空気が少し変わり、イッセーが目を覚ました。
「おっ、赤龍帝の復活だ」
総督がイッセーを見て言う。
「眷属で動けるのは私とイッセーと、祐斗、ゼノヴィア、ショウだけのようね」
各陣営のトップと今聞いた人たち以外は全員停まってしまった。
「イッセーは赤龍帝を宿す者、祐斗は禁手に至り、イレギュラーな聖魔剣を持っているから無事なのかしら。ゼノヴィアは直前になってデュランダルを発動させたわね」
「時間停止の感覚はなんとなく、体が覚えていた。停止させられる寸前にデュランダルの力を盾に使えれば防げると思ったのだけど、正解だった」
そういうの覚えられるものなのか?
「ショウは祐斗と同じ禁手になったからかしら?」
部長さんは俺を見てそう言うが実際のところ俺もわからない....
ルルナのおかげかな?いや、今はそんなことを考えているより現状の把握をしないと
「それはともかく。部長、何があったんですか?」
「テロだよ」
イッセーの問いに総督が答えた。
テロって....大事な会談のときになんてことを.....
「外、見てみろ?」
総督の言葉に俺とイッセーは外を見ると、黒い魔術師みたいな連中がこちらに攻撃を放ってきた。
「攻撃を受けているのさ。いつの時代も勢力が和平を結ぼうとすると、それをどこぞの集まりが嫌がって邪魔しようとするもんだ」
それからの総督の話によると今攻撃を放ってきているのは一人一人中級悪魔クラスの魔術師で今は総督とサーゼクスさんと天使長で強力な結界を展開して安全ではあるがおかげでここから出られない。
そして時間停止したのは魔術師たちが強制的にギャスパーの神器を上げて無理矢理禁手にさせたらしい。
ギャスパーを狙ったのか.....クソっ!テロ魔術師どももしギャスパーに何かしたらただじゃおかねぇ...
「部長さん、今すぐギャスパーを助けに行かせて下さい」
「わかっているわ、ショウ。お兄さま、私も行きます。ギャスパーは私の下僕です。私が責任を持って奪い返してきます」
俺と部長さんの進言のサーゼクスさんはふっと笑う。
「言うと思っていたよ。妹の性格ぐらい把握している。しかし、旧校舎までどう行く?この新校舎の外は魔術師だらけだ。通常の転移も魔法に阻まれる」
サーゼクスさんの問いに部長さんはキャスリングを使えばギャスパーのところまで一瞬でいけるみたいだ。
「サーゼクスさま、俺も行かせてください。ギャスパーは大事な後輩です。俺も助けに行かせてください」
サーゼクスさんは視線を一度イッセーに向けるがすぐに総督のほうに移った。
「アザゼル、噂では神器の力を一定時間自由に扱える研究をしていたな?」
「ああ、そうだが、それがどうした?」
「赤龍帝の制御はできるだろうか?」
「・・・・・・・」
総督はサーゼクスさんの問いに黙り込んだが、懐を探りだし
「おい、赤龍帝」
「俺は兵藤一誠だ!」
「じゃあ、兵藤一誠。こいつを持っていけ」
総督がイッセーに渡したのは手にはめるリングらしきものを二つイッセーに渡した。それは神器をある程度抑えてくれるものらしくそれをギャスパーに付けたら多少は力が制御できるらしい。もう一つはイッセーの禁手を短時間なら代価を払わずになれるらしい。
すごいな....いったいどこまで神器の研究をしているんだ?
「ヴァーリ」
「なんだ、アザゼル」
「おまえは外で敵の目を引け。白龍皇が前に出ていけば、野郎どもの作戦も多少は乱せるだろうさ。それになにかが動くかもしれない」
「旧校舎のテロリストごと、問題になっているハーフヴァンパイヤを吹き飛ばした方が早いんじゃないかな?」
「白龍皇、もしそんなことをすればテメェを殺すぞ」
俺は今の白龍皇の言葉に腹が立ち白龍皇に殺気を向けるが白龍皇はなにも感じてないかのように平然としていた。
「和平を結ぼうってときにそれはやめろ。最悪の場合、それにするが、魔王の身内を助けられるのなら、助けたほうがこれからのためにもなる」
「了解」
ヴァーリの背中から光の翼が展開し
「
『Vanishing Dragon Balance Breaker!!!!!』
音声のあと白龍皇は真っ白な鎧に包まれ窓から外へ出た。
「アザゼル。先ほどの話の続きだ」
サーゼクスさんが総督に訊く。
「あー何だ?」
「神器を集めて、何をしようとした?『神滅具』の所有者も何名か集めたそうだな?神もいないのに神殺しでもするつもりだったのかな?」
サーゼクスさんの問いに総督は首を横に振る。
「備えていたのさ」
「備えていた?戦争を否定したばかりで不安を煽る物言いです」
天使長が呆れるように言う。
「言ったろ?おまえらに戦争はしない。こちらからも戦争をしかけない。ただ、自営の手段は必要だ。って、おまえらの攻撃に備えているわけじゃねぇぞ?」
「では?」
「『
「・・・カオス・ブリゲード?」
「組織名と背景が判明したのはつい最近だが、それ以前からもうちの副総督シェムハザが不審な行為をする集団に目をつけていたのさ。そいつらは三大勢力の危険分子を集めているそうだ。なかには禁手に至った神器持ちの人間も含まれている。『神滅具』持ちも数人確認しているぜ」
「その者たちの目的は?」
「破壊と混乱。単純だろう?この世界の平和が気に入らないのさ。テロリストだ。そかも最大級に
総督の告白に俺とイッセー以外絶句していた。
「・・・・そうか、彼が動いたのか。『
神が恐れたドラゴン.....ヴァーリが言っていた一番強いのことかな?
『そう、オーフィスが「
「グレイフィア、リアスとイッセーくん、ショウくんを早く飛ばせ!」
突然の声のあと、床から魔方陣が浮かび上がりサーゼクスさんはグレイフィアさんに俺たちを急がせるように言い魔方陣を床に展開させ俺たちを転送させた。
「まさか、ここに転送してくるとは!」
「悪魔め!」
無事転送されて俺とイッセーそして部長さんは部室を占拠した魔術師.....ようは敵のど真ん中にいる。
「ぶ、部長!イッセー先輩!ショウ先輩!」
ギャスパーの声が聞こえ視線を向けるとギャスパーは椅子に縄をくくりつけられていた。
良かった。無事だったな。
「ギャスパー!良かったわ。無事だったのね」
部長さんもギャスパーが無事でホッとっしていた。
「部長・・・・。もう、嫌です・・・」
しかし、ギャスパーは途端に泣き出した。
「僕は・・・・死んだほうがいいんです。お願いします、部長、先輩。僕を殺してください・・・。この眼のせいで、僕は誰とも仲良くできないんです・・・。迷惑ばかりで・・・。臆病者で・・・」
ギャスパーはボロボロと涙をこばした。そんなギャスパーに部長さんはやさしく微笑む。
「バカなこと言わないで。私はあなたのことを見捨てないわよ?あなたを眷属にさせたとき、言ったわよね?生まれ変わった以上は私のために生き、そして自分が満足できる生き方を見つけなさいと」
しかし、部長さんの言葉はギャスパーに届かず、首を横に振った。
「・・・・見つけられなかっただけです。迷惑をかけてまで僕は・・・・生きる価値なんて・・・」
「ふざけんなッ!ギャスパー・ヴラディ!!」
突然の俺の大声に部長さんもイッセーも敵も俺を見るがそんなこと気にせず俺はギャスパーに言った。
「死んだほうがいい?誰とも仲良くできない?臆病者?生きる価値なんてない?ふざけるなよ。ギャスパー」
俺はギャスパーをじっと見て語りかけた。
「俺言ったよな?俺がお前を救ってやると。それを自分から殺してくださいだと・・・ふざけるのもいい加減にしろよ」
「で、でも僕は・・・皆に・・・」
「迷惑をかけたからそれがどうした!誰だって生きているかぎり誰かに迷惑をかける!それが当たり前なんだ!迷惑をかけたくないお前の優しさは充分伝わった!だからそんなことを言うな!」
俺はギャスパーに更に言い続ける。
「迷惑ならいくらでも俺にかけていい。俺はそれを受け止めてやるからそんなことを言うな。生きて前を向けギャスパー・ヴラディ、俺はお前を見捨てない。だから死にたいなんて言うな!」
「ショウの言う通りよ。私もあなたを見捨てない。やっとあなたを解放させることができたのに!」
「そうだぞ!ギャスパー俺たちはおまえを見捨てないからな!」
ガンッ!
女の魔術師がギャスパーを殴り髪をつかんで冷笑を浮かべていた。
「愚かね、あなたたち。こんな危なっかしいハーフヴァンパイヤを普通に使うなんてバカげているわ。旧魔王派の言う通りね。グレモリー一族は情愛が深くて力に溢れている割には頭が悪いって」
魔術師は部長さんを侮蔑的な視線で見ていた。
「さっさとこんなヴァンパイヤを洗脳して、道具として有効的に使えばもっともっと評価を得ていたのではないかしら?敵対している堕天使の領域にこの子を放り込んだで神器を暴走させれば、幹部の一人でも退けたかもしれないわ。それをしないのは何?もしかして、仲良しこよしで下僕を扱う気なの?」
「こ、この」
あまりの暴言にイッセーが殴りかかろうとしたが部長さんが手で制止する。
「私は・・・・自分の下僕を大切にするわ」
部長さんは冷静に返すと、魔術師は部長さんに小さな魔力を放ち部長さんに当たった。
「生意気な口ね。それに悪魔のクセに美しいのも気に入らないわ、グレモリーの娘」
嫉妬まみれた言葉。魔術師はギャスパーの首元に刃を突きつける。
「動くとこの子が死ぬわ。ちょっと遊びましょうよ」
魔術師は手を突出し、魔術を放とうとした瞬間.....
「殺したければ、殺せば?」
俺は冷徹に言い放ち一歩また一歩ギャスパーに向かって歩き出した。
「そいつを殺せば俺はお前らを永遠の生き地獄に招待してやるよ。解放すれば捕まえる程度にしてあげるけど、どうする?」
「ハッ!はったりだわ!それ以上近づいたら本当にこの子を殺すわよ!」
魔術師はギャスパーの首元に突き出した刃に力を入れるが俺は歩む速度を変えずにギャスパーに近づく。
「と、止まりなさい!それ以上近づいたら本当に」
魔術師の刃の持っている手が震えているのに気づき俺は首を傾げながら言った。
「何をそんなに怯えてるんだ?俺たちを殺すつもりでここにいるんだろう?今殺せば手間が省けるんじゃないか?」
魔術師はその言葉に頭にきて....
「な、なめるなぁぁぁぁぁぁッ!」
ギャスパーの首に刃が刺さった.....が血が出てこなかった。そしてギャスパーが砕けた。
「な、こ、これは氷!?いつのまに!?ハーフヴァンパイヤはどこに!?」
魔術師だけじゃなく部長さんやイッセーも混乱していると
「ここだよ」
もう一人の俺がギャスパーを抱え部長さんの後ろから現れた。
「ショウ!?いったいどうやって!?」
部長さんは狼狽しながらも俺に訊いてきた。
「蜃気楼ですよ。で、今そこにいる俺が幻でギャスパーがコカビエルのときに俺が使った『
俺はギャスパーを離すと魔術師の近くにいた俺を消し説明した。
「俺はここに来てすぐに神器を発動し気体を操って蜃気楼を起こしまずは俺の分身を作りそして俺自身は姿を消して禁手しギャスパーと氷人形を入れ替えてギャスパーを助けたんですよ。なぁギャスパー」
「は、はい。ショウ先輩が助けてくれました!」
「そう、よかった・・・」
部長さんはギャスパーを抱きしめ安堵した。
よし、これでギャスパーは解放された。あとは....
俺は魔術師たちに槍を向けた。
「さて、宣言どうり生き地獄に招待してやるよ。イッセー、ギャスパー戦うぞ」
「おおっ!」
「ふぇぇッ!僕もですか!?」
「ああ、あいつらに見せてやれ。自分はグレモリー眷属の一人ギャスパー・ヴラディだということを教えてやれ!ギャスパー!」
俺の声にギャスパーは部長さんから離れ俺とイッセーの隣へ来た。
「アスカロン!」
『blade!』
イッセーは新武器アスカロンで自分の右の掌を自ら斬って
「飲めよ。最強のドラゴンを宿しているとかいう俺の血だ。これを飲んで男を見せてみろッ!」
ギャスパーはイッセーの血を飲んだ瞬間消えた。そしてチチチチチという不気味な鳴き声が部室の天井からし、見てみると赤い瞳をした無数のコウモリが一斉に魔術師たちに襲いかかる。
「クッ!変化したのか、吸血鬼め!」
「おのれ!」
魔術師たちは魔力の弾を撃ちだそうとしたが、魔術師たちの影から黒い手が伸びていて魔術師たちを影のなかへ引っ張ろうとしていた。魔術師たちは影に攻撃しても霧散するだけでコウモリとなったギャスパーは魔術師たちに噛みつて魔力を吸い取っているらしい。
「これが本来のギャスパーが秘めていた力の一部よ。イッセーの血を飲んだことで、解放されたのね」
そっか、これがギャスパーの本当の力か......
魔術師たちはこちらへ魔力を撃ったがギャスパーの神器の力で空中で止まった。
イッセーの血を飲んだだけで神器も使いこなせているのか....そして今度は魔術師たちの時間を停めて
『イッセー先輩!ショウ先輩!トドメです!』
「任せろ!」
「ああ!」
俺は氷の枷を作りそれを魔術師に付けて動きを封じさせイッセーは....
「
魔術師たちの服を弾け飛ばし鼻血を噴出しながら勝利の笑みを浮かべていた。
「ギャスパー、俺たちが組めば無敵だ」
『はい!』
ペチッ。
ゴンッ
「「そうじゃないでしょう(だろ)?」」
俺と部長さんは嘆息しながら部長さんはイッセーの頭を小突き、俺は槍でイッセーの頭を叩いた。