ほとんど話せてない
今回は浦原尋問その1です
今回も楽しんでいただけると幸いです
アルフレット
皆が揃ったところで浦原さんがでは…と切り出す
「訊きたいことがいくつかあるんス」
「訊きたいことって何?」
開いていた扇子を閉じて考えながらという感じで口を開く
「そうっスね…
怪我をして倒れていたことは話しましたよね」
「うん…聞いた」
「あなたのケガは虚によるものでした
では、どうしてあなたが虚に襲われたんでしょう」
私は虚に襲われた
普通の虚ならケガひとつせずに倒すことができる
それなのに私は虚にけがを負わされた
考えられる理由は…
「考えられる理由は四つ
一つ目、虚に何らかの特殊能力があったから
二つ目、単純に私の手に負えなかった
三つ目、気づかないうちに攻撃された
四つ目、仮面集団によるもの」
私は指を一本ずつ立てながら話した
皆がうーんとうなっている
まず始めに口を開いたのは夜一さんだった
「なるほどのぅ
じゃがお主の手に負えぬのなら一護も倒すのに苦戦しとるはずじゃから
手に負えなかったことはあるまい」
「そうっスね
特殊能力があれば黒崎サンたちも気づくでしょうから
その線もないでしょう」
夜一さんと浦原さんはアゴに手を当てながら二つ目と三つ目の可能性を否定する
それに一護さんがうなずきながら言う
「残るは二つか」
「君の実力がどの程度かは知らないが
四つ目の仮面集団によるものが一番可能性が高いんじゃないか
気づかないうちに攻撃されるほど鈍感ではないだろう」
「…ム」
「わたしもそう思う」
石田さんの発言に皆が頷く
浦原さんと夜一さんはともかく
石田さんたちは虚の気配に気付くぐらいの実力は持っていると思っているらしい
実際持っているけど…
「だけど仮面集団の仕業だったとしてどうやって虚でケガさせたんだろう?
もし、そこに虚を持ってきても天ちゃんに気づかれるよね?」
「そうだな」
正直、そのタネについては見当がつく
実際にやれと言われたらできると思う
でも、それをここでいうわけにはいかない
少なくとも今はまだ…
浦原さんと夜一さんも見当がつくはずだがそれを言う気はないらしい
私にもその気がないのがわかったのか次の話に移った
「そのことを話しても仕方ありませんし、次の質問いいっスか?」
「何?」
「どうしてあそこにいたんスか?」
「あそこって?」
「アナタが倒れていたところっス
ここから少し行ったところの」
次は私が倒れたところにいた理由を知りたいらしい
何とかごまかそう
「アナタはご自分が狙われていることはわかっていたはずです
何の理由もなく外を歩くことはないと思うんス
それも人気のないところを」
痛いところを突かれた
確かにあそこを歩いていた理由はある
でもそれを言うと絶対に怒るに違いない
だってそれは自分を封印する断界に行く途中だったから
「そんなことない
私だって一人で外を歩きたい時ぐらいある」
「…そうっスか」
浦原さんは納得してないどころか
私が本当のことを話していないことも分かっているような気がした
これ以上話しても本当のことを話さないという思いで浦原さんを見つめると
あきらめたようにため息をついて、次の質問に移った
「では、次の質問っス」
「何?」
あきらめてくれたことに安堵した
「血盟者のことっス
訊いてもいいですか?」
「答えられる範囲で答える」
「それで構いません」
浦原さんは私の答えに満足そうに頷いた
扇子を片手で開いてちゃぶ台に肘をつきながら口を開いた
「今、天サンに血盟者はいますか」
「いない」
「作る気はないんスか?」
「時期が来れば
今はその気はない」
浦原さんはそうっスかと姿勢を少し後ろにした
夜一さんは残念そうな顔をしていた
なんとなくわかった
私を一護さんの家に行かせた理由が
(一護さんを私の血盟者にしたかったんだ)
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何となく天があそこに倒れていた理由をごまかされた気がするが
天はこれ以上訊くなという目で浦原さんを見ていたから
訊こうにも訊けなかった
その代わり、浦原さんが血盟者の有無について聞き終わったのを見計らって
血盟者とは何か訊く
「なぁ、血盟者って何だよ」
「血盟者はその人が結ん…」
「それは聞いた
もう少し詳しく聞かせてくれよ」
天は前に話した通りに話そうとするのを遮って詳しく話すように迫る
あまり話したくなさそうだがこれだけは引き下がれない
「血盟は簡単に言えばその人が最も信頼する相手と結ぶ誓約みたいなもののこと
血盟者はその誓約を結んだ相手のこと」
「その相手って誰でもなれるのか?」
「なれる
極論を言えばそこらへんにいる虚でもできる
結ぶための儀式的なことさえできれば」
なるほど
やっと少しわかった
石田が小さく手を上げながら天に聞く
「どうして血盟者を作るんだい?」
「どうしてって?」
質問の意味が伝わらなかったらしい
「血盟者を作るメリットは何だい?」
「血盟者になるときに互いに何かしらの頼みごとをする
それを互いに守る
それだけ…」
たぶんそれだけじゃないだろう
けど、天は言う気はないらしい
それならと浦原さんと夜一さんに聞いてみる
「ということは浦原さんと夜一さんも頼みごとをしたのか?」
「ハイ」
「したぞ
じゃが、お主たちに内容を教える気はないがの」
浦原さんたちから聞き出そうとしたが失敗に終わった
チラッと隣の天をみるとこの話はこれで終わりオーラを出してやがる
おそらく浦原さんたちは天が話したくないこと、
話す気がないことは二人の口から話す気はないのだろう
(これもまだ話せねぇのか…)
まだまだ話してくれることが少ない
出逢ってまだ数日なのだから仕方ないのは仕方ないけどな…
早く天の抱えているものを持たせてもらえるようになろうと改めて思った
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
何とか血盟者についての質問は乗り切れただろう
気づかれないように安堵していると今度は織姫さんが口を開いた
「ねぇ私からもいいかな?」
「…うん」
人差し指を立てて首をひねりながら聞いてきた
「どうして双天帰盾が使えなかったのかな
天ちゃんを見つけた時に何度もしたんだけどすぐに解けちゃって…」
「そうてんきしゅん?」
「昨日、俺のケガを治してくれたやつのことだよ」
「あぁ…それはたぶん織姫さんの術では
私の術に勝てなかったから」
浦原さんと夜一さん以外の四人の頭に
ハテナが浮かんでいるのがすぐにわかった
「前に義骸に入ってある術をかけているって言った」
「うん…言ってたね
特殊な義骸に入って術をかけてるから霊圧が全く感じられないって」
「そう…私の場合、義骸の上から術をかけている
だから傷を治すにはその術を解除するか、その術を上回る力でないと効かない」
「ということは、私の力だと天ちゃんの術に勝てなかったということ?」
「簡単に言えばそういうこと」
織姫さんはなるほどというように何度も頷いている
一護さんがならばと口を開いた
「じゃあ鉄裁さんが治せたのはお前の術より強かったからか?」
「それは違う
傷を治すのに使ってくれた霊力を
自分の中に取り込んで自分で治癒術を使った」
再び一護さんたちがポカンとした
「どういうことだよ?」
「そのままの意味」
理解できないようで皆が固まっている
浦原さんたちはどういうことかわかっているのか楽しそうにニヤニヤしていた
「『そのままの意味』って言われてもわからねぇんだよ!」
「だから、鉄裁さんが私を治すために使ってくれた霊力を取り込んで
自分自身に治癒術を使った」
完全には理解できなかったみたいだが、諦めたようだ
浦原さんはまだニヤニヤして扇子を仰いでいた
「それならそんなことをせずに始めから
自分に治癒術使っておけばいいのではないか」
今まで一言も話さなかった茶渡さんが口を開く
「自分自身に治癒術をかけるのは難しい
それに、元から自分にかけていた術が解けないようにしながらだから
無駄に力を使う」
「おまけにあの時はケガがひどかったんで自力で使うのは難しかったんでしょ」
浦原さんが補足してくれる
ようやく理解できたのか納得したように何度もうなずいていた
「もうない?訊くこと」
反応がない
ないということにしよう
そういうことにして、外を見るともう日が傾いていた
今回もお読みいただきありがとうございます
次回も読んでいただけると嬉しいです
それでは、この辺で失礼します
次回の投稿は一週間後の7月3日を予定しております。
アルフレット