知世の野望 ~The Magic of Happiness~   作:(略して)将軍

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今回から新規特殊タグ一つ追加
このタグが関わる参戦作品は、タグや前書きに入れませんし
基本的に、原作作品の敵サイドのみが関係します
カオスな新展開……になってくれるといいなぁ


新世紀末少年伝説

 

 

……最近、なのはの様子がおかしい。

 

 

この間、すずかの家に招待されたとき、

森の方に行った子ネコを追いかけていった後くらいから……

 

あの時は、特に変わった様子もなく、

子ネコを抱えていつも通りの様子を見せていたみたいけど……

 

 

それから、私達と話している最中も、話そっちのけで

ぽけーっと何かを考えてることが多くなってた。

 

 

子ネコを探しているときに、何かあったのだろうか?

 

 

今考えてみれば、子ネコを追いかけていっただけにしては

時間がかかり過ぎていたし……

 

 

だけど、なのはになにかあったのか聞いても、

別に何もないと言って、はぐらかされてしまった。

 

 

どう見たって、何もないって感じじゃないのに……

 

 

……今回に限った事じゃないけれど、なのははなんでも抱え込み過ぎる

 

ツライ事があろうが、苦しい事があろうが、

周りに心配かけまいとして、全部抱え込んでしまうのだ。

 

 

そこが、なのはらしいと言えばらしいけど、

悩みがあるならば、せめて私達には打ち明けて欲しい。

 

長い事付き合ってきた親友なんだから……

 

 

……まぁ、それでもなんともないと言う顔をされたので

カチンと来て、ついついきつく言ったのは、

ちょっとは、私が悪いかもしれないけど……

 

 

すずかからは、何度も仲直りするように言われているが

向こうから、ちゃんと話すまでは許すもんか。

 

 

せめて、何で悩んでるかがわかるまでは、絶対にだ。

 

 

そんな私達の心配を余所に、あれから放課後や塾が終わった後、

なのははどこかへと姿を消してしまう。

 

待ち伏せしても捕まらないし、後をつけてもすぐに撒かれ、

家に帰ってるかと思えば、どうも様子が違うみたいだし……

 

 

ケンカしている最中なので、気まずさは感じているようだが

その割に、前よりも笑顔でいる事が多くなってるような……

 

特に、別の子達とつるんでいる様子はないみたいだけれど……

 

私達の気も知らないで、一体、なにをやってるんだか?

 

 

……そして最近、奇妙な目撃情報が耳に入った。

 

なのはの姿を、少し離れた友枝町で見かけたのだという。

 

 

友枝町は、海鳴市から結構近い所だけれど、

あんな所にいったい何の用があるんだか……

なのはの場合、電車代もバカにならないだろうし。

 

 

だが、その直後に聞いた話に関しては、

流石に耳を疑う内容で、思わず目撃者の肩を掴んで二度聞きしてしまった……

 

 

友枝町でなのはは、事もあろうに近い年頃の男の子と、

親しそうに話していたというのだ。

 

 

……いやいや、あのなのはが?

 

 

人付き合いを避けてる訳じゃないけれど、

しっかりしすぎた性格や……もしくは、私達のせいなのか……

 

 

幼等部のあの事件以降、ボーイフレンドはおろか、

新しい友達を作る雰囲気すらなかったのに……

 

 

それが事もあろうに、友枝町で男の子と親しそうに話してたぁ!?

 

 

「もしかして……なのはちゃんの彼氏?」

 

 

すずかもそれを聞くと、流石に驚いていた……

流石に、彼氏云々は早計な気がしないでもないけど……

 

……でも、私達の事を避けてるって事は、

そっち方面もありうるっちゃありうる……?

 

 

おのれ、なのは……

私達に話せないってのはそれの事か!?

 

 

話をしてくれた相手を問い詰めて、更に掘り下げて聞いてみると……

 

 

なのはの相手らしき男の子は、金髪のショートカットで、緑色の目をしており、

なんでも、友枝町でも有名なスポーツ万能の明るい子で、

一昨年眠れる森の美女の劇でやった王子様の役がとても評判高かったとか……

 

 

話を聞いてみると、絵にかいたような少女漫画の恋人役っぽい感じ……

……もし黙ってる理由がコレだとしたら……許せん!!

 

 

……別に、なのはに先を越された事が許せないのではない。

 

こんな面白……もとい、大事な事を私達に相談もせず、

一人で抱え込もうとしている事が許せないのだ……

 

 

男が出来たら、親友なんてもう過去のものだってか!?

あの薄情者!!

 

 

「アリサちゃん……顔、酷い事になってる……」

 

 

すずかの忠告はとりあえず聞き流すとして……

月村邸での一軒が、その子と関係しているかはさて置き、

この事については、あらためてなのはに問いたださなくては!

 

 

……ただ、この程度の噂話がネタ元じゃ、

問い詰めたところで、すっとぼけられてしまうだろう。

 

 

……やるからには、現場を押さえなきゃ。

そしたら、いくらなのはでもごまかしきれまい……

 

 

……そういう訳で、今はすずかと一緒に、なのはらしい女の子の目撃情報があった

友枝町の神社へ、クルマで向かっている所だ。

 

 

「アリサちゃん、やっぱりやめた方がいいんじゃないかな……?」

 

 

すずかは今さら怖気づいたのか、追跡をやめようと言ってきたけれど、

今さら、やめられるわけがない。

 

 

「なによ今更……

 すずかだって、興味がないわけじゃないんでしょう?」

 

 

「それは、そうだけど……

 けど、こんな事したらますますこじれちゃうんじゃ……

 立場が逆だったら、アリサちゃんだって……」

 

 

……まぁ、確かに私が同じ事やられたら怒るだろうけど……

私の場合は、ちゃんとこじれる前には話すと思う。

きっと、多分、おそらく、メイビー……

 

 

……だから、あくまで悪いのは黙りっぱなしのなのはだ。

 

……うん、それだけは間違いない。

 

 

「……それに、友枝町って一昨年あたりから、

 不思議な現象が起こってり続けてるから……」

 

 

「あー、なぜかこの一帯だけ春先に大雪になったり、大豪雨になったり

 公園の滑り台が、ひっくり返されたりってやってたわね……

 でも、それだったら最近の海鳴だって……ん?」

 

 

心配し続けるすずかと、そんな話を続けていると、

近くに信号や歩行者もないのに、車はゆっくりと減速しつづけ……

 

そのまま、ぴたっと止まってしまった。

 

猫でも横切ったのだろうか?

そう思って、運転席の方に目をやると……

 

 

「ん……?」

 

 

どうした事か、そこに先ほどまでいたはずの運転手の姿が無くなっていた……

 

 

ドアを開けた音は全然聞こえなかったし、周囲にも姿は全く見えない。

 

 

そもそも、私達に断りなしに車を止めて、

外に出て行ってしまったのなら運転手としては問題が……

 

 

……そこまで考え、おかしいのは運転手だけでない事に気がつく。

まだ人の多い時間帯の市街地なのに、周囲の人の姿があまりにも少ないのだ。

 

 

目につくのは、私達と同じか上くらいの女の子ばかりで、

みんななにかに慌てているみたいだ……

 

 

「すずか! 外に出るわよ!!

 ここ……なんかおかしい!!」

 

 

「え……アリサちゃん?」

 

 

奇妙な雰囲気から危機感を感じ、このままここにいるとまずいと感じた私は

すずかを連れて車の外に出たが……

 

 

「きゃーっ!!」

 

 

すぐさま、あちこちで女の子の悲鳴が次々と上がり、

それと同時に、ローラーが滑る音と、品の無い歓声が後ろから迫ってきた。

 

 

「なに!? この音……!」

 

 

私達は振り向いて、聞こえてきた方向を確認すると……

 

そっちからは、全体的に緑色のコーディネートをし、

はちまきにモヒカンヘアーや、ソリコミにピアスをしてる異様な集団が、

アニメに出て来そうな……でも、それにしてはおもちゃにも思えない武器を手に、

足元を怪しく光らせ、地面を滑る様な不可解な動きで迫って来ている光景だった。

 

 

なんなのよアレは!? どう考えても出る世界観間違えてんでしょ!!

 

 

心の中で、そんなツッコミをした次の瞬間、

私達は、すぐさまその世紀末な連中に囲まれてしまった……

 

……こうして近くで見ると、イカれた見た目のわりに、

背格好から私達と年の近い小学生なのは間違いなさそうだけど……

 

 

聞いたことないわよ、この辺にこんな不良丸出しの小学生が居るなんて!!

 

 

私達を囲んだ不良達は、まるで獲物を囲んだハイエナみたいに

不快なニヤケ面と品の無い笑い方をしている……

 

この……世紀末少年を相手に、

すずかは怯えているかのように不安げな顔でして……

私は、ただ強くそいつらを睨みつけていた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁーーーーーっ!?」

 

 

―――ゴツン!

 

 

 

襲ってきた不良相手に、足元にチェーンバインドをかけて転ばせる。

見た目はかなり地味だけど、地面を滑るように移動する相手の

進行方向に張っておけば効果覿面だ。

 

 

……ちょっとやりすぎな気がしないでもないけれど、

向こうから襲って来たんだし、この際大目に見て貰おう。

 

 

空腹を満たして一息ついた直後、突如として周囲に結界が張られたのを見て、

すぐさまフェイトがやって来たと思ったが、

この結界はどことなく、彼女の造ったそれとは違うように感じられた。

 

 

なら、誰がこの結界を張ったのか……

 

 

答えを出す前に、突如女の子の悲鳴が聞こえてきたので

急いでみんなと駆けつけると、そこで僕は目を疑うような光景を目にした……

 

 

そこに居たのは、さくらさんと同じ友枝小学校の制服を着た女子生徒と、

それを取り囲む、異様な恰好をした……

多分、僕より少しだけ年上と思われる、異様な恰好の男子達。

 

 

背丈はそれっぽいけれど、目つきと髪型は、どうしても小学生には見えない。

 

だが、そんなものより問題なのは彼等から放たれている魔力光と、彼ら一人一人が手に持っているシロモノ……

 

見た目こそ一般的な物とは違うけど、アイツらの動きや魔力の動きをみれば、あれは僕の居た世界で魔法を取り扱う為のデバイスと酷似している……!

 

何故、アイツらがあんなものを持っているんだ!?

 

僕の疑問をよそに、駆け付けてきた僕達の気配に気づいたヤツらは足音に気付いてこちらを向いた。

 

最初に何かに驚いた様子を見せて、全員で顔を見合わせたかと思うと、囲んでいた子への包囲を解いて、一斉に僕達の方に向かってきたのだ。

 

 

……いや、正確に言えば僕達じゃない。

 

彼等の視線が向いているのは、僕とケルベロスを除く三人。

 

なのは、さくらさん、知世さん……

 

 

こいつら、女の子を狙っているのか!?

 

 

なのはとさくらさんも、彼らの目的におぼろげながら気づいたようで、

僕達は、知世さんを守る様に彼女の前に立ち、

彼らの目論見を阻止するために、彼らと交戦を始めた。

 

 

まず、最初にケルベロスが先頭に立って大きな声で咆えた。

 

こんな大きな獣に、あれだけの大音量で咆えられたら大の大人だって身がすくむ……

案の定、向かってきた奴等の大半は、驚いて足を止めてしまった。

 

 

ならばと、ケルベロスを迂回して向かって来ようとするが、

今度は僕となのはの出番だ。

 

 

相手の方が数が圧倒的に多く、一人ずつ倒していったのでは間に合わないので、

僕達は十字砲火になる形で、この間覚えたばかりの弾幕を放つ。

 

幻想郷の外だからか、あの時ほどの威力は無いけれど、

あれだけ密集していればどれかには当たるし、ひるませる程度の事は出来る。

 

そこをなのはは本来の強力な砲撃で狙い、

僕はその隙にチェーンバインドを利用して、

編隊を組んで移動している奴等の先頭の相手を狙って転ばせた。

 

 

これだけの反撃をされるのは想定外だったのか、

倒れた奴等がもう一方から攻めていった奴等の方に助けを求めようとしたが……

 

 

そちら側は全員、バッタリと倒れてしまっていて、

よく見ると、中には鼻提灯を膨らませているモノまで居た。

 

 

あれをやったのは、おそらくさくらさんだろう。

僕達はまだ目に知った事はないけれど、アレだけカードがあるのだから、

おそらく眠らせる魔法のカードを持っているのだろう。

 

 

……それがどういう魔法で、どうなってああなるのかは、

カードの術式そのものが僕達の使うものと全然違うので分からないけど……

 

 

そうやって倒したり、後ろに備えていた残りの敵はその光景に恐れをなしたのか、

眠っている仲間を置いて、そのまま一目散に逃げて行ってしまった。

 

 

一息ついた所で、先ほどまでアイツらにに囲まれていた、

友枝小学校の制服を着た女の子達のいた方向を見ると……

 

 

僕達があいつらの相手をしている間に逃れたのか、もう姿が見えなくなっていた。

無事に逃げられていればいいんだけれど……

 

 

「驚きましたわ……まさか、あんなに魔法を使う子達が一斉に襲って来るなんて……

 男の子だから、魔法少女では無さそうでしたけど。」

 

 

知世さんは、驚きながらもどこかのんきそうなことを言っていた。

……魔法少女と違って、魔法少年とか言う言い方はしないのだろうか?

 

 

「ユーノ君、あの子達が持っていたのって、

 レイジングハートや、あの子の使っている杖と同じデバイス……なのかな?」

 

 

「うん……そうだと思う。

 

 多分、インテリジェントデバイスよりも扱いやすいストレージデバイスだと思うけど

 ……でも、どこか違う気がするし、あれだけの数のデバイスをいったいどこから?」

 

 

扱いやすくてインテリジェントデバイスよりは安価と言っても、

子供が取り扱えるような値段じゃないはずだし、

使い方を知らないで、使えるような物じゃない。

 

もし、あれらを持ち込んだ可能性があるとすれば……

 

 

「……まさか、あの小娘か?」

 

 

「断言はできないけれど……」

 

今のところ、他に考えられる可能性は無い。

何故こんなことをしたのかは、皆目見当つかないが……

 

「じゃあ、この子達も、ユーノ君と同じ世界の子?」

 

なのはは、少ししっくりしない感じでそう言ったけど、正直僕もそれは無いと思う。

 

人の事を言える立場じゃないけれど、

本来、管理外世界での魔法の使用は禁止されているし、

そこまでの度胸がある様な相手にも見えない。

 

 

そうなると、彼らはこの世界の人間と言う事になるけど、

まさか、あんなに魔導師の素質を持った子が居たなんて……

調査によれば、素質を持った人間は少ないはず……

 

 

……ん、ちょっと待てよ?

これまでに2度、危ない目に逢ったけど……

 

 

・なのは

ジュエルシード回収時、大怪我をして助けを求めた時に

近くを通りかかっていた所を助けてくれた。

ものすごい魔力の持ち主。

 

 

・さくらさん

なのはと一緒に魔導師との戦闘でピンチになった時

魔力の気配を察知して、助けに来てくれた。

とてもすごい魔力の持ち主で、お供のケルベロスもすごい。

 

 

……とてつもない魔法の素質を持った少女が近くを通りかかった上、

更に危ない状態で、もっとすごい魔法の使い手が近くを通りがかる偶然、あるんだろうか?

 

 

……もしかして、こういう事?

 

 

~仮説~

この世界の人間に表向き魔法技術は無いが、

ひとたびきっかけがあれば覚醒して、かなりの力を発揮する。

 

 

確かに、なのはもさくらさんも、魔法と遭遇したことで、

魔法の素質が開花していったみたいだし、それに……

 

 

・幻想郷の皆さん

なのはと激戦を繰り広げたチルノが、

下から数えた方が早い程度の強さ。

 

 

海鳴市と、友枝町と、幻想郷くらいしか知らないのに、

これだけとんでもない事態に遭遇し続けたと言う事は……

 

 

~結論~

調査不足

この世界には、まだまだ不思議がいっぱいです。

 

 

「ユーノ君、どうしたの?」

 

 

「いや、なんでも……あはははは……」

 

 

なのはの問いに対して、もう乾いた笑い声しか出なかった。

……なにやってたんだ、管理局!?

 

 

「1人見つけたぞ!!」 

 

 

「待てぇ! 絶対に逃がすな!!」

 

 

そんな理不尽な答えにたどり着いて、

黄昏ている僕の事を余所に、近くからまたもや女の子の悲鳴と、

奴等の仲間だと思う声が聞こえてきた。

 

 

「ユーノ君! あっちで誰かが追われてる!」

 

 

「!? いけない! 急がないと……」

 

 

また、誰かが襲われているのか……!

 

 

なのはの声で我に返った僕は、すぐさま声の聞こえてきた方へと走り出した。

 

 

僕が一番声のする方向に近かったので、一番最初に声の元に駆けつける事が出来たけど、

その先にあった角を曲がって、僕が目にした光景は、

女の子を追ってきた、先ほどの連中と同じ格好をしたやつらと……

 

 

「!? アンタ、アイツらの仲間……!?」

 

 

そいつらに追われながら、僕の姿を見ると

僕を奴らの仲間と勘違いして睨みつけてきた気の強そうな少女……

 

 

奴等に追われていたのは、なのはの親友で、

現在ケンカ中の相手……アリサ=バニングスだった

 

 

……どうして、アリサがこんなところに……!?

 

 




さて問題です、今回の新規参戦作品はなんだったでしょうか?
ヒントは、今回のは全部原作でもモブザコ(ただしインパクトは原作でも結構ある)で
そこそこ発売日が近い(2017年11月9日現在)作品です

……構想自体は、発売発表前からあったんですけどね
月1~2ペースでやってて、まさか今更これが関わって来るとは……

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