インフィニット・ストラトス~蒼の天使と紅の騎士   作:武御雷参型

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第八十九話

潜水艦撃沈後は呆気なかった。指示を送る者が居なければ、無人機達はただの鉄屑でしか無く、キラ達の攻撃によって、全てが破壊されたのであった。

 

そして、翌日。キラ達は問題なく登校したのだが、一夏はそうでは無かった。なにせ初めての戦場の空気を味わってしまい、疲れていたからである。

 

「一夏、このままではどうしようもないぞ?」

 

「だけどよ………キラ達はこんな事を続けていたのかよ………」

 

一夏は疲れながらキラ達が何も無いように感じ、一人虚しくなっていた。

 

「僕達も最初の頃はそうだったけど、今は慣れた影響か、疲れを感じなくなったね」

 

「ああ、だが………FBを完全に扱える様にしなければいけないのだが………シャルロット、訓練に付き合ってくれないか?」

 

「僕で良いんだったら、いつでも受けるよ‼」

 

ラウラとシャルロットの関係も隊員としての付き合いでは無くなり、友人として付き合う様になっていた。

 

「パパ……明日菜、大丈夫かな?」

 

キラに手を引かれていた明日菜は心配する様に顔を俯かせる。

 

「大丈夫だよ、明日菜ちゃん。パパが付いているからね」

 

「………うん」

 

キラの励ましの言葉を受けても明日菜の顔は俯いたままであった。

 

「おはよう‼」

 

『おはようキラ君‼ え?』

 

キラが元気よく教室に入ると、クラスにいた女子生徒達が挨拶を返そうとした。だが、キラと手を繋ぐ明日菜を見て絶句するのであった。

 

「き、キラ君‼ て、手を繋いでる子って………臨海学校に来ていなかった?」

 

「それに生徒会長とも手を繋いでた様な………」

 

「新聞部が号外を出してた‼ 生徒会長とキラ君との義理であるけど娘って書いてた‼」

 

『なんですとぉぉぉぉぉぉぉッ‼』

 

クラスは阿鼻叫喚と化した。キラを狙っていた女子生徒はいたが、新聞部からの号外は信じていなかった。だが、娘を目の前にしてしまえば、信じる他無かったのであった。

 

その後は酷かった。クラス中がお通夜なのではないのかと感じられる空気を醸し出していたからである。

 

「………どうしてこうなっているんだ? 説明してくれ、ヤマト」

 

「なんで僕なんですか?」

 

「いや、お前が原因だろう?」

 

「ウグッ………判りました」

 

キラはクラスに入って来たムウに簡潔に説明すると、ムウは笑い始めた。

 

「あっははははははは‼ キラも隅に置けないな‼」

 

「笑い事じゃないですよ‼」

 

ムウの言葉にキラは怒りながらツッコム。

 

「まぁ、良いじゃないか‼ だが、気を付けろよ?」

 

「判っています」

 

ムウの忠告にキラは頷いた。

 

「それじゃぁ、自己紹介してもらおうかな?」

 

ムウはそう言うと明日菜と同じ視線になる様にひざを折る。

 

「明日菜ちゃん。皆に自己紹介しようか」

 

「………」

 

明日菜はどうするべきなのか判らず、キラの顔を見る。

 

「僕も一緒に行くから……ね?」

 

「うん」

 

キラに連れられて明日菜は教壇の前に立つ。だが、身長が低い為、席に隠れる形となってしまう。すると、キラは徐に明日菜の脇に手を入れて、高い高いとするかのように明日菜を持ちあげた。

 

「これで、皆に自己紹介できるでしょ?」

 

「うん………わ、私は………明日菜です‼ よろしくお願いしましゅ‼ あう……」

 

最後の最後で明日菜は噛んでしまい、顔を赤くさせてしまう。そんな明日菜を見てクラスは別の意味で湧き始めた。

 

『きゃぁぁぁぁぁ‼ かわぁいい‼ お持ち帰りしても良いですか‼』

 

「………判っているよね?」

 

『申し訳ありませんでしたぁぁぁぁぁぁ‼』

 

一糸乱れぬ動作で、キラに向けて土下座をする女子生徒達。訓練か練習をしたのではないのかと思わせるほどであった。クラスを始め、学園すべての暗黙の領域に、キラを怒らせてはならないと言う物が存在する。

それは、単にキラを怒らせたら怖いと言う意味と、キラを相手にする=三部隊を敵に回すと言っても過言ではないからである。

 

「と言う事だから、全員………判ってるな?」

 

『はい‼』

 

ムウの言葉でクラス全員が頷く。

 

「さて、ヤマト。席に着け」

 

「はい」

 

ムウの催促で明日菜を連れて席に戻るキラであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、某国ではキラを手駒にしようと考えた者達がいた。

 

「キラ・ヤマト………我々の手駒にしてしまえば、全国家を従えられるぞ」

 

「だが、キラ・ヤマトはIS学園の生徒でありながら、防衛を務められるほどの強者であるぞ……どうするつもりだ?」

 

「決まっている。奴が溺愛している娘を誘拐するんだ」

 

『なっ⁉』

 

この言葉を聞いた者達は、驚く。だが、リスクが高すぎるのは確かであった。

 

「だが、奴の娘を誘拐しようにも誘拐するまでの行動はどうするつもりだ?」

 

「それに関しては問題ない。間も無く学園では学園祭が行われる事になっている。そこに侵入してしまえば、こちらのものと言えるだろう?」

 

「だ、その後はどうするのだ? 誘拐だと判れば………」

 

「大丈夫だ。誘拐後はボストンバックの中に詰め込めばいい話だからな。それに娘には眠ってもらう」

 

「………良いだろう。特殊部隊を使うと良い」

 

「ありがとうございます。大統領」

 

「だが、失敗は許さんぞ‼」

 

「ハッ‼」

 

こうして、学園祭に侵入してキラと楯無の娘を誘拐する作戦が実行する事になるのだが………この時、誰も判らなかった。誰を相手にしてしまったのかを………絶対に敵に回してはいけない相手を敵に回してしまったのだから…………。

作品の今後について

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