知世の野望 ~The Magic of Happiness~   作:(略して)将軍

48 / 49
少しずつパロキャラの封印を解いていく事にするかなぁ
1から作るの大変だし、かといって完全モブじゃやりづらい所もあるし

まぁ、今回は存在の雰囲気だけですけどね


コスチュームセレクト

 

 

まいったまいった……

 

 

腕利きのロッドマイスターを集めて大会を開くって聞いたので、わざわざ腕試しにやって来たのにやってきたが、まさか男女のペア大会だったとは……

 

 

派手好きなシュリらしいと言えばらしい嗜好だが、一人でやるつもりだった俺は、完全に肩透かしを食らってしまった。

 

一緒に参加するパートナーの当てがない事もないが、この状況でアイツに頼むってのは、流石にないか……

 

 

他に連絡付きそうなのは大体が男だし、その辺で適当な女子を見繕って……

 

『お茶しない?』

 

などと声をかけて頼むなんていうのも、気が進まない。

 

そもそも、そう言うのは俺のキャラクターじゃないしな……

 

 

……まぁ、招待状は別途貰えたから、今日の所は参加者の実力を見極めさせてもらう事にしようか。

 

 

そう思って、改めてシュリの城に向かっている途中で……

 

 

「あれ? アンタ確かこの間の……」

 

 

不意に、聞き覚えがある声をかけられたので、誰の声だったかと思いながら、そちらへと振り向くと……

 

「お前らは、あの時の……」

 

 

そこには、コクエンの所に向かう際に出会った女子達の中で、一番やかましかったヤツ……確か、アリサっていったか?

そいつが、珍しいものを見たと言わんばかりの表情をしていた。

 

更に、その後ろには……

 

 

「あなたはミズチ君でしたわね、その節は大変お世話になりました。」

 

 

黒髪のやや天然気味なお嬢様……知世が、この間の件に関して、軽い会釈をしつつ礼を述べた。

 

 

「特に、なにかをした覚えはないんだがな、そっちに居るのは……」

 

 

「よぉ、久しぶりだな、ミズチ。」

 

 

俺がカウボーイハットを被った男が俺の名を呼ぶと、周りの二人が驚いた顔でそちらを向く。

 

 

「なんだ、知り合いだったの?」

 

「ああ、少し前に町までわざわざ勝負を挑みに来た事があるんだ。」

 

 

風間美利、前に腕が立つ奴を探してあちこちまわっていた時に出会ったロッドマイスター。

一度手合わせした時、抜群の連射力と命中率で、非常に楽しませてもらった相手だ。

あの時は、決着がつかなかったが……

 

 

 

「一応シュリ派だとは聞いていたが、お前がここに来るとはな。

 こいつらとは、知り合いだったのか?」

 

 

「いや、ついさっき知り合ったばかりだ。

 ……それより、ここにいるという事は、お前も例の武闘会に?」

 

 

流石に、ここに居れば理由くらいは察せられるか……

まぁ、それに関してはお互い様ではあるが。

 

「そのつもりだったんだが、残念な事にパートナーが見つからなくってな……

 そう言うお前の方は……?」

 

「もちろん、参加だ。」

 

 

やっぱりか……

 

 

パートナーに関しては、コイツの拠点には派手な活躍はしてないものの、拠点の皆から信頼されている、実力派ロッドマイスター・小野寺マリがいたはず、パートナーはアイツで間違いないだろう。

 

 

「風間、お待たせ!

 ……あら? あなたは確か……」

 

 

噂をすれば何とやら、さっそく当人のお出ましだ。

 

「……ずいぶんと思い切った格好だな」

 

「いいでしょ、せっかくの機会だったから

 思い切ってコーディネートしてみたの、似合うでしょ?」

 

小野寺の言葉に、風間は答えが見つからないようで、帽子で表情を隠そうとしていたが……

 

それにしても、本当に思い切った格好だな……

 

黒のレザーのビスチェ、ショートパンツ、ロングブーツに加え、みぞおちの所までしか丈のない半そでのトップスとは……

 

 

「……普通って言われたの、そんなに気にしてたのか?」

 

「別に、またなんか言われて入れないのも癪じゃない、それにユーノ君の方見たらもっと驚くわよ。」

 

 

「ユーノ……!? アイツも来てるのか!?」

 

 

名前を聞いて、思わず声を荒げてしまった……

まぁ、知世とアリサがいるなら、アイツが一緒にいてもおかしくはないだろうが……

 

 

初見時はサポート向きで、大した相手ではないと思っていたが、コクエンとの一件では想定外の活躍を見せてくれたので、実は一度手合わせしたいと思っている。

 

そうなると、今回出れなかったのはちょっと惜しかったか……

 

……アイツが出るとなればパートナーは、カード使いの木之本か、砲撃使いの高町のどちらかのはず。

 

どちらがパートナーだとしても、コイツとの組み合わせなら相当の所まで行けるだろう。

 

「みんな、待たせてごめん

 ……って、あれ?」

 

 

すると、小野寺の後ろから高町と、彼女に腕を引かれたユーノが姿を現した。

 

高町は、前回と同じ白いバリアジャケットを着用していたが、ユーノの方は……

 

 

「ミズチ……!?」

 

 

「………………」

 

 

正直言って、この格好は想定外だった……

 

 

いや、似合ってると言えば似合ってはいるんだが、コイツコクエンの時の女装だけじゃなく、こんな格好まで……

 

 

木之本や高町の恰好もそうだけど、もしかしてこれがこいつ等の……

 

 

「……趣味か!?」

 

 

ユーノの恰好を見て一通り思考を巡らせた後、

俺の口からは、思わずそんな言葉が飛びだした……

 

 

 

―――

 

 

 

まさか、こんな所でミズチと出会うなんて……

 

 

城をいったん後にした僕達は、仮装武闘会の衣装の為にあちこちのお店を巡って、合う衣装を探していた。

 

ただ、すでに仮装武闘会は始まっているので、どこも品物はだいぶ少なくなっており……

 

 

「あ……これいいわね、ちょうどこんなのが欲しかったのよ。

 後はこれを組み合わせて……」

 

 

マリさんは、運よく彼女の好みに合うものがあったので、嬉々とした表情で、黒い革製の衣装を手に、試着室に直行していったけれど……

 

 

僕にとって肝心な男物の衣装は、どこに行っても碌なものが残っていなかった。

 

 

全くないと言う訳ではなかったのだけれど、どれもあまり物の様なものばかりで……

 

 

「三銃士に出て来そうな衣装が……あ、ごめん、帽子とマントだけだった。」

 

 

「こちらの執事服なら似合いそう……あら、ワイシャツがありませんわ……」

 

 

「あ、この鎧とか軽いし良いんじゃない? ……って、お腹周りしか残ってないわ。」

 

 

みんなも、僕に合う衣装を探してくれて入るのだけれど、見つかるのはどれもハンパ品ばかり……

なんとか組み合わせようにも、組み合わせたら変な格好になること請け合いの物しか残っていない様子だ。

 

変なものを見つけられたらたまらないと、僕も必死で衣装探しに苦戦しているのだけど、やはりいいものが見つからない。

 

どうしようと悩んで居ると……

 

 

「これは、アレとちゃうんか? 前回同様、また女物を……」

 

 

ケルベロスが、あきらめたかのようにとんでもない事を言い出したので……

 

 

「イ・ヤ・だ!!」

 

 

僕は、断固としてその提案を切り捨てた。

 

 

「まぁ、そっちの方が楽なのは確かよね。

 女物の衣装は、それなりに結構残ってるし……」

 

「スカートに、ショートパンツに、チャイナドレス……

 どれも、ユーノ君に似合うと思うんだけどな。」

 

ケルベロスの発言を聞いていたらしく、アリサとなのはが衣装を漁りながら、とんでもない事を口にしている……

 

なんでこう、みんなして僕の事を女装させようとするんだろう……?

 

 

「……大変だな、お前も。」

 

 

がっくりと肩を落としていると、美利が僕の肩を軽く叩いて同情するように慰めてくれた。

 

いいよね、こういうのに巻き込まれそうにないキャラって……

 

「……あ、男物で全部そろっているのがありましたわ。」

 

 

「えっ? どれどれ……?

 ……あっ、これは確かにユーノ君にピッタリかも!!」

 

「よかった、で、どういう衣装なの……?」

 

 

安堵のため息を吐いて、知世さんが広げている衣装を確認してみると……

 

上着は以前テレビで見た、どこかの学校のブレザーのようにも見えるジャケットで、それとセットなのか、少し変わった帽子も一緒に用意されており、ここだけならば問題なく男物と断言できる。

 

……だけど、問題なのは下に身につける方。

男物と言っていたのに、下でひらひらしているタータン柄のそれは、どうみても女物のスカートにしか見えない……

 

 

「ちょっと! 男物って言ったじゃ……」

 

 

期待を打ち砕かれたことに対して、抗議しようとすると……

 

「ほー、キルトやな……

 こら確かに、まごう事なき男物やで」

 

「うそっ!? これで!?」

 

 

「ええ、スコットランドの伝統的衣装で、ここの出身の俳優さんが身につけてる画像とかはたくさんありますわ。

 なのはちゃん、ちょっとこれ持っていてください。」

 

そういって、知世さんは衣装をなのはに預けてからスマートフォンを操作し始め、軽く頷いた後に僕の目の前に差し出してきた画面を見てみると……

 

 

確かに、そこには美形と言っていい男性はおろか、白いひげを生やした初老と思われる男性が、知世さんの用意したものと同じ衣装を着ている写真が写っていた。

 

え……? これ本当に合成とかじゃないの?

確かに、特定の部族の衣装には、たまにとんでもなくトンチキなのがあったりするけど……

 

 

「男物……なら文句ないのよね?」

 

 

……そして、気がつけば上着を手にしたアリサが背後からにじり寄っており……

 

 

「大丈夫、きっと似合うから!」

 

 

その後ろからは、なのはがスカートを手にしていて……

 

 

「仮装武闘会だから、この際思い切ってやってみましょう!!」

 

 

知世さんが帽子をもって、とてもにこやかな笑顔を浮かべていた。

 

 

この流れはまさか、前回と同じ……!?

 

 

助けを求めようと、後ろに居る美利の方に振り向くが……

 

 

「……あれっ!? 誰も居ない!?」

 

 

そこに居たはずの美利は、いつの間にか姿を消していた……

 

 

これって、まさか前回と同じパターン……?

 

 

……ひどいっ!!

 

 

「嫌だとは言わせないわよ、さくらさん助け出さなきゃ、アンタフェレットの姿になれないんだから。」

 

 

落胆してる所に、アリサがダメ押しとばかりに非常に痛いところをついてきた。

 

確かに、今もフェレットの姿になるにはさくらさんの助力が必要なので、必然的になのはの家に戻る事が出来なくなってしまう……

 

いや、そうじゃなかったとしても、さくらさんの事を放っておく気は無い。

 

……こうなると、もう覚悟を決めるしかないか?

 

 

色々とあきらめかけた僕は、みんなの持っている衣装に手を出そうとしたところ……

 

 

「みんな、そのくらいにしておいてやれ。」

 

 

「あれ? 風間さん今までどちらに……?」

 

 

「面白いものを見かけたから、ちょっと譲ってもらって来たんだ。

 これもネタ要素が強いが、ちゃんとした男物だから好きな方を選ぶと良い。」

 

美利がギリギリのタイミングで戻って来てくれ、みんなの事をやんわりと制止したのと同時に、彼の格好にはあからさまに不似合いな唐草模様の風呂敷包みを僕へ手渡してくれたのだった。

 

 

―――

 

 

「まぁ、この衣装もそんなに気に入ってるわけじゃないけどね……

 動きやすいのはすごく助かるんだけれど……」

 

 

「そりゃまた、究極の二択だったな……」

 

 

やや気恥ずかしそうに、頬をかきながらユーノ君の話を聞き、、ミズチ君は同情するような感じで、あきれた様にそう言いました。

 

 

今のユーノ君の恰好は、鋲がついた丸い肩当に、指が出ている青い小手、黄色い脚絆に青い足袋と草鞋。

素肌には長袖の網シャツを身につけ、腰に黒い帯を締め、その上には青い忍び装束とオレンジ色のマフラー。

 

 

その格好は、日本人はおろか日本の事を少しでも知っているならば、誰もが知っている忍者を彷彿とするような恰好でした。

 

……それにしては、少し色彩が派手ですが。

 

 

「……なんか、その格好おかしくない?

 こんな衣装、いったいどこから見つけて来たのよ?」

 

アリサちゃんが疑わしそうな顔で風間君に尋ねました。

 

「さっき、表に知っているヤツが大荷物を抱えてトボトボ歩いてるのを見かけてな……

 もしやと思って声を掛けたら、在庫を抱えて帰る途中だったそうで、そこでユーノの特徴を伝えたら、嬉々としてコイツを渡してくれたって訳だ。

 ……なんでも、江戸時代に愛犬と共にサンフランシスコから来日した、正義の忍者の衣装のレプリカだそうだが……」

 

 

また、ずいぶんと胡散臭い説明ですが、用意したのがこのジャンルだとすると、武闘会に参加するみんなからは不評だったのかもしれませんね。

 

 

「あまりにも嘘くさすぎる……

 いったい、どんな奴がこんなの用意してたのよ?」

 

 

「どっちも、アメリカのドラマの【SHOUGUN】を見て日本に被れた、某インターナショナルスクールの生徒とは聞いたな……

 『男は黙って……』だの、訳の分からない英語だのを言って、すごく胡散臭いヤツなのは確かだが……」

 

それを聞いたアリサちゃんは、開いた口が塞がらないとばかりに、口をポカンと開けてしまいました。

 

 

……ともあれ、この衣装ならば一応派手ではありますし、それなりにユーノ君に似合っていますから、仮装武闘会への参加は問題なさそうです。

 

 

「それでは、私達は一旦戻って、拠点の皆に協力をお願いしてきますので、なのはちゃん、ユーノ君、マリさん、風間さん……

 さくらちゃんの事をよろしくお願いいたします。

 ……ケロちゃんは、もしもの時の為になのはちゃん達と一緒にいてあげてください。」

 

 

「よっしゃ、まかしとき知世、なんかあったら、前回同様ワイが外に出て伝えるさかいな。」

 

 

ケロちゃんは得意げに胸を叩くと、私のお願いを快く承諾してくださいました。

 

 

「仮装武闘会……か、なんだか緊張するなぁ……」

 

 

「向こうじゃ、それなりに大会とかやってるけど、自分がこんな大会に出るとは思わなかった……」

 

 

「勝てないと思ったら、意地を張らずにギブアップする事も考えておけ、別に優勝する事が目的じゃないからな。」

 

 

「さぁ、それじゃあいきましょうか。」

 

 

そして、各々の思いを胸にみんなはお城の門を超えて武闘会会場へと向かっていき……

 

 

私とアリサちゃんは、人気のない所まで移動すると幻想鏡を使い、この後で何があっても対処できるよう、みんなに協力を頼もうと、集会所になっているあの一軒家まで転移したのですが……

 

 

そこでは、何故か山茶花町の子達がワイワイ集まって、一軒家の中にある何かに注目してる様子を見せていました。

 

何人かは、ちょっと腰が引けているようにも見えますが……

 

 

「ん? なにかしらあれ……?

 すずかか奈緒子さんに、なにかあったのかしら?」

 

「すいません、ちょっと通してください…………あら?」

 

 

部屋の中には、奈緒子ちゃんとすずかちゃんがコタツ台に座っており、二人の座っている反対側には、見た事のない変わった雰囲気の女の子が付き人と思われるメイドさんを横に侍らせ、優雅に紅茶を飲んでいました。

 

 

見た感じ、どう見ても日本人ではない様子ですが、奈緒子ちゃんは、彼女を見て、好きな話題をするときに見せる嬉々としており、一方ですずかちゃんは、彼女を見てどこか落ち着かない感じを見せています。

 

彼女は私達に気付くと、カップに残った紅茶を一気に飲み干してから……

 

 

「どうも、お邪魔させてもらっているわ

 あなたが、大道寺知世ね……」

 

 

私の事を名指しで呼ぶと、かわいらしさの中にどこか畏怖を覚える様な、妖しい笑顔を見せたのでした……。

 

 

 




実は、忍者コスではなく、キルトの方で行こうかなと思ってたり……
とはいえ、キルトはそれほど詳しいわけでもないし、武闘会ならば忍者の方がいいかなと思い当初の目的通り忍者ユーノにしました。

なお、衣装の元ネタは新日本企画製侍魂格闘ゲームの、犬の方が本体と言われるガイジン忍者です。
もっとも、最近は割とそうでもないようですが……

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。