Sideイッセー
「はい。そこでターン、ステップのキレも良いわね。ショウ君ならすぐに覚えてしまうわね」
俺とショウはグレモリー本邸からそこそこ離れた位置にある別館で部長のお母さんとダンスの練習をしている。
.......なぜこんなことに?
別館に着くなり、部長のお母さんにここに連れてこられたんだ。で、そのままダンスの練習開始だ。俺、この手のものはいままでやったことないから、まるでダメだったが....。
「なんで、ショウはそんなにできるんだ?」
とショウに訊いてみると
「さっき、イッセーのを見て頭の中でイメージトレーニングしてたからある程度は理解してたんだ。あとは体で覚えてるんだ」
なるほど.....。
「さぁ、次はイッセー君の番ですよ」
部長のお母さんに呼ばれ俺とショウは交代し再び部長のお母さんとダンス練習を開始した。
「少し休憩かしら」
とお許しが出たので、俺はその場に座り込んでゼーハーゼーハー息をついていた。ショウもその場に座り込んでいるが俺みたいに息はついていなかった。何故俺とショウだけかとショウに訊いてみると
「後々必要になる」としか言わなかった。んー、どうゆうことだろう?木場やギャスパーはもしかしたらもうこういうのは身につけていると思うし、ショウはムカつくことに部長の結婚相手の一人として必要なのはわかる。なら、なんで俺も?
「部長さんのお母さま。質問よろしいでしょうか?」
「なんでしょう?」
俺が考え事しているとショウが部長のお母さんに質問をしていた。
「小猫ちゃんは大丈夫なのでしょうか?」
「ええ、ただのオーバーワークですので、一日か二日、ゆっくりと体を休めれば回復するでしょう」
......そういえば小猫ちゃんここに来る前から様子がおかしかったな。
「彼女はいま懸命に自分の存在と力に向き合っているのでしょう。難しい問題です。けれど、自分で答えを出さねば進みません」
「・・・・存在と力?」
疑問に感じる俺。小猫ちゃんに何があるんだろうか?
「・・・・そういえば、あなたたちはリアスの眷属になって間がなかったわね。そう、知らなくても当然ですね。少しお話をしましょう」
部長のお母さんは俺たちに対面するように座り、とある話を語りだした。
姉妹の猫はいつも一緒だった。寝るときも食べるときも遊ぶときも、親が死別し、帰る家もなく、頼る者もなく、二匹の猫はお互いを頼りに懸命に一日一日を生きていった。
「二匹はある日、とある悪魔に拾われました。姉のほうが眷属になることで妹も一緒に住めるようになりました。やっとまともな生活を手に入れた二匹はそれはそれは幸せなときを過ごせると信じていたのです」
ところが、異変は怒る。姉猫は、力を得てから急速なまでに成長を遂げたそうだ。隠れていた才能が転生悪魔にとなったことで一気にあふれ出たと、部長のお母さんは言う。
「その猫はもともと妖術の類に秀でた種族でした。その上、魔力の才能にも開花し、あげく仙人のみが使えるという仙術まで発動したのです」
短期間で主をも超えてしまった姉猫は力に呑み込まれ、血と戦闘だけを求める邪悪な存在と変貌しました。
「力の増大が止まらない姉猫はついに主である悪魔を殺害し、『はぐれ』となり果てました。しかも『はぐれ』のなかでも最大級に危険なものと化したのです。追撃部隊をことごとく壊滅するほどの・・・」
悪魔たちはその姉猫の追撃を一旦取りやめたという。
「残った妹猫。悪魔たちはそこに責任うを追及しました」
『この猫もいずれ暴走するかもしれない。いまのうちに始末したほうがいい』と。
「処分される予定だったその猫を助けたのがサーゼクスでした。サーゼクスは妹猫にまで罪はないと上級悪魔の面々を説得したのです。結局、サーゼクスが監視することで事態は収拾しました」
けど、信頼していた姉に裏切られ、他の悪魔たちに責め立てられた小さな妹猫の精神は崩壊寸前だったそうだ....。なんつー悲しい話だ....。
「サーゼクスは、笑顔と生きる意志を失った妹猫をリアスに預けたのです。妹猫はリアスと出会い、少しずつ少しずつ感情を取り戻していきました。そして、リアスはその猫に名を与えたのです。小猫、と」
俺はあまりのことに言葉を失っていた。いまのお話、小猫ちゃんの....?って、じゃあ、小猫ちゃんの正体は
「彼女は元妖怪。猫又をご存じ?猫の妖怪。そのなかでも最も強い種族、猫魈の生き残りです。妖術だけでなく、仙術をも使いこなす上級妖怪の一種なのです」
「あっ、部長」
「イッセー!」
俺とショウはダンスの練習も終わり、本邸に移動した俺を部長はぎゅっと抱きしめてくれた。
あ、この感じ、久しぶりかも.....。たった数日しか経っていないけど、部長の匂いが懐かしい!
「すみませんが部長さん。小猫ちゃんは?」
ショウの言葉で部長は難しい表情となる。
「ついてらっしゃい」
部長について入室したのは小猫ちゃんの部屋だった。中に入ると朱乃さんがベットの横で待機しており、そのベットに猫耳生えた小猫ちゃんが横になっていた。
「ショウ、イッセーくん。これは」
俺が小猫ちゃんの猫耳に反応していたせいか、朱乃さんが事情を説明しようとする。
「大丈夫だ、朱乃。だいたいは聞いた」
ショウは朱乃さんに答えた。俺たちはそのままベット脇に移動して、様子をうかがう。
「小猫ちゃん、体は大丈夫か?」
とショウが訊くと小猫ちゃんは半眼でつぶやいた。
「・・・・何をしにきたんですか?」
不機嫌な声音だ。いままでにないぐらいだ。俺たちが来たの怒ってるね。
「・・・・・心配だから、って言ったらダメかな?」
「・・・・・・」
ぶすっとしたまま、小猫ちゃんは答えない。俺は続けた。
「小猫ちゃん、聞いたよ。いろいろとね。とにかく、オーバーワークはダメだ。体を大事にしなきゃ・・・・って、地獄のしごきを受けている俺たちが言えた義理じゃないけどさ」
「・・・・なりたい」
小猫ちゃんはゆっくり起き上がると目に涙を溜めながら、ハッキリとした口調で言った。
「強くなりたいんです。祐斗先輩やゼノヴィア先輩、朱乃さん・・・・そしてイッセー先輩やショウ先輩のように心と体を強くしていきたいんです。ギャーくんも強くなってきてます。アーシア先輩のように回復の力もありません。・・・・このままでは私は役立たずになってしまいます・・・・・。『
「・・・・・」
「小猫ちゃん・・・・」
ショウは黙って小猫ちゃんの言葉を聞いていて俺は思った。確かに木場も強くなった。ゼノヴィアも強い。朱乃さんは最強の駒『
小猫ちゃんはポロポロと涙をこぼしながらも続ける。
「・・・・けれど、うちに眠る力を・・・猫又の力は使いたくない・・・・。使えば私は・・・・姉さまのように・・・・。もうイヤです・・・・もうあんなのはイヤ・・・・」
俺は初めて小猫ちゃんのこんな泣き顔を見た。いままで感情をあまり表に出さない子だったから、その姿は俺にとって衝撃だった。
「・・・・小猫ちゃん。強くなりたいのはわかるが、それでもオーバーワークしても強くはなれない。そんなのになんの意味もないんだ」
「っ!ショウ先輩は強いからそんなことが言えるんです!先輩に私の気持ちがわかる訳」
小猫ちゃんが言い切ろうとした瞬間
パン!
乾いた音が小猫ちゃんの部屋に響き渡る。それはショウが小猫ちゃんの頬をはたく音だった。
「ショウ!?」
「ショウ!?なにしてんだ!?」
俺と朱乃さんは驚きを隠せなかった。
「・・・・・えっ?」
はたかれた小猫ちゃんも呆然としている。
「・・・・・俺が強い?ふざけんなよ、小猫。俺は強くなんかねぇんだよ。もし、俺が強かったらアーシアさんだって助けられた。イッセーだって死ななかった。俺の代わりに死んだ凛・・・恋人だって救うことができた」
えっ......恋人?ショウの恋人って朱乃さんじゃあ.....。いや、凛って言ってるし、もしかして!?ショウの前の....。
「それから、小猫。俺はおまえの気持ちなんか知らねぇ。俺はおまえじゃあないからな。それはおまえ自身の気持ちだ。だがな、強くなりたいという気持ちはわかる」
ショウは小猫ちゃんをじっと見て言った。
「俺が強くなりたいのはもう誰にも悲しんでほしくないからだ。その為には力がいる。だから俺は強くなる。すべてを守れるぐらい俺は強くなると俺は俺自身に誓った。・・・・・小猫、お前はなんのために強くなりたんんだ?」
「・・・・・強くなって皆のお役に立ちたいからです」
小猫ちゃんはそう答えるとショウは小猫ちゃんの頭を撫で
「じゃあ、その為になにが必要か考えろ。そしてそれを答えに強くなれ。小猫」
ショウはそう言うと部屋から出て行こうとするが途中で立ち止まり。
「それから力が暴走したとしても安心しろ。俺が助けてやるよ。俺だけじゃなく皆もだけど」
それだけを言い残しショウは部屋を出て行き俺も急いでショウのあとを追った。
「ショウ!いくらなんでも叩くのはダメだろう!?小猫ちゃん弱っていたんだぞ!」
「悪いとは思ってる。嫌われても俺は文句は言わない。でもな、イッセー」
ショウは俺のほうに振り返ると
「辛い過去を持っていようが、悲しい想いをしようが、そいつに優しくすれば治る訳でもないんだぞ。生きている限り前を歩かないと行けない。嫌でもな・・・・。よく覚えとけ」
ショウはそう言うとまた前を歩き出した。
「・・・・・・ショウ、お前もそうなのか?」
そう訊くがショウは何も答えなかった。
Sideout
Sideショウ
明日で修行が終わり俺とイッセーは修行の最終段階に入っていた。
「おりゃあああっ!」
『Exposion!!』
イッセーは神器の力で身体能力を上げた。
「これを避けられるか!」
ゴォォォンッ!ドォォォンッ!
タンニーンさまの火球を避けてイッセーは左手から巨大な魔力の塊を撃ちだした。
「ふんっ!少しはまともなものを出すようになったものだッ!」
タンニーンさまは正面から魔力の弾を受けとめようとした。
ドォオオオオォォォォンッ!
タンニーンさま両腕でそれを正面から受け止め、勢いよく口からブレスを吐きだしイッセーの魔力の弾を空へ弾き返した。
『Reset』
増大した力が元のイッセーの力に戻った。タンニーンさまの両手から小さな煙が上がっている。
「いい一撃だ。最初に出会った頃に比べると、確実にドラゴンの力が高まっている。体力も申し分ないだろう。俺との鬼ごっこも一日ぶっ続けでできるほどだ。さて、次は」
タンニーンさまは俺のほうに視線を向けてくる。
「はい。よろしくお願いします」
俺は悪魔の翼を広げ空へ飛んだ。
「行くぞッ!」
タンニーンさまは早速ブレスをしてきたが俺は動じなかった。俺は神器の力で俺の前に氷で作った俺と同じぐらい大きい鏡を出し
「
俺の魔力と神器の力を合わせて作った鏡はタンニーンさまのブレスを吸収し
「そのままお返ししますっ!」
タンニーンさまに向けて放出した。
「ふんっ!」
タンニーンさまはまたブレスをし俺が放出したブレスを相殺した。
「まだだッ!」
俺は今まで一体しか作れなかった『
「「「「
六人の内の四人の俺がタンニーンさまに水で出来た鎖を巻きる。タンニーンさまは鎖を破壊しようとするが元が液体なので鎖から解放されるまでほんの少しの時間は稼げる。その間に俺ともう一体の俺はタンニーンさまの上空に来てお互いの槍を重ねて巨大な氷を作りだした。
「ふんっ!なめては困るな」
ゴバァアアアアアアアッ!
タンニーンさまは炎のブレスで氷人形を溶かし頭を上げ俺がいる自分の頭上にブレスをしてきた。
クソッ!中途半端だがやるしかねぇ!
俺はもう一体の氷人形も加えてもまだ微妙の大きさだがそのまま巨大な氷塊を落下させた。
「
俺の氷塊とタンニーンさまのブレスがぶつかりあうが俺の氷は一瞬で溶けた。
「うぉおおおおおおおおおッ!」
俺はタンニーンさまのブレスを死ぬ気で躱した。
ハァハァハァ、し、死ぬかと思った。にしても中途半端とはいえあれだけの氷塊を一瞬で溶かすなんてやっぱり今まで手加減されていたんだな。
「貴様は初日から攻めていただけあってかなり成長したな。今のブレスはかなり威力をあげたものだ」
そうだったのか。最初に比べると俺も強くなれたんだ。
「おまえら今日までよくやった。しかし、残念だったな。もう少し日があれば可能だったかもしれない。明日で修行は終わりだが・・・・・おそらくは無理だろう」
タンニーンさまはイッセーにそう言った。イッセーの目標は禁手に至ること明日だけではさすがに禁手までには至れないだろう。
「では、俺はこれで、魔王主催のパーティには俺も出席する。また会おう、兵藤一誠、駿河 彰。それとドライグ」
グレモリー本邸前まで俺とイッセーはタンニーンさまの背に乗って帰ってきた。
「うん。おっさんありがとう!パーティでまた!」
「修行ありがとうございました!」
俺とイッセーお礼を言い、タンニーンさまは帰る途中パーティまで乗っけてくれる約束をした。
「やあ、イッセーくん、ショウくん」
聞き覚えのある声に振り返るとそこには木場がいた。
「おー、ショウとイッセーと木場か」
そして今度はミイラになっていたゼノヴィアがいた。
「ゼノヴィア・・・どうしたんだ?その格好」
俺は訊いてみると、ゼノヴィアは改めて自分の格好を見て言う。
「うん。修行して包帯巻いて修行してケガして包帯巻いていたら、こうなった」
「ほとんどミイラ女じゃねぇか!」
とイッセーがツッコンだ。やっぱりこれはツッコミを入れるところだったのか?
「失敬な。私は永久保存されるつもりはないぞ?」
「いや、そういう意味じゃないだろう」
前から思ってたけどゼノヴィアはやっぱり天然だな。
そのあとアーシアさんと会って部長さんが現れてイッセーは部長さんに抱き着きそのあとシャワーを浴び修行の報告をした。
報告はイッセーの部屋にやることになり一人一人報告し俺とイッセーのサバイバル生活に皆軽く引いていた。
「あの先生、なんか、俺たちだけ酷い生活送っていませんか・・・・?」
「俺もショウならともかくおまえまで山で生活できていたから驚いたよ。途中で逃げ帰ると思っていたからな。まさか、普通に山で暮らし始めていたとは俺も想定外だった」
俺は想定内だったのですね。確かに水には絶対に困りませんが。
「えええええええええええええええええっ!?何それ・・・・・?お、俺、冥界産のウサギっぽい奴とかイノシシっぽい奴を狩ってさばいて焼いて食べていたんですよ・・・・?ショウがこれも修行だ!って言って水をくれないから、山で拾った鉄鍋で一度沸騰殺菌してから水筒に入れてたし・・・」
「だから驚いているんだよ。おまえ、たくましすぎるぞ。ある意味、悪魔を超えている」
「酷い!こちとらあの山でドラゴンとショウに一日中追いかけ回されて生活してたのにぃぃぃっ!何度死にかけたことか!うえええええええええんっ!」
あまりのことにイッセーは泣いてしまった。.......少しやりすぎたかな?
「部長に会いたくて会いたくて!毎夜部長のぬくもりを思いだしながら葉っぱにくるまって寝てたのにぃぃぃ!辛かったよぉぉぉっ!ドラゴンのおっさん、手加減しないで寝ているときも襲ってくるんだもん!ショウなんかもっとひでぇぇぇぇ!魔力と蜃気楼を合わせた部長の幻を使って精神攻撃してくるし!それがなくても凍らせてくるし!爆発させてくるし!本当に死ぬかと思ったよぉぉぉぉぉぉ!」
俺はイッセーを鍛えるというよりイッセーでいろいろ試したからな。うん。イッセーだからいっか。
「かわいそうなイッセー・・・・。よく耐えたわね。ああ、イッセーこんなにたくましくなって・・・。あの山は名前がなかったけれど『イッセー山』と命名しておくわ」
部長さんはイッセーを抱きしめ頭を撫で慰めていた。イッセーも甘えるかのように部長さん胸で大泣きしている。
総督はイッセーは禁手に至らなかったことも想定内いざ、禁手になると体力が増えたから鎧を着ている時間が増えていると言っている。
「ま、いい。報告会は終了。明日はパーティだ。今日はもう解散するぞ」
総督の一声に報告会は終了した。
こうして俺とイッセーのサバイバル生活が終わりを告げた。
Sideout