知世の野望 ~The Magic of Happiness~ 作:(略して)将軍
そこそこ設定の変更を入れたり、追加エピソードを入れたりしたので
未見の方は、一度見直してみてくだされば幸いです
レジスタンスの攻撃を食い止める部下達の元に
俺・フェイトちゃん、そしてゲンが駆けつけてから、20分くらい経っただろうか?
襲撃を仕掛けてきたレジスタンスの雑魚連中の大半は、
あっという間にマギロッドを折って、戦闘不能にしてやった。
ロッドマイスター同士の戦いは、お互い行動できなくなるか、マギロッドを破壊されれば負けとなり、
それ以上の手出しをしないのが、暗黙のルールになっている。
マギロッドは、時間がたてば再生するし、マイスターに来るダメージは、
全てロッドが肩代わりしてくれるそうなので、マイスター同士の戦いでは
滅多なことで、大けがをしたりすることは無い。
悪あがきで、マギロッドの使えない状態で抵抗しようとしても、
基本的にロッドマイスターはマギロッド無しじゃ魔法を使えないから、
マギロッドが再生するまで、結局なにも出来はしないから、放っておいても問題はないのだ。
……だが、あの能天気なチビは、マギロッドらしきものを持っている用には見えなかった
「それそれーっ!!」
……それにもかかわらず、ヤツはあちらこちらへ大量の氷や光の弾をばらまき、
弾が当たった兵隊のマギロッドを次々に凍らせている。
あれだけの弾、ウチの兵隊が一斉になって放ってもバラまけるかどうか……?
一体、どんだけの力を持ってやがるんだ?
……だが、一つ一つは大した威力は無いし、スピードも精度も大したことは無いので、
俺とゲンは防御用の魔法で防ぎ、フェイトちゃんはすべて見切って避けていた。
情けない部下共はここまでに結構なかずがやられていたが、
レジスタンス側も残っているのはあと僅かなので、ここであのチビを倒せば、奴らはもう打つ手がないはずだ……
その時、俺の頭には少ない被害でアイツを倒す名案がひらめいたので、
すぐさま、力を貸してもらう必要がある二人に念話を送る。
―――ゲン! アイツの弾を何とかしろ!
―――チッ……えらそうに命令すんな
帰ってきたのは不満たらたらな文句だったが、直後に一瞬力を溜める動作をすると
ゲンは身体を光らせながら前方に駆け出し、そのまま、チビの方向へと弾丸のように呼び出していった。
アイツは、見かけによらず動きが早く、特に、魔力でブーストをかけると
信じられないくらいのスピードを出しやがる。
おまけに、どうしたわけかブースト使用時にも身体に魔力をまとっているので、
ちょっとやそっとの攻撃は弾かれてしまうのだ。
当然、アイツの放つ光の弾も次から次へと弾かれてしまい、あと少しでぶつかる距離まで近づくと
そのままゲンの放つ光が激しくなり奴はタックルの構えをとり……
「ハンマー・G・クラーッシュ!!」
得意技の名前を叫んで、そのままチビの居る方向へと突撃していった。
あの巨体が、とんでもないスピードで突っ込んでくるのだから、
並の防御では速攻で打ち破られ、そのままマギロッドは破壊されるのがお決まりのパターンだ。
現に、ウチの幹部でアレに耐えられる奴は居なかった……
「うわっ!?」
ただ、小回りの方は効かないので、動きが見えているのなら、かわすのは難しくはない。
あのチビも、スピードには驚いたようだが、真正面から突っ込まれてきたので
ギリギリのところで、横にそれてかわしやがった……
「チッ、ちょこまかと!!」
ゲンが悔しそうな顔でそう言ったが、お前の攻撃が避けられるのは想定内なんだよ。
感謝はしてやるぜ、なにせお前が弾をはじいてくれたおかげで
道が出来たんだからな……!
「この……っ!」
「!?」
チはがかわし切ったゲンの方に向けていた首をこちら側に戻した瞬間、驚きの表情を見せた。
ゲンが作った道を利用して、フェイトちゃんがチビに接近していたのだ。
本音を言えば、後ろに下がっていてほしかったが、ジュエルシードを集めてくれたお礼のつもりなのか、フェイトちゃんは俺に協力してくれたのだ。
あのチビは、何とか彼女の攻撃に耐えていたが、接近戦では、流石に分が悪いのか。
弾の密度が、徐々に薄くなり、こちらに飛んでくる頻度が少なくなっていく……。
こうなりゃ、こっちのもんだ!
弾を防ぎながらだとチャージがやりにくかったが、今なら、チャージし放題……!
そうして、俺は二人のやり取りを見守りながら、俺は展開した俺のマギロッドに限界まで溜めると
右手に持ったマギロッドの砲口を、チビの方に向け……
「フェイトちゃん! チャージ完了だ!
どいてくれ!!」
「!」
接近戦を仕掛けていたフェイトちゃんに対してそう叫ぶと、彼女は、すぐにチビから遠ざかり……
「喰らえッ!!」
十分な距離を取ったのを確認してから、チビに向けて砲撃を放つ。
放たれた暗闇の帯は、そのままチビの元へと向かっていったが、
アイツも、攻撃が来るのは予測していたらしく、フェイトちゃんとは逆の方向に避けた。
流石に、アレだけやりゃ避けられて当然か……。
……だが、それも予測通りだ
チビが回避行動を終えて、一瞬動きが止まったのを見計らって、
俺は、左手に持った砲口から、もう一発の暗闇の帯を放った。
「わ~~~~~~っ!?」
今度は避けきれずに青いチビへと直撃すると、
やつの姿は、直撃した砲撃の爆風で隠れてしまう……。
目視で確認はできないが、間違いなく直撃したはず……
これで、ヤツはしばらくは動けないはずだ。
左右を見回して、残るレジスタンスを確認したが、残っているのは間違いなく雑魚ばかり……
もう奴等に大した抵抗は出来ないと勝利を確認する。
だけど、俺はこの勝利に対し、この時初めて、奇妙な違和感を感じた……。
あの青い奴は、いったいどこからやってきたのか……?
レジスタンスにこんなのが参加したなんて、聞いた事なかったし、
なんで、こんなタイミングで俺達に攻撃を仕掛けて来たんだ……?
「どうやら、あの子達じゃなかったみたい……
でも、あんな子一体どこから……?
……ゲン、何か知ってる?」
「知ってる訳ねーだろ
ここしばらくは、ずっと校舎の中だったし」
どういうことなのか考えていると、後ろの方では、フェイトちゃんとゲンも
アイツについて心当たりがないかと相談をしていた。
仲が良さそうとは思わないが、こうして二人で話をされているとなんかムカムカしてくるな……
……待てよ、フェイトちゃんの言ってたあの子達って、
もしかして、友枝町で兵隊達がやられたっていう魔法少女達の事なんじゃないか……?
捕まった連中は、見張りのライオンが寝たのを見計らって
逃げて来たとか言ってたけど、もしそれが罠で……
あのチビがその子達の仲間だったりしたら
その魔法少女たちは、何のためにそんな事をしたのか……
「ん……魔法……少女?」
その時、何故か俺の脳裏にはアリサちゃんの姿が浮かんできた。
ドストライクな見た目だったので、これまでちっとも疑わなかったが
なんでこんな街で、こんな夜遅くに
アリサちゃんみたいなメイド少女が歩いていたんだ……?
……と、そこで俺はある答えにたどり着いてしまった。
「あ~~~~~~~っ!?」
そのまさかの答えに、俺は悲鳴にも似た叫び声を上げてしまい……
「ッ!?」
「な、なんだよコクエン!? そんなデカい声出して……」
その悲鳴に驚いたフェイトちゃんやゲン、兵隊達の視線を気にする事もなく……
俺は視線を、校舎の奥にある貴賓室の方角へとむけたのだった。
―――
「早く、こちらから脱出を……!」
さらわれた子達がいた部屋から、壁を抜けて脱出した私達は、
ユーノ君が、中の子達から聞き出してくれた抜け穴を使い、
周囲を覆う結界の外へと脱出し始めました。
誰も知らない秘密の抜け穴との事だったので、
大きさは、小学生一人が抜けられる程度……
その為、人数が増えている今は入ってきた時以上に、時間がかかっています。
「さ、慌てないで一人ずつよ」
「ここを出たら、先に居る子達に従って
ウサオさん喫茶って言うお店で待ってて!」
アリサちゃんとさくらちゃんは、女の子達の先導をしてくれ……
そこからちょっと離れた場所では……
「ダメだ……全然……脱げない……!」
「よく見たら、この服かなり複雑だよね……
ちょっとやそっとじゃ脱げなさそうなの。」
ユーノ君が、なのはちゃんに手伝ってもらいながら、メイド服を脱ぐのに悪戦苦闘していました。
「キミって、男の子だったんだね……
ちっともわからなかった。」
「メイド服来ているうえに、化粧もばっちりやったからなぁ。」
「あのユーノ君が……男の子……」
その横では、奈緒子ちゃんとすずかちゃん。
そして、赤いレオタードを着たキャサリンさんがその様子を眺めていています。
私達は、他のみんなが脱出してから抜け出すので、
すずかちゃんと奈緒子ちゃんは私達もその時一緒に脱出すると言ってくれ……
「あ、ウチの事はキャシーでええよ、
ウチも一番学年が上やさかい、脱出は最後の方でええわ。」
キャシーさんも、そう言って順番を後回しにしてくれました。
「それにしても、あんたね……
一体、いつまでそうやってるのよ。」
「ちょっと! この服を選んだのはアリサ達だろ!?」
まだ服に苦戦しているユーノ君が不満だったのか、アリサちゃんはユーノ君に向かって呆れた風にそう言いましたが、ユーノ君も、負けじと言い返します。
「コクエンのアホ騙すんは、うまくいってたけどな。」
「ホンマ、べたぼれみたいやったからなぁ……」
ケロちゃんとキャシーさんは関西弁同士気があったのか、
仲良く、変装の成果について気軽に話をしていて……
「これ、かなり本格的な衣装だね……
ちょっとやそっとじゃ脱げないよ?」
あまりの苦戦を見かねたのか、奈緒子ちゃんは
二人に近づいて、衣装を脱ぐのを手伝い始めました。
「……でも、こういうの見てたら去年の学芸会で、李君のお姫様を思い出しちゃった。
あれも、知世ちゃんの作品だったよね。」
「ええ、あのドレスは着脱しやすいように、工夫を入れていましたけど……」
「……他にもいたんだ、同じ目にあってる人……」
奈緒子ちゃんの話を聞くと、ユーノ君は同じ目にあった、
出会った事のない李君に対して、同情している様子です。
「そう言えば、一昨年に星條高校でやってたシンデレラでも、
さくらちゃんのお兄さんがシンデレラやってたんだっけ?」
「ほえっ!? 奈緒子ちゃん知ってたの!?」
突然の奈緒子ちゃんの発言が耳に入ったようで、さくらちゃんは驚いた顔をしています。
あの時は、奈緒子ちゃんとは一緒ではなかったはずですけど……
「え……!? さくらさんのお兄さんって、桃矢さん!?」
「あの人が……シンデレラ!?」
「星條高校はお隣だからね、
人気すごかったって、当時噂になってたよ。」
意外な情報を聞いて、なのはちゃんもユーノ君も驚きのあまり目が点になってしまったようです。
……これで、同じ劇で月城さんが『サバの缶詰』の役だったと知ったら、どんな反応を見せてくれるのでしょうか?
……興味は尽きませんが、それを話している時間はなさそうです。
「……さ、他のみんなは全員脱出したわよ、私達も、早く外に出ましょ!」
ユーノ君たちが衣装を脱ぐのに苦戦している間に、
他の子達は、全員脱出できた模様です。
さぁ、私達も早く脱出しなくては……
陽動をして下さってるチルノちゃんや山茶花町の皆さんに、これ以上負担をかけるわけにはいきませんし……
ユーノ君の着替えは、残念ながら帰ってからですわね。
「……さ、次はキャシーさんの番ですわ、
はやく、脱出を……
「ちょっと待ったぁッ!!」
ッ!?」
そうしてキャシーさんに脱出を促した直後
突如、背後から響いてきた大声……
当然のことながら、恋の大逆転チャンス……と言う訳ではありません
その声がした方向へ、私達が一斉に顔を向けると……
そこに居たのは、友枝町を襲ってきた子と同じ格好をしている子達が数名、
そして、彼らを率いるように立つ先頭の3人と1匹……
「あの子……やっぱり来てた……!」
「なんだ、女の子ばっかりじゃないか、
アイツら、こんなのに手も足も出なかったのか?」
ジュエルシード集めの際、いつもかち合ってきた、
黒い魔法少女・フェイトちゃんと彼女の使い魔・アルフさん。
ケロちゃんから得た情報にあった、用心棒だと呼ばれている身長180cmはある大柄の男の子。
そして、二人の間に居る、緑色の服を着てジーンズを穿き、耳にピアスを輝かせている子……。
「コクエン君……」
「………………」
彼を見て、奈緒子ちゃんは彼の名前をつぶやきました。
間違いなく、彼が友枝町を襲ってきた子達のボス宵闇コクエン君なのでしょう……
彼は、奈緒子ちゃんの言葉を意に介しない様子で、
そのまま、私達の事を睨みつけていました……
なお、総合戦闘力は、さくらが最強なのはタグの通りで
幻想郷勢はこちら側で全力を発揮できないことにしてるので、ここはちょっと除外してみると
その他の総合力は、なのは・ユーノ・フェイト・およびその他のボス格で大きな差はありません
(少なくとも、なのはとコクエンが素質は同レベルの設定です)
なのはとユーノはさくらとの特訓で、意外と文字通りに地力を上げていますが
その他のマイスターも実戦経験を積んでいるので、対人経験は二人よりも上になります
その他にも得手・不得手に加えて得意レンジなどの要素や
チーム戦で生きてくる相性とコンビネーションがありますが
果たしてこれがどう生きてくることやら……?