インフィニット・ストラトス~蒼の天使と紅の騎士   作:武御雷参型

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やっと書き上げる事が出来ました。まだ、体調不良ではありますが、なんとか頑張って今後も継続して書いていきますので、宜しくお願いします。


第百十一話

翌日の朝、極秘ドック内では大和型超弩級航空戦艦三番艦“信濃”は出港準備に取り掛かっていた。

この信濃は、国際IS委員会が旧大日本帝国時代に、戦艦から空母へと変更された航空母艦信濃と、極秘裏に入手した戦艦大和、武蔵の設計図を基に建造した、純委員会製の航空戦艦である。

しかし、航空戦艦と言っているが実際には航空機は一機も搭載する事を考えられておらず、IS運用が前提として建造されている為、滑走路がほぼほぼ、無いに等しい。また、一部を除いた兵装に関しても、実弾ではなくビーム兵器が搭載している。

 

「機関始動を確認、定格起動中。コンジット及びAPUオンライン。パワーフロウ正常」

 

操舵席に座る男性は、これまでの訓練を思い出しながら慣れた手つきで信濃を起動させる。

 

「気密隔壁閉鎖を確認。生命維持装置、正常に作動中。害障壁ダンパー、出力30%でホールド」

 

夫々が起動準備に入っている最中、艦橋にナタルとトダカが入って来る。ナタルはそのまま艦長席へと座り、トダカは副長席へと座る。それと同時に信濃の起動が完了する。

 

「手動力コンタクト、システムオールグリン。信濃全ステーション、オンライン」

 

「艦長、全てのチェック終わりました」

 

「宜しい。注水開始‼」

 

「注水開始します」

 

信濃が入っているドックには水がからの状態であったが、壁の至る所から海水が注水され信濃が十分に航行する事が出来る程までに海水が満たされる。

 

「拘束アーム解除」

 

「解除します」

 

船体を固定していたアームが外れると、信濃は若干の揺れを覚えさせる。そして、アームが完全に格納されると、信濃は出港準備が完了し、いつでも出航が出来る様になる。

 

「信濃、発進する。機関両舷微速。ドック外に出たと同時に、両舷最大船速」

 

「機関両舷微速」

 

信濃はその巨体を静かに出向させ、極秘ドックを後にする。

 

「両舷最大船速‼」

 

「最大船速、ヨーソロー」

 

ドックを出たと同時に、信濃は海上を割る様に走り出した。

 

「艦長、委員会から通信です」

 

「繋げ」

 

「はっ」

 

通信士にナタルがそう言うと、モニターに委員長が映し出される。

 

『こちらは国際IS委員会委員長のロイ・カーノよ』

 

「大和型超弩級航空戦艦三番艦信濃、艦長のナタル・バジルールです」

 

「同じく副長のユウキ・トダカです」

 

委員長であるロイはトダカの顔を見た瞬間、顔を顰めるが直ぐに表情を戻すが、ナタルはすぐに理解した。彼女は根っこからの女性主義者であることを。だが、ナタルは表情を引き締め、ロイにバレないようにする。

 

『旗艦の使命は理解しているな?』

 

「はっ、国際IS学園に対し、無条件降伏を勧告。勧告を無視した場合、攻撃を開始し無力化する」

 

『理解しているのなら話は早いわ。学園でも戦力を増強しているとの事。油断はするなよ?』

 

「はっ‼」

 

ナタルが返事をすると、モニターからロイが消える。

 

「……艦長」

 

「ああ、委員長は我々を消したいようだ………だが、我々もそう簡単に消される意思はない。アークエンジェルとコンタクトを取り、話をするつもりだ」

 

「私も同じように考えておりました」

 

ナタルの考えにトダカも賛同する。そして、艦橋にいる者たちも同様に頷いて賛同する。

 

「これより、委員会の命令により信濃は国際IS学園に向かう」

 

〈了解‼〉

 

信濃は最大船速を維持したまま、国際IS学園へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

国際IS学園地下施設では束が改造した研究所があった。元々、移動用施設“吾輩は猫である。だが、まだ名前はない”をそのまま、学園地下へと移送し、学園の一部としたのである。

そして、その研究所では束とその助手であり、義理の娘であるクロエが衛星をハッキングし、世界情勢を調べていた。すると、島から一隻の航空戦艦が出航する姿を捉える。

 

「束様」

 

「もう、クーちゃん。束さんの事をお母さん、もしくはママと呼んでと言ってるじゃん」

 

「それ処ではありません」

 

「………どう言う事かな?」

 

クロエの真面目な表情に束も尋常ではないと感じ取る。

 

「こちらを」

 

クロエは束に先ほどの映像を見せる。

 

「これって………旧大日本帝国時代に建造された大和型………に似ているけど、三番砲塔、二番副砲が無い………航空戦艦化に改造されている………クーちゃん。航路はどうなっているのかな?」

 

「はい、このまま行けば学園に向かうルートです」

 

「………ちーちゃんを呼んで。それから、アークエンジェル隊、ミネルバ隊、ドミニオン隊も」

 

「判りました」

 

クロエは束の指示により、千冬を始め、アークエンジェル隊、ミネルバ隊、ドミニオン隊に通信をする。

 

『私だ……クロエか。どうかしたのか?』

 

千冬とクロエは既に顔を合わせており、驚く様子もない。

 

「千冬様。至急、地下施設へと来てください。また、三部隊も同様に」

 

『………それ程までなのか?』

 

「はい。事態は一刻も争いますので」

 

『……承知した。これより向かう』

 

千冬はそう言うと通信を切る。

 

「束様、千冬さんたちが参られるそうです」

 

「わかったよ、クーちゃん。ありがとね」

 

「いえ、私は当然の事をしたまでの事」

 

クロエはそう言うが、束は納得が行っていない様子であった。

 

「いつになったらクーちゃんは束さんの事をお母さん、もしくはママって呼んでくれるのかな?」

 

「………」

 

クロエは束の言葉に無視を貫くのであった。

 

 

 

 

 

 

それから幾分かして、地下施設に千冬とアークエンジェル隊、ミネルバ隊、ドミニオン隊の三部隊が足を運ぶ。

 

「やぁやぁ、待っていたよ。ちーちゃんに皆」

 

地下施設に入って来る一同に、束は歓迎の言葉を言う。

 

「束、今はそう言う事をしている場合では無いのだろう?」

 

「そうだね。これを見てほしいんだ」

 

千冬に催促されて、束はモニターに先ほどの映像を流す。

 

「………この時代にはそぐわない航空戦艦か………」

 

「ですが、一隻だけで航行しているとなると、向かっている先が問題ですが?」

 

モニターを見て千冬がそう言うと、アズラエルは信濃が向かう先が気になっていた。

 

「この航空戦艦が向かっている航路にはこの学園があります」

 

アズラエルの言葉にクロエが答える。

 

「では、この航空戦艦はこの学園に対して送られてきた刺客。と言う事ですか?」

 

「その様だな………だが、妙だな」

 

「妙とは?」

 

マリューが信濃が学園に送られてきた刺客という私見を言うと、千冬は不審を覚える。

 

「たかが一隻の航空戦艦で、アークエンジェル、ドミニオン、ミネルバの三隻相手に対抗できる筈が無いのにも関わらず、尚且つ、この航空戦艦が所属している組織がどういうものなのかが解れば、相手の思惑もわかるのだが………」

 

千冬の言葉に全員が納得する。

アークエンジェル、ドミニオン、ミネルバの三隻に加え、キラ達のMSISを相手にしようものなら、同等以上の戦力を有さねば相手にもならずに撃沈されることが判り切っている事。にもかかわらず、相手は航空戦艦を一隻だけで学園に対抗しているのである。

 

「束、この航空戦艦がどこの組織に属しているかは判りそうか?」

 

「そうだね………ちょっと調べてみるよ」

 

束は信濃がどこの組織に属しているのかを調べ始める。

 

「…………色々な組織の端末にハッキングして判った事なんだけど、その航空戦艦は国際IS委員会に属しているね。あと、ご丁寧に艦の名前に艦長と副長とかの名簿もあったよ」

 

束はそう言うと、もう一つのモニターに調べた結果を映し出した。

 

「ナタル⁉」

 

「それにトダカ一佐も」

 

モニターに映し出された艦長と副長の顔写真を見て、マリューを始めオーブに近かった者たちは驚きを隠せなかった。

 

「知っているのか?」

 

「え、ええ。艦長はナタル・バジルール。嘗て、アークエンジェルの副長を務め、前ドミニオンの艦長よ」

 

「そして、副長のトダカ一佐に至っては、オーブ国防海軍のタケミカズチ級大型空母の艦長を務めていた方です」

 

千冬の言葉にマリューとキラが説明する。

 

「では、可能であれば話が出来る可能性がある。と言う事で良いのか?」

 

「ええ。顔馴染みだから向こうもこちらの戦力を伝えれば、こちらの陣営に入る可能性が高いかも……でも」

 

「でも?」

 

マリューは一つの懸念があった。

 

「ナタルは元々、軍人気質な所があって、交渉次第によっては戦闘が回避できないかもしれないの」

 

マリューの説明に全員が黙るのであった。




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