BLEACH 結界争闘篇   作:アルフレット

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一護視点が何とも言えない出来となってしまいましたが、今回も最後までお読みいただけると幸いです

アルフレット


第二十七話

次に目を開けると部屋は明るかった

 

「天ちゃん‼おはよう‼」

「おはよう…」

 

視線を少し動かすと織姫さんの笑顔が見えた

 

「具合はどう?まだ痛む?」

「大丈夫…」

 

身体を起こそうとすると背中に手を当てて支えてくれた

 

「ありがとう…」

「どういたしまして

 何かしてほしいことはない?」

 

部屋を見回すとここにいるのは私と織姫さんの二人だけらしい

皆の気配はするから家のどこかにいるのだろう

 

(悪くない…

 これならいなくなってもすぐには気付かれないかもしれない)

「天ちゃん?どうしたの?ボーっとしちゃって」

 

織姫さんがいるのを忘れていた

 

「何でもない

 喉、渇いた…」

「わかった‼

 鉄裁さんに水もらってくるね」

 

そういうと織姫さんは部屋から出て行く

それを見送り、足音が遠ざかったのを確認すると動き出す

まだ身体は鈍く痛むが動けないほどじゃない

音をたてないように気を付けながら窓まで移動する

皆がいるであろう方を見て呟く

 

「ごめんなさい

 さようなら…」

 

そして窓を蹴り、外に飛び出した

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

井上に天のことを任せて俺たちは別室で話していた

 

「昨日は完全にアタシのミスです

 すいませんでした」

「別に浦原さんのせいじゃねぇだろ」

 

昨日はたしかに特訓の疲れもあった

仮面男に敵わなかったのは疲れだけのせいじゃない

もし、午前中に特訓せずに疲労が溜まっていなかったとしても勝てたとは言い難い

 

「これからどうすればいいんだ?」

「そうっスね…

 これから天サンを護るうえで一番の課題があります

 それは黒崎サン、アナタが天サンの血盟者になれるかどうかっス

 ですが今の状態では無理でしょう」

 

それは自分でも痛感していた

昨日は仮面集団が撤退したおかげで天を渡さずに済んだが次もそうなるとは思えなかった

 

「それは自分でもわかってる

 卍解してもあいつにはついて行けなかった

 もっと強くならねぇと護り切れねぇ」

「黒崎の卍解でも無理だったのか⁉」

 

チャドと石田が目を見開いている

 

「あぁ…

 あいつが『少し力を使っても問題ないよな』って言ってから

 追いつけなくなった」

「力?何のだ?」

「それは俺にもわからねぇ」

 

俺たちには何の見当もつかないが浦原さんたちは心当たりがあるみたいでなるほどと考え込んでいた

俺たちには話す気がないようだが

 

「まぁ…血盟者になれない要因は黒崎サンの方だけではありませんが」

「天の方にもあるってことかよ?」

「そういうことじゃ

 天はお主たちに話さなさ過ぎなんじゃ」

 

たしかにあいつには俺たちに話せないことが多いとしても話さなさすぎるような気がする

いつかの帰り道でもそうだった

辛そうな顔をしておきながらなぜ話さないといけないのかと訊いてきた

 

「まぁ、天サンにはアタシたちに話す決心、覚悟が足りないんすよ」

「でもそれは僕たちが弱いからでは?」

 

石田が浦原さんに訊く

 

「おそらく今回、黒崎サンとの戦闘で使われた“力”はあらかじめ天サンが話しておけばそんなに苦戦することはなかったかもしれません」

「つまり、彼女が僕たちに話さなかったからより苦戦したってことですか?」

「簡単に言えばそういうことっス」

 

石田の確認を浦原さんは肯定する

俺はそれでも、と切り出す

 

「それでもあいつが話さなかったのは俺たちが弱いことが一番の原因じゃないのか?」

「たしかに弱いから話さなかったということはあると思いますが天サンはアナタたちにかかわった時点でこういうことになることはある程度予想していたはずです

 自分が一緒にいた場合皆さんにどんな危険が降りかかるかはアタシにだって予想できます

 それでも話さなかった

 本来であればもう少し話せるはずなんです

 それをしなかったということは天サン自身にその覚悟がなかったということ

 話す覚悟がないのならばアナタたちを巻き込まないように離れるべきでした

 しかし、彼女はそれもできなかった

 何もできずに中途半端になってしまった

 それが彼女の間違いでした」

 

今まで天に甘かった浦原さんや夜一さんが厳しいことを言う

 

「まぁ…それが天のいいところでもあるんじゃがのぅ」

「どういうことだよ?」

「つまり、自分のことより周りのことを考えすぎてしまうってことっスよ

 実際、彼女が話さなかったのはほとんど皆サンのことを思ってのことっスからね」

 

自分のことよりも人のことを考えすぎてしまうのがあいつの長所でもあり短所でもあるということか

そんなことを考えていると

ふすまの向こうから井上の焦った声が聞こえた

 

「みんな!大変‼」

「どうしたんだ、井上?」

 

井上が勢いよくふすまを開けて入ってきた

 

「天ちゃんがいなくなっちゃった‼」

「どういうことだよ⁉」

「天ちゃんが何か飲みたいっていうから

 飲み物を取りに行って

 ついでに何か食べれそうなものもって思って…

 それ持って戻ったらいなくなってて…」

 

まだケガも治りきっていない

普段は大丈夫だと言うあいつが 少し痛い と言った

本当はかなり痛いはずだ

そんなあいつがどこかに消えた

嫌な予感がする

浦原さんも同じことを思ったのか真剣な顔になっている

 

「やられましたね…」

「仮面集団か⁉」

 

俺たちが目を離したすきに仮面集団にさらわれたんじゃないかと思い、浦原さんを見る

 

「おそらく天サン自身の意志でどこかに行ったのでしょう」

「あいつ自身の意志って…」

「まさか…」

 

浦原さんと夜一さんは心当たりがあるのか顔色を変えている

 

「とにかく急いで探した方がいいっスね」

「そうじゃの

 手分けをして探すぞ」

 

そして俺たちはいなくなった天を手分けして探すことにした

 

それからしばらく俺は一人で天を探していた

 

(あいつ、どこにいったんだよ‼)

 

前に一度連れて行ってもらったあいつの隠れ家があるあたりも探してみたがいない

 

(一度チャドたちと合流した方がいいな)

 

チャドたちに連絡を取り、浦原商店で合流することにした

 

「チャド!井上!石田!」

「…ム。一護か」

「黒崎くん…!」

「遅いぞ、黒崎」

 

すでに三人の姿があった

しかし、浦原さんや夜一さんの姿がなかった

 

「悪い。浦原さんたちは?」

「まだ戻っていないみたい…」

「そうか…何かわかったか⁉」

 

三人が首を振る

あいつが行きそうなところも何もわからない

あいつについて何も知らないことを思い知らされる

手がかりもない

あの二人なら何か知っているかもしれない

しかし、今ここにあの二人はいない

完全に手詰まりだ

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

皆のもとから逃げ出して私は断界の入り口を目指してただただ走っていた

誰にも言わずに来たことに少しの罪悪感を抱きながら

 

「着いた…」

 

断界の入り口のある廃寺に着いた

今になって少し怖くなってくる

 

(先延ばしにしたことを今からするだけ

 もっと早くしておけばよかった

 そうすれば一護さんたちは…)

 

あの時、虚に襲われなければしていたこと

さすがにもうこれ以上皆を巻き込むわけにいかない

これ以上大切な人たちが戦う姿なんて見たくない

これが兄さんや父さん、母さんを、今まで護ってきてくれた人たちを裏切る行為であることはわかっている

 

(ごめんなさい…一護さん

 約束、守れない)

 

一護さんと使わないと約束した術を、私の存在を皆の記憶から消す術を使う

勝負は断界入ってから

自分を封印したと同時に発動するように術をかける

封印は私とって死と同義

つまり、私が死んだとき私の存在がこの世界から、記憶から消される

 

(兄さんたちも忘れるのかな

 それは少しイヤだな)

 

そう思いながら数メートル先に断界を開ける

 

「このまま断界に入って、自分を封印してしまえば…

 すべてが終わる」

 

呼吸を整えて、足を踏み入れようとしたとき後ろから感じた覚えのある気配がした

 




今回もお読みいただきありがとうございます
次回も読んでいただけると嬉しいです
それでは、この辺で失礼します
次回の投稿は一週間後の30日を予定しております。

アルフレット
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