「思ったんだけどさ。リンドウさんがアナグラに戻ったらこの部隊の隊長は誰になるの?」
久々にライ、アリサ、コウタ、ソーマの第1部隊のメンバーで構成された討伐任務を終えて帰りのヘリを待っている中、不意にコウタがそう言った。
「え?それはリンドウさんが隊長に復帰するんじゃ…でも統率力はリーダーの方があるような…」
「前にタツミさんにも聞かれたけど、僕はリンドウさんに復職してもらうつもりだよ。」
「え?そうなの。」
「うん。僕は偶然空いた隊長職という空席に座っただけだからね。本来の主が戻ってくるならその席を譲るつもりだよ。」
「なんか勿体ないですね。」
そんな話をしていると慌てるような声色のヒバリから通信が入った。
「皆さん!!至急救援に向かってもらえませんか!?」
「どうかしたの?」
耳にしたのは救援要請。だがヒバリ自身が焦っているのか重要な情報が入ってこない。
「落ち着いて。とりあえず救援に行くのは構わない。場所は?」
「鉄塔の森です。そこに突然アラガミが多発しまして…」
「多発?そこに他のゴットイーターは?」
「タツミさんとカレルさん、シュンさんが!!でもこの数は対処できません!!」
「わかった。正確な数がわかったら連絡を。」
そこで通信を切り、アリサ達に救援の件を伝えるライ。
「アラガミが多発?そんなことがあるんですか?」
「さぁな。だが実際に起きている。理由は分からねぇが。」
「来たよ!!」
すぐにヘリに乗り込み、鉄塔の森へと飛び立つ。
鉄塔の森に着くと意外な光景が広がっていた。
「死んでるのか?」
「みたいだな。」
広がっていたのはコンゴウやグボロ・グボロ、シユウといったアラガミの死骸。だがコアはそのまま残っていた。
「コアの回収をしてないということはタツミさん達の仕業じゃないですね。それに大きな爪で抉られた傷ですから恐らくアラガミの仕業かと。」
「ソーマとアリサはコアの回収を頼む。僕とコウタはタツミさん達と合流する。」
「ああ。」
「わかりました。」
すぐに指示を出すとライとコウタはタツミ達と合流するため移動を始めた。
タツミ達は意外にもすぐに見つかった。
「タツミさん!!」
「アンタ達!!来てくれたのか!!」
「ヒバリさんの指示で。それより大丈夫ですか?」
「ああ、どうにかな。」
ライ達がタツミ達を見つけたのはタツミが“黒いアラガミ”に殴り飛ばされた瞬間だった。
「あれってハンニバル!!?」
「えっと…例の不死のアラガミか!?」
「その変異種のようです。」
注意深く黒いハンニバルを見るが例のハンニバルはタツミ達が戦っていたと思われるコンゴウを爪で引き裂いていた。
だが次の獲物はライ達とばかりにその爪を振り下ろす。
「クッ…!!」
ライも防ぐためにシールドを展開し爪と触れた。……その瞬間
ライの感応現象が発動した。
苦しげな声で自問自答をするリンドウの声。
痛い、苦しい、死など何かに追い詰められているかのような呻き声。
視界もリンドウの目線なのか雪道を歩いている。恐らく鎮魂の廃寺だと思われる。
そしてリンドウが目指していた場所もわかった。
ここで意識が途絶えたのか視界が黒く染まる。
次は恐らくすぐ前の光景だと思われる。
逃げるコンゴウやグボロ・グボロに一撃で仕留めるリンドウ。
その拳は黒いハンニバルと酷似していた。
そしてタツミ達と交戦していたコンゴウにも手を上げてコンゴウを倒した。
だが制御できないのかその爪をタツミに振るい、殴り飛ばした。
そこにライとコウタが合流したのだ。
意識が覚めると黒いハンニバルは闘争心を失ったのかその場から去っていった。
「スゲェ…追い払ったよ。」
「どうにか…助かったのか?」
シュンとカレルがそう呟くがライは心ここにあらずの状態だった。
この時、ライは前に問われた”問い“を思い出していた。
”リンドウさんの足跡を追って運良く出逢えたとして、その時リンドウさんがアラガミになっていたら、貴方はそのアラガミを殺せますか?”
何故この問いを思い出したのかライは分からない。いや、わからないフリをした。
ただ認めたくないのだ。
あの黒いハンニバルが…
“リンドウ”ということを…