水態の神器使い   作:ユキシア

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ドラゴンとの修行

いつのまにか温泉で気絶した次の日。俺たちはグレモリー家の広い庭の一角に集まっていた。

 

「先に言っておく。今から俺が言うものは将来的なものを見据えてのトレーニングメニューだ。すぐに効果が出る者もいるが、長期的に見なければならない者もいる。ただ、おまえらは成長中の若手だ。方向性を見誤らなければ良い成長をするだろう。さて、まずはリアス。おまえだ」

 

総督が最初に呼んだのは部長さん。部長さんの修行内容は基本トレーニングと『(キング)』としての資質を上げることだった。元から部長さんはすべてにおいて高スペックだった為それで十分だと総督は言う。

 

「次に朱乃」

 

「・・・・はい」

 

次に呼ばれたのは朱乃だが、少し不機嫌になっている。

 

やっぱり父親が関係しているのかな?朱乃も朱乃のお父さんも悪くないのに.....。今度総督と相談してなんとかしよう。朱乃が立ち直るまで俺が朱乃の傍で支えないと。

 

「おまえは自分のなかのに流れる血を受け入れろ」

 

総督のストレートの言葉に朱乃は顔をしかめたが総督はかまわず続ける。

 

「フェニックス家との一戦、記録映像で見させてもらったぜ。なんだありゃ。本来のおまえのスペックなら、敵の『女王(クイーン)』を苦もなく打倒できたはずだ。なぜ、堕天使の力をふるわなかった?雷だけでは限界がある。光を雷に乗せ、『雷光(らいこう)』にしなければおまえの本当の力は発揮しない」

 

「・・・・私は、あのような力に頼らなくても」

 

「否定するな。自分を認めないでどうする?最後に頼れるのは己の体だけだぞ?否定がおまえを弱くしている。辛くても苦しくても自分をすべて受け入れろ。おまえの弱さはいまのおまえ自身だ。決戦日までにそれを乗り越えてみせろ。じゃなければ、おまえは今後戦闘として邪魔となる。『雷の巫女』から『雷光の巫女』になってみせろよ」

 

「・・・・・」

 

黙ってしまった朱乃の手を俺はそっと握った。

 

「大丈夫、朱乃には俺がいる」

 

そう言うと朱乃は俺の手を強く握り返してきた。

 

......今はまだこんな気休めしか言えないけどいつか必ず....。

 

次に木場は禁手の状態維持と木場の師匠との剣術の稽古。ゼノヴィアはデュランダルを今以上に使えるようになることと、もう一本の聖剣に慣れること。ギャスパーは総督が考えた『引きこもり脱出計画』。アーシアさんは基本トレーニングと神器の強化。

 

「次に小猫」

 

「・・・・はい」

 

小猫ちゃん相当気合が入っているな。

 

「おまえは申し分ないほど、オフェンス、ディフェンス、『戦車(ルーク)』としての素養を持っている。身体能力も問題ない。だが、リアスの眷属には『戦車(ルーク)』のおまえよりもオフェンスが上の奴が多い」

 

「・・・・・わかっています」

 

ハッキリと言う総督の言葉に小猫ちゃんは悔しそうな表情を浮かべている。

 

「リアスの眷属トップのオフェンスはショウだ。ヴァーリを圧倒しているしな。次に木場とゼノヴィアだ。禁手の聖魔剣、聖剣デュランダル、凶悪な兵器を有してやがるからな。ここに予定のイッセーの禁手が入ると」

 

オフェンスは確かに俺が木場やゼノヴィアよりも上だった。でも単純なスピードやパワーは木場やゼノヴィアのほうが上みたいだ。

 

「小猫、おまえも他の連中同様、基礎を向上しておけ。その上で、おまえが自ら封じているものをさらけだせ。朱乃と同じだ。自分を受け入れなければ大きな成長なんて出来やしねぇのさ」

 

「・・・・・・」

 

総督の最後の言葉に先ほどの気合が消失した。

 

小猫ちゃんも何か抱えているのか?

 

「さて、最後にイッセーそれからショウ。おまえらはちょっと待ってろ。そろそろなんだが・・・」

 

総督が時間を確認し空を見上げているので俺も空を見てみると空からドデカい何かが降ってきた。

 

ドオオオオオオオオオオオオオオンッ!

 

地響きと共にそれは目の前に飛来してきて、土煙が収まるとそこには

 

「「ドラゴン!」」

 

「そうだイッセー、ショウ。こいつがドラゴンだ」

 

これが......ドラゴン....。

 

「アザゼル、よくもまあ悪魔の領土に堂々と入れたものだな」

 

あ、喋れるんだな。

 

「ハッ、ちゃんと魔王さま直々に許可をもらって堂々と入国したぜ?文句でもあるのか、タンニーン」

 

「ふん。まあいい。サーゼクスの頼みだというから特別に来てやったんだ。その辺を忘れるなよ。堕天使の総督殿」

 

「ヘイヘイ。てなわけで、イッセー、ショウ。こいつがおまえらの先生だ」

 

「ええええええええええええええええええっ!この巨大なドラゴンが!?」

 

イッセーは驚き叫んでいた。まあ、相手はドラゴンだもんな....。

 

「ドラゴンとの修行は昔から実践方式だ。目一杯鍛えてもらいな」

 

と総督が言うなか俺はタンニーンさまに近づき

 

「ドラゴンであるあなたと戦えば俺はもっと強くなれますか?」

 

「それはお前次第だ。安心しろ手加減はしてやる」

 

「・・・・・いや、俺のときは殺す気で来てください」

 

俺の言葉に驚愕するタンニーンさま。

 

「正気か!?貴様は!?元『六大龍王』である俺に殺す気で来いだと!?死ぬ気か!?」

 

俺は拳を強く握りタンニーンさまに言った。

 

「俺は今のままじゃダメなんです!俺は誰にも悲しい想いをさせないと誓った!その為に俺はもっと強くならなければいけないんです!だから俺は強くなる!そのためにはあなたが俺を殺す気で来ないといけないような気がするんです。だから、お願いします!」

 

「・・・・・・・」

 

タンニーンさまは俺をじっと見て

 

「わかった。お前のときは殺す気で行こう。しかし、危なくなったと感じれば加減はする」

 

「ありがとうございます」

 

「話は纏まったか?じゃあ、気張れよ」

 

「リアス嬢。あそこに見える山を貸してもらえるか?こいつらをそこに連れていく」

 

「ええ、鍛えてあげてちょうだい」

 

そして俺とイッセーはタンニーンさまの手につかまり飛びだった。

 

「部長ォォォォォォォォォォォッ!」

 

泣いているイッセーに部長さんは笑顔で手を振っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

修行が始まり数日。

 

ドゴオオオオオオオオオオンッ!

 

「うわぁぁぁああんっ!」

 

タンニーンさまの一撃で木々は吹っ飛び、岩が崩れ、地面にクレーターが生まれイッセーが出てきた。

 

「ほーら、赤龍帝の小僧。もっと素早く避けんと炭になるぞ」

 

俺は悪魔の翼を広げて空を飛びタンニーンさまのブレスに少しでも耐えれるように全身に氷の鎧を身に着けている。

 

「ほーら、行くぞ!」

 

タンニーンさまは今度はこちらにブレスし俺は何とか避けれるがブレスの熱で氷の鎧は溶けてしまうばかりでもこれをつけていなかったら今頃全身火傷を負っているだろう。

 

氷結でタンニーンさまの動きを封じようにもデカすぎて上手くいかねぇし、あれだけの熱量を水で相殺はできない。なら

 

俺は気体の一つ窒素を操り次のブレスに備えた。

 

窒素の性質は酸素と違い燃えにくい。ならブレスがきた瞬間窒素をブレスにぶつけ弱らせる。

 

そしてタンニーンさまは再び俺に向かってブレスが来た。今だ!

 

俺は窒素をブレスに当てタンニーンさまのブレスを弱らせることに成功し

 

「ハァァァアアッ!」

 

俺はタンニーンさまの背後に回り槍で攻撃したが

 

ガキン!

 

堅い鱗によって弾かれてしまった。やっぱり堅い!

 

「おまえは初日からしっかりと攻めてきているな。赤龍帝の小僧。お前も攻撃して来い。逃げ足だけうまくなっても仕方ないだろう」

 

「無理っスよ!ショウとあんた強すぎだ!もしかしてあんたもヴァーリより強いんじゃないの!?」

 

「まあ、パワーだけなら魔王級とよく言われる」

 

.......俺、そんな相手に初日から攻めてたんだ。

 

「おー、やってんな。どうよ?」

 

聞き慣れた声が聞こえ声のする方を見るとそこには総督がいた。

 

 

 

 

 

「うみゃい!うみゃいよぉぉぉおおおっ!」

 

俺とイッセーは総督は俺たちに差し入れを持ってきてくれた。イッセーは部長さんとアーシアさんが作ったおにぎりと弁当に涙を流している。俺のは朱乃が作ってくれた和食の弁当をしっかり味わいながら食べている。

 

「二人とも数日見ない間に多少はいいツラになったな」

 

総督は俺たちの肩を叩いて言う。

 

「ふざけんな!死ぬよ!俺、死んじゃうよ!このドラゴンのおっさん、メチャクチャ強いよ!ドラゴンの戦いを教えてくれるっていっての実力が開きすぎてて話にならねぇぇぇっ!」

 

「うわっ!イッセー!米粒飛ばすな!せっかく朱乃が作ってくれた弁当にはいっちまうだろうが!」

 

俺はイッセーから飛んでくる米粒を弁当に入らないように死守。するとイッセーはなんか羨ましそうな視線を俺にしてきた。

 

「ちくしょぉぉぉぉぉぉぉっ!愛妻弁当かよ!羨ましすぎるぅぅぅぅぅぅぅっ!」

 

泣きながらそんなことを言っているイッセーを無視し俺は弁当を再び食べ始めた。

 

にしても、やっぱり朱乃の和食はうまいな。俺も料理はできるけど和食は朱乃に勝てないな。

 

俺たちは弁当を食べ終わると総督は俺たちのトレーニング日誌を見ながら言う。

 

「それでも基礎トレーニング含めてこなしてんだろう?じゃあ、だいじょうぶだ。これぐらいこなさんと、禁手に至ったときに体がついてこないぞ。おまえは足りないものが多すぎるんだよ。魔力じゃ逆立ちしてもヴァーリには勝てない。そうなると必然的に体力のほうを上げるしかない」

 

まあ、イッセーはそうだろうな。あ、そういえば

 

「総督、あの時ヴァーリがなにかやろうとしていたのはなんですか?」

 

あのときヴァーリが呪文みたいなのを唱え始めたときのあの嫌な気配。

 

「ああ、『覇龍(ジヤガーノート・ドライブ)』のことか」

 

「もしかして禁手のさらに上とか?」

 

「いや、禁手の上は存在しない。神器の究極は禁手だ。だがな、魔物の類を封印して神器にしたものがいくつかあってな。それらには独自の制御が施されている。おまえのブーステッド・ギアとヴァーリのディバイン・ディバイディングもその例だ」

 

それじゃあ、俺のにも.....いや、魔物の類って言っているし違うか。

 

「それらは強力に制御されていて、その状態から力を取り出して宿主が使えるようにしている。赤龍帝と白龍皇の場合、それを強制的に一時解除し、封じられているパワーを解放するが『覇龍(ジヤガーノート・ドライブ)』だ。一時的に神に匹敵する力を得られるがリスクも大きい。寿命を大きく削ること。それと理性を失うことだ」

 

「暴走ってことですか?」

 

「ああ、酷いぐらいにのな。周囲を全部破壊し、自ら滅ぼしかてやっと停止する。その力を使いこなすことは事実上不可能なんだが、ヴァーリは膨大な魔力を消費することで数分間のみ扱える。はずなんだがな。あのときのアルビオンの焦りようから察するにまだ危険を伴うようだ。力の亡者と化した者だけが使う呪われた戦い方だ。おまえは絶対に真似するな」

 

なるほど.....。恐ろしい限りだな。

 

「現白龍皇は『覇龍(ジヤガーノート・ドライブ)』が扱えるのか?それは問題だ。赤龍帝の小僧、必死にならんと殺されるぞ。白も赤も先にあの力に目覚めたほうが確実に勝ってきている。ある意味、早い者勝ちだった」

 

「じゃあ、イッセー。おまえに休んでいる暇はないな。今度は俺もタンニーンさまと一緒におまえの修行をつけてやるよ」

 

今の俺の顔は鏡を見なくても笑顔だというのはよくわかる。イッセーの怯えようを見ればな。

 

「ショウ、ちょっと来い」

 

「はい?」

 

総督は突然改まった口調で俺を読んでイッセーと少し離れたところに来た。

 

「おまえ、朱乃のことどう思っている?」

 

「どう?とは」

 

「女としてどう思っているかだ」

 

唐突だな。

 

「好きです。俺は朱乃のことが好きです。今はまだ俺自身にちょっと問題がありますが俺は朱乃が好きです」

 

俺の答えを聞いて総督は「うんうん」と何か安堵したかのようにうなずいた。

 

「そうか。俺はな、ダチの代わりにあいつを見守らないといけない部分もあってな」

 

「バラキエルさんでしたっけ?朱乃のお父さんは?」

 

「ああ、大昔からの仲間さ。ダチだ、ダチ。よく一緒になってバカやったもんだ。で、気づけば俺の周りは妻子持ちばかりでさ」

 

深くため息をする総督。独身とか気にするタイプなんだな。

 

「ともかく、朱乃のこと、おまえになら任せられるかもなんて思っている」

 

「総督に言われなくても朱乃は俺が守りますよ。もちろん皆も」

 

「よし。まあ、朱乃に関してはおまえにも任せる。それよりも問題は小猫か」

 

「小猫ちゃんがどうしたんです?」

 

俺の問いに総督は息を吐く。

 

「どうにもな。あせっているというよりも自分の力に疑問を感じているようだ。俺の与えたトレーニングを過剰に取り込んでてな。今朝、倒れた」

 

「倒れた!?小猫ちゃんは大丈夫なんですか!?」

 

「ケガはアーシアに治療してもらえるが、体力だけはそうはいかん。特にオーバーワークは確実に筋力などを痛めて逆効果だ。ゲームまでの期間は限られているのだから、それは危険だ」

 

「・・・・・総督。俺は一度山から下りて小猫ちゃんのところに行っていいですか?」

 

俺は小猫ちゃんの容体が気になって総督に許可を求めるが

 

「ああ、それにイッセーと一緒に一度連れ帰せと言われてたんでな。一度グレモリーの別館に戻るぞ」

 

言われてんだ?誰に?

 

「あの、総督誰に言われたんです?部長さんですか?」

 

俺は訊いてみると

 

「の母上殿だ」

 

俺とイッセーに何の用なんだろう?

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