ちなみに今回はオリジナル
雨が降り、雷も鳴るほど荒れた天気。族長の家の一室で少女は動かないマホロアの横で泣きじゃくっていた。
「うっうぇ……ぐすっ…マホロア!!目を開けて……うっ……お願いっ……!」
動かないマホロアの手を握り、泣きじゃくるゆんゆん。
「……ゆんゆん。手を放してあげなさい。彼は今…眠ってるだけなんだ…そっとしておいてやりなさい」
そんなゆんゆんの背を摩り、諭す族長。
「嫌よ!……マホロア!お願い!マホロアまでいなくなったら……私っ……もう………もうっ………」
首を横に振り、強く手を握って項垂れるゆんゆん。そんな彼女に答えるように握っていた手に力が入った。
「……ウゥ……ゆんゆん……」
「!?……マホロア!?大丈夫なの!?しっかりして!!」
彼女の願いが届いたのか、意識が戻ったマホロア。しかし、彼の答えは残酷なものだった。
「ゆんゆん…お願い…このまま寝かせてヨォ……ダイジョウブ…少し寝タラ…また元気になるカラ………ダカラ…少しの間…眠……る…ヨォ…」
そう言い終わると同時に雷が落ち、部屋は白い閃光に包まれ、一瞬目がくらむ。
目が冴えるとそこには、力尽きたマホロアが静かな顔で眠っていた。
「!!……嘘………やだ!お願いマホロア!逝かないで!!マホロア!!!」
目の前の現実を受け入れられず、膝から崩れ落ちるゆんゆん。大切な人を失う苦しみを知った彼女は泣き崩れ、叫ぶ。
「マホロアァァァァァァ!!!!」
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数日前
「オーオー偉大なハールトマン♪
オーオー偉大なハールトマン♪
銀河に〜名だたる〜王者ヨォ〜♪」
鼻歌を歌いながら家の掃除を手伝ってると
「ただいま!」
なにやらご機嫌で帰ってきたゆんゆん。
ちなみにあの後ゆんゆんは卒業し、俺も後を追って卒業した。
そのまま旅をしても良かったのだが、ゆんゆんが中級魔法だけでは心許ないし、上級魔法を覚えてから旅がしたほうがいいと言ったので、ゆんゆんはニートが構成した組織【レッドアイ…なんとか】という自警団に入り修行。
俺は暇を持て余してるのでこうして家の掃除やら買い物やら雑務をこなしていた。たまに修行について行ったりもするが、基本何もしないので、平穏な異世界ライフを満喫していた。
「ヤァ!オカエリ!ご機嫌ダネェ、ドウしたノ?」
布巾で窓を拭きながら後ろ向きで尋ねる。
「実はね!今日小物屋で、植物用の肥料っていうのが入荷しててね、それを買ってきたの!」
え?そんな喜ぶことなのか?ハタキを置いて振り向きながら
「そんなに嬉しいコトナノ?」
「うん!サボちゃんは私の大切な友達だから、もっと元気になってほしくて!」
パァと顔を輝かせながらそう答えるゆんゆん。
あぁ…笑顔が眩しいよゆんゆん。その笑顔が素敵なんだけど…理由が酷いよぉ…
「とりあえず、早速サボちゃんにあげてくるわね!じゃあ掃除頑張ってね!マホロア!」
そう言って買い物袋を手に部屋に駆けて行くゆんゆん。
なんだか妙な胸騒ぎがするのは気のせいだろうか。杞憂ならいいんだが…
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そして昨日
「あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
「ウワッ!?な、ナニ!?ビックリした!」
朝っぱらからけたたましい声が鳴り響き、叩き起こされた。
空が曇ってて日の位置がわからないが、感覚的に恐らく早朝5時くらいだろうか。
とりあえずクッソ眠いので2度寝しようと目を閉じかけた時、ドタドタドタと廊下を走る音が聞こえバンッと勢いよく扉が開け放たれた。
「ま、マホロア!……どうじよう!サボちゃんが!サボち"ゃんがぁ!」
泣きながら何かを抱えて入ってくるゆんゆん。
よく見るとそれは、植木鉢にサボテンだった物が中心にあり、その周りをアンプルタイプの肥料が円を描くように刺さってた。
………そりゃあいくらサボテンでも枯れるわ…
「ゔ、ゔわ"ああぁぁぁぁぁん!!!サボぢゃあぁぁん!サボぢぁぁん"!!」
にしてもガチ泣きである。「たかが植物が枯れただけじゃないか」とか言える雰囲気ではない。ましてや、からかおうものなら一生口を聞いてくれなくなる気がする。
「ゆ、ゆんゆん?」
そう尋ねるとハイライトのない目を潤ませながら俺を見てくる。
怖ぇよ…
「だ、ダイジョウブ。サボちゃんはキット天国からゆんゆんの事を見守っててくれるヨォ」
「……ぐすっ……本当に?」
「う、ウン!ゆんゆんはサボちゃんが大好きだったんダロォ?ジャア!サボちゃんもキットゆんゆんのコトが好きダカラ、見守っててくれるヨォ!」
「うん……うん!」
泣きながらも頷いてくれるゆんゆん。
俺はその背中を優しく撫でて落ち着かせてあげた。
数十分後ーー
「ありがとうマホロア。もう大丈夫、落ち着いたわ」
ようやく落ち着いてくれたゆんゆん。
「ウン。エット、サボちゃんはモウどうしようもないケド、ボクにできるコトがあったら何でも言ってネ!ボクでよければ協力するヨォ?」
流石にサボちゃんを生き返らせろとかは無理だし、俺に出来る事なんてほとんどなさそうだがな…
「じゃ、じゃあ……頼んでもいい?」
上目遣いで俺に尋ねるゆんゆん。
「アァ!何でも言ってチョウダイ!」
「ならーーーーーーーーーーー」
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昨日 お昼
「ウーン……コレじゃあ……大き過ぎるカナ?」
現在俺は霊峰:ドラゴンズピークの麓辺りで採掘中だ。
あの後ゆんゆんに、縦110cm横30cm程度の岩をワープホールに突っ込んでこいと言ってきたのだ。どうやらお墓を作るようだ…サボテン程度に墓って(笑)…ともかく イイヨォ とは言ったものの、そんな都合のいい岩が中々なく難儀してる。
なんか雲行きも怪しくなってきたし、はよ見つけて帰りたいなぁ…
岩を求めて30分
「オォ…凄いソレっぽい岩が見つかったヨォ」
大きさ的にも申し分ないツルツルな岩が見つかった。早速俺はその岩をワープホールにしまう。
ヴォン
と音を立てて岩が星型の穴に飲み込まれる。
………あっ。やっべ…これタマゴにぶつかったりしねぇよな?割れてたらマジ洒落にならんのだが…今から取り出して様子を見るかな?
と、思った矢先
ガタッ
「ン?」
何かが崩れる音がしたと思ったら…
ガタッ……ガッタン……ガラガラガラガラガラ!!!
と音を立てて軽い岩雪崩が起きてしまった…どうやら先程の岩がピタゴラスイッチ的な役割を果たしたらしい。
俺は咄嗟にワープで回避したが、その岩雪崩はゴロゴロと転がって行き…
ドゴォ……
と鈍い音を立てて、この間封印が解けた邪神の墓に突撃し…
「ア……やべ…」
邪神の墓の中央に立っていた、縦長の墓石が倒れた。邪神の下僕はこの間里のみんなで駆逐したので中からは何もでてこなかったが、流石に里の建造物?をぶっ壊したのはまずい。急いで元に戻そうとした時
ポツン……ポツン………………………ザアァァァァァ!
スコールの如く突然大雨が降り出した。
「ウワァ!!フッざけんなヨォ!?こんな時にふりやがっテェ!?」
直す作業を中断し、魔力を結構消費して疲れるのだが、ワープを繰り返して急いで家に帰った。
ーーーーーーーーーー
「タダイマ……」
びしょびしょな上に、魔力をそこそこ消費して疲れた状態で帰宅する。
すると部屋の奥から
「おかえりマホロア君……うわっ!びしょびしょじゃないか!すぐにお風呂を沸かすから入ってきなさい!」
族長が心配そうに出てきた。
「アァ…アリナトウ……ゆんゆんの調子はどうダイ?」
「………ゆんゆんは今部屋に篭ってるよ。今は一人にして欲しいらしい…」
こりゃあ予想以上に傷が深そうだ…
傷口を抉るような事はしないように心掛けよう…
「ア、ソウダ。墓石を持ってきたケド…ドコに置いとけばいいカナァ?」
長い間ワープホールに突っ込んでおくのもあれなので聞いてみる。
「あー…どうせ今日はもう作業はできそうにないし、玄関先にでも置いといてくれるかい?」
「わかったヨォ」
そういい俺は玄関先に岩を
ドゴォ
設置した。
その後は風呂に入って夕食を食べ寝たんだが、邪神の墓の事は言わなかった。この雨で勝手に倒れたと勘違いしてくれるだろう。ま、明日人知れず直しに行けば問題ないだろう。
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そして今日
朝何気なく目を覚ますと…
なんか頭がぼーっとする。これは寝起きで寝ぼけた感じじゃない…しかも、鳥肌……肌かどうかはわかんないけどたってる。そして肌寒い。頭痛い。
うん。これは風邪引いたな…
人間だった頃の熱が出た時の感じとそっくりだ。………ただ、人間の頃と随分違った点がある。それは…
「(^q^)<あうあー…」
クッソ怠い…なんだこれ…声を発するのもめんどい…こんなの初めてだ……あぁ…考えんのもめんどーになってきた………寝よ……
もっぺん寝よーとしたところで…
「マホロア君。おはよう!朝ごはんだよ!」
ぞくちょーがはいってきた…
「あー…ウーン………熱……」
かすれたこえでそー伝える…
「何!?熱!?どれどれ?」
そーいい俺のおでこに手をあてるぞくちょー……
「いつもより熱い……?気がするな…大丈夫かい?」
「ホェ〜」
てきとーなへんじをかえす……
「大変だ!ひどく衰弱して……る?
とにかく、マホロア君はそのまま安静にしてるんだよ!?」
そーいいどっかにいくぞくちょー
あぁ…ねむ…………おやすみ………
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「………ロア!!………………がいっ!…………」
ウーンうるさいなぁ…
だれかが近くでさわいでいるのと、手がつよく握られたよーな気がして、おきた。
あーまだ……だりぃ…これは………ゆんゆん?
「……ウゥ……ゆんゆん……」
「!?……マホロア!?大丈夫なの!?しっかりして!!」
そーいって顔をちかづけて来るゆんゆん。 かおちかい…
「ゆんゆん…お願い…このまま寝かせてヨォ……ダイジョウブ…少し寝タラ…また元気になるカラ………ダカラ…少しの間…眠……る…ヨォ…」
そー伝えて眠りにつく……むにゃむにゃ…
「!………そ……………いで!!……………」
ゆんゆんが泣きながらなんかいってるけど…いまは眠いんだ……勘弁してぇ……後みみもとでさけばないで…あたまいたい…
「マホロアァァァァァァ!!!!」
俺の内側で何かが変わる音がした
「ウルセェェェェェェ!!!!」
飛び起きながら叫ぶ俺
「ゆんゆん!ボクは頭が痛いンダ!叫ばないでクレェ……ズキズキするンダヨォ…」
「ひぐっ……だ、だって…サボちゃんだけじゃなくて!グスッ…マホロアまでいなくなりそうだったがらッ」
「死なねぇヨォ!ソンナ植物と同レベルなわけないダロォ?ただのカゼダカラ!寝たら治るカラ!」
「おぉ!マホロアが死の淵から蘇った!奇跡だ!ここに奇跡が起こった!」
「族長さんもややこしいコト言って事態を悪化させないでクレェ!」
ピカッ……ゴロゴロ!!
「ウルセェ!!さっきカラ眩しいンダヨォ!!」
さっきまでの怠惰な自分は何処へやら、もう何でもかんでもに怒鳴りつける俺。何故かイライラしてしょうがないのだ……なんか辺り一面が平になるまで破壊の限りを尽くしそうな衝動に駆られてる。
「フゥ…フゥ…」
深呼吸をして落ち着いた後、自身の異常に気づく。
なんだこれは…朝から妙に怠かったり…急にそこらかしこで暴れたくなったり…今日の俺はどうしたんだろう?
そんな感じで考えてると…
「え、えっと…マホロア君?と、とりあえず大事をとって休みなさい?お粥を妻に作らせるから、ね?夕方に届く病治療のポーションで風邪は治るだろうけど…悪化するといけないから寝てなさい」
族長に優しく声をかけられた。
「……わかったヨォ…」
そういいベッドに戻り、さっきからベッドの側で泣いてるゆんゆんに
「ゆんゆん。サッキはゴメンネ…カゼでイライラしてただけなンダ…ソレに、ボクは死なないしゆんゆんの側から離れないカラ、安心しなヨォ」
「うん………グスッ…」
そういい族長と共に部屋から出て行った。
はぁ…ホント今日はどうしたんだろう?もしかして、邪神の墓を破壊した祟りとか?まさかな……………………………まさかな……
そう思いながらも再び眠りに落ちる。
*****************
「……ン」
なんか妙な違和感を感じ、また起きる。外はもう晴れていて、オレンジ色の光が部屋を照らす。…どうやら夕方まで寝ていたようだ。とりあえず起きてみようと思ったら
「!?」
腰辺りに白い腕が巻きついていた!
お化けか!?と思い、割とガチでびっくりしたが……暖かい……それに耳元でも息遣いが聞こえる。
これってもしかして…
「……ん?……マホロア…起きたの?おはよう」
とゆんゆんが聞いてくる
「ウン、オハヨウ………………じゃないヨォ、何してんノ?」
当然のように挨拶をしてきたので返してしまったが、本当に何してるんだ?
「うん。えっとね?さっき本で、熱が出た時は人肌であっためるといいって聞いたから」
なんか決して正気とは言い難いぐるぐると回った目でそんな事を言ってくるゆんゆんに
「エェ…確かに聞いたコトはあるケド…実際にやらなくても、湯たんぽトカがあるじゃなイカ…」
と言うと
「ゆたんぽ?なに?それ?」
……しまった…この世界には湯たんぽなど存在しないのか…いやそんな事はどうでもいい。そっちじゃねぇ
「と、とりあえず離れヨウ?ゆんゆん」
早く離してくれ…さっきから君の
「……イヤよ…離したらいなくなりそうで、胸が苦しいの…」
「…」
そんな事言われたら断れないじゃないか…ずるいなぁ…ゆんゆんは
「わかったヨォ…好きにしてチョウダイ…タダシ、ポーションが届くマデだからネ?」
「……わかったわ」
はぁ…早くモンハンしなきゃ俺の何かが耐えきれなくなりそうだ…
クソッ!なんであっちの世界ではこんな裏山体験ができなかったのにこっちの世界に来て○○○○ができなくなった途端にこんな事ばかり起こりやがって生き地獄だよチクショウ!
……もういいや。寝よ……
ゆんゆんに抱かれながら、俺の意識は沈んでった。
ちなみに、その後部屋にポーションを持ってきた族長さんが俺たちの姿を見て、ポーションを落としそうになったのはまた別の話。
後日談だが
夕方の雷雨の中、そけっとのストーカーをしていたぶっころりーが、倒れた邪神の墓を見かけて、彼の善意(本人談)によって元の位置に戻されると、嘘のように空が晴れたそうだ。
*アンプルタイプの肥料 よく観葉植物とかの植木鉢に刺さってるスポイト的なやつ大体緑色。
そろそろたの死いたのちい受験勉強に本腰を入れなきゃいけないので投稿ペースがだんだん遅くなっていきます。
すいません。
後、添削や誤字、脱字の報告ありがとう御座います!
P.S なとりうむって平仮名で書くとなんか可愛い。