神喰らう無色の反逆者   作:COLD

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約束

「リンドウ!!」

 

「落ち着け。気を失っているだけだ。コイツもな。」

 

感応現象の光が消えるとリンドウとライは地に伏せていた。

 

サクヤ達が駆け寄り、ソーマが状態を確認する。どうやら意識を失っているだけのようだ。

 

「リンドウさんは人の姿に戻ってるけど…アラガミ化が止まったってこと?」

 

「いえ、人に戻っただけで浸食は止まってないようです。リーダーも同様ですね。」

 

ライもリンドウも浸食のスピードは緩やかになったもののアラガミ化による浸食は進行しているようだ。

 

「アナグラに戻るぞ。サカキのオッサンならどうにかできるかもしれねぇ。」

 

「そうね。ソーマはリンドウをお願い。コウタとアリサはリーダーを。」

 

「はい!!」

 

「わかった!!」

 

リンドウはソーマが担ぎ、コウタとアリサはライを持ち上げる。

 

「……無事じゃなかったら許しませんからね。」

 

気を失っているライを見ながらアリサは小さく呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オラァ!!」

 

「リンドウさん!!左!!」

 

リンドウの記憶の世界では新旧第一部隊隊長コンビ(ライとリンドウ)と黒いハンニバルの激闘が続いていた。

 

「流石リンドウさん。トリッキーすぎる。」

 

「おい!!確かにアレは俺だが俺はあんな動きできねぇよ!!」

 

とはいえ呑気に会話するくらいの余裕があるのか軽口を叩きながらハンニバルの相手をする2人。

 

並の神機使いならここまで余裕はでないだろう。

 

だが今ハンニバルが相手をしているのは極東支部の第一部隊の隊長なのだ。

 

極東支部で第一部隊は最も強い部隊である。

 

そしてリンドウとライはその最強の部隊の新旧隊長。

 

今まで数多のアラガミを屠ってきた神機使い指折りの猛者なのだ。

 

故に弱い筈がない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

決着がついた。

 

「しぶとかったがこれで終わりだな。」

 

「そうですね。」

 

地に伏せるハンニバルを見ながらリンドウとライは勝利を確信した。

 

「あー疲れた。久々すぎて身体の筋筋が痛いぜ。」

 

「まだそんな歳じゃないでしょ。戻ったら部隊長に復帰してもらいますからね。」

 

「……マジか?もうお前でいいじゃんか。」

 

「嫌です。っと、まだ終わってないみたいですね。」

 

「あん?」

 

何気ない会話をしていたライとリンドウの前で倒れていたハンニバルが溶けるように地面に堕ちていく。同時に黒い水溜まりが広がっていく。

 

「……最後の悪あがきか。」

 

「リンドウさん?」

 

「アレは俺だから分かる。次の攻撃に耐えられれば終わりだ。」

 

「そうですか。じゃあ嫌でも耐えないといけませんね。」

 

「……くるぞ!!」

 

リンドウの叫びと同時に黒い水溜まりからハンニバルが姿を現し、両腕を振るう。

 

対してライとリンドウは神機を盾にしその腕を防ぐ。

 

重い一撃。疲労が溜まっているライとリンドウも徐々に押し込まれていく。

 

そのとき、ハンニバルからリンドウに向けて新たな攻撃が放たれた。

 

「……ッ!!」

 

放たれる遠距離攻撃は刻々とリンドウに迫る。

 

「……俺は…!!!」

 

この時リンドウは自然に自分の本心を叫んだ。

 

「生きる!!!」

 

たった一言の魂の叫び。その叫びに彼の神機(相棒)が呼応した。

 

リンドウの神機の盾装甲が勝手に起動しリンドウに迫る攻撃を防ぐ。

 

そして神機は“ある姿”に変貌した。

 

「そう。その言葉が聞きたかった。」

 

「お前は…」

 

リンドウの神機は“少年”の姿に変えていた。

 

「その叫び…その言葉だけで…僕は報われる。」

 

少年は光を放つ。するとハンニバルはまるで最初からその場にいなかったかのように消え去った。

 

「こうやって話すのは初めてだね。リンドウ。」

 

「……そうだな。だが、お前はずっと俺の近くにいたんだな。」

 

「うん。君がゴットイーター(神機使い)になった時からだね。」

 

「君の初陣の時も、助けられなかった仲間を思って泣いた時も…仲間を思って別れる覚悟を決めた時も…いろんな君を僕は見てきた。」

 

「そうか。」

 

「でもそこまで時間はないみたい。もうすぐここから出ないと。」

 

「そうだな。だけどまた会える気がする。だから別れの言葉とか性に合わないから言わねーぞ。」

 

「君に別れの言葉なんて似合わないからやめてよ。気持ち悪い。」

 

「おい!!」

 

軽口を叩き合うリンドウとレン。その姿は本当に相棒のような間柄を証明していた。

 

 

「やはり貴方に託して間違いじゃなかった。」

 

「……レン。」

 

少年…レンはリンドウからライに目を向けた。

 

「きっと貴方じゃなければここまで来れなかったし成し遂げられなかった。ありがとう。」

 

「そうかな。」

 

「そうですよ。正直、貴方にならそのまま神機として使ってもらってもいいかなと思ったくらいです。」

 

ライに感謝を伝えるレン。その表情には笑顔が張り付いていた。

 

「貴方はとても不思議な人です。それにとても勇敢な人です。同時に危なっかしい人です。だから周りは貴方を尊敬して心配もするのでしょう。」

 

「そうかな?」

 

「……自覚はないのはリンドウと一緒ですね。もっと周りを見た方がいいですよ。世界は貴方が思っている以上に“色鮮やか”ですから。」

 

「……え?」

 

「時間のようです。改めて言うよ。リンドウ、ライさん。ありがとう。貴方達…いや、君達と出会えてよかった。」

 

「僕もサヨナラは…別れの言葉は言わない。代わりにに最高の相棒と尊敬する先輩にこの言葉を送るよ。」

 

「また“未来(明日)“」

 

「……ああ。明日また会おうぜ。相棒。」

 

「レン。また明日。」

 

再会の言葉を告げる。それに満足したのかレン満面の笑みで光の中へと消えていった。

 

同時に風景も白く染まる。

 

そして瞬く間にライとリンドウは白に飲み込まれた。

 

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