BLEACH 結界争闘篇   作:アルフレット

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何か暗い話になってしまいました
暗い話が多いような気もしますが
今回も楽しんでいただけると幸いです

アルフレット


第十二話

外を見ればもう空は赤く染まっていた

皆の方に目を向けると何も言わずにそれぞれ何か引っかかることでもあるのか

考え込んでいた

何となく居心地が悪くて静かに席を立つ

 

「どこ行くんだ?」

「…外」

 

バレた…

こうなれば一人で行かせてくれない

思いっきり顔をしかめる

 

「俺が一緒に行く

 …露骨に嫌な顔すんな」

「…一人がいい」

 

一護さんはやっぱりついてくるという

さらに顔をしかめる

 

「店の前なら大丈夫でしょう」

「そうじゃの店の前だけなら一人でも構わん」

 

浦原さんと夜一さんが助けてくれる

自然と顔のしわが取れていく

一護さんも仕方ないなとため息をついている

 

「良かったね!天ちゃん」

「はぁ…なんかあったら呼べよ」

「わかった…」

 

私はそのままふすまを開けて玄関へと歩き、外に出る

外に出ると空はきれいなオレンジ色で耳をすませば

家に帰る途中であろう子供の声が聞こえる

地面に座ると一気に力が抜けたように寝転がる

砂が付くことなんて無視してただ空を見る

小さい頃も地面に寝転がっては母さんに怒られていた

 

(何だか懐かしい)

 

あの時はこうしていればどこからともなく誰かが現れて

私を起こしてくれたっけ

また母さんに怒られるぞって

でもそんな人はもうここにはいない…

何をしていても頭に浮かんでくるのは昔の出来事で

もう昔のようなことは叶わないのにどうしても祈ってしまう

今のたった一つの願い事を呟く

 

「時間を巻き戻せたら…」

 

叶わないことばかり願ってしまう

叶わないからこそ願ってしまうのか

視界がだんだんぼやけてきた

腕で目を覆う

空が見えないように

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

天が部屋を出て行った後も誰一人として口を開かなかった

しばらくそうしていると夜一さんが沈黙を破った

 

「のぅ、一護

 昨日の夜、何かあったのか?」

「そういえば天ちゃん、目の下にクマできてたよね」

 

井上もそういえばという風に思い出す

昨日の夜のことを思い出すと

真っ先浮かんでくるのはあいつの静かな泣き顔だった

 

「あぁ…昨日はきれいな満月だっただろ

 あいつの兄貴が死んだときもあんな満月だったらしくてな

 それで、兄貴のことを思い出して寝られなかったみたいだ」

 

俺が答えると夜一さんはそうかと呟き、井上は辛そうな顔をした

 

(井上もたった一人の兄貴を亡くしてるからな)

 

それでも井上の周りにも竜貴たちがいたからあいつほど孤独ではなかったはずだ

 

「朝には何もなかったようにふるまっていたけど実際はかなりきついんだろうな

 兄貴を亡くしてからあまり経ってねぇし

 それにずっと自分のせいだって責めていたみたいだしな

 なぁ…浦原さんと夜一さんはあいつがまだ小さいときに会ったことがあるんだろ?

 その時はどんなやつだったんだ?」

「そうっスね…あの時は今よりもっと表情豊かでしたね」

「そうじゃの…母親にべったりでよく笑っていたな」

 

少し安心した

昔から笑えないわけではない

昔は今と違って表情豊かだったってことはこれまでの生活のせいで

表情が消えていったってことだ

もしかしたらこれからそれを取り戻せるかもしれねぇ

現に今日の朝、あいつは少しだけだが笑ったしな

 

「黒崎サン、他に何か聞いていませんか?」

「何かって…今日ここに来る前にあいつの隠れ家みたいなところに

 着替えとか取りに行ったな」

「隠れ家ですか…」

「あぁ、山の中にある

 俺も隠れ家の前まで行ったぜ」

「なるほど…その時に何か話しませんでしたか?」

 

話したことは一つしか思い浮かばない

 

「あいつが今までどうやって過ごしてきたかは聞いたぜ」

「それを聞かせてもらえますか」

「あぁ…今まで住んでいた地を離れるときは

 自分たちの記憶をすべて消してしまうんだってよ

 兄貴が死んだときも家にあったものは隠れ家に移して

 自分たちに関する記憶を消したって言ってたな」

「そうっスか…」

 

浦原さんは予想通りだったのかやはりと頷いた

 

「やっぱり、天には可能なのか?

 人の記憶から自分の存在を消すことは」

「可能じゃろうな」

「そうっスね

 実際に見たことがないんで正確にはわかりませんが

 彼女の実力であれば可能だと思いますよ」

 

記憶を消すのに必要な実力がどれほどのものかわからねぇけど

二人が可能というなら可能なのだろう

思い出すのは俺たちにもそうするかもしれないと言った天の顔だった

 

「あいつ言ってたんだよ

 俺たち記憶も消すかもしれないって

 それも悲しそうな顔でな

 もうそんなことをさせたくねぇんだよ」

「そうならないように僕たちが頑張ればいい」

 

石田の言う通りだとは思ったが素直にうなずきたくない

井上とチャドは横で頷いているけど

そしてもう一つ気になっていたことを聞く

 

「なぁ、浦原さんたちはあいつの親の血盟者なんだよな

 俺でもあいつの血盟者になれるか?」

「なれるかなれないかで言えばなれる

 じゃが、それを決めるのは天自身じゃから

 お主が絶対に血盟者になるとは限らん」

 

つまり俺でもあいつに選ばれたらなれるってことか…

あいつの抱えているものを分けてもらうには

それが一番手っ取り早い気がした

話が一段落して窓の外を見ると空はもう暗くなり始めていた

 

「そろそろ帰った方がよさそうっスね

 明日は天サンの好きなように過ごして下さい

 明後日からは黒崎サンたちは学校があると思うんで

 天サンを家につれてきてもらっていいっスか

 終わったらまた迎えに来てあげてください」

「わかった

 学校に行く前に連れて来る」

 

明日は天の好きなようにと言われたが、

未だに遠慮しているのか本当にやりたいこととかがないのか

わからねぇけど何か言ってくれるとはあまり思えなかった

 

「天は店の前におるじゃろ」

 

夜一さんに続くように俺たちは立ち上がり部屋を出る

玄関で靴を履いて天に声をかけようとあたりを見渡しても天の姿が見えない

少し焦ってもう一度見回すと地面に寝転がった天がいた

声をかけるために近寄ろうとすると天の小さな嗚咽が聞こえた

その声に足を止める

井上たちにもその声が聞こえたのか足を止めていた

 

「天ちゃん…」

(俺たちの前では泣けないから外に出たのか…)

 

天の姿に俺たちはかける言葉が見つからなかった

俺たちはもう一度店内に入った

 

「天ちゃん…泣いてたね」

「あぁ…」

 

浦原さんたちも何と言えばいいのかわからないといったようだった

そのまま誰も話すことなくしばらく店の中にいた

すると外で寝ころんでいたはずの天が顔を覗かせた

 

「何してるの?」

 

目は真っ赤で声も鼻声だったが何もなかったように話しかけてきた

そんなことはせずに本当の気持ちをぶつけてほしいと

こんなに強く願ったことはなかった

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

ひとしきりなくと少しすっきりした

周りを見るともうすでにかなり日が傾いて薄暗くなっていた

 

(外にいすぎた…早く戻らないと)

 

そう思って乱暴に涙を拭いて立つ

数歩歩くと店内に一護さんたちがいるのが見えた

 

(もしかして泣いているの見られた?)

 

本当は泣くつもりなんてなかった

空がきれいだったから少し眺めたかっただけだったのだから

見られたのは恥ずかしかったが声をかけてこなかったのは

きっと私を思ってのことだろうということにして

何食わぬ顔でいることにした

 

「何してるの?」

 

私が話しかけると案の定、皆気まずそうに目をそらした

そのまま沈黙が続く

すると浦原さんが口を開いた

 

「もう暗いですし、早く帰った方がいいっスよ」

「そ、そうだね!帰ろう!」

 

織姫さんが何かおかしかったのは無視した方がいいような気がする

 

「よし、じゃあ天、帰るぞ」

「わかった…バイバイ」

 

浦原さんと夜一さんに手を振ると浦原さんは扇子を振り夜一さんは頭をなでてくれた

 

「気をつけて帰るんじゃぞ」

「うん…」

 

やっぱり夜一さんに頭をなでてもらうのは気持ちいい

しばらく撫でられていると一護さんが声をかけてきた

 

「天、そろそろ行くぞ」

「うん…」

 

もう一度浦原さんと夜一さんに手を振って皆と一緒に帰路についた

 




今回もお読みいただきありがとうございます
次回も読んでいただけると嬉しいです
それでは、この辺で失礼します
次回の投稿は一週間後の10日を予定しております。

アルフレット
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