水態の神器使い   作:ユキシア

34 / 92
母の涙と若手悪魔の会合

「つまり、上級悪魔にとって社交界とは」

 

冥界に到着した次の日俺は隣にいるイッセーとミリキャスさまと一緒に勉強している。

 

昨日の部長さんのお母さまのとんでも発言の後、部長さんのお母さまにどういうことか説明してもらおうとしたが、その前に朱乃とゼノヴィアなぜか小猫に捕まり部屋に連れて行かされ俺は数時間正座され・・・・・・これ以上は言えないことをされそのあとイッセーがなんか言ってきたので氷漬けにしてメイドさんたちに運んで貰うように頼んで気絶したかのように寝た。朝、目が覚めるとメイドさんがいて今いる勉強部屋まで連れて行かされ今上級悪魔の社交界について勉強している。

 

皆は観光中か~。俺も行きたかったな~。

 

「若さまたちは、悪魔の文字はご存じでしょうか?」

 

「い、いえ、ほとんどわかりません」

 

「すみませんが、俺もです」

 

「よろしい。では、そこからひとつひとつ覚えていきましょう。若さまたちはグレモリー家のすべてを教えなければならないものですから。お覚悟を」

 

そう俺とイッセーは若さまとメイドや執事の人達にそう呼ばれている。イッセーは何故自分も若さまと呼ばれているのかは気づいていないが......俺は若さまと呼ばれるほど胸に刃物が突き刺さるような痛みが走るのは気のせいだろうか?気のせいにしておこう.......。

 

「おばあさま!」

 

扉から入ってきたのは部長さんのお母さま。

 

「リアスさまのおかあさま!昨日のアレはいったいなんですか!?」

 

俺は立ちあがり部長さんのお母さまに昨日のとんでも発言について訊こうとしたが

 

「あら、お義母さまなんて」

 

違ーーーーーーう!!何でそうなる!?イッセーもそんな目で俺を見るな!!

 

俺は二、三回深呼吸し、落ち着かせ今度は真面目に

 

「昨日ことについてお話があるのですがよろしいでしょうか?」

 

「ええ、もちろん。では彰君はちょっとこちらへ」

 

俺は部長さんのお母さまと一緒に勉強部屋を出てある一室につきお互い向かい合うように座った。

しばらくお互い無言だったが部長さんのお母さまが先に話しかけた。

 

「昨日も申しあげたように私はあなたをリアスの結婚相手の一人として考えております」

 

「ですからなんで俺なんですか?もうすでに部長さんはイッセーのことが好きとは気づいていらっしゃるのでしょう?なら、俺はいいんじゃないですか?」

 

それに俺にはもう朱乃が....。

 

「リアスのためにサーゼクスに本気で怒ったそうですね」

 

「・・・その時はすみませんでした。そちらの事情も知らずに自分勝手なことを言ってしまい」

 

「いいえ、いいのですよ。むしろそれだけリアスの事を考えているなんて親として嬉しいことですわ」

 

俺は頭を下げて謝ると部長さんのお母さまは笑って許してくれた。

 

「リアスの為に一誠君とパーティに乗り込んで魔王であるサーゼクス相手に本気で怒って下さるあなたがリアスと結婚してくれたら私は嬉しいのです。それにリアスはあなたの話もよくするのですよ?」

 

「部長さんが俺の話を・・・・」

 

軽く驚いた。イッセーをあんなに溺愛している部長さんが俺の話をするなんて....。

 

「ええ、最初はそこまで話していなかったけど最近は一誠君と同じぐらい話してくれるのよ。この前なんかおなたのおかげでギャスパー君が前向きになってくれたって言ってたわ」

 

部長さん....そんなに俺の事も話してくれていたのか.....。ちょっと嬉しいな。でも

 

「リアスさまはイッセーのことが好きです。イッセーもリアスさまのことが好きです。ですので二人も候補はいりませんよ」

 

部長さんのお母さまは微笑んだがその微笑みにはどこか苦しみを感じた。

 

「・・・・・どうしたんです?」

 

俺は思わず訊いてしまった。部長さんのお母さまは俯き

 

「赤龍帝を宿した者には『人や戦いを引き寄せる』って性質が与えられるの」

 

部長さんのお母さまから零れ落ちる涙。

 

「私もリアスには・・・幸せになって・・・ほしい。でも・・・戦いの運命を背負ってしまっている一誠君とともの暮らすより・・・・」

 

「・・・・・・いつ死ぬかわからないイッセーより俺のほうがリアスさまを幸せにできる。ということですか?」

 

部長さんのお母さまは涙を流しながら小さく頷いた。

 

いつ死ぬかわからないイッセーより部長さんがイッセーと同じぐらい想っている俺の方が部長さんを長く幸せにできると思ったのか......。だから俺を部長さんの結婚相手の一人にしたんだな。この人も部長さんを.....娘を大事に想っているからこその考えか......。

 

俺はポケットからハンカチを取り出し部長さんのお母さまに渡した。

 

「・・・・すみませんが俺にはもう好きな人がいます」

 

俺は今感じている正直な気持ちを話した。

 

「もう気づいているかもしれませんが俺は朱乃が姫島朱乃が好きです。俺が辛いとき助けてくれて、支えてくれて、ずっと傍ににいてくれたのは朱乃です。なかなか前に進められない俺を朱乃は待ってくれています。そんな朱乃を裏切ることはできません」

 

凛のことを忘れられない俺を朱乃は待ってくれているんだ。そんな朱乃を俺は裏切れない。

 

「好きなのね。彼女のことが」

 

部長さんのお母さまは涙を拭き微笑みながらそう言う。

 

「はい。でも安心してください。イッセーもリアスさまの幸せも俺が守ってみせます。誰も悲しみの涙は流せません。ですので安心してイッセーとリアスさまの幸せを見守ってあげてください」

 

俺の言葉に部長さんのお母さまはクスッと笑い。

 

「そうね、ありがとう。彰君」

 

部長さんのお母さまは部屋の扉に向かい

 

「そろそろリアスたちが帰ってくるわ。行きましょう」

 

扉を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから俺は部長さんたちと一緒に若手悪魔の集まる会場につきエレベーターに乗りある広いホールに到着した。

 

「皆、もう一度確認するわ。何が起こっても平常心でいること。何も言われても手を出さないこと。ここにいるのは将来の私たちのライバルよ。無様な姿は見せられない」

 

いつも以上に気合いを入れている部長さん。そして通路を進んでいくと

 

「サイラオーグ!」

 

「久しぶりだな、リアス」

 

黒髪で短髪、武闘家のような体格そして瞳の色は珍しい紫色。でも顔がどこかサーゼクスさんに似ているような.....。

 

「ええ、懐かしいわ。変わりないようで何よりよ。初めての者もいるわね。彼はサイラオーグ。私の母方の従兄弟でもあるわ」

 

「俺はサイラオーグ・バアル。バアル家の次期当主だ」

 

サイラオーグさんは挨拶してくる。ああ、なるほどだから似ていたのか....。

 

「それで、こんな通路で何をしてたの?」

 

「ああ、くだらんから出てきただけだ」

 

「・・・・くだらない?他のメンバーも来ているの?」

 

「アガレスもアスタロトもすでに来ている。あげく、ゼファードルだ。着いた早々ゼファードルとアガレスがやり合い初めてな」

 

ドオオオオオオオオオオオオオオオオッ!

 

突然の巨大な破砕音が聞こえ建物が大きく揺れる。

 

「まったく、だから開始前の会合などいらんと進言したんだ」

 

部長さんはすぐに駆け出し、俺たちもそれに続き音の根源らしき大広間に着くと両陣営に分かれた悪魔たちが睨み合いをしていた。

 

「ゼファードル、こんなところで戦いを始めても仕方なくてはなくて?死ぬの?死にたいの?殺しても上に咎められないかしら」

 

眼鏡をかけ青色のローブを着た女性悪魔と

 

「ハッ!言ってろよ、クソアマッ!俺がせっかくそっちの個室で一発しこんでやるって言ってやってんのによ!アガレスのお姉さんはガードが堅くて嫌だね!へっ、だからいまだに男も寄ってこずに処女やってんだろう!?ったく魔王眷属の女どもはどいつもこいつも処女くさくて敵わないぜ!だからこそ、俺が開通式をしてやろうって言ってんのによ!」

 

下品な言動に顔に魔術的タトゥーを入れ、緑色の逆立った髪をしたヤンキー系悪魔が殺意に満ちたオーラをぶつけ合っていた。

 

「ここは時間が来るまで待機する広間だったんだがな。もっと言うなら、若手が集まって軽いあいさつを交わすところでもあった。ところが、若手同士であいさつしたらこれだ。血の気の多い連中を集めるんだ、問題の一つも出てくる。それも良しとする旧家や上級悪魔の古き悪魔たちはどうしようもない。無駄なものに関わりたくなかったのだが、仕方ない」

 

首をこきこき鳴らし睨め合う二人のチームの方へ向かおうとするが

 

「な、何ですかあなたは?いきなり割って入って、邪魔をする気なの?」

 

俺が動いてしまった。

 

「いえいえ、若手悪魔の会合なので挨拶をと思いまして、私はリアス・グレモリーさまの『兵士(ポーン)』をしております。駿河 彰と申します。失礼ながらあなた様のお名前を教えてはいただけませんか?」

 

「シ・・・シーグヴァイラ・アガレス。大公アガレス家の次期当主ですが?」

 

「アガレスさまですね」

 

俺は部長さんの家で習った紳士的振る舞いをしていると

 

「おいてめぇ!何人の獲物横取りしてんだ!ぶっ殺すぞ!」

 

後ろから聞こえる戯言を俺は無視し

 

「アガレスさま。先ほどから吠えている発情期の猿は誰でしょうか?」

 

「くくっ!」

 

俺の言葉にアガレスさまは口に手をあて笑い、発情期の猿は更に激怒した。

 

「あぁっ!?誰が発情期の猿だ!?」

 

「コホン・・・・あれはグラシャラボラス家の凶児ゼファードルです」

 

「そうですか。それと失礼ながらこれ以上はよしたほうがよろしいかと」

 

「どういう意味かしら?」

 

先ほどまで笑っていた顔が急に冷たくなったが俺は変わらず続ける。

 

「いえ、もしあなたのようなきれいなお顔にあの汚い奴の返り血が付いてしまうのはどうかと思いますので発情期の猿の相手は私がして檻の中にでも入れて置きましょう」

 

「やってみやがれ!クズ悪魔がッ!」

 

発情期の猿は魔力の弾を撃ち放つが俺は避けずに氷の障壁で防いだ。

 

「なっ!?俺の魔力弾を!?」

 

自分の力に自信があったのか、防がれて驚愕している緑猿。

 

「おい、緑猿。今俺が防がなきゃアガレスさまの顔に当たっていたぞ。女の顔を狙うとは最低な奴だな」

 

「はぁっ!?小せぇ魔力打ち・・・」

 

緑猿は突然喉を抑え膝をつきそれ以上喋らなかった。いや、喋れないようにした。

 

「てめぇ・・・・なに・・しやがった・・・」

 

俺は緑猿の方へ歩きながら教えた。

 

「簡単だよ。お前の酸素を少し奪っただけだよ。グラシャラボラス家次期当主さまならクズ悪魔の攻撃ぐらい余裕だろ?ほら、膝なんかついた振りしてないで立ったら?それとも本当に立てないの?それなら随分情けない次期当主さまだな」

 

くすくすと笑う振りをして緑猿をバカにし、俺は神器の力で棺桶サイズの檻を作り俺は笑顔で

 

「では、宣言どうり檻に入ってもらいますね」

 

そして檻を操り動けない緑猿はおとなしく入った。そして緑猿の眷属はハッと自分の主が捕まったことに気づき

 

「おのれ!」

 

「ゼファードル様を解放しろ!」

 

などと言ってくるので檻に入れた緑猿を掴んで眷属たちに投げた。眷属たちはしっかりと緑猿の入った檻を捕まえ

 

「もうそいつは普通に息はしているが気絶はしている。その檻も熱を与えれば簡単に溶けるから早く出してやりな」

 

そう言うと緑猿たちの眷属たちは急いで緑猿を介抱し、俺はアガレスさまのところに行き

 

「お怪我はありませんでしたが?アガレスさま」

 

「え、ええ。それにしてもあなたは意外に容赦ないのですね」

 

「そんなことないですよ。女性のきれいな顔を攻撃する奴にはあれぐらいの罰は当然ですよ。それにすっきりしたでしょう?」

 

そう言うとアガレスさまはクスと笑い。

 

「ええ、ありがとうございます。おかげですっきりしました」

 

「いえいえ、では」

 

俺は最後に一礼し部長さんのところへ戻ると

 

「ショウ!手を出さないでって言ったでしょう!」

 

「いひゃいいひゃいいひゅいでしゅ。まりょふほふぉへふいでふだひゃいふちょうひゃん!(痛い痛い痛いです。魔力込めないでください部長さん!)」

 

俺は今部長さんに魔力が込められた手で頬をつねられている。

 

「リアス。説教はあとにしてやれ。今は広間を片付けさせるから。おい!誰かスタッフを呼んでこい!広間がメチャクチャすぎて、これではリアスと茶も出来ん」

 

サイラオーグさんのおかげで部長さんのお仕置きから解放された。

 

ふぅ~、痛かった~。部長さんおもっきりつねやがって~。

 

「にしても珍しいな。ショウがあんなことするなんて」

 

普段の俺とは違う俺の行動にイッセーは不思議そうに言うが俺は....

 

「・・・・・俺は不良やヤクザが嫌いなんだよ。殺したいぐらいにな」

 

思わず殺意の込めた声で言ってしまい皆を驚かしてしまったことにすぐに気づいて「なんでもない」と答えた。

 

「あ、兵藤!駿河!」

 

聞き慣れた声がし、振り返ると匙と会長、生徒会のメンバーがいた。

 

「匙じゃん。あ、会長も」

 

「ごきげんよう、リアス、兵藤くんも駿河くんも」

 

生徒会メンバーも広間に到着した。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。