律さんと政宗君   作:bui

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第2話

<律さん>

 

 

小野寺出版の会長だった祖父は、早くに亡くなったイギリス人の祖母に似た緑茶色の目とミルクティの色の髪を持つ孫の俺をとてもかわいがってくれた。

息子である父は祖父にそっくりだったのに孫である俺が祖母のいろいろなところに似ているというのが血縁の不思議だ。

 

父に反抗した時も、失恋でグダグダになって学校にも行けなくなったときも、いつも無条件に俺の味方になってくれた祖父。

 

父や母が会社の社員の生活を担う責務から俺に与えるプレッシャーも、祖父のやわらかい物腰があったから耐えられたのかもしれない。

 

その祖父が亡くなって想像以上に俺はダメージを受けた。

 

そう、普段は忙しい忙しいと言い訳をしてろくに顔も見せずにいたくせに、もう二度と会えないと解ると俺を支えていた柱と梁の一部が無くなったような不安定感に襲われて、その取り返しのつかない事実に呆然とした。

 

 

 

普段は酒など飲まないのに身の置き所を探して懇意にしているホテルのバーにカクテルでもと思って入るとそこに彼はいた。

比較的上品な場所には不似合いなほど彼は酔っていて、途中までは女性が横にいたようだったけどあっさりとその男を見捨てて去って行った。

ホテルのバーを選んでいたあたり目的はそうだったのだろうと推測できるが、結局相手をしきれないと見切りをつけたのだろう。

 

なので俺と彼との間には人がいなくなってしまった。

 

だいぶ酔っていた彼は俺を見つけて力の入らない指で自分の名刺を差し出し呂律の回らない口で自己紹介をした。

相槌ぐらいしか打たない俺に、返事など聞いても居なさそうで一方的に友人の愚痴をた吐き続けた。

 

単なる親友に連れなくされたというその理由が馬鹿らしくて、憂さ晴らしをしたかったのは俺なのに面倒事はごめんだとさっさとその場を去ろうとしたのだけど、親友がいるから恋人などいなくてもいいと言った言葉が引っかかった。

 

「あなたほどの方なら女性はいくらでも寄ってくるでしょう?さっきの人は恋人ではなかったんですか?」

 

まあ、捨てて帰るぐらいだから違うのだろなとは思ったものの皮肉を少し交えてそう言うと

「そりゃね。もてますよ、こっちから何にもしなくても困らないぐらいにはね。でも俺が好きになれたのは後にも先にも一人だけだから、他はもうどうでもいいんですよ。」

と酔っ払いよろしく相変わらず呂律が回らない舌で言った。

 

「へえ・・・、その一人の人には振られたってことですか?」

「そう、すっきりさっぱり跡形もなく。」

 

クククっとさもおかしいと言わんばかりに彼は笑ってバカラ調の重そうなグラスをくるくると回す。

 

すっかり溶けた氷は跡形もないけど琥珀色の液体はまだ濃度を保っているようでもったりとグラスの中で回転した。

 

バーラウンジの薄暗い間接照明が髪の毛の影をその涼し気な顔に落とす。

 

振られたとはイケメンなのに残念なことだとその長いまつげが揺れるのを見つめているとその美貌にドキリと鼓動が跳ねた。

 

その時、彼が俺の方をぼんやりとした目で見つめながら

「律・・・。ここにいたの?」

と今までの低い声ではなく甘くささやくようにそう言った。

 

驚いて止まってしまっていると、彼が俺の手を包むように掴んだ。

引き寄せられスリスリと撫でられて、やがて彼が手の甲にキスを落とす。

 

さらに引き寄せられて俺は贖うこともできずその身体に凭れるように身を預けてしまい、腕の中で熱を持った視線に見つめられて、頬に、、首筋に、項にと何度も何度も唇が寄せられて、ぼーっと抵抗もしないでいたのだけど、ある時のキュっと吸い付く痛みにビクリと身体が震えて我に返り彼の身体をグイッと押すと、そのまま彼はテーブルにくたりと身を伏せて眠り込んでしまったのだった。

 

律?

 

その声だけが頭の中でぐるぐると繰り返し回っている。

 

まさか・・・。

 

黒髪をかき上げるとその顔は先ほどの妖艶な美しさはなくして子どものように幼く見えた。

そう思って見てみると昔の面差しを感じなくもない。

 

しかしそれは似ている似ていないということではない。覚えている覚えていないということでもない。

この人はあの人なのだというまさに直感だった。

この人は先輩だ・・・。

 

 

俺は手にしたスマホで夜分にも関わらず懇意にしている人に連絡を取った。

 

「丸川書店のエメラルド編集部の編集長の高野政宗について調べてください。」

 

短く告げると電話からは「お任せください」と答えが返って来たのだった。

 

 

 

 

 

10日ほど過ぎて調査結果が手元に来た。

 

やはり高野君は嵯峨先輩だった。

 

どうしてそうなったか、高校三年の1学期に行方をくらましたと思っていた先輩がどこで何をしていたのか。

知り合いの人の話や関係者の裏も取ってある。

 

優秀な探偵さんだな・・・。

 

 

あの時、俺は先輩に振られたと思ったのだけどそこには何か誤解があったのだろうか。

少なくとも先輩はりつを想っていてくれたらしい。

 

思い出したくないと思い続けたせいで、あの時何がどうしてそのようになったか、あの頃の事ははっきりと思い出せない。

 

毎日幸せで、幸せが不安で、何かの確約が欲しくて、形のない気持を何かの形にしてほしかった。

 

そうだな・・・。

 

いつかは振られるのかもしれないという気持ちに押しつぶされそうになって、これならいっそ振られてしまった方が楽だと思ったのかもしれない。

 

いくつかある選択肢の中の一番不幸な自分を選んでしまったのだろう。

 

だって、俺のどこにも先輩が俺を好きになる要素がなかった。今思ってみても少しも分からない。

 

俺はいつだって自分の事だけでいっぱいいっぱいだった。

 

 

調査結果が出るまでの間もじっとしていることはできなくて、どうなのかを確かめたくていじわるな事を告げてあれこれと誘い出したけど、結局真意はよく分からなかった。

 

ただ・・・、あの頃の無表情な彼とは違って、明らかに嫌そうな表情をする彼は俺の知っている彼ではなかった。

 

もし俺があのリツだと分かったとしたらどうするだろう?さすがに幻想が破れてもうごめんだと思うだろうな。

 

脅して相手を自由にしようとするようなやつだもん、俺は。

 

先輩が好きで好きで、先輩が望むならあの時の俺はなんだってしただろう。すがることもできないほど従順だった。

 

でも、実際の先輩は俺の作り出した虚像とは異なっていたのだろう。

今の高野さん同様に、昔の彼だって生身の一人の人だったのだから。

 

俺が追っていたのは、おそらくどこにも存在していない『俺の中だけの幻想の先輩』だったのだ。

 

理想を押し付けて、勝手に振られた気になって遁走する・・・。

 

滑稽だ。

 

あのどこか寂し気で儚い少女のようだった先輩は、こうやって冷静に考えてみれば被害者以外の何ものでもなかったのかもしれない。

 

 

俺の先輩は俺の中だけにいる。

 

ごめんなさい。先輩。

 

俺が好きになったばっかりに。

 

俺が幼かったばっかりに。

 

 

でも身勝手かもしれないけど俺の10年間はこれで昇華されました。

 

 

 

ありがとう高野さん。

 

わがままに付き合わせました。

 

生身のあなたがこんなに素敵だってあの頃に気づいていれば良かった。

 

そうすれば俺も本当の自分をぶつけられたのかもしれない。

 

今更もう遅いけど。

 

だから今心で想うことにします。

 

先輩、幸せに。

 

今更告げようもないけどそれでも俺はあなたが好きでした。

 

俺のたった一人の初恋のひとでした。

 

 

だから、せめてもの手向けにこのまま何も告げずに手を降ってさよならします。

 

俺の先輩と同じように貴方のリツはもうどこにもいないのですから。

 

 

 

 

 

 

 

 

<:政宗君>

 

 

「高野、来週の日曜空いてるか?」

 

井坂さんが予告もなく編集部にやって来て聞くので、別に仕事もプライベートも何もなかった俺は「空いてます。」とそっけなく告げた。

 

井坂さんがこんな感じでやってくると大体ろくなことがないことは承知しているのだけど、だからと言って自社の社長に理由もなく断ると言う選択肢はないだろう。

 

嫌そうな気配はおそらく伝わっていたのだろうけど井坂さんは気にする風でもなく

「小野寺の会長の100日祭があるから一緒に行くぞ。」

と告げたのだ。

 

「え!?」

 

「お前さ、小野寺となんかあったんだろ?」

 

「なんかって何ですか?」

 

一応無駄な抵抗だと思いつつもここではいそうですと素直に認めることもできない俺は、そう牽制を掛ける。やや成り行きにうろたえていることはできれば隠したかった。

 

「ま、いいや。身内だから小野寺も来ると思うぞ。アポは取れないと思うけどな。」

 

井坂さんは面白がってもっと俺をいじるかと思ったのだけど案外簡単に引いてくれて、いつもはふてぶてしく見える顔が今日は天使か神様に見えた。

 

大きな会社の会長の法要とはいえここからは葬儀ではない。近くしている人しか招待されないだろうから開催する日時も一般人の俺など知りようもない。

 

「同行2で出しておいたからあとは勝手にやって。」

 

ピラピラと井坂さんは手を振って、朝比奈さんが軽く会釈をして去って行った。

 

どこまで何を察しているのかは分からないけどさすがだと敬服してしまう。

 

経営者としてのアンテナなのか個人の才なのか、井坂さんにはよくも悪くもいつも驚かされるのだ。

 

井坂さんの後ろ姿を見送りながら頭の中で礼服どこに行ったとか、靴は、不祝儀はとかそういう事務的なことと、律さんにあったら何をどう言おうとか、そもそも逃げられないようにするためには何をどうしたらいいのかとかを考えていた。

 

人のいる場所では無理だ、二人きりにならなければ・・・。

 

腕づくで押さえつけようとしてもまた回し蹴りを食らうかもしれない。

 

いずれにしても決戦は次の日曜だと腹をくくった。

 

 

 

井坂さんは小野寺の社長とはゴルフ仲間なのだそうだ。行きの車の中でいろいろな事を語ってくれた。

 

年齢はそれこそ親子ほど違うが柔らかくフランクな性格で井坂さんと仕事の話よりプライペートな話で盛り上がることが多いそうだ。

 

その一人息子の事は、時々愚痴とも相談ともつかないことを言われることがある。

 

浮いた話もなく、婚約者を当てがってみたがあっという間に断られたのだそうだ。

 

「『君は独身だがどうなんだ?』と俺に振られて参った。」と井坂さんが笑った。

 

井坂さんとて丸川の社長だ。すでに30歳を過ぎていて結婚などについて誰にも何も言われないはずはない。しかしなぜか独身を貫いている。

 

一番と思える人が性別的に女性であれば何の問題も無いのだけどな・・・。

 

自分と律さんの今後を俺が思っている通りに進めようとするならば多々障害は付きまとう。

 

それでも俺は今日の行動を止めることはできない。

 

あの時俺はまだ力の無い子どもで、律を探すことさえできなかった。だから何が起こったのかいまだに知ることもできずにいる。今度こそせめて真相だけでもはっきりと知りたい。

 

そうしなければ俺は先に一歩も進めないような気がするから。

 

 

 

律さんの親父さんである小野寺社長は、中性的な容姿の律さんと比べるとどちらかというと大正ロマンの小説に出てくるような、実直な文学青年のような雰囲気の人だった。

 

法要の儀式のあと、井坂さんに連れられて小野寺社長にあいさつをして、その場で自己紹介をしつつ実は律さんとは先輩後輩の中だったと告げると井坂さんと小野寺社長が二人とも興味深そうに眉を上げた。

 

「律さんは突然学校を転校してしまったのでそれっきりになったのだけどお元気ですか?少し懐かしく思いまして。」とさもご機嫌伺いのようなふりをすると、それはそれはと言って近くの人に律はどこにいるか?と聞いてくれた。

 

そして今この後の立食のテーブル準備の方に居ると言う律さんを呼んで来るように手配までしてくれて「すぐに律も来ると思いますから食事のご案内までアルコールなど用意がありますからくつろいで下さい。」と言って広間の端のバーカウンターを案内してくださった。

 

俺はその言葉に礼を言いながら、社長の社交の邪魔にならないように少しだけ動き、人に隠れるような位置にワインを片手に立つことにした。

 

ほどなくして律さんがきりっとした顔でカツカツと足早に広間に現れ、父親である社長のところに行くと眉間に皺が深く刻まれたの見える。

 

それは昔の自分を知っている人が来ていることを告げられて迷惑なのか困惑なのか、決して嬉しそうな顔ではない。

 

そして、そんな律さんをみながらもそろりと移動して、後ろに控える形になった俺を社長がほらっと指さしたので、くるりと律さんが振り向いたのだが、近く立ちはだかる壁は想定にはなかったようで(そう仕向けたのだから当然だが)ドスンと俺にぶつかって、律さんを胸の中に抱えるような態勢のまま俺は尻もちをついた。

 

俺が持っていたワインはグラスごと宙を舞い、律さんが「アッ」とちょっと大きめの声を上げ、ワインを頭からかぶった二人に周りの視線が集中する。

 

給仕の女性が慌てて駆け付ける中、律さんは俺の腕の中でお客様に対して大変な事をしてしまったと思ったのか、真っ青な顔色になっていたのだが、ぶつかった相手が俺と分かると、自分が何者で俺が何者かを知っている、そんな赤みを帯びた顔つきに変わっていった。

 

どのくらいの時間だったのだろうか。イヤほんのコンマ数秒だったかもしれない。俺たちはお互いに見つめあっていた。

 

それはいつもの律さんのつかみどころのない茶化すようなものではなく、昔のリツのあの揺れる視線だった。

 

「お客様こちらへ。」

案内の女性の声にハッとしたような律さんは「すみません。」と俺の上から慌てて降りて立ち上がり、俺も背を支えられ立ち上がって「こちらへ。」と案内されるがままその場を後にしたのだった。

 

律さんには聞きたいことが沢山ある。

そう逸る気持ちを抑えつつしかし何から切り出そうかと脳のCPUがフル稼働を始めた。少し前を歩く背からは怒っているのか恐縮しているのかはうかがえない。

 

こちらへとホテルの上の階の部屋に通される時に見た律さんの顔は相変わらず少し険しかった。

 

「代わりの服を・・・。ああ、政宗君に合うサイズを・・・。」

案内の女性にそう指示を出すと女性は分かりましたとその場から去り、やっと二人になったことで先ほどの険しい律さんの顔が少しだけ緩んだように感じた。

 

「大変な失礼をしてしまって申し訳ありません。」

律さんが深々と頭を下げてタオルを差し出して「シャワーでも。」と俺に勧めるのだけど、俺はそんなことはどうでも良かった。

 

もとより律さんと二人になりたくてワインをかぶったようなものだから。

 

まあここまでひどくかぶることになるとは思っていなかったけどむしろ願ったりかなったりだ。

 

「式典は終わってるし、あとは立食だけだから俺はもう戻らなくてもいい。」

そう言うと

「そういう訳には・・・。お客様なのに・・・。」と小さく途切れ途切れの声で律さんが言う。本当に困ったという感じがして、これわざとだと知ったら怒るかな?と、調子に乗ってやりすぎたいたずらを後悔する子どものような気持ちがした。

 

俺の中の熱い部分と冷静な部分が交互に出て来てこれからの手順について論議をしつつ対応を進める。

 

「今日は律さんに会いに来ただけだからいいんだ。」

 

そう告げるが律さんがうつむいたまま「ここに来ているってことはもう全部わかってるんでしょ?なんで?」と言った。

 

それはいつもの余裕の姿ではなく頼りなくて弱々しいだけの律さんだった。

 

「だからじゃね?」

「え?」

「全部とまではいかないけど、なんとなくわかったことがあってさ。」

「・・・。」

「昔の事とかいろいろ知りたいことがいっぱいあるんだけどさ。」

 

そう言うと律さんがピクリと肩を揺らした。

視点というのは個人の持ち物だ。

そこに冷静な何かは存在するようで実はしない。

 

何もかもが独りよがりなのだ。

 

俺が思ったことも律さんが感じていたこともそれはお互いに自分がそう思っているってことになんの違いもない。

 

だから人は話をする。

 

そうしてお互いの認識を近づけるのだ。

だけど俺たちはそれがうまくできなかったに違いない。

 

あの頃律さんは俺の事を好きだと言ってくれていた。

 

色々な背景が俺たちを阻んだとしてもそれは絶対的な共通認識だった。

 

俺が律さんを好きだったことは通じていたのだろうか?

 

何度思い返してみて答えが出ない。

それはこの律さんに聞くしかないのだろう。

さっきまではそう思っていた。

 

でも今この時間この律さんを見ていると昔の事はどうでもいいのかもしれないと感じている自分がここに居る。

 

「でも、過去はさ、どうでもいいかって思ってる。」

そう言うとうつむき加減だった律さんの顔が少し上がって、伏せられていた視線が俺の目を緩くとらえた。

 

「この間さ、律さんと行ったレストランに友達と行ったんだけどさ。」

「え?」

「何だか全然美味くねえの。」

「・・・。」

「律さんと食う飯はさ、ハンバーガーでもすげーうまくてさ、もう一人で飯は食えなくなったみたいだ。」

「政宗君・・・。」

「うまい飯は律さんとじゃなきゃ食えねーみたいでこれってやばいだろ?全部律さんのせいだから責任取ってもらわねーとって思ってる。」

 

そう言うと俺を見ていた目からポロポロと涙がこぼれて、口がキュっと一文字に引かれた。

 

昔の律さんに似ているけどやっぱり昔の律さんとは違うところが沢山ある。

 

ちょっとだけ偉そうにして余裕な態度を取れるようになった大人の律さん。

 

緑茶色の目もミルクティ色の髪の毛もそりゃ昔の恋人によく似ているけどな・・・。。

 

流れる涙を掬うように唇を頬に這わせると、大きな目がきゅっと閉じられて肩に力が入ったのがわかる。その肩を引き寄せ力を入れると律さんの手が背中に回り背広の布をきゅっとつかんだ。

 

「律さん、また俺にうまいもん食わせてくれる?」

 

律さんは何も言わずに俺の腕の中でこくりと頷いたように感じた。

 

 

 

「一番は律さんを喰わせてもらう。」

 

しかし張り詰めた空気に耐えられなくなってそう言うと、腕の中の律さんが真っ赤になって恥ずかしそうに・・・、てはなく、かっと怒って俺は盛大に平手を食らった。

 

「そういえばそういう人でしたね!」

 

律さんがそう言ってキッと睨むので俺は痛む頬をさすりながら苦笑して、それでも律さんの手は放さなかった。

 

 

俺たちのこれからは今からスタートするのだ。

 

あの頃よりももっと辛くて苦しいこともあるかもしれない。

ても俺はそれを律さんと二人で越えていきたい。

 

たから律さんも諦めて今の俺のことをどう思ってるか正直に話してほしい。

 

そしてずっとずっと一緒にいよう。

 

 

好きよりもっと大事な言葉、俺には貴方が必要ですと伝えるから。

 

 

 

 

 

 

不思議な縁で再会した俺たちの明日がはじまる。

 

 

 

あしまい。

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