第五話
さて、遅ればせながら現在の我が鎮守府の戦力を整理しよう。※改二がないものは全員改。
戦艦は現在長門(改二)、陸奥。
正規空母は赤城、加賀、飛龍(改二)、蒼龍(改二)。
軽空母は鳳翔、瑞鳳。
重巡が古鷹、加古。
軽巡は大淀、天龍、龍田(改二)、長良、名取、五十鈴(改二)、由良(改二)。
駆逐艦は吹雪(改二)、陽炎、不知火、黒潮、島風、暁(改二)、響(ヴェールヌイ)、雷、電、白露、時雨(改二)、村雨(改二)、夕立(改二)、五月雨、涼風。
工作艦は明石。
葵「さて、練度は十分か」
執務室である海域地図を広げ作戦を練っていると、
大淀「提督。どうされました」
葵「ん? なに。それそれリベンジと行こうかと思ってな」
我が鎮守府は発足当初ある程度戦闘経験が必要と思い鎮守府海域をこれでもかというぐらい周回、警備警戒を行った。おかげで軽巡、駆逐艦の練度も上がり、さらに新たな艦娘を迎え入れることもできた。
だが、沖ノ島海域の解放作戦で苦戦を虐げられていた。
葵「あれは想定外だったな」
当初は警戒をし長門、陸奥を入れさらに迎えた赤城、そして吹雪、夕立、時雨をで満を持して出撃した。だが、
葵「コースがだいぶずれた上に燃料の消費、敵との遭遇による弾薬の消費が想定より多かったためか」
結果的に致命傷を与えることはできなかった。
まず最深部であろう場所とその手前。敵側が今までは空母と戦艦が一緒にいても別行動をすることはなかった。
しかし今回は別行動をされ、最深部手前で航空戦にて赤城が小破、そして最深部で中破ときた。甲板をやられては赤城でも艦載機を出すことは不可能だ。さらに最深部では戦艦の集中砲撃とこちら側の偵察機の離陸が不可能である手前偵察がおろそかになってしまった。
葵「まぁそのあとは考えたんだが」
大淀「建造にて空母と駆逐艦、重巡を中心としたことですね。あの時はなぜ? と思いましたよ」
理由はいたって簡単。航路が不明確なら明確にすればいい。なら数をこなすために艦娘を建造。その際に駆逐、重巡、軽巡、軽空母を狙って行ったのだが、その際加賀を中心に二航戦も建造できたのは幸運としか言いようがないだろう。
そして重巡を混ぜた編成を行い、威力偵察をし、さらに敵の勢いをそぐため敵補給基地を奪還。偵察機からの情報でもだいぶ敵が弱っていると見た。
葵「第一艦隊に出撃命令。場所は沖ノ島海域。前回のリベンジと行こうじゃないか!」
大淀は敬礼をしたのち放送のマイクを入れ、前回のメンバーを招集した。
葵「で、今回は私も一緒に出ようかと思い」
全員『・・・・・・は?』
葵「最近体が鈍ってな」
長門「・・・・・提督、相手は深海棲艦ですよ?」
葵「あぁ。知ってる」
陸奥「砲撃してくるのよ?」
葵「だろうな」
吹雪「魚雷も打ってくんですよ!?」
葵「駆逐艦タイプならそうだろう」
赤城「空から攻撃してくるんですよ!?」
葵「うん。最深部手前には空母タイプがいたな」
時雨「・・・・そもそも距離があるだけど」
葵「問題ない」
夕立「ていとくあたまおかしいぽい?」
葵「遠回しにバカにしてるか?」
まぁ反対の声を押し切りさぁ出撃と思ったら・
加賀「提督が出ると聞いて」
葵「そうだが、何か問題が」
加賀の隣には古鷹と加古がいた。
古鷹「せめて護衛を!」
加古「提督がいなきゃ私たちだめだもんね~」
そういうものか?
葵「まぁいい。なら加賀、古鷹、加古。三人を私の護衛につける」
だが、私は一つ失念をしていた。何かというと、艦隊編成はなぜ一つの艦隊に六隻のみと誰が決めた? ということだ。
何が言いたいかというと。
長門「提督よ」
葵「はい。何でしょう?」
長門「敵だな」
葵「そうだな」
目の前に見える敵はざっと数えただけでも20隻はいた。
古鷹「て、っててててて提督!? ど、どうしましょ!?」
葵「ん? まぁ大丈夫だろ」
夕立「お、終わったぽい・・・・」
時雨「ここが僕たちの墓場かな・・・・」
吹雪「さ、最後まで頑張りましょ!!」
陸奥「そうね。こんなところで死ねないわ!」
赤城「一航戦の誇り・・・・捨てるわけには!」
加賀「胸が高鳴ります!」
いやいや、なぜみな戦闘準備入ってる!?
加古「ん? 提督、なんか考えてることみんなと違うのか?」
葵「まぁな。とりあえず」
そういって一つのピストルを取り出す。ただこれは普通の銃とは違う。何が違うとかというと。
―――パシュウ
上空に銃口を向け引き金を引くと、そこから飛び出したのは鉛玉ではなく、赤く燃える玉。そう信号弾だ。
すると、二隻こちらに白旗を掲げ接近する深海棲艦いた。
クラスは空母ヲ級と戦艦ル級というものに分類される二人だ。
葵「さて、手紙を読んでくれて何より――とこたえたほうがいいのか?」
その時艦娘たちは全員が「?」を頭に浮かべているように見えた。
タ「ソチラガ停戦シタイトイッテキタカラナ」
ヲ「オ前タチガ優勢ナノニナゼ?」
艦娘「停戦!?」
葵「そうだ。我々が真に戦うべき相手はただ一つ」
その言葉に深海側も目をつむり深く考え始めた。
タ「奴ラカ。アノ黒イ悪魔ドモ」
葵「共通の敵がいるのであれば手を取り、戦うべきではないか?」
その言葉に今度こそ深海側も目を見開き驚いていた。
葵「こうやって話を聞いてくれている。それだけでも来た甲斐はあった」
そして、こちらの考えを伝える。
人間と深海が手を組み対【不の者】で戦闘を組む。
勝利した暁には深海側と人間側ですみわけを行い共存する道を条約として明記する。
ヲ「コレヲ人間ガ守ルトイウ保障ハ?」
葵「少なくともないだろうな。だが」
私は守る。
その言葉を聞いた二人は少し待てと言い残し、仲間の元に戻った。
長門「提督?! どういうつもりだ!?」
葵「どうもこうも、こういうことだが?」
加賀「あきれました。彼女たちと私たちは敵です」
確かにそうだ。だが、
葵「【不の者】と戦うことになるなら現戦力では太刀打ちできないからな」
要は二方向、深海側と【不の者】に戦力を二分しなければならない。それはつまり決定打を打つことはできない。なら、
吹雪「停戦し協力したほうが早い」
さてはて吉と出るか凶と出るか。
そうこうしているうちに、
葵「ん? 何やら動きがあるな」
私がつぶやいた一言に艦娘たちも一斉に深海側のほうに視線を向ける。そして、そこから現れた一人の深海棲艦に艦娘たちが息をのんだ。
長門「港湾・・・棲姫・・・」
ヲ級やタ級よりも背が高く、何より目を引いたのはその手であった。
吹雪「おっきい・・・・」
時雨「うん」
夕立「ぽい~~~」
うむ。大きい。私より身長が高いのか・・・
ほかの深海棲艦とは明らかに違う。頭にある一本の角もそうだが、大きさ、武装、すべてにおいて戦艦タ級、空母ヲ級とも違う。
駆逐艦ズ「何食べたらあそこまでおっきいおっぱいになるんだろ・・・・」
葵(そっち!?)
彼女たちは自分たちの胸をぺたぺたと触るが、私は何も見なかったことにした。
葵「話を聞いてくれてありがとう」
港湾「デモ、受ケ入レタワケジャナイ」
そりゃそうだ。優勢に立っているということはそれだけ彼女たちの仲間を我々は討ってきたというわけだ。
葵「こちらとしては力ずくでも受けいれてほしいもんだが」
港湾「デハ、何故ソウシナイ?」
葵「それは停戦の先にある和平には結びつかない。むしろ逆の服従か屈服だ。そしてその先にあるのは再び戦だ」
だから力ではなく話し合いでけりをつけたいのだ。
港湾「講和? ワタシタチガカ?」
葵「そうだ。我々には口がある。そして互いに通じる言葉がある。何のために? 話し合うためだ。拳を振り上げ勢いよく振り下ろす前に、言葉にて解決するのが先決だ。拳は最終的な解決方法に過ぎない。まぁ解決になるかどうかはさておきだが。それに―――」
これを拒めばお前らは奴らの腹の中だぞ。
深海「!?」
艦娘「?」
その言葉に深海側が反応した。つまりその場面に遭遇し、奴らの食事のシーンを見たということだ。
港湾「・・・・・オ前ハ、ドコマデ知ッテイル?」
葵「すべてだ。お前たちが、艦娘たちが、こちらの人類がアンノウンと呼んでいる者たちがどういうものか。そして、あちらさんは戦闘準備が出来上がっているようだが?」
そういって視線を水平線しか見えないほうに視線を打つ。だが、
加賀「!? 敵影を確認しました。数は・・・・1隻」
長門「なに!? 艦種は!?」
加賀「・・・・これは・・・アンノウン!?」
港湾「ヲ級! 艦載機ヲ!」
葵「やめておけ。玉の無駄遣いだ」
私は港湾の攻撃指示を取りやめさせ、一歩前に出る。そして、
葵「闇に染まりし子らよ。その闘志を燃やせ、その忠誠を見せよ、その力を見せつけよ」
古鷹「提督? な、なにを?」
タ級「!? ナンダソノ者タチハ!?」
水面下に魔法陣が展開しそこから中世ヨーロッパの騎士甲冑を身にまとった兵士たちが次々と横に整列をし始める。
葵「殴殺せよ」
まぁ威力偵察なんだが。
長門「て、提督あれは!?」
吹雪「い、今なにもないところから?!」
葵「魔法だよ」
夕立「提督さんが・・・・魔法使い?」
時雨「・・・・・冗談だよね?」
連れてきた艦娘たちはもちろんだが、深海側もあまり信用してないようだな。まぁそれよりもあちらはどうなっているやら。
葵「持って20秒。さて、どれだけの力―――げっ」
騎士の視線で見て分かったこと。それはあちらも艦娘たち同様、いやそれ以上の力を持っている。飛行甲板らしきものから飛び立つ艦載機は明らかにレシプロ機ではなくジェット機、そして艦砲までも備えていた。
葵「冗談だろ。チッ・・・・」
すぐに私は軍帽を隣にいた吹雪に渡した。
吹雪「え?」
葵「持ってろ」
吹雪「は、はい///」
SIDE吹雪
私は、いや、私たちは今目の前で起こったことに処理が追い付けていけません。
提督が、言葉を終えると水面から禍々しいほど黒く染まった騎士が剣と盾を携え私たちの前に忽然と現れたのです。
深海側もあまりにも急な展開で驚いていましたが、提督だけが当然と言わんばかりに命令を下し騎士たちはそれに従って行動を起こしました。
提督はそれを『魔法』といっていました。
でも提督の顔が急に苛立ち始めたかと思うと、すぐに共学に変わりました。そして軍帽を私に預けると、
提督「持ってろ」
普段しない命令で私にそれを渡してきました。でもその顔はこんな時に不謹慎ですけど、その目線はまっすぐで、さりげなく私たちよりも前に出ていました。それは艦娘も、深海側よりも前に。その先には当然敵がいます。
でもその行動が、その一つ一つの動きでわかるんです。
そんな行動が私をドキッとさせるんです。そして、
本当にこの人は私たちを守ってくれるんだって。
SIDEOUT