インフィニット・ストラトス~蒼の天使と紅の騎士 作:武御雷参型
「鳳鈴音……落ち着け。私は貴様の味方だ。安心しろ………だから、ゆっくりでいい。言ってみろ」
千冬の滅多に聞けない優しい言葉に、鈴は頷いた。
「さっき、本国から連絡がありました」
鈴の言葉に千冬は頷き、続きを催促する。
「本国からの通達は“これより、国際IS学園を攻撃する。鳳鈴音国家代表候補生は速やかに湾岸部へ集合。後に回収の潜水艦に乗艦後、本国に帰還せよ”と言う命令です」
千冬は中国の動きが判っていたかのように頷くだけであった。
「千冬さん‼ 私は…私はどうしたら良いんですか⁉」
「………それを決めるのは鈴。お前だ」
千冬の一言に鈴は呆ける。
「だが、私は助言だけなら出来るが………聞くか?」
鈴は少し考えると、強く頷く。
「そうか………なら、聞け。私から言えるのは鳳鈴音。お前は何をしにこの学園へ来たのだ? 何が目的でこの学園に来たのだ? 貴様の本当は何を望んでいるのだ‼」
千冬の言葉に鈴は何も答えられなかった。それは、自分が何をしにこの学園へ来たのかを見失っていたからである。
「鈴、良く考えろ。そして、答えを導き出せ………今のお前は学生だ。この学園の一人の生徒だ。私は生徒である限り、見捨てるつもりは無い。敵になりたいのであれば、それも構わん。だが、私に助けを求めると言うのであれば……そして、中国と決別するつもりがあるのであれば、私の手を取れ‼」
千冬はそう言うと鈴に手を差しだした。
「私は……これからもこの学園に残っても良いんですか?」
「良いと言っている」
「迷惑を掛けるかも知れません」
「既に掛けている」
「千冬さんに甘えるかも知れません」
「その為の教師であり、大人だ。その為に私達、教師として、そして大人としているのだ。一向に構わん」
「…………ち……ふゆ……さん………」
鈴はゆっくりと千冬の手を取ろうとした。
だが、無残にも一発の銃弾が鈴の体を貫いた。
「鈴‼」
千冬は倒れる鈴の体を支えた。
「あれ……わたし………」
「しゃべるな‼ 傷に触る‼」
「可笑しいな………体が熱いのに………眠たくなって来た」
「寝るな‼ 寝たらお前は死んでしまうぞ‼」
鈴の意識は朦朧としていた。その瞳には生気が消えようとしていた。
「ちふ……ゆ…さん……いち……かに……伝言……を………」
「それは自分で言え‼」
「ファン………リン……インは………織斑………いち……か…を愛して………います」
鈴はそう言うと力を無くし、眼は閉じられたのである。
「鈴? 鈴‼ 目を覚ませ‼ 自分の気持ちぐらい、自分で言え‼ 貴様の気持ちは、誰かによって伝えられるものなのか‼」
千冬は鈴を揺さぶって起こそうとした。だが、鈴からは返事が無く、ただ眠っている様にしか見えなかった。
「おやおや………死んでしまいましたか………残念です。まだ彼女にやってもらいたい仕事があったのに………」
木の陰から一人の女性が現れた。その手に持つのはシルバーに輝く銃が握られていた。
「貴様……か……」
「何がですか? ああ、彼女を殺したのがですか? ええ、私ですよ。いやぁ。彼女も好きな男に告白が出来ずに死んでしまうとは………何とも残念です」
「貴様ぁぁぁァァぁァァ‼」
「……遅いです」
「ガァッ⁉ グッ……なぜ……なぜ、鈴を殺したのだ‼」
千冬は女性に体を抑え込まれ、地に体を這い蹲った状態となる。千冬の目には女性を殺すと言う殺気が籠ってあった。
「彼女は優秀です。優秀であるが為に、彼女は男を愛し、男に身を捧げようと決心をしてこの学園に来ました」
「それが判っていて、なぜ彼女を殺した‼」
「もう不要なのですよ」
女性から放たれた言葉は追放であった。
「彼女に変わる人材の確保は出来ています。彼女なりに頑張ったのでしょう………ですが、もう遅すぎた。遅かれ早かれ、彼女は殺される運命でした。だったら、男が居る学園で死んだ方が彼女の為でしょう?」
「貴様ぁァァ‼」
「うるさいです。ブリュンヒルデも地に墜ちたモノですね。一人の生徒を護れず、敵討ちも出来ないとは………さぞ彼女も悲しんでいるでしょう」
「貴様らの目的は何だ‼ 中国の狙いは何だ‼」
「私達の狙いですか………答えても良いのですが………秘密を知ってしまっては貴女には死んでもらう他ありません。ISを持たぬ一人の女のくせに、強化プログラムで力を得た私に敵う筈がありません。ですが、私も優しい女です。死ぬ前に貴女には私の…いや、私達の狙いを言いましょう。私達の狙いは、戦争です。それも世界を巻き込むほどの戦争です。ですが、安心して下さい。核などと言う無粋な兵器は使用しません………我々が使うのはISです。ISを使えば男は皆殺しに出来ますからね」
「狂っている………」
「その言葉は、私達にとっては最高の褒め言葉でしかありませんよ。そう言えば、中国の狙いを言っていませんでしたね」
女性はそう言うと、懐からスイッチを取り出した。
「織斑学園長? このスイッチ……なんだか分かりますか~?」
女性はスイッチを手で遊び始めた。
「このスイッチは……世界にある原子力発電所を一瞬で停止させる事が出来るスイッチなんですよ……でもね、ある国家だけは受け付けないんです………さぁて、どこでしょうか?」
女性の声は愉しそうであり嬉しそうであった。
「まさか……‼」
「そうです。中国です。中国以外の原子力発電所は停止し、電力は中国からしか貰えない。となれば、必然的に中国が世界で雄一、牛耳る事が出来る国家です。中国はそれを狙っているのです」
女性はそう言うと、スイッチを握りボタンを押す準備を整える。
「さて、世界は一度壊れ、再生されるべきです。清き清浄なる世界に生まれ変わるのです‼」
女性はそう言うと、スイッチを押したのであった。
次回以降からは、完全なるオリジナルストーリーとなります。
完結まで、もう少し‼ 長かった‼ もしかしたら、百話突破するかも‼
それはそれで、ある意味自分の中ではすごい事なのかも………
誤字脱字、感想、指摘、質問等あれば、どしどし送ってください‼
作品の今後について
-
面白いから、このまま続けてくれ
-
書き直しを要求する