋がった世界は戻らない」
「なら、どうすればいいんだ?」
「悠斗さんを…殺す」
「なっ!」
「それしか、手はないから…」
フェイトはとても悲しそうに泣きそうな顔で視線を落とす
「悠斗さんの存在があなたの世界から消えれば互いの世界はまた元に戻る」
「君は…君はそれでいいのか?」
「……世界を救うにはそれしかない。それにあなたもこのままじゃ悠斗さんに殺される」
「それはどういうことだ!?」
どうして自分が悠斗に殺されなければならないのか咲夜には理解できなかった
「あなたの能力がイグナイターにとって脅威だから」
「俺の能力が?」
「そう。Rewrite。あなたは再生の能力だと思っているけど本来は事象の上書き。書き換える力」
「事象の上書き?」
「その力を使えば世界を好きにつくりかえることができる。だからイグナイターは恐れている。あなたの力を。そのために悠斗さんを使ってあなたを殺そうとしている」
「なんでそんなことを知っているんだ?」
違う世界に存在しながら自分のことを知りすぎているフェイトに咲夜は疑問が尽きない
「イグナイターを封印したとき、あなたたちの世界が見えたの。それにこっちにはあなたたちと同じ転生者がいるから」
「転生者のことを知っているのか?」
「隆と和人がね。悠斗さんが消えてイグナイターを封印したとき教えてくれたんだ。そして、神がいることを知った。私たちは隆と和人の協力で悠斗さんを転生させた神と接触できた。そして知った。悠斗さんをそそのかす存在がいることが、世界がどうしてつながったのか」
悠斗が神を許したこと。それは神にとって救われたことだった。だから禁忌とされる危険な行為だったがフェイトたちと接触し、すべてを伝えた
「だからお願い。悠斗さんを殺して」
「…………できない」
「どうして?」
「あいつと、何年も一緒に過ごして俺はあいつがどれだけ君たちを大切に思っているか知った。だからできない」
友を裏切ることなど咲夜にはできなかった。たとえ悠斗が自分を殺そうとしていても
「やっぱり、いい人なんだね。悠斗さんが手を貸したがる気持ちもわかるよ」
どこか嬉しそうにフェイトは微笑んだ
「試すようなまねをしてごめんね。悠斗さんを殺さなくてもお互いの世界を分かつ方法は存在するの」
「…心臓に悪いことはしないでくれ」
ごめんねとフェイトは舌を出していった
「でも、あなたがすぐに悠斗さんを殺すといったら私があなたを殺していた。そんな人に私たちの未来を託したくはなかったから」
「俺を試したのかよ…」
「うん」
「はぁ。それでその方法ってなんなんだ?」
「あなたの力とイグナイターの力を利用するの」
「俺の力とイグナイターの力?」
「うん。まず、イグナイターを使って時空の穴をあける。その時に生じるゆがみをあなたの力で上書きしてもとの状態に戻す。そしてつながった穴に悠斗さんが通ればいい」
「そんな簡単なことか」
蓋を開けてみればなんてことのないことに咲夜は肩の力を抜いた
「でも、そのためにいくつかの障害があるの」
「障害?」
「一つは悠斗さんの説得。悠斗さんはイグナイターの残骸のせいである種の洗脳状態にあるから納得させるのは大変だよ」
「確かに…」
悠斗はどこか頑固だから自分の言葉を聞くのか咲夜は心配になった
「だからこれを見せて」
「これは?」
フェイトが差し出したのはデバイスのようなものだった
「悠斗さんのデバイス。オーディンだよ」
(初めまして)
「見つけたときディンは破損してたんだけどもう治ったから。ディンの言葉なら悠斗さんも耳を貸すと思うの」
「わかった」
咲夜はフェイトからオーディンを受け取る
「次の障害は悠斗さんの中に残っている残骸。これは悠斗さんが自分の力で外に出すしかないの。でも、これは大丈夫」
「なんでそう言い切れるんだ?」
「だって悠斗さんだから」
理由になっていないがどこか咲夜は納得した
「次は外に出た残骸が本体に入ったときどれくらいの脅威になるのか予想がたたないこと」
「戻らないようにはできないのか?」
「それは無理だと思う。残骸と言っても思念体のようなものだから…実態がないからどうにもできないかもしれない」
「それなら、悠斗がいるから大丈夫だろ?」
「うん。そうだね」
冗談で言ったつもりがあっさり肯定するフェイトに咲夜はあっけにとられる
「これくらいかな。あとはあなた次第だよ」
「ああ、任せてくれ」
その時空間にひびが入った
「これは…」
「悠斗さんが目覚めようとしてる。ここは悠斗さんの夢の中だから」
「だから、君たちが存在していたのか…」
悠斗の夢であったからこそフェイトたちは存在でき、イレギュラーである悠斗の夢だからこそ世界をわたることができた
「もう、会えることはないと思う。だからお願い。悠斗さんを助けて」
「ああ、約束する。悠斗は絶対に君たちのもとへ返す」
咲夜は拳を突き出してフェイトに向ける。フェイトは驚いた顔をしたがすぐに微笑んで拳を重ねた
「こういうのは男の子がやるものだよ?」
「剣を捧げる誓いはあいつにしかやらないと決めてるんだ。だからこれで勘弁してくれ」
「ふふ、仕方ないな」
空間が崩落していき咲夜の体が透けていく
「それじゃ、行くよ」
「うん。ばいばい」
瞳を閉じ咲夜の姿は消えていった。フェイトはその光景を見つめながらつぶやいた
「帰ってきてださい。悠斗さん」
フェイトの頬に涙がこぼれた