「ギャスパー、出てきてちょうだい。無理してイッセーに連れて行かせた私が悪かったわ」
悪魔の仕事が終わり部室に戻ってきたら部長さんが扉の前で謝っていた。
「イッセーと仕事すればもしかしたらあなたのためになると思って・・・」
『ふぇえええぇぇぇぇぇぇぇぇんっっ!』
旧校舎の自室からギャスパーの外まで聞こえる大音量で泣いていた。
「なぁ、イッセー。仕事でなにがあったんだ?」
俺はギャスパーと一緒に仕事をしていたイッセーに訊いてみると
「・・・・森沢さんって覚えているか?」
「ああ、小猫ちゃんとお前の契約相手だろ?お前から聞いた話だとかわいい系で貧乳好き・・・・まさかその人に何かされたのか?」
「・・・いや、されてはないんだけど、息を荒くして五指をワシャワシャと動かしてギャスパーに語りかけたら泣いちまって・・・」
「そりゃ泣くわ!ていうか、ただでさえ人に恐怖心を抱いているのになんだよその変質者みたいな言動は!泣くわ!泣いてもおかしくないわ!怖すぎるだろう!今軽く想像しただけでも怖いわ!」
ていうか変質者だろう!森沢さん!警察行けよ!警察に!
俺は心の中で森沢さんは変質者と認識を改めたがギャスパーは神器を使いこなせてないことも関係しているらしいとイッセーが言っていた。
そして部長さんの話だと吸血鬼は純血でない者は軽蔑、侮蔑され、人間界に行っても「バケモノ」と扱われ居場所がギャスパーにはなかったという。
『ぼ、僕は・・・こんな神器いらないっ!だ、だって、皆停まっちゃうんだ!怖がる!嫌がる!僕だって嫌だ!と、友達を、な、仲間を停めたくないよ・・・・。大切な人の停まった顔を見るのは・・・も、もう嫌だ・・・」
部室の中ですすり泣くギャスパーを俺は放っておけなかった。
「部長さん、イッセー。少し俺に時間をください」
「ショウ、何をする気?」
「ちょっとギャスパーと話してきます」
そう言って俺は扉の前で座りギャスパーに話しかけた。
「ギャスパーそのままでいいから話を聞いてくれ」
「・・・・・・」
返事がなかったが俺はかまわず話を続けた。
「ギャスパー、お前は神器を嫌がる気持ち俺もわかる。俺もそのせいで大切な人を守れなかったから」
「・・・・・え・・・・・」
「堕天使の総督が来たとき俺訊いていただろ?他人の傷を自分の傷にする神器があるかって・・・俺の幼馴染の凛って子がそれを持っていたせいで凛の父親は凛をバケモノと言い毛嫌いしていた。おかしいよな?なんでそんな物を持っているだけでそんなに嫌がるんだろうな?」
「・・・・その人はどうなったんですか?」
「死んだ、いや、俺が殺したみたいなもんだよ。重傷を負わされた俺の代わりに神器で俺を庇い死んだ。今でも後悔している。あの時俺が重傷を負わなければ凛は死ななかった。いや、それ以前に神器なんてなかったら凛は幸せだったはずだ。俺は凛が死んだ日からそんなことを毎日考えている。」
「・・・・で、でも、それは先輩のせいじゃ・・・」
「ああ、周りの皆はそう言って俺を励ましてくれた。でも俺自身が許せなかったんだ。周りがどれだけ励ましてくれても殺したのは俺だ。許せるわけがない・・・・でも前には進むそう誓った」
「ど、どうしてですか?大切な人を先輩は失っているんですよ?どうして前に進もうと思ったんですか?」
「確かに俺は凛を失って全てを呪ったよ。でも凛の分まで生きようと思いそう誓った。そしてもう凛みたいに悲しい想いをさせない為にも俺は生き強くなると神器に誓った。神器のせいで人生を狂わせたなら俺は神器の力でその人を救う。もうあんな想いを誰にもさせない為に俺は強くなると誓ったんだ」
「・・・・・でも、僕は先輩みたいに強くありませんし、神器だってまともに使えません。そのせいで僕は・・・・」
「嫌われてきたんだろう?怖がられてきたんだろう?でも少なくともここにいる奴らはお前を嫌ったり、怖がったりはしないはずだ。少なくとも俺はしない。嫌な想いをしたくなかったら強くなるしかない。ゆっくりでいい自分の神器をコントロールできるようになろう」
「・・・・・できますか?僕に」
「できるまで俺が、いや、俺たちが付き合ってやる。ギャスパーお前は充分傷ついた。お前はもうそれ以上怖い想いをしなくていい。俺がお前を救ってやる。だからお前も前を見て進めばいい。もし、邪魔する奴がいたら俺がそいつを叩き潰してやるだから安心して前へ進め」
ギィ....
鈍い音をたてながら、少しだけ扉が開きギャスパーが姿を現した。
「・・・ぼ、僕が前に進んでもいいんですか?」
「ああ、一緒に前へ進もう。そして強くなって部長さんや皆を守る為にもギャスパーの力が必要だ。
だから力を貸してくれ」
そう言うとギャスパーの両目からボロボロと涙が溢れてきて俺は狼狽したがギャスパー首を横に振った。
「・・・ち、違うんです。い、今まで、リアス部長以外・・・そんなふうに言われたことなくて・・・嬉しくて、嬉しくて・・・」
泣きじゃくるギャスパーを俺は頭を撫で
「今はおもっきり泣け。涙を流すことは悪いことじゃない。むしろ自分の感情を素直に出しているいい証拠だ。泣きたいときは泣けばいい。下手に我慢したら余計に傷つくからな」
俺はギャスパーが落ち着くまで頭を撫で続けた。そして落ち着いたところにイッセーが近づいて言う
「ギャスパー、俺もお前を嫌わないぞ。先輩としてずっと面倒みてやる。・・・・まあ、悪魔としてはおまえのほうが先輩だろうけどさ。でも、実生活では俺が先輩だから、任せろ」
ギャスパーは目をパチクリさせているが、イッセーは続ける。
「力を貸してくれ。俺達と一緒に部長を支えよう。おまえが何かに怖がるなら、俺もショウもそいつを吹っ飛ばしてやる。これでも伝説のドラゴンの力が宿ってんだぜ?」
「ほらな、ギャスパー。言ったろ?ここにいる奴らはお前を嫌ったりしないって」
「はい!」
ギャスパーは笑顔で返事をした。良かった、笑顔になってくれて....
「それにしても、俺はお前の能力がうらやましいけどな。クラス中、いや、学校中の女子のパンツを覗き放題、触り放題じゃねぇか。ぶ、部長を停めて、お、お、おっぱいを・・・・ッ!あ、あのおっぱいを好き放題できるなんて考えただけでもよだれが止まらんぞ!」
「・・・・・・・・ギャスパー、もしこの変態がそんなこと頼んだら容赦はいらねぇ。こいつを停めて俺に教えてくれ。氷漬けにして小猫ちゃんにお仕置きスペシャルフルコースをたっぷり、じっくりしてもらうから」
「ふぇえええええええぇぇぇええええッッ!小猫ちゃんのお仕置きスペシャルフルコース!怖いですぅぅぅぅぅぅ!」
「ショウ!何だよ!?小猫ちゃんのお仕置きスペシャルフルコースって!?聞いただけで怖えぇぇぞ!」
「俺が考えたお仕置きと小猫ちゃんのパワーが組み合わさって出来たスペシャルフルコースだ。正直俺の予想を大きく上回ったから喰らわないことをお勧めする」
うん。アレは正直やばい。イッセーにどんなお仕置きをするか考えていると小猫ちゃんと朱乃先輩も一緒に考えていると出来たからな......アレはマズイ。
「なんだよ!ちょっとぐらいいいだろう!二人が小猫ちゃんに言わなければ!」
「残念だけど、もう小猫ちゃんに教えてあるからもし小猫ちゃん本人にバレたら即それでお仕置きされるぞ?」
「な、なんだと・・・」
イッセーは小猫ちゃんお仕置きが怖くてその場へしゃがみ込んだ。それを見てギャスパーは嬉しそうに微笑んだ。
「・・・・イッセー先輩、ショウ先輩ってやさしいんですね」
極上の笑みでそう言われ俺も思わず少し微笑んだ。
「さすがイッセーくんとショウくんだね。ギャスパーくんとすぐに談笑できるなんて」
俺とイッセーがギャスパーと打ち解け合いつつあるところへ木場が現れた。
「よし。木場!俺とお前とギャスパーで『女子を好きなだけ好きにできる選手権』を開催する!」
復活したイッセーはまた変なことを言い始めた。
「あれ?ショウくんは?」
「こいつは敵だ!俺達だけでやるぞ!」
ハァーまたこいつは.......仕方ない。
俺は静かに神器を発動して
「凍れ」
イッセーを凍らし始めた。
「うおっ!ショウ!何しやがる!?」
「ちょっと頭を冷やしとけ」
そしてイッセーを凍らせた。ハァーこいつのスケベ根性はどこまで上がるんだ.....