インフィニット・ストラトス~蒼の天使と紅の騎士 作:武御雷参型
一夏がIS学園所属特殊武装隊“アークエンジェル隊”に仮入隊が決まって、三日が経った頃の夜。生徒達が寝静まった頃に、IS学園の領海ギリギリで、一隻の潜水艦が無音航行をしていた。
「艦長、間も無く作戦時間です」
「………そうか。良し、領海外にて浮上後、全機発進させろ」
「了解」
潜水艦の乗組員は全て、女性で構成されていた。それもその筈である。この潜水艦はロゴスが所有する内の一隻である。
「無音航行は継続しろ。絶対に学園に知られるわけにはいかん」
「判っていますよ」
操舵士は慎重に操舵し、潜水艦をIS学園の領海外まで動かした。
「艦長、領海外に出ました。これで学園に知られる事は無いと思います」
「そうか、良し‼ 浮上だ」
「アイアイサー‼」
潜水艦は急速浮上し、その船体を海上に現した。
「全機発艦‼」
「全機、発進してください‼」
艦長の指示で潜水艦の上板ハッチが開き、カタパルトが展開される。
そこから、ダガータイプの機体が十数機が発艦される。
「全機発艦後、私達は急速潜航を行い、作戦終了後、全機の収容する。必ず、作戦を遂行させよ‼」
「了解‼」
ダガータイプのMSISが発艦し、潜水艦に展開されていたカタパルトが収容されると、潜水艦はバラストタンクに水を注入し潜航する。
「さぁ、戦争の時間だ‼」
潜水艦の艦長は学園を見据えて、薄ら笑いを浮かべるのであった。
しかし、ロゴスの潜水艦は既に学園に知れ渡っていたのである。
「艦長、未確認潜水艦より複数の熱源を確認‼ 数は………15‼」
「大きさは?」
「IS程度の大きさです‼」
潜水艦を発見したのはアークエンジェルでもなく、ドミニオンでも無い。ミネルバである。ミネルバは学園地下ドックにてアークエンジェルの設計図を基に、潜水機能を搭載する改装を施されていた。
以前のミネルバには潜水機能は搭載されておらず、一度、学園の壁を刳り貫いて造られた簡易ドックに収容された後に、地下ドックへと収容されると言う、手間の掛かる作業をしていた。しかし、アークエンジェル級二番艦“ドミニオン”に改装が施された事もあり、ミネルバにも改装が施され、漸く改装が終わり今日が初の改装後の任務であった。
「そう………総員に通達‼ コンディション・レッドを発令‼ MSISの発進準備を整えさせて」
「解りました‼」
ミネルバ内部ではアラートが鳴り響く。
「トール、僕達は出撃準備ですね?」
「ああ、ニコル。オルガ、クロトはミネルバが浮上後に発進だ。シャニは俺達と一緒に来てもらう」
「俺は問題ないぜ。クロト、頼むぞ‼」
「頼りにしているよ、オルガ」
クロトとオルガ、シャニの三人の間には一つの強い絆が結ばれており、どう言う事か三人共、過去の世界では見られなかった仲間想いが生まれていたのである。
「僕は潜水艦を叩けばいいの?」
「いや、シャニは潜水艦では無くて学園に引き返してくれ」
「どう言う事? 潜水艦を叩けばいい話じゃないの?」
「シャニが言う様にフォビドゥンは水中戦では無敵だが、IS学園の防衛に回って欲しい。キラ達には既に話が回っているから、問題ないと思うけど、念の為にな」
「了解したよ」
シャニはトールの言葉に素直に頷いた。
「俺とニコルは潜水艦を叩く。もしかしたら、他にも潜水艦がいる可能性もあるからな………それじゃ、諸君。戦争を始めよう」
トールは戦闘狂の様な笑みを浮かべるのであった。
その頃、IS学園では夜中と言う事もあり、警報が鳴る事は無かった。と言うのも、アークエンジェル隊、ドミニオン隊が既に集結し、出航していたからである。
「これから、作戦を伝えるよ。先行しているミネルバからの情報では、潜水艦は一隻のみ。ただし、既にMSISが15機も発艦されたのを確認している。僕達がするのはこの15機のMSISを相手するだけ。何か質問は?」
「なら、私からいいかな?」
「クルーゼ隊長………どうぞ」
キラの言葉にラウが手を上げた。まだキラはフレイの事でラウの事を許している訳では無いが、今は仲間であると言う事を頭の片隅に置き、ラウの発言を許す。
「我々だけでも良かったのではないのか? なぜ君たちまで出る必要があったのか、説明をして貰いたい」
ラウが言うのはアークエンジェル隊、ドミニオン隊が動く必要が無い事案だと言う事を言っているのである。しかし、ラウは判っていたが、隊長であるキラに質問をする。
「………クルーゼ隊長もご存じと思いますが、アークエンジェル隊に一人の仮入隊隊員がいます。彼に実戦の雰囲気を経験してもらおうと、今回の作戦に二分隊が出撃する事になりました」
「と言う事は、我々は織斑一夏の護衛…と言う認識で良いのかな?」
「いえ、そう言う訳ではありません。彼の護衛は僕達、アークエンジェル隊が全面的に行います。ドミニオン隊の皆さんは存分に力を発揮してもらいたいのです」
「そう言う事なら我々は申し分ない。では、そろそろ時間だな」
「ええ」
キラ達は時計を見て、作戦時間だと認識する。
「一夏、気を張る必要は無いからね。僕達が君の事を護ってあげるから」
「でも……俺は強くなりたいんだ」
「だからこそだよ。一夏………君はまだ一兵卒でもない新入隊員だ。フレンドリーファイヤーなんてして欲しくないし、ましてや、君には実際の戦いを君の目で見てもらいたいんだ」
「…………」
キラの言葉に一夏は黙る。今までの自分の力では何も護る事が出来無いと判っているこそである。
「大丈夫、君は見ているだけで良い………今はね」
キラの最後の呟きは、一夏の耳に入る事は無かったのであった。
作品の今後について
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