神喰らう無色の反逆者   作:COLD

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極寒の女帝

アナグラを出発してライ達第1部隊が降り立った場所は『鎮魂の廃寺』。

 

「やっぱここさみぃな…俺寒いの苦手なんだよ。暑いのも苦手だけど。」

 

「そんな薄着してたら当然ですよ。と言いたいところですが確かに今日は一段と寒いような。」

 

降り立って早々寒いと言い出すコウタとアリサ。

 

「私達ゴットイーターは偏食因子のおかげである程度の寒暖の耐性はついてるけど確かにいつもより寒いわね。雪が降るのはいつものことだけど。」

 

「当然だろ。アレを見たらな。」

 

サクヤもこの寒さに疑問を持ったようだがソーマは寒さの原因を見つけたようだ。

 

「ああ、確かにいつもより寒いわけだ。」

 

「何か見つけたんですか?」

 

そう問うアリサにライはとある方向に指差す。

 

そこには…

 

「そこに“凍りついたアラガミの彫像”があるだろ?その氷が寒さの元凶だ。」

 

ライの指差す先には凍りついたアラガミがいた。

 

「これ死んでる?」

 

「多分な。」

 

「やったのもアラガミだろうね。しかもそれなりの強敵。おそらく討伐対象だ。」

 

「氷を操るヴァジュラ…」

 

「接触前でよかった。いきなり鉢合わせしたら対応が遅れただろうし。」

 

「火炎系の弾を仕込む必要があるわね。今のうちに…」

 

『…!!全員そこから離れろ!!」

 

サクヤがそういうと同時にソーマが叫ぶ。その数秒後…

 

無数の氷柱が飛んできた。

 

「気づかれてたみたいね。」

 

サクヤは忌々しげに見上げる。

 

そこには木造の屋根にはリンドウが行方不明になった際、接敵したアラガミが第1部隊を睨みつけるように見下していた。

 

名を『プリティヴィー・マータ』氷を操るヴァジュラ種のアラガミである。

 

ヴァジュラと違い、一見人に近い顔をしていてるが姿はヴァジュラなので半人半獣の不気味な姿をしている。

 

「行くぞ!!」

 

「サクヤさん達は火炎系の弾丸で援護を!!僕とソーマで近接を担います!!アリサは遊撃!!」

 

「了解!!」

 

すぐに指示を出しマーダーに迫るライとソーマ。プリティヴィー・マータも一度咆哮してから屋根の上から飛び降りて迎え撃つ。

 

「所詮はヴァジュラ!!電気から氷に変わっただけの雑魚だろうが!!」

 

「ちょっ…!!ソーマ!!?」

 

ライの制止を聞かず斬りかかるソーマ。

 

「まったく…援護する!!」

 

ソーマに呆れつつも神機を銃形態に可変し援護に入るライ。

 

いつもどおりだと思っていたソーマだがやはり彼もリンドウの仇をとりたいのだろう。

 

プリティヴィー・マータに斬りかかるソーマに狙撃で援護に入るライ。

 

オラクルが切れればソーマが気を引いてるうちに捕食形態に移行し捕食することでオラクルを補充する。

 

そしてサクヤ達の火炎射撃の援護が入るとライ、アリサ、ソーマが近接を担いプリティヴィー・マータを追い詰める。

 

しかし相手は新種のアラガミ。普通のヴァジュラよりも耐久力が高くさらに動きも速い。

 

それ故に致命傷は避けていた。

 

追い詰めようとも最後の一撃には持ち込めない。それが戦闘を長引かせていた。

 

そしてこの長丁場がじわじわとライ達を苦しめて行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「このっ…!!」

 

「キャッ!!ちょっと!!どこ狙ってるんですか!!」

 

戦闘が始まって数十分が経とうとしていた。

 

未だアラガミは健在。むしろ追い詰められつつあるのはライ達の方だった。

 

「クッ…!!震えで銃口が定まらない…」

 

サクヤが苦々しく呟く。

 

ライ達を襲っているのはアラガミではなく気温の方だった。

 

いくらゴットイーターといえど人であることには変わりなく、暑い場所に長時間いれば脱水症状に陥るし寒いところにいれば霜焼けも凍傷もする。

 

そしてライ達はその極寒の中の戦闘を強いられ身体に異常をきたしつつあった。

 

「低体温による震えが止まらない。」

 

体を震わせながらそう呟くライ。しかしその眼光は死んでいなく、プリティヴィー・マータを睨む。

 

プリティヴィ・マータは氷を扱うためか寒さに耐久性があるのか状態に異常はない。今はライ達が完全に動けなくなるのを見計らっているのか距離を開けて様子を伺っている。

 

定石だろうがライ達が完全に動けなくなってからじわじわと嬲り殺すつもりだろう。

 

「クソっ…舐めやがって…」

 

「ソーマ…」

 

ソーマが勢いよく斬りかかるが戦闘開始時のような速さははなく、いとも簡単に避けられる。

 

「一撃で仕留める“何か”があれば…」

 

ライが不意に呟く。

 

体力の限界は近い。銃で仕留められる保証はなく、震えで銃口が定まらない以上、オラクルの無駄遣いになりかねない。

 

そのときだった。

 

“力を貸してやろうただし少しばかり代償を払ってもらう”

 

「っ…!?」

 

「リーダー?どうしました?」

 

不意に聞こえた謎の声、同時にライの心臓部辺りが大きく波打った。

 

謎の声はアリサには聞こえてないのかライに問うがそれを無視して神機を強く握り第1部隊に指示を出す。

 

「アリサはソーマの援護!!コウタとサクヤさんはアラガミの動き出しを狙って射撃!!をソーマはどうにか隙をつくれ!!」

 

 

指示を出すとライは勢いよく駆け出す。その姿には低体温による震えは見られず、本来のライの姿がそこにはあった。

 

ただ違うところが2つ

 

ライの瞳が普段の碧から金色に変わり、さらにその瞳には“紅い紋様”のようなものが写し出されていた。

 

さらにライの勢いがますに連れて神機の刀身が真紅に染まっていくが

その変化には誰も気付かなかった。

 

そして眼前に迫ったプリティヴィー・マータに向かって一閃する。

 

放たれた剣閂はプリティヴィー・マータを捉え、なんと両断した。

 

かなり苦戦したがとてもあっけない幕切れだった。

 

 

 

 

 

 

…同時刻

 

サカキに研究室では…

 

「おー」

 

「ん?どうしたんだい?」

 

シオがいきなり声を上げた。

 

「ハカセ。おにーちゃんオキタ。」

 

「リーダーくんが目覚めたってことかい?何にかな?」

 

しかしシオはサカキの問いに答えずニコニコと笑うだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は戻って鎮魂の廃寺。

 

「うわぁ…完全に真っ二つだ…」

 

『もう!!リーダーもあんなことができたなら早いうちにやってくださいよ!!」

 

「ゴホッゴホッ…ごめん。」

 

戦いを終えて言いたい放題言われるライ。少しだけ顔が青ざめているように見えるが誰も気づかない。

 

「……ねぇな。」

 

「…そう。どうやら外れみたいね。」

 

アリサがライを咎める中、ソーマとサクヤはライが掻っ捌いたプリティヴィ・マータからリンドウの腕輪と神機を探していたがどうやら見つからないようだ。

 

「最近の調査隊の報告、誤報が多いですよ。」

 

「そう言わないのアリサ。とにかく任務は終えたからアナグラに戻りましょう。戻ったら皆暖をとるのよ。特に貴方、倒してから咳き込んでるけど大丈夫?」

 

「コホッ…大丈夫です。」

 

心配そうに問うサクヤに大丈夫と返すライ。しかしもとより白い肌がさらに白くなっている。

 

その時、すぐ近くから咆哮が聞こえた。

 

「なに?」

 

「こっちからだな。」

 

「ゴホッ…行ってみよう。」

 

帰投ヘリが来るまで時間があるので咆哮が聞こえた場所へと向かう第1部隊。

 

咆哮が聞こえた場所に着くとそこには一体のアラガミ。

 

「あれも新種…」

 

その姿はライは前に一度見たことがあった。

 

そしてアリサの“仇敵“だった。

 

王の顔を持つヴァジュラ『ディアウス・ピター』

 

そのアラガミがまるで品定めするかのような目でライ達を見下ろしていた。

 

しかし襲って来る様子もなく、そのまま踵を返した。

 

「…先に進むにはアイツを倒さないといけないようね…待ってなさいよ…」

 

おそらくリンドウの腕輪と神機はピターの腹の中だろう。そして極東支部のゴットイーター達がリンドウの件に一区切りつけるにはピターを倒すしかない。

 

そしてアリサが真にトラウマを乗り越えるのもピターを倒すしかない。

 

因縁深いディアウス・ピターと第1部隊。次会うときは激戦は避けられないだろう。

 

「コホッ…帰投ヘリが来た。帰ろう。」

 

ヘリに乗り込む第1部隊。しかしライはかなり消耗していたのかヘリに乗った途端に安心したのと緊張の糸が切れたのかすぐに深い眠りについた。

 

 

 

 

 




少し執筆に手間取りました。

描いててなんか違うと思い修正してたらちょっと遅くなりました。

まぁ週一投稿できればいいかなとは思ってますが。

それはさておいてアラガミのアルダノーヴァについてですが

アルダノーヴァはアラガミというよりはヨハネス用の神機といった側面の方が強いようです。
まぁアーク計画を進める際偶然できたものらしいですが。
とはいえアルダノーヴァに乗り込んで第1部隊と戦ったヨハネスですがどうやって戦ったのでしょう?
ジークフリートに乗ったジェレミア風なのか普通のKMFの様に操縦桿を操ってかもしくは蜃気楼の様なオートパイロットなのか?
ある意味ではアルダノーヴァが初代神機兵なんですよね。
アルダノーヴァを基盤にして神機兵製作がなされたのかなぁ?
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