天地燃ゆ   作:越路遼介

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命がけの意見

 織田信長が伊丹城に到着した。もはや水攻めの跡も残っていないほどに清掃され、城門前で柴田軍は整列して信長を出迎えた。先頭に立っていた隆広が馬上の信長に歩み寄り、ひざまずき頭を垂れた。

「柴田勝家家臣、水沢隆広、お待ちしておりました」

「うむ、水攻めのことは聞いた。ようこの城を落とした。褒めてとらす」

「はっ!」

「村重はどうした?」

「水攻めに伴い、荒木殿は東門より尼崎城に逃走しました。すぐに追撃に向かわせましたが、一歩及ばずに荒木殿は尼崎城に入りました。なお伊丹城が落ちたのを見て、毛利勢は播磨より撤退。荒木殿、孤立の由」

「そうか、で、他に生き残った者はいかがした?」

「現在、佐久間盛政殿がこの城に連行している最中でございます。荒木一族の女と子供、あと負傷兵数百と伺っています」

「ネコ」

「はっ」

「全員殺せ」

「…え?」

「その者、明日に全員殺せ。ワシも立ち会う」

「そ、そんな…! 相手は女と子供…!」

 

 ゴォンッ!

 

 急ぎ可児才蔵と不破光治が隆広の左右で平伏し、才蔵が隆広の頭を押さえつけ、顔面を地に叩きつけた。

「才蔵、ネコは今ワシに何か言ったか?」

「はっ それがしには隆広が大殿の命を『謹んでお受けします』と言ったように聞こえました」

「ならばいい。光治、城内を見分する。案内せよ」

「はは!」

 平伏する才蔵と隆広の横を信長本隊が通り過ぎる。隆広は顔を上げようとするが才蔵のバカチカラに押さえられて上げられない。

「か…可児様…!」

「バカが! さっき利家様が言ったのをもう忘れたか! お前が大殿を怒らせれば勝家様にも累が及ぶと! 城を取った功など何にもならぬぞ!」

 

「可児殿、そうバカチカラで叩きつけられたら額が割れようぞ。大殿は伊丹城に入られた。もう顔を上げて大丈夫でござるぞ」

 一人の武将が馬から降りて隆広と才蔵に歩んできた。

「こ、これは明智様…」

 才蔵はようやく隆広の頭から手を離した。

「ほら水沢殿、額の血を拭われよ。美男が台無しですぞ」

「…ありがとうございます」

 隆広は渡された手拭で額の血を拭った。その時、明智光秀の顔を見て隆広は息を飲んだ。

「いかがされた? それがしの顔に何かついていますかな?」

「い、いえ…」

「ははは、お初にお目にかかる。それがしは明智日向守光秀と申す」

「は、はい。お噂はかねがね」

「ははは、これはお耳よごしを。耳よごしついでに一言だけ申しますが…」

「はい」

「女子供を殺したくない気持ちは分かる。それを正当化する理由などもこの世にはありはしません。ですが今の世はやらなければやられる乱世。今は子でも成長し織田に仇なせば? 女でも槍は握れますし、織田に刃向かう子を産むかもしれませぬ。だから明日の織田家安泰のため殺さなくてはならないのです。

 今回の貴殿の水攻めでも、城内の女子供がいく人も死んでおりましょう。合戦で殺すのはいいが処刑で殺すのはイヤだ。そんな道理は敵味方にも通りませぬ。織田の武将になったなら覚悟を決めなされ。よろしいかな?」

「…明智様」

 光秀は隆広の肩を抱いて立ち上がらせた。

「それにしても水攻め見事。うまく地形を利用しましたな」

「あ、ありがとうございます!」

「ははは、ではここはこれにて」

 明智光秀も伊丹城に入っていった。そして静かに微笑み…

(ふふふ、大きくなったものだな、私も歳を取るわけよ。はっははは)

 何かを懐かしむよう、心の中でつぶやいた。

 

 佐久間盛政が連行してきた荒木一族や負傷兵が到着した。中には隆広の愛妻のさえと歳が同じころの娘もいる。そんな娘を見ていたら視線に気付いたのか、その娘が隆広を見た。そして見せた。悔しそうな顔を。隆広はその視線から目を逸らす事ができなかった。隆広と同じく虜囚の列を見つめる明智光秀。

「ここに娘がおらず良かった…」

 明智光秀の娘、園(その)は荒木村重の嫡男の荒木村次に嫁していた。媒酌は織田信長であったと云う。園は荒木村重謀叛の前に実家に帰されて、明智秀満に嫁いでいた。村次は現在村重が逃げた尼崎城の城主である。

「しかし惨いな…。明日に全員処刑とは…」

 

 この夜、隆広は眠れなかった。悔しそうに自分を見つめた娘。明日、その娘の首を切り落とさなくてはならない。全然寝付けない。さえがいればなと思う。そして自分が千人も処刑したと聞いたら妻はどんなに悲しむだろう。

「さえ…。オレどうしたらいいんだろう…。そなたがここにいればな…」

 その時、隆広の寝所に歩む者があった。隆広は枕もとの刀をサッと握った。

「竜之介、入るぞ」

 森蘭丸が静かに襖を開けた。

「なんだ乱法師か」

「大殿がお呼びだ」

「大殿が…?」

「伽を務めよとの仰せだ」

「な…!」

「前に言っておいたろう。陣場が一緒ならこういう務めがありうると」

「イヤだ! ぜったいにイヤだぞ! 何のために女子を用意したか分からないじゃないか、それじゃ!」

「平時と違い今は合戦時。大殿は気持ちが高ぶっている。女子だけでは足りないのだ」

「全然分からないぞ、その理屈は! とにかくイヤだ! オレは男と閨を過ごす気はない! 今から体調最悪になるからな!」

 と、蒲団にもぐりこんでしまった。蘭丸はフッと笑い

「処女みたいなヤツだな」

 そう言って隆広の部屋から立ち去った。そのまま信長の寝所へ行く蘭丸。

「大殿」

「うむ」

 障子の向こうから女たちの恍惚の声が聞こえる。

「もはやぐっすり眠っておりました。起こすのも気の毒と思い…申し訳ござりませぬ」

「そうか、まあいい…。楽しみはあとにとっておくとする」

 複数の美女に囲まれて、半ば満足をしていたか信長は蘭丸の報告がウソと分かっていたがあっさり引いた。ホッとする蘭丸。だが…。

(いつまでも逃げ切れるものじゃないぞ竜之介…)

 それは隆広も察していた。

(どうしよう、いつまでも逃げ切れるものじゃない。まったく大殿の趣味は理解できない、男なんかのどこがいいんだよ…!)

 まだ蒲団の中で丸まっている隆広。

(やっぱり一度殿に相談してみるかな…。でもそれで『受け入れよ』と言われたらいよいよ腹を括らなければ…いややっぱりイヤだ! さえ、オレどうしよう…)

 蒲団にもぐりこんだまま、隆広は眠りについた。信長突然の伽の要望に驚き、処刑の苦悩が消えてしまったのである。そしていつの間にか眠ってしまった。

 

 そして翌日、荒木一族と負傷兵たちは縄で縛られ刑場に連行された。もう処刑を待つのみである。伊丹城の錬兵場が処刑場となった。織田信長見分の元、およそ千人以上の虐殺が始まる。その指揮を執るのは水沢隆広であり、執行人の中には隆広の兵の三百名もいる。

 昨夜信長の伽の要望で驚き、一度は苦悩から解放された隆広だが、これから女子供の首を斬らなければならないと云う現実から逃れられようはずもない。隆広にも部下たちにも悲壮感が漂った。

 隆広の兵で、隆広に及ばずとも美男を自負する小野田幸之助が斬る者たちには若い娘もいた。色を好む彼には女を殺す事が耐えられなかった。だがやるしかない。

 自分の『始めよ』で千人以上の人命が散るのである。確かに光秀の言うように戦場で命を奪うにためらいがないが、処刑で奪うのはイヤと云う道理は虫が良すぎる。

 だが隆広は『始めよ』が言えなかった。佐久間盛政、佐々成政は焦れてきた。隆広の横に行き、

「何をしている! お前が責任者であろう! 総大将ならばこういう任務もある。処刑を始めろ!」

「盛政殿の言うとおりだ。大殿も焦れてくるころだろう。早くせんか!」

 と、けしかけるように怒鳴る。隆広は言い出せない。進退窮まった隆広は信長の元に走り、床几に座る信長に平伏して言った。

 

「大殿! やはり大殿は間違っています!」

 前田利家、可児才蔵、佐々成政、佐久間盛政、不破光治、金森長近ら伊丹攻めの諸将たちは真っ青になった。この当時の織田家で信長に逆らうどころか、意見する者さえ皆無に等しかった。それをまだ新参で、信長には息子ほどの歳の隆広が言ってきた。急ぎ可児才蔵が駆け寄るが

「どこかだ?」

 信長は才蔵を手で制し、隆広の言葉を待った。

「後の憂いを理由に、もはや抵抗すらできない者たちを虐殺するは武家の棟梁の所業にあらず! たとえ今日まで敵だとしても! 明日は味方になるかもしれないのがこの乱世! 生かして使うことが明日の織田のためと思います!」

「生意気抜かすなあ!」

 信長は平伏する隆広の顔を鞠のように蹴り飛ばした。隆広は吹っ飛んだが、再び信長に平伏して訴えた。

「こうして敵方の生き残った者たちを合戦のたびに処刑していたら、大殿は漢楚の戦いで劉邦に敗れた項羽と同じ末路を辿ります!」

「利いた風な事を抜かすと斬るぞ!」

 また鞠のように隆広の顔面を蹴る信長。だが隆広は黙らない。

「し、秦を打倒するための戦いで劉邦は徳をもって敵と対して抵抗らしい抵抗も受けずに秦の首都咸陽に到着しました! しかし項羽は情け容赦ない武力攻撃をしたために相手の必死の抵抗を生んでしまい味方の犠牲も甚大なものとなりました! そういう戦いの姿勢が後に二人の勝敗を分けたのです!」

「ワシの天下布武を敗北者への道とぬかすか!」

 信長は鞘ごと刀を腰から抜いて、木刀代わりにして隆広を突き叩いた。

「ワシに逆らったものは許さぬ! 村重もキサマも! 覚悟は出来ていような!」

 

 ドカッ ガツッ ガンッ!

 

 平伏したまま隆広は打たれ続けた。信長の後ろにいた家臣たちもやりすぎと思うものの、恐怖の魔王である君主を恐れ、何も言わない。その中には隆広の友の森蘭丸もいる。

(バカが! 大殿はそういう意見が一番きらいとお前も知っているはずだろう! 伊丹城を落とした功もそれで帳消しだぞ!)

「そ、それがしを斬ったとて! 荒木殿を斬ったとて! 結局は何も変わりませぬ! 荒木殿がどうして謀反をしたか少しでも考えたのですか! 大殿を恐れてです! 追い込まれてのやむを得ぬ蜂起! たった一言許すと言えば今後も大殿のために働いて下されたに相違ございませぬ!」

「だまらんか!」

 

 ガンッ ゴキッ!

 

 信長の容赦ない打ち据えに耐える隆広。ついに奥村助右衛門は我慢の限界で信長を止めるべく立ち上がるが、隣に座る前田慶次に腕を掴まれた。

「何をするか慶次!」

「バカヤロウ! おまえ隆広様に恥かかす気か!」

「なんだと!」

「隆広様は命がけで大殿に意見を言っている。おまえどのツラ下げて横ヤリ入れるんだ!」

「しかしこのままでは…!」

「…もし万が一のときは我ら部下は主君の意気に応えるのみだ」

 打たれ倒れても、蹴り飛ばされても、隆広は平伏しなおし信長に訴え続けた。流血もおびただしく、そして血を吐くように、そして大粒の涙をポロポロと落としながら信長を説得する隆広。信長はついに刀を抜いて隆広に振り下ろした。

 

 シュッ!

 

 隆広の部下たちは一瞬目を逸らした。だが信長の振り下ろした刀は隆広のひたい、その寸前にピタリと止まっていた。刀を振り下ろしたまま、かしずきながらも自分を見据える隆広を睨む信長。隆広は信長が刀を振り上げても避けようとしなかった。

 隆広は肩で息をし、出血も著しく、かしずく姿勢さえ執っているのがやっとの状態。目には涙が浮かんでいたが、誰一人として軟弱とは云わない涙だったろう。

「…キサマ、確か新陰流を得手としていたな」

「は、はい…」

「『無刀取り』は上泉信綱から会得しておるはずだな」

「体得しております」

『無刀取り』とは敵の斬撃を両手で受け止める新陰流の高等技術である。『真剣白刃取り』とも言われている。

「ならば何故、今のワシの斬撃を掴もうとしなかった」

「も、元より、死を賭して大殿をお諌め申しているからにございます!」

「ふん…」

 信長は刀を収め、静かに床几に座った。蘭丸にも意外な態度だった。

「で? 続けろ」

「はっ! 大殿…どうか王者の徳を持って天下布武を! このまま残虐な戦を続けていけば大殿の天下布武はもろい作り物になってしまいます! 因果は必ず巡ってきます! どうか慈悲をもって! 今回の謀反にしても荒木殿と、その周りの一向宗門徒である重臣たちのみを罰すれば良いではないですか! 今捕らえた者たちを虐殺したら、それこそ荒木殿は尼崎城や花隈城で必死の抵抗をするはずです! ですが、ここで彼らを許して以前と同じように伊丹城を織田で統治するならば! 荒木殿の印象も違い降伏勧告で城を明け渡すやもしれません!」

「なるほど…お前の養父もいらぬ智恵を養子につけたものよ」

「父の教えではありません! それがしの考えです!」

「そうか…ふっはははははは!」

「大殿…なにとぞ今回捕らえた者たちの助命を…!」

「もういい、興がそがれたわ。伊丹城を落としたのはお前だ。好きなようにするがいい」

「は、はい!」

「ふっははははは…久しぶりにワシの目を見て堂々と自分の我を通すヤツを見たわ。女子のようなツラをしておきながら、中々いい男の顔になっておった。ネコ、今日の勇気を忘れるでないぞ」

「はい!」

「権六(勝家)の将兵たちよ!」

「「はっ!」」

「この小僧、けして死なせるな。そしてこやつに見せてやる。天下を取ったとき、ワシとこやつのどちらが正しかったかをな! ふっははははは!」

「「ははーッ!」」

 

「キンカン(光秀)」

「はっ」

「処刑は中止だ。あと始末を任せる。その方、しばらく伊丹の城代を勤めよ」

「はっ」

「ネコ」

「は!」

「荒木攻めはもう良い。ワシは今日でも尼崎に出陣するがお前は陣払いして越前に帰れ。今の権六にはお前のあずかる兵も貴重であろうからな。早く帰って安心させてやるがいい」

「ははッ!」

「犬千代(利家)」

「はっ!」

「ネコの手当てをしてやれ。あと叱るでないぞ。権六にも黙っておいてやれ。せっかく勝利して帰ったのに、その第一声が褒め言葉でなく叱責では救われまい」

「分かりました!」

 隆広は安心したように、その場で気を失った。気を失う直前、隆広は自分を見つめる明智光秀の目に気付いた。微笑み静かにうなずいていた光秀。そんな光秀の顔が隆広には嬉しかった。

 処刑は回避された。執行人だった隆広の兵たちは涙を流して慶次に抱き上げられた主君を見た。

「矩三郎よ…」

「なんだ幸之助…」

「オレはあの方のためなら死ねるわ…」

「ああ、オレたちにはもったいない…素晴らしい主君だ…」

 連れて行かれる隆広を見て蘭丸は苦笑した。

「あいつ、大殿に勝ちよった。ふふ」

 明智光秀もまた…

「いい若者に育ったものよ。柴田殿でなく、私に仕えていてくれたならな…ははは」

 と、嬉しそうに笑った。

 

 数刻後、隆広は目が覚めた。治療が良かったのか熱も出ていない。そして横たわる自分の横に利家と才蔵がいた。助右衛門、慶次、佐吉もそこにいた。

「ようやく目覚めたか」

「…すいません可児様…どうしても黙っていられなくて…どのようなお叱りも覚悟しています」

「もういい、何も言うな。大殿から『叱るな』と命じられたからな。オレから言う事は何もない」

「ははは、寿命が縮まったぞ、隆広」

 気に病む隆広に利家はニコリと笑って気遣った。

「まったく…たまたま大殿の機嫌が良かったから無事に済んだものを…今度またどうしても大殿に物事を言いたいときは我らにも相談してくれ。身がもたぬ」

「すいません…」

「もう気にするな。勝家様にも内緒にしてやれと大殿から言われている。お前は大殿に正々堂々と意見を言ったのだ。古来『城を落とすより主君を諌める方が難しい』とある。中々できることではない。胸を張れ」

「はい…」

「さあ、あとは任せて眠るがいい」

「…分かりました」

 隆広は再び眠りについた。

「慶次、助右衛門、佐吉あとを頼むぞ」

「「ハッ!」」

 前田利家と可児才蔵は立ち去った。

 

「ふう一時はどうなるかと思ったが…やはりオレたちの選んだ殿はいい器をもっているな、慶次」

「ああ、今の織田家中で大殿に『間違っている』なんて言うヤツなどいない。みんな恐れて顔色を伺ってばかりだからな…」

「う、ううう…」

 包帯だらけで横たわる隆広を見て佐吉は涙ぐむ。

「なんだ佐吉、また泣いているのか?」

「慶次様…。私は嬉しくて…。そして悔しくて。隆広様を打ち据えている大殿を見て、それがしはただ恐れていたのに…隆広様は毅然として諫言した…。こんな方にお仕えできた喜びと、ただ怯えていた自分が悔しい思いで…」

「分かった分かった、さっきから何度同じ事言っている」

 慶次と助右衛門は苦笑した。

 

 前田利家たちが城内から出ると隆広の兵士たちがいた。小野田幸之助が駆けて来た。

「前田様、御大将の様子は?」

「ああ、熱も出ていないし。明後日にはもう動けるだろう」

「そうですか…良かった。よしみんなにも知らせないと! 失礼します!」

 幸之助が他の兵士に知らせると、隆広の負傷がさほどでもなかったことに湧いた。

「ふ、利家様、昨今兵士にもあんなに好かれている大将もめずらしいですな」

「ああ、人を思う心が人の心を動かす。いい大将になるぞ、あいつ」

 

 そして、この時に隆広に助けられた敗残兵は、自分たちとそう歳の変わらない隆広が我が身もかえりみずに魔王と呼ばれる主君信長に対して自分たちの命乞いをしたことに胸を熱くした。

 すぐに釈放されて『荒木陣に帰るがいい』と言われたが、誰一人帰らず、その場で隆広の兵にして欲しいと要望したのである。

 この事から隆広の兵は愚連隊と敗残兵の寄集めと陰口を叩かれたが、その寄集め兵たちを精鋭に変えて、隆広はあの手取川の戦いにおける撤退戦にて上杉謙信の本陣に突入したのである。

 

 また同じく助けられた女たちは隆広の勇気を伝えて、さらにそれは語り継がれ、隆広の没した日に毎年供養祭を行い、現在においても続けられている。隆広は敵地にも愛される武将となったのである。

 水沢隆広は源平の源義経と同じくらいに歌舞伎演目の登場人物として後世に愛されるが、この信長に捕虜の命乞いをした場面は、歌舞伎の中でも屈指の名場面として現在にある。




よくも悪くも、こういう甘さが隆広の欠点なのでしょうなぁ。だが、それがいい

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